弟は長年、妻の介護をしていました。2人が結婚したのは弟が24歳、妻は42歳でした。今どきは女性が年上の夫婦も少なくないと思いますが、18歳差というのは珍しいでしょうね。周囲の反対にあうまでもなく、結婚して事後報告でした。
奥さんはとてもおしゃれでしっかりとした人でした。弟を引っ張ってくれていたと思います。体調を悪くしてから亡くなるまでの16年間は、長く奥さんを介護していたようです。最後の2~3年間は施設に入りましたが、それまでは自宅で親身になって世話をしていた弟に感心しています。大変だったと思いますが、嫌な顔ひとつせずにがんばっていました。
妻の介護をしながらも、近年は弟自身にもガンが見つかり、治療もしていました。弟の妻は94歳で昨年亡くなりましたが、その妻の納骨を終えて1ヶ月くらいの間に、弟の体調は悪化してしまったのです。緩和ケア病棟に入る準備をしているときに容体が悪くなり、亡くなってしまいました。妻に愛情を注いで、自ら介護をして見送ってから、弟も旅立っていきました。2人の絆というものを感じずにはいられません。

弟夫婦には子どもがいなかったので、私が葬儀を行いました。「小さなお葬式」に依頼したのも私です。実は10年以上前に自分のために資料を取り寄せて、会員登録もしておいたのです。
故郷には代々のお寺もありました。檀家も地域のつながりの一つですので大切だとは思います。でも我々は東京に住んで長いですし、一般的なお寺での葬儀はお布施の額が不透明なことに、かねてより疑問を持っていたのです。その点、小さなお葬式は、何にどれだけかかるのか、料金が明確でしたから、安心してお任せすることができました。
私が会員登録もしていたこともあり、葬儀の準備もスムーズに進めてくださいました。担当もよく気配りのできるさわやかな方で、打ち合わせも気持ちよくできました。近くに住む親族だけのこぢんまりとした葬儀でしたが、私の次男がお経の合間に、デジタルサックスを吹いてくれたんです。弟が小さい頃から可愛がってくれた甥の奏でる優しい音色で、見送ることができました。
今もまだ位牌も遺骨も我が家にあり、弟夫婦の写真もリビングに飾っています。毎晩、我が家のリビングで写真に語りかけながら、お酒を飲んでいますよ。