葬儀を題材にした映画といえば、
伊丹十三監督の『お葬式』が有名だ。

1984年公開のこの作品、
当時ほとんど扱われてこなかったお葬式をユーモラスに描き、
当時大きな話題となった。

それから早三十年。

今回は過去葬儀を取り扱った映画の中で、
入手しやすく面白い映画を十六本、紹介したい。

こんな人におすすめ

葬儀を題材にした映画に興味がある方

葬儀を取り扱った映画を知りたい方

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『おくりびと』

2008年に公開され、アカデミー賞外国語映画賞や日本アカデミー賞ほか、
国内外の映画賞を数多く受賞したこの作品。

「納棺師」という職業にスポットを当てている点が新しく、
その所作の美しさが印象的なものとなっている。

亡くなった人の遺体に仏衣を着せ、化粧を施して棺に納めることを専門とする、
「究極のすき間産業」(映画の登場人物の言葉)だそうだ。

映画の主人公は、失業したチェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)。
チェロの道を諦めて、優しい妻である美香(広末涼子)とともに故郷の山形へ帰り、
その地で図らずも納棺師の職に就くことになる。

主人公は最初からかなり強烈な体験をしたり、
地元の幼馴染や妻に「そんな仕事やめろ」とけなされたり、
仕事先の遺族から暴言を受けたり…と厳しい場面をいくつも迎え、
その中で成長し、自らの仕事にやりがいや誇りを持つようになる。

テーマは重いが、
全編に漂うやわらかいユーモアのおかげで、雰囲気は重苦しく無い。
最後は静かな感動に浸れる作品である。

チェロが主となっているBGMや、レトロな雰囲気のインテリアなどの映像も綺麗だ。

製作年:2008年 上映時間:130分 配給:松竹
監督:滝田洋二郎
キャスト:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、杉本哲太 他

『社葬』

バブル期の日本を舞台にした、
葬儀というよりは大企業の派閥争いがメインテーマの物語。

だが、ラストの社葬シーンが映画の山場となっており、
そこへ向かって人々の思惑が絡んで進んでいく様子は、ハラハラ、ドキドキする。

大企業とは「太陽新聞」という新聞社で、作中では業界トップクラスという設定だ。

会長派と社長派に分かれて激しく権力を争う中で、
会長が倒れたかと思えば、その晩社長が愛人の元で突然死してしまい、
現場は混乱する。

盛大な社葬を執り行うこととはなったが、そのための会議の場も紛糾。
中年男性たちが絶えず喧嘩している映画である。

主人公の鷲尾(緒形拳)は派閥が嫌いで距離を置こうとするが、
友人の徳永(江守徹)に巻き込まれ危うい立場に追い込まれてしまう。

社葬の場面はあまり出てこないが、
準備の段階で、戒名料が500万円だとか、
祭壇の花の取り換えに1500万円だとか、
予算に関する嘆きを聞くことが出来る。
(ちなみに戒名料は社葬費用の対象外である。)

会社をあげておよそ二週間の準備期間を忙しく過ごす、
その雰囲気は十分に感じ取ることが出来る。

ラストの社葬シーンで、次期社長の発表がされ、派閥の勝敗が決する。

社葬の参列者の多さや規模の大きさから、
いかに重要な後継者決定の場であるのかがわかる場面だ。

テーマはシリアスだが、笑える場面も多い。

製作年:1989年 上映時間:129分 配給:東映
監督:舛田利雄
キャスト:緒形拳、十朱幸代、井森美幸、吉田日出子、藤真利子 他

『お葬式に乾杯!』

2007年のイギリス映画『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』を、
ハリウッド・リメイクしたコメディ作品。

今回紹介する中ではど真ん中にお葬式を扱っており、
またどれよりもコミカルである。

亡き父の遺言により自宅にて葬儀を行うことになったアーロン(クリス・ロック)。
葬儀社の人間に「遺体を間違える」というミスをされ、
最初から先行き不安な雰囲気である。

