家族が余命1週間と宣告を受けたら?モルヒネによる緩和ケアの効果や副作用を解説

家族が余命1週間と宣告を受けたら?モルヒネによる緩和ケアの効果や副作用を解説

がん(悪性新生物)で亡くなる方は多く、厚生労働省が公表した「人口動態統計月報年計(概数)の概況(2023年版)」によると、死因の第1位となっています。

がんの末期では激しい痛みに襲われることが多く、鎮痛薬としてモルヒネが用いられます。医師からモルヒネを投与すると伝えられると、家族は「それほど容体が悪いのか」と不安になるかもしれません。

この記事では、モルヒネと余命の関連性について解説します。モルヒネの効果や副作用などを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。余命宣告された場合の対処法もわかります。

<この記事の要点>
モルヒネは麻薬性の鎮痛薬で、激しい痛みを和らげるために用いられる
モルヒネは医師の判断で適切に使用することで、患者の生活の質の向上につながる
余命宣告を受けたら、治療方針や最期の過ごし方を医師と相談し計画を立てる

こんな人におすすめ

余命宣告された際のモルヒネの使用方法を知りたい方

モルヒネの効果や副作用について知りたい方

余命宣告された場合の対処法を知りたい方

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モルヒネとは「医療用の合法な麻薬」

モルヒネとは、「アヘン(ケシ)」から生成される麻薬性の鎮痛薬です。麻薬と聞くと「危険な薬なのでは?」と思うかもしれませんが、医療用に用いられる合法な薬剤なので問題ありません。

しかし、合法とはいえ依存性が強いため、モルヒネの使用・製造・所持は法律により厳しく制限されています。患者に投与する際は内服薬の他、座薬注射剤として処方されることもあります。末期がんの患者は激しい痛みに苦しむことが多いため、苦痛を和らげるためにモルヒネを用いるのが一般的です。

余命とは生存率から導き出された寿命の予測

「余命」とは、患者があとどのくらい生きられるかを表す期待値のことで、医師が過去のさまざまなデータを参考にして予測します。その長さは数週間から数年と状況によって幅がありますが、医師から告げられる数字はあくまでも目安の一つであることを理解しておきましょう。

余命を正確に予測するのは難しく、それより長く生きる方もいれば短い期間で亡くなる方もいます。病の終末期にある患者に余命を伝えるかどうかは悩ましい問題ですが、本人が知りたいと希望しているなら正直に伝えてもよいでしょう。

【余命1週間と宣告されたら】モルヒネによる緩和ケアとは?

家族や自身が病の終末期で「余命1週間」と宣告されたら、どうすればよいのでしょうか。強い疼痛(とうつう)がある場合は、モルヒネの緩和ケアに移行することも考えられます。ここからは、モルヒネの使用方法や副作用について解説します。緩和ケアをとり入れるべきか迷っている方は、参考にしてください。

モルヒネは適切に使用すれば問題ない

モルヒネは麻薬の一種であるため、危険な薬物だと誤解している方もいるでしょう。「薬物依存になる」「身体に悪い」といったイメージがあるかもしれませんが、医師の判断で使用する場合は問題ありません。

たとえば、患者が末期がんによる疼痛に苦しんでいる場合、苦痛を和らげるためにモルヒネを投与します。病気がもたらす痛みを無理に我慢するよりも、薬で痛みを抑えたほうが患者も楽に過ごせるでしょう。

モルヒネの副作用を理解しよう

モルヒネは鎮痛薬の中でも薬効が強く、効果がある反面副作用もあります。よくある副作用は、眠気・吐き気・便秘などです。ただし、すべての方に副作用が現れるとは限りません。

モルヒネによる眠気や吐き気は投薬から2日~3日程度でおさまることが多く、吐き気止めを併用することもできます。便秘については、下剤を用いて解消できる可能性があります。

【知っておきたい】モルヒネ以外の鎮痛薬

鎮痛薬といっても種類はさまざまで、痛みの程度によってはモルヒネ以外の薬剤が使われることもあります。ここからは、緩和ケアで使われる鎮痛薬の種類を紹介します。

軽度の痛みに使われる鎮痛薬

痛みはあってもそれほどひどくない場合は、非オピオイド系の鎮痛薬が用いられます。モルヒネ受容体とは結合しない非オピオイド鎮痛薬は、別名「非麻薬性鎮痛薬」とも呼ばれます。

非ステロイド性の抗炎症薬

非ステロイド性の抗炎症薬は、がんやがんの骨転移・発熱などの症状に有効です。身近な薬剤でいうと、ロキソニンやアスピリンなどが該当します。

痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑える効果があり、風邪で熱が出た際の解熱薬としても使われます。

アセトアミノフェン

解熱鎮痛薬の代表格として知られるアセトアミノフェンは、腎機能や胃腸の機能の低下により、非ステロイド性抗炎症薬を投与するのが難しい患者向けの痛み止めです。タイレノールのような市販薬に含まれており、抗炎症作用が少ないのが特徴です。

