葬儀を執り行う際に、特に気掛かりなポイントとなるのが費用です。規模によって金額が異なることは何となく理解できても、どの程度まで費用が変動するのかを理解できている方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、さまざまなシチュエーションを想定した上で、葬儀費用の目安となる金額を徹底解説します。満足できる内容を確保しながら、少しでも安くやりくりするための方法についても確認しましょう。
こんな人におすすめ
【葬儀の形式別】葬儀費用の目安が知りたい方
【参列者の人数別】葬儀費用の目安知りたい方
葬儀は香典によりどのくらいカバーできるのかを知りたい方
まずは葬儀費用のボリュームゾーンから、葬儀にかかる平均金額の目安を知りましょう。どの程度で収まることが多いのかを知ることで、葬儀に向けて用意するお金のおおよその目途を付けることができます。地域によっても平均額は異なりますが、ここでは全国平均を例に取って、葬儀費用の目安を読み解いていきます。
日本全国では、年間97万件程度の葬儀が執り行われています。葬儀費用で最も多いのが100万円以上200万円未満という範囲であり、全体の3割以上にも及ぶ35万件以上の葬儀がこの範囲内の費用で行われています。
2番目に多いのが50万円以上100万円未満というボリュームレンジです。こちらも31万件以上の実績があり、50~200万円以内の葬儀が全体の3分の2以上を占めていることが分かります。
一方で200万円以上の葬儀は一気に減って6万件強、300~400万円の葬儀は1万件程度です。よってごく一般的な葬儀を執り行う場合の予算は、200万円以内と考えて問題ないでしょう。
参考:『e-Stat|平成27年特定サービス産業実態調査』
最も多い100万~200万円の範囲内で行える葬儀形式としては、家族葬や一般葬が当てはまります。この形式であれば200万円以上かかることはほとんどなく、統計から見ても平均的な範囲内での葬儀を執り行うことが可能です。
また、一般葬と比較すると家族葬のほうが安く済みます。100万円程度の予算を用意すれば余裕をもって葬儀を出すことができるでしょう。一般葬を選んだとしても、120万円程度で済ませられることも多くなっています。
さらに詳しく、形式別で費用の目安を確認します。現在、日本国内で主流となっている4つの形式を取り上げ、まずは表を使って比較してみましょう。
一般葬 | 家族葬 | 一日葬 | 直葬 | |
費用 | 60万円程度 | 40万円程度 | 30万円程度 | 17万円程度 |
上記はリーズナブルな葬儀を執り行える「小さなお葬式」を利用した場合の料金表です。一般葬が最も高額で、火葬だけを行う直葬が最も安く、その差額は40万円以上に達します。葬儀形式は慎重に選択すべきといえるでしょう。
ここからは葬儀の形式ごとに分類し、それぞれの形式の概要や葬儀で行えること、費用の内訳についても細かく説明します。
日本で最も多く選択されている形式です。家族や親せき、近しい友人だけでなく、近所の方々を参列者として招く場合も多く、100人を上回る規模になることもあります。
費用の内訳としては、遺体の運送費用をはじめ、出棺で使用する車代、式場から火葬場まで参列者を送迎するバス代、ご遺体を安置する際に必要なドライアイスなど、葬儀を執り行うために必要な金額がトータルで含まれている場合がほとんどです。
また、祭壇や遺影を準備する費用、供養のためのお花もセット料金に含まれます。最も差が出やすいのが飲食代(精進落とし代)です。この費用は参列者数によって増減します。
一般葬と比べて参列者の数を限定し、5~30名程度までの小規模で執り行うのが家族葬です。基本的な葬儀内容は一般葬と変わりませんが、簡略化されるものが多く、費用を抑えやすくなることが利点です。
費用の内訳も一般葬と大差がありません。しかしひとつひとつの項目の費用を抑えることが一般的で、具体的には祭壇やお花などのグレードを下げることにより、料金を低減させることが可能です。
また、一般葬よりも参列者が少ないため、火葬場まで大型のバスを出す必要もありません。食事代を削減できることも、コストカットを可能にする要因のひとつです。
