火葬式に参列することになったとき、どのような服装で行けばよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。急に訃報に接すると、葬儀までの準備時間を十分に取れないことも少なくないので、事前に知識を身に付けておくことが大切です。
今回は、身だしなみから香典や収骨などのマナーについて紹介します。この記事を読めば、火葬式の基本的なマナーを身に付けられるので、直前になって慌てずに葬儀に参列できるでしょう。
<この記事の要点>
・火葬式はお通夜や告別式を行わず、すぐに出棺して火葬する
・男女ともに黒のスーツやワンピースを着用し、光沢のある素材は避ける
・香典辞退をしていない限り香典は持参する
こんな人におすすめ
火葬式の流れや一般的な葬儀との違いについて知りたい方
火葬式の参列マナーが知りたい方
火葬式の香典マナーが知りたい方
火葬と収骨のみを火葬場で行い、葬儀や告別式を行わないお別れの方法が火葬式です。特別な式を執り行わずに火葬を行う性質から、「直葬」などと呼ばれることもあります。名前の響きから葬儀や告別式を連想しがちですが、正確には宗教的な意味を持ったお葬式とは異なるものです。
火葬式は弔問客を受け付けず、家族や親族のみが参列してお別れを行う形式が一般的と言えるでしょう。安置から24時間後以降に荼毘に付して、お骨を拾うのみですべての行程が完了します。
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お別れの式を行わない火葬式にも、服装や身だしなみのマナーはあります。故人と過ごす最後の時間を穏やかに迎えるためにも、しっかりと準備を整えて参列しましょう。最近では、写真撮影のトラブルが起こるケースも増えているので注意が必要です。
火葬中の過ごし方や、献花と弔電も気になる部分ではないでしょうか。ここでは、火葬式の参列マナーについて解説します。
男性は上下ともにブラック系のスーツを着用しましょう。ワイシャツは白、ネクタイは黒を選びます。また、靴と靴下も黒を履くのが無難です。
女性は一般的にブラック系のワンピースやスーツを着用します。アンサンブルなどでも構いませんが、無地やシンプルな素材を選び、光沢のあるものは避けるように注意しましょう。靴やストッキングも黒に揃えるのが好ましいです。冬場にコートを着用する場合はできるだけ黒が望ましいですが、カーキやグレー、キャメルなどを着ることもできます。
男性も女性も、目立つ装飾品を避けた結婚指輪のみの簡素な装いが基本です。男性の場合は、光沢がある金属製の腕時計やネクタイピンなどもうっかり身に付けないように配慮しましょう。髪型は七三分けなどに整え、ワックスなどを使いすぎないことが大切です。
女性は真珠をあしらった一連のネックレスであれば、着用しても構いません。髪が長く、お辞儀をしたときに邪魔になる人は、黒のヘアゴムやヘアピンなどですっきりとまとめましょう。
火葬式では参列者も直接火葬場へ向かうので、特別な持ち物を用意する必要はありません。一般の葬儀と同様に、ハンカチなどを持参するとよいでしょう。無宗教で執り行われることが多いので、数珠なども一般的には不要です。
もしご遺族が香典を辞退していないのであれば、火葬場に向かう少し前に安置所などに到着し、落ち着いたタイミングで渡します。明確なマナーはないものの、出発前に済ませておくのがおすすめです。ただし、香典を辞退しているケースも少なくないので、事前に確認しておくとよいでしょう。
SNSが流行している近年では、写真を撮影してアップロードしようと考える人も中にはいます。しかしながら、葬儀で撮った写真をむやみに公開するのはマナー違反です。基本的には、写真撮影は禁止されていると理解しておきましょう。
やむを得ず撮影する場合は、ご遺族の方や葬儀を執り行う葬儀社にしっかりと確認することが大切です。事前に許可を得ておけば、無用なトラブルを避けられます。フラッシュやシャッター音で場の雰囲気を壊さない配慮も重要です。
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火葬が終わるまでには、およそ1時間~2時間半ほど要します。その間は火葬場に設けられた控え室に参列者が揃い、収骨のアナウンスがあるまで待機するのが一般的です。火葬を待つ間は本格的な食事は取らず、葬儀社が用意した軽食やお菓子を食べながら、故人の思い出を語り合って過ごすことになるでしょう。