作家として成功をおさめ、誰からもちやほやされる弟、
姑のプレッシャーから葬儀当日に子作りをせがむ妻、
頑固でかんしゃく持ちの叔父…

その他個性的で、何かしらのトラブルを「起こさない筈がない」親戚たちが、
続々と葬儀に訪れる。

さらには、葬儀に来ていた見知らぬ男が、
亡き父のとんでもない秘密を明らかにして、
主人公たちを混乱に陥れるのだ。

だいぶドタバタして不謹慎なところもある物語だが、
コメディが好きならばお勧めである。

その場で繰り広げられる嫁姑や親戚同士のやりとりは、
日本人であってもどこか身近に感じるのではないだろうか。

制作年:2010年 上映時間:90分 制作国:アメリカ
監督:ニール・ラビュート
キャスト:クリス・ロック、マーティン・ローレンス、レジーナ・ホール 他

『とむらい師たち』

主演は勝新太郎。野坂昭如の同名小説を原作にしたコメディ映画だ。

営利主義の葬儀屋に不満を抱き、通称がんめんが国際葬儀協会を立ち上げる。
がんめんはこの映画が製作された2年後に迫る万国博覧会に対抗して、
葬儀博覧会を実現させようと走り回るのだ。

ストーリーの中で建設中の大阪万国博覧会の会場を霊柩車が走り回るという珍しいシーンを見ることができる。

死を暗いものとして受け止めるのではなく、笑いに変えつつも考えさせられる作品だ。
通称先生、ジャッカン、ラッキョウのそれぞれのキャラクターも映画のエッセンスとなっている。この時代だったからこそ描けた映画であり、独特の大映美術の美しさも必見。

製作年:1968年 上映時間:89分 配給:大映
監督:三隅研次
キャスト:勝新太郎、伊藤雄之助、藤村有弘、藤岡琢也、財津一郎 他

『勝手に死なせて』

単身赴任先で事故死した夫の死をきっかけに「死体争奪戦」が始まっていく。
故人の望み通り、娘と二人きりで葬儀を行いたい妻と、スタンダードな葬儀を行いたい親族。
そして謎のカップルが死体を奪い合うというコメディ映画だ。

奪われた遺体を奪い返すためにカーチェイスまで繰り広げてしまうのだが、いったいなぜ謎のカップルは遺体を奪おうとするのか。

なぜ親族は遺体を奪ってまで人の目を気にして一般的な葬儀を行おうとするのか。突飛なストーリーの中にもセンチメンタルなシーンも織り交ぜられている。

製作年:1995年 上映時間:95分 配給:バンダイビジュアル
監督:水谷俊之
キャスト:名取裕子、風間杜夫、石橋けい、立河宜子、山田辰夫 他

『夢』

黒澤明監督が見た夢を元にして作られた、「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」など全8話からなるオムニバス形式の作品だ。

すべての物語が「こんな夢を見た」で始まる。
この映画の中で、最後に収録されている「水車のある村」に葬儀が描かれている。

「水車のある村」では葬儀が華やかな祝祭として行われている。普段我々が接している葬儀とはまるで異なる世界だ。

この作品は日米合作映画である。日本国内では出資者が見つからなかったからだ。
黒澤作品のなかでは珍しく、日本でのフィルム上映の機会があまりないことで知られている。

また水車については、映画監督の宮崎駿氏が「水車の美術を担当したかった」といったという逸話が残っている。その美しい田舎の風景も楽しみたい作品だ。

製作年:1990年 上映時間:119分 配給:ワーナー・ブラザース
監督:黒澤明
キャスト:寺尾聰、倍賞美津子、原田美枝子、根岸季衣、マーティン・スコセッシ 他

『お日柄もよく ご愁傷様』

意外にも長編映画初主演だという橋爪功と、その妻を演じる吉行和子。
長女役に伊藤かずえ、次女役には本作が正式デビューとなった新山千春。

この家族が、結婚式と葬式を同時進行していく中で噴出する家庭内のごたごたに翻弄されながらも、最後には家族の絆を再確認するハートフルコメディである。

原案も手掛けた和泉聖治監督の新境地ともいわれており、冠婚葬祭や誕生のなかで、浮気問題、リストラと家族がそれぞれに抱えている問題が嵐となって襲ってくる。
人生の喜怒哀楽がつまった作品だ。