上記の形式がいずれも通夜を含むことに対し、一日葬では葬儀だけを実施するため、その名のとおり一日ですべての葬儀を終えられます。遺族にかかる負担を軽減できるだけでなく、遠方から参列する方も場合によっては日帰りで済みます。
こちらの形式でも祭壇が用意されることが普通ですが、葬儀の日数を短縮できるため、ご遺体を安置できる日数が減ります。参列者も15名以内となることが多く、人件費をカットできる点もメリットです。
お布施や食事の用意は必要になりますが、一般葬や家族葬と比べると安価に抑えることができ、手ごろな葬儀といえます。
通夜や告別式を行わず、火葬だけを実施するプランが直葬です。火葬式とも呼ばれます。葬儀に参加する人数が少ないほか、祭壇の用意を行わずに済むため大幅なコストカットをしやすく、利用可能なプランの中では最も安いことが特徴です。
こちらの費用には、火葬場への搬送や数日分のご遺体安置、そして火葬にかかる代金が含まれることが普通です。家族のみで送ることが一般的で、食事代を別途用意する必要もありません。
簡易的な送り方ではありますが、僧侶による読経を希望できるプランも用意されており、近年注目を集めているリーズナブルな形式です。
参列者の人数が増えるほど、葬儀費用も増加することは想像がつくでしょう。ここでは具体的にはどの程度の費用になるのか紐解いていきます。まずは目安となる費用をご覧ください。
10人以上 | 50人以上 | 100人以上 | |
費用 | 80万円程度 | 150万円程度 | 200万円程度 |
上昇率の傾向をみてみると、50人を超えた段階から一気に葬儀費用が倍近くにまで膨らんでいることが分かります。つまり、葬儀費用を抑えるためには、参列者の制限を意識することも重要です。
この項目では、参列者別の葬儀費用について解説していきます。平均金額を上回る、あるいは下回る理由も見ていきましょう。
家族葬や、規模の小さい一般葬などでは10人以上50人未満という規模で葬儀が執り行われる場合が目立ちます。この場合には平均して80万円程度で葬儀を完結できる場合がほとんどです。
日本消費者協会からも費用の目安が公表されていますが、金額はあくまでも目安に過ぎません。このカテゴリーに収まるような小規模の葬儀であれば、平均価格の8がけ程度の費用に収まることが一般的です。
葬儀の規模が小さい場合は、割安のプランを利用できることがあります。さらに食事代などの費用を別に用意するなどして浮かせることで、費用を抑えやすくなるでしょう。
通常の規模の一般葬であれば、参列者の数は50人以上100人未満で収まる場合が多いでしょう。葬儀は全国的にこの規模の範囲内となることが多く、平均的な葬儀費用は150万円ほどになります。
この規模の葬儀では、日本消費者協会が公表する平均的な葬儀費用そのままであることが特徴です。理由としては、最も多く行われている価格帯の葬儀であることから、全国での平均が取りやすい点を挙げられます。
葬儀社としても運用に慣れているため、予想外の費用がかかることも少ないといえるでしょう。予算の見当を付けやすい規模の葬儀でもあります。
一般葬の中でも特に規模の大きな葬儀では、参列者が100人を上回る場合があります。生前の交友関係が広かったり、近所の方々にも訃報を知らせたりした場合には、このような大規模な葬儀に発展することも多い傾向です。
100人以上が集まる場合、その費用は日本消費者協会が公表する金額の2割増し程度になることを想定するとよいでしょう。葬儀の規模が拡大すると、祭壇などの飾り付けが豪華になり、想定以上の費用がかかることも多くあります。
接待費用や返礼品に関しても多額の出費を強いられることになり、予想を超える費用が提示されることもあると覚えておきましょう。
お布施も葬儀費用の一部に含まれますが、その平均額は地域によって異なります。まずは表で目安を参照してください。
北海道 | 33万円 |
東北 | 60万円 |
千葉・群馬・茨城・栃木 | 54万円 |
東京・神奈川・埼玉 | 50万円 |
新潟・富山・石川・福井 | 42万円 |
愛知・静岡・岐阜・長野・山梨 | 65万円 |
近畿 | 46万円 |
中国 | 42万円 |
四国 | 39万円 |
九州 | 29万円 |
全国平均 | 47万円 |