ただし、一部の地域では、食事やお酒を用意して精進落としをする場合もあります。まだ収骨という大事な行事が残っているので、深酒は避けるのがおすすめです。
安置したご遺体をそのまま火葬場へ送る火葬式では、儀式を行わないので、故人に哀悼の意を示すためのお花を置く場所が用意されていません。そのため、献花は基本的に避けるとよいでしょう。ただし、花入れを行う一部の火葬式では置ける場合もあります。献花を考えているのであれば、事前にご遺族に確認してみましょう。
葬儀に参列できないときに、遺族への弔意を表すための弔電を読み上げる時間も設けられていないので、あらかじめ辞退されている可能性が高いです。ご遺族に負担をかけないためにも、弔電は控えることをおすすめします。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
火葬する前に、故人の棺に副葬品として思い出の品を入れたり、お花を入れたりするケースはよくあります。とはいえ、火葬の妨げになるものや、ご遺体を損傷させる危険のあるものは入れられません。
事前にどんなものなら入れてもよいのか確認しておきましょう。ここでは、棺に入れる副葬品やお花のマナーについて紹介します。
火葬の前に、故人の棺に入れるものを副葬品と言います。たとえば親族や友人など、故人と親しかった人たちからの手紙は副葬品の代表例です。人数が多くなるときは、寄せ書きにしてもよいでしょう。故人が保管していた大切な手紙があれば、一緒に収めるのもおすすめです。
最近は写真や映像がデータで残されているケースも少なくないので、USBなどの記憶媒体を入れることもあります。故人の生前の好物や衣服を選ぶのもよいでしょう。
メガネなどのガラスを使ったものや、腕時計などの金属製のものは、燃え残ってご遺体を傷つけてしまう危険があります。食べ物を入れる際には、爆発の危険がある瓶や缶などは避けるようにしましょう。また、燃やすと有害物質が出る革やビニールでできた製品も避けなければなりません。
金属やカーボンを使ったゴルフクラブなどは、燃えずに火葬に使う機械を損傷させてしまう場合があります。その他、見た目にも明らかに燃えにくいと思われるものは入れないように注意しましょう。存命している方が写った写真や、紙幣なども避けるようにします。
参列者の中には、故人の棺に入れるためのお花を持参する人もいます。棺にお花を入れられないケースもあるので、持参する場合は事前に確認しておくと安心です。お花を入れる場合は、白をはじめとした明るい色のもぎ花を用意するとよいでしょう。百合や菊、カーネーションなどが一般的です。入れられない場合は、花束を持っていくという方法もあります。
トゲがあったり、毒があるお花と、黒や赤のお花は避けましょう。お骨に色が移ってしまうので、色が濃すぎるものも避けるようにします。
火葬式に参列する際、香典を持って行く必要があるのか迷うケースは少なくないでしょう。最初からご遺族が辞退を申し出ている場合はともかく、これといって言及がないときは、どのように対応すればよいのでしょうか。
ここでは、火葬式に参列する際の香典マナーを紹介します。香典を用意すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
特別な儀式を行わない火葬式は、香典を辞退するケースがよくあります。辞退の意思を示されている場合は持参しないようにしましょう。ご遺族から具体的な指示がないときは、念のため準備しておくのが安心です。
ただし、当日受け取ってもらえなければ、無理に渡すのは避けるようにします。香典を辞退しているご遺族は、香典返しなどを用意していない場合もあるので、無理に渡すとかえって手間を増やしてしまうことにもなりかねません。
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喪主と籍が同じであれば、香典は必要ありません。籍が異なる身内なら、祖父母は1万円、両親は5~10万円、兄弟姉妹は1~5万円程度が相場です。知人や会社の関係者なら3,000円~5,000円程度を予定しておくとよいでしょう。故人との関係性が深いほど、香典の金額も高くなる傾向にあります。