製作年:1996年 上映時間:105分 配給:東映
監督:和泉聖治
キャスト:橋爪功、吉行和子、新山千春、松村達雄、伊藤かずえ 他

『ゆずりは』

2018年に公開されたお笑い芸人のコロッケが映画初主演を務めた作品。
コロッケこと滝川広志は葬儀社の営業部長役、本人曰く「巣の自分を出した初めての経験」だったそうだ。

ベテラン社員の水島(滝川広志)は長年「死」に関わることで、感情の起伏がなくなっていることに気づく。

そんな水島が出会ったのが、新入社員の高梨(柾木玲弥)だった。
遺族に寄り添う心優しい高梨とともに葬儀に関わることで次第に心を取り戻していくヒューマンドラマ。

製作年:2018年 上映時間:111分 配給:エレファントハウス/アジアピクチャーズエンタテインメント
監督:加門幾生
キャスト:滝川広志、柾木玲弥、勝部演之、原田佳奈、高林由紀子 他

『洗骨』

監督・脚本の照屋年之は、お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリ。
自身が監督・主演を務めた、2016年製作の短編映画「born、bone、墓音。」を原案にして作成された。

「洗骨」とは沖縄の離島・粟国島に残る風習だ。
洗骨されないうちは死者が穢れていて、神仏の前に出られないと伝えられていることから、洗骨儀式がおこなわれている。

この洗骨をテーマにストーリーが展開していく。家族の絆、祖先とのつながりが描かれた作品。

製作年:2018年 上映時間:111分 配給:ファントム・フィルム
監督:照屋年之
キャスト:奥田瑛二、筒井道隆、新城優子、大島蓉子、坂本あきら 他

『ラブド・ワン』

イブリン・ウォーの同名の小説を映画化した作品。
イギリス出身の監督が、アメリカに招かれた自己の姿を投影した、
ブラック・ユーモアのあふれた怪作ともいわれている。

伯父の自殺と愛した人の自殺という一見重いテーマが描かれているが、
最後には遺体をロケットに乗せて宇宙へ飛ばしてしまうなど、不思議なストーリーになっている。

製作年:1965年 上映時間:122分 配給:MGM映画
監督:トニー・リチャードソン
キャスト:ロバート・モース、ジョナサン・ウィンタース、ジョナサン・ウィンタース、アンジャネット・カマー、ロッド・スタイガー 他

『マイ・ガール』

母親の死に対する負い目と死に対する恐怖を感じている少女を主人公にした作品。

死が身近にある環境で育っていく少女。作品の中では、死以外にも、思春期の少女とその幼馴染の少年の淡い恋心も描いている。

葬儀所を経営する父に男手一つで育てられている11歳の女の子ベーダ。
母親の死や葬儀所に来る遺体、そして物語の終盤ではいつも一緒に遊んでいる幼馴染の男の子の死に直面してしまうなど、少女は身近に死を感じてしまう。

考えさせられる内容ではあるが、少女の愛らしいキャラクターと、少女と少年の淡い恋心が物語に明るい雰囲気を加えている。

男の子役のマコーレー・カルキンは『ホーム・アローン』で知られている人気子役。
彼の演技にも注目だ。

製作年:1991年 上映時間:102分 配給:コロンビア映画
監督:ハワード・ジーフ
キャスト:アンナ・クラムスキー、マコーレー・カルキン、ダン・エイクロイド、ジェイミー・リー・カーティス、グリフィン・ダン 他

『お葬式だよ 全員集合!』

父親が急に亡くなり、お葬式のために集まることになった4兄弟を描いた物語。
その兄弟が巻き起こすハプニングが笑いを誘うコメディ映画だ。

お葬式をきっかけに疎遠だった家族が再び集まる光景は、東西を問わず見られる光景なのだということを感じさせてくれる。

父親の突然の死を悲しむお葬式の舞台が、一癖も二癖もある兄弟たちのドタバタ劇でコミカルになっていく。

個性派俳優のボブ・ホスキンスが主演を務める、笑いとともに見ることができる作品だ。

製作年:1992年 上映時間:92分 配給:ハリウッド・ピクチャーズ
監督:チャーリー・ピータース
キャスト:ボブ・ホスキンス、ブレア・ブラウン、ティム・カリー、フランシス・マクドーマンド 他