お布施で使われる金額の平均にはばらつきがあり、最も少ない九州地方と、最も多い愛知・静岡・岐阜・長野・山梨の各県とでは、2倍以上の差額が生じていることが分かります。お布施を用意する際には、こういった地域差も考慮しながら金額を決定することが重要です。
ここからは、お布施として扱われる費用の詳細をお伝えします。
僧侶にはお経を読んでもらうことになりますが、その謝礼として渡すものが読経料です。通常は、葬儀を通じて一人の僧侶が行うことになるため、複数の僧侶に対して謝礼を支払うことはありません。大きな葬儀では複数人の僧侶が読経を担当することもあり、その場合はお布施の金額も上昇します。
読経料の相場は、僧侶1人あたり2~5万円程度となることが一般的です。仮に僧侶2人が読経を担当すると、最大で10万円程度を読経料の目安として考えておけば問題はないでしょう。
仏教徒が亡くなった場合、戒名が僧侶から授けられることになりますが、この戒名を授かった謝礼として渡すものが戒名料となります。戒名料はお布施の中で特にばらつきが生まれやすいという特徴があり、戒名の位が上がれば戒名料も上がることが通例です。
特に戒名に院が付く「院号」は位が高いことで有名ですが、院号が付くと100万円超の戒名料を支払うこともあります。ごく一般的な戒名であれば20~30万円の範囲内になるでしょう。お布施の内訳では、最も多くの割合を割いているのが戒名料になります。
<関連記事>
戒名はいつ誰がつけるの?必要性や宗派による違い、お布施の相場も解説
ここまではお布施として支払う金額でしたが、それ以外にも僧侶に渡すことがマナーとされるものもあります。そのひとつがお車代です。葬儀場まで足を運んでくれた僧侶に支払う交通費として捉えましょう。お車代は5,000円~1万円程度が相場です。お布施とは明確に区別して手渡すべきものになります。
また、僧侶の食事代として御膳料を支払うこともマナーです。これは僧侶が現地で会食をせずに帰る場合にのみ手渡せばよく、その相場は5,000円~1万円です。
葬儀費用には、参列者からいただく香典を利用することが一般的です。しかし香典だけで葬儀費用のすべてを賄うことはできないと考えるべきでしょう。それでは、香典でどの程度の葬儀費用をカバーできる可能性が高いのでしょうか。まずは表を用いて、故人との関係に応じた香典の相場を確認しましょう。
両親 10万円 |
兄弟姉妹 5万円 |
祖父母 1万円 |
おじ・おば 1万円 |
そのほかの親戚 1万円 |
取引先 1万円 |
上司 5,000円 |
部下 5,000円 |
同僚 5,000円 |
勤務先家族 5,000円 |
友人や知人 5,000円 |
隣近所の人 3,000円 |
故人に近しい人物が支払う香典は高額ですが、親戚となれば香典の相場は下がり、職場の関係者や友人・知人が支払う香典の相場は5,000円程度となることが分かります。参列者の人数次第で香典の合計金額は大きく異なりますが、家族葬を例にカバーできる割合を計算してみましょう。
家族葬の費用が40万円かかり、参列者が20人で、その内訳が親戚10人、友人・知人が5人、勤務先の同僚が5人と想定しましょう。相場どおりの金額が集まったとすると、香典の合計金額は15万円になります。葬儀費用40万円から差し引きますと、遺族が用意する金額は25万円で、約半分をカバーできると考えられます。
「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。
病院から危篤の連絡がきたときの対応方法や、親族が亡くなったときにやるべきこと、葬儀でのあいさつ文例など、喪主を務めるのが初めてという方にも役立つ情報が満載です。
いざというときの事前準備にぜひご活用ください。
小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。
葬儀費用は100万円~200万円が相場となりますが、家族葬などのプランを選ぶと、より安く葬儀を執り行うことが可能です。費用はさまざま分類されるので、その内訳や相場を知ってくことも重要です。
葬儀の形式や参列者の数、そして地域によっても金額は変動します。不安な点、わからない点があるときは小さなお葬式にご相談ください。経験豊富なスタッフが親身になって問題を解決するサポートをいたします。
初盆(はつぼん)とは、亡くなった方の忌明け後、最初に迎えるお盆のことです。ホゥ。