相場を大きく上回る香典は、ご遺族への負担を増やしてしまう場合があるので注意が必要です。少なすぎず多すぎない、適切な金額を包むように心掛けましょう。
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収骨を行う際にも、正式なマナーがあります。参列者の中にも優先順位があり、お骨を拾う順番や収める方法も決まっているので注意しましょう。二人一組のペアになって行うなど、細かい部分をしっかりと確認して、当日慌てないことが大切です。
ここでは、収骨のマナーを解説します。あいまいになっている人も、再確認しておくのがおすすめです。
骨壷に収めるために、火葬した遺骨を箸で拾い上げることを収骨と言います。収骨は故人に近しい関係の人から順番に進めるのが一般的です。最初に喪主が行い、次に遺族や親族へ続きます。
遺骨を拾い上げる順番にも注意しましょう。体の下から上に向かって拾い、骨壷の底に足の骨が最初に入るように収めていきます。生前と同様に足が下に来るイメージで、まずは足、腕、腰の骨を拾い、背骨、肋骨、歯、頭蓋骨を拾うという流れです。喪主が喉仏の骨を収めると、収骨は完了します。
収骨は二人一組となって、箸でお骨を受け渡しながら骨壷に収めていきます。故人の霊がとりつかないようにしたり、二人で故人の死を一緒に悼んだりするためとも言われています。
食事をするときに箸と箸で食べ物を受け渡すのがマナー違反とされているのは、収骨を連想させるからです。使用する箸は一般的な箸とは異なり、少しずつ長さが違うものを1本ずつ用意したり、竹と木などの2種類の素材を使ったりします。
直葬とも呼ばれる火葬式は、安置したご遺体を火葬場へそのまま搬送します。通常は自宅などから出棺することになるでしょう。火葬に必要な書類などもあるので、忘れずに用意しなければなりません。
ここでは、火葬式の流れや葬儀と火葬式の違いなど、火葬式の基本を紹介します。なぜ選ばれるのかについても解説していますので、検討の際はぜひ参考にしてみてください。
病院などで亡くなった場合は、葬儀社に連絡してご遺体を安置所に運んでもらいます。ご遺族が希望するなら、自宅に搬送するのも選択肢のひとつです。このとき、死亡診断書を医師から忘れずに受け取りましょう。
死亡届を役所に出し火葬許可証を受け取ったら、24時間以上安置したご遺体を火葬場に運びます。直葬なので、葬儀などは行わずにすぐに出棺し、火葬を行うのが一般的です。火葬を終えたら親族で収骨を行い、火葬式は完了します。
一般的な葬儀では、お通夜や告別式を行うケースが大半を占めています。友人や知人はもちろん、会社の関係者などを呼ぶこともあり、お別れの準備をする時間が十分に用意されているのが特徴です。家族や親族だけで行う家族葬でも、時間をかけて故人を見送ります。
一方、火葬式はお通夜や告別式を行わず、すぐに出棺して火葬に移るのが一般的です。通常の葬儀よりも簡易的なので、炉の前で数分程度の時間だけでお別れを済ませるケースもあるでしょう。
火葬式は経済的に余裕がなく、なるべくお金をかけずに故人を見送りたいと希望する人がよく選びます。一般的な葬儀は火葬以外にもさまざまな面で費用がかかるので、直葬にすると大きく負担を減らせるでしょう。
葬儀は多くの参列者を迎え入れる、香典返しの準備をするなど、さまざまな対応が必要です。そのため、当日慌しく過ごすのではなく、落ち着いて故人を見送りたい人が火葬式を選ぶこともあります。ただし、お別れの時間が短かったり、参列できない人がいたりするというデメリットも考慮することが大切です。
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ここまで、火葬式の参列マナーについて紹介してきました。火葬式は通常と異なり、お通夜や告別式を行わないので、費用を抑えやすいというメリットがあります。ただし、お別れを迎えるまでの時間が短いので、後悔しないように利用は慎重に検討しましょう。
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告別式とは、故人と最後のお別れをする社会的な式典のことです。ホゥ。