『フォー・ウェディング』

原題は『Four Weddings and a Funeral(4つの結婚式と1つの葬式)』とするイギリス映画。
結婚に対して臆病な青年が理想の女性に出会い一目惚れをするところから物語は展開していく。

邦題からも物語の始まりからも葬儀を連想することのないものであるが、4つの結婚式だけではなく1つの葬儀こそが青年の運命を変えていく。

また、この映画のなかではLGBTについても描かれている。

イギリスでは2005年に同性同士の結婚に準ずる権利が認められるようになったが、この映画はそれ以前のストーリーであり、結婚できないゲイカップルと結婚に踏み出せない青年が問題提起するかのように、対照的に登場している点にも注目だ。

製作年:1994年 上映時間:118分 配給:東宝東和
監督:マイク・ニューウェル
キャスト:ヒュー・グラント、アンディ・マクドウェル、クリスティン・スコット・トーマス、サイモン・カロウ 他

『祝祭』

第17回(1996)青龍賞最優秀作品賞・監督賞や第33回(1997)百想芸術大賞監督賞した韓国映画。流行作家の母親の葬儀を舞台にした作品。

主人公の流行作家ジュンソプを演じるのは、この作品で第16回(1996)映画評論家協会賞男優演技賞を受賞したアン・ソンギ。

他の作品では力強い役を演じることの多い彼が、頼りない息子役を演じていることにも注目してほしい。

また儒教や仏教、カトリックなど信仰する宗教がわかれる韓国において、この映画のなかでは、儒教の葬儀がおこなわれている。

昔ながらの韓国の「三日葬」と呼ばれる葬儀は、日本の葬儀と異なる点があることはもちろんのこと共通する部分もあり、そこにも興味をそそられる。

製作年:1996年 上映時間:102分 配給:シネカノン
監督:イム・グォンテク
キャスト:アン・ソンギ、オ・ジョンヘ、ハン・ウンジン、チョン・キョンスン 他

『おみおくりの作法』

第70回ヴェネツィア国際映画祭で、監督賞を含む4賞を受賞した作品。イギリスとイタリア合作の映画である。

ロンドンの民生係である主人公は、孤独死をした人の葬儀をおこなう仕事をしていた。

一人で旅立つことが無いようにと誠意のある対応をしていた主人公だったが、人員削減で解雇されてしまう。

自分自身も独身で孤独死を身近に感じてしまう瞬間が訪れ、その姿に胸を締め付けられる。
実際の民生係に同行することで生まれたストーリー。

製作年:2013年 上映時間:91分 配給:ビターズ・エンド
監督:ウベルト・パゾリーニ
キャスト:エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー、アンドリュー・バカン、ポール・アンダーソン 他

『ガンジスに還る』

ヒンドゥー教の一大聖地で人生の最後を迎えようとする父と、その世話をすることになった息子を描いたインドの映画。

インド映画オンライン賞最優秀長編映画賞など数々の賞を受賞している。

死を悟った父親とその息子を描きながらゆっくりと時が流れる作品だ。
セリフのない間に流れる音楽や映像には美しさを感じられる。

死期を悟った人々が過ごすための「解脱の家」で人々が穏やかに死期を迎えようとする姿が、死に関するさまざまな疑問に関して考えさせてくれる。

インドの日常生活を垣間見、その文化についても知ることができることにも注目だ。

製作年:2016年 上映時間:102分 配給:ビターズ・エンド
監督:シュバシシュ・ブティアニ
キャスト:アディル・フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニー、パロミ・ゴーシュ、ナヴニンドラ・ベヘル 他

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まとめ

葬儀に関するご準備は事前に行うことが大切です。いざという時困らないように、葬儀全般に関する疑問は、「小さなお葬式」へお問い合わせください。24時間365日専門スタッフがお客様のサポートをさせていただきます。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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