家族が亡くなって初めて迎えるお盆である「初盆」には、さまざまな行事が行われます。ただし、浄土真宗は他の宗派とお盆に対する考え方が異なるため、初盆の過ごし方も特徴的です。
行うこと、行わないことについての正しい知識を身に付けておけば、戸惑うことなく初盆を迎えられるでしょう。
この記事では、浄土真宗における初盆の意味や行わないこと、準備すること、仏壇やお供え物、お墓参りについて詳しく解説します。
<この記事の要点>
・初盆とは「新盆」とも呼ばれ、忌明け後に初めて迎えるお盆のこと
・浄土真宗では、故人はすぐに極楽浄土に往生すると考えられているため、お盆という概念がない
・浄土真宗では、お盆の期間に「歓喜会」と呼ばれる法要を行う
こんな人におすすめ
浄土真宗で初盆を迎える人
浄土真宗の初盆に向けて準備を始めたい人
浄土真宗の初盆にお墓参りに行く予定の人
浄土真宗では、その教えにより、お盆や初盆に対するとらえかたが他の宗派とは異なります。初盆とは何かについて説明した上で、浄土真宗の初盆と、「歓喜会」と呼ばれるお盆に行われる法要について解説します。
初盆とは「新盆」とも呼ばれ、四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。四十九日よりも前にお盆になる場合には、翌年のお盆を初盆とします。
故人が初めて、あの世からこの世に戻ってくるときであると考えられているため、家族に加えて親族や知人も招いて法要を行い、手厚く供養するのが一般的です。
浄土真宗の教えでは、亡くなった人はすぐに極楽浄土に往生するとされています。そのため、お盆の時期に、故人が霊としてこの世に戻ってくるとは考えられていません。
お盆という言葉も存在せず、ご先祖様を供養することもないため、初盆に特別な行事を行ったり、故人を迎える準備をしたりしないことに注意しましょう。
浄土真宗では、ご先祖様の恩に感謝するために「歓喜会」(かんぎえ)と呼ばれる法要を、お盆の期間に執り行う習慣があります。
故人の存在を縁として、お寺で開催される法話会に参加したり、自宅に僧侶に来てもらって仏法を学んだりして、阿弥陀如来の教えに触れる機会となっています。
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ご先祖様や故人の霊が存在しないとされているため、浄土真宗では、亡くなった人を供養したり霊を慰めたりする意味を持つことは行いません。初盆の際に、具体的にどのような行事を行わないのかについて解説します。
ご先祖様や故人の霊があの世から自宅まで迷わずに戻って来られるように、目印として、焙烙(ほうろく)の上で苧殻(おがら)に火をつけて焚くのが「迎え火」です。
また、霊があの世に戻る際の見送りのために「送り火」を焚きます。迎え火も送り火も、霊が存在しないとされている浄土真宗には必要ありません。
この世に戻ってくる霊を祀る場所として、お盆に設置するのが「精霊棚」です。飾り付けをしたり、お供えをしたりしますが、霊の存在しない浄土真宗では設置しません。
また、キュウリやナスに爪楊枝や割り箸を刺して馬や牛に見立てるのが、精霊馬や精霊牛です。故人があの世から馬に乗って早く戻り、帰る際には牛に乗ってゆっくり帰ってほしいという願いが込められていますが、これらも霊の存在しない浄土真宗では作りません。
初盆では、初めて自宅に戻ってくる故人に向けて、迷わないための目印として白提灯を飾るのが一般的です。浄土真宗では霊が存在しないため、白提灯は飾りません。
地域によっては、白提灯を飾るケースもありますが、その場合も霊のための目印という意味合いはなく、仏壇の飾り付けとして飾られます。
浄土真宗においても、お盆の時期に「歓喜会」の法要などを執り行うため、準備しなければならないことがあります。初盆で準備することを3点紹介しますので参考にしてください。
「歓喜会」の法要の準備としては、まず、自宅に来てもらう僧侶を手配する必要があります。歓喜会の時期はお寺も忙しくなるため、早めに連絡しておいたほうがよいでしょう。自宅ではなく斎場やお寺で執り行う場合には、会場も予約しておきます。
僧侶の手配ができたら、お布施も準備しておきましょう。白無地の封筒に入れて、表書きには「お布施」と書きます。自宅に来てもらう場合には「お車代」を、会食を断られた場合には「御膳料」も用意しておきましょう。
新盆に歓喜会の法要を執り行う場合は、親族や故人の友人も招くのが一般的です。日程が決まったら、参加してほしい人に案内状を送付しましょう。
歓喜会の参列者から香典をいただいた場合には、返礼品を渡しますので、あらかじめ準備しておく必要があります。また、法要後に会食を行う場合には、仕出し料理などを手配しておきましょう。
新盆の歓喜会の法要には、礼服を着用するのがマナーです。最近では、喪主も参列者も平服を着用するケースが増えてきていますが、なるべく落ち着いた色やデザインで、肌の露出を控えたものを選びましょう。
浄土真宗においては、初盆だからといって仏壇に特別の飾り付けをしたり、特別なお供えをしたりすることはありません。ただし、僧侶を招いたり、親族が集まったりするため、仏壇をきれいにしておいたほうがよいでしょう。
ここでは、仏壇の飾り方とお供物について解説します。
仏壇の本体と卓の間に三角の布「打敷」を敷きます。初盆には、白か、金か、青色で夏用のものが適しています。
供笥(くげ)と呼ばれる台の上に丸餅をお供え物として置きます。浄土真宗本願寺派では六角形の供笥を、真宗大谷派では八角形の供笥を用いることとされています。錨(いかり)型と呼ばれる形の白い和ろうそくを用意し、花立てには青木や供花を挿しましょう。
仏壇のお供え物としては、餅、仏飯、お菓子や果物、供花などを準備しましょう。供笥の上には、浄土真宗本願寺派では丸餅に加えてお菓子や果物などものせますが、真宗大谷派では丸餅だけにする点に注意が必要です。
仏飯は、蓮の花のつぼみのような形に盛り付けましょう。朝にお供えして昼に下げるのが基本です。なお、お供え物としてはタバコ、お酒、腐りやすいものなどは避けましょう。
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浄土真宗においても、初盆にお墓参りに行きますが、他宗派とは意味合いが異なるので理解しておきましょう。お墓に対する考え方と、初盆のお墓参りの位置付けについて解説します。
他の宗派では、お墓にはご先祖様や故人の霊が宿っていると考えられているため、お墓参りをすることによって供養をしていることになります。
一方、浄土真宗においては、お墓は遺骨を納める場所であり、亡くなって仏となった人に感謝して縁を結ぶ場所であり、阿弥陀如来の教えに気づいて信仰心を深める場所です。
浄土真宗では、初盆の際に、ご先祖様や故人の供養のためにお墓参りに行くことはありません。ただし、初盆やお盆だからお墓参りに行くのではなく、通常のお墓参りとして行きます。ご先祖様や故人に感謝して、阿弥陀如来の教えに気づくために行くのが浄土真宗のお墓参りです。
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浄土真宗では初盆に特別なことはしませんが、故人やご先祖様への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
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忌引き休暇は、実は労働基準法で定められた休暇ではありません。ホゥ。