中程度以上の痛みに使われる鎮痛薬

がんなどによる痛みが強く、患者が苦痛を感じる場合は、鎮痛効果の強い痛み止めを投与する必要があります。こちらは「オピオイド系(麻薬性鎮痛薬)」に分類され、モルヒネやコデインなどが該当します。

コデイン

コデインとは、痛みの伝達に関わるオピオイド受容体に作用して痛みを和らげる薬剤です。鎮痛効果はモルヒネと比べると弱く、6分の1~10分の1程度とされます。

コデインは痛み止めとして使われる他、咳止めの薬にも用いられることがあり、病院で処方される風邪薬などにも含まれています。

トラマドール

がんによる慢性的な疼痛に対して効果を発揮するのがトラマドールです。オピオイド系の鎮痛薬の中では弱いほうで、がん以外の疾患による痛みにも有効です。

他の薬剤を使用している場合は、薬効に影響を及ぼす可能性があるため、併用は避けたほうがよいでしょう。

オキシコドン

オキシコドンは、中程度から高度の疼痛をもたらすがん全般に対して鎮痛効果があります。モルヒネ同様にアヘンから精製される痛み止めです。

モルヒネは腎機能が落ちている患者には不向きですが、オキシコドンは透析治療を受けている方でも使用可能です。

フェンタニル

フェンタニルは即効性が高く、投与して5分ほどで痛みを緩和できます。また鎮痛効果はモルヒネの約100倍といわれており、激しい疼痛にも効果を発揮するため、末期患者にも有効です。

飲み薬や点滴、貼付薬など、さまざまな方法で投与できるのがフェンタニルの特徴です。

メサドン

メサドンは、オピオイド系の痛み止めの中でもっとも強い鎮痛薬のひとつです。モルヒネ・オキシドコン・フェンタニルなどを投与しても効果がない場合に使われます。

投与してから30分ほどで薬効を発揮しますが、血中濃度を調節するのが難しいため、処方できる医師は限られます

家族や自身が「余命1週間」といわれたらどうする?

家族や自身が余命宣告を受けたら、気が動転してしまうかもしれません。ここからは、後悔のない最期を迎えるために余命宣告後にやるべきことを紹介します。

家族が余命宣告を受けた場合

両親や配偶者などが余命宣告を受けた場合、動揺してしまう方も多いでしょう。しかし、辛い状況でも冷静に対処する必要があるため、落ち着いて行動することが大切です。家族が余命宣告を受けた際にすべきことは以下のとおりです。

医師と相談して治療方針を決める ・延命治療か緩和ケアになる
・余命が近い場合は積極的な治療を行わない
本人の気持ちを受け止める ・残された時間でやりたいことをやってもらう
・必ずしも余命を告知しなくてもよい
葬儀の準備を進めておく ・死後は手続きで慌ただしくなるので、早めに葬儀準備を進めておく

患者が生きているうちに葬儀の準備をするのは不謹慎だと思うかもしれませんが、終活の一環としてやっておきましょう。

自身が余命宣告を受けた場合

自身が余命宣告を受けた際にすべきことは以下のとおりです。

身近な人にメッセージを残す ・病の終末期になると話す体力がなくなる
・話せるうちに口頭でメッセージを伝える
家族に遺言書を託す ・すでに作成している場合は保管場所を教える
・エンディングノートには法的拘束力がない
会いたい人がいれば会っておく ・親戚や友人、知人などに会う
・余命については伝えなくてもよい
家族に葬儀の希望を伝える ・どのような葬儀にしたいか
・誰に参列してほしいか

悔いを残さないように、できることをやっておくとよいでしょう。

余命1週間と宣告された方に現れる症状

余命わずかな状況になると、さまざまな症状が現れます。ここからは、末期がんの場合とその他の疾患の場合についてそれぞれ解説します。余命宣告を受けた家族がいる方は、参考にしてください。

末期がんの場合

がんの終末期に差しかかると、病気の影響で以下のような体調の変化が起こるようになります。

【末期がんの症状】
・せん妄(意識レベルの低下)
・息切れ
・痛み
・死前喘鳴
・発熱
・出血

死前喘鳴(しぜんぜいめい)とは、湿り気のあるゴロゴロという音が喉から聞こえる現象のことです。意識レベルが下がっている場合、患者はそれほど苦痛に感じていないかもしれません。末期がん特有の症状のひとつと認識しておきましょう。

その他の疾患の場合

たとえば老衰で余命わずかと宣告された場合、以下のような兆候が現れます。

【老衰の最終段階の兆候】
・急激に体重が落ちて痩せる
・食事や水分を受け付けなくなる
・一日の大半を眠って過ごすようになる
・話しかけても反応しなくなる

老衰の終末期で食事や水分を摂れなくなると、1週間以内に亡くなるケースが多いでしょう。

【余命1週間といわれたら】お見舞いに行く際の注意点

家族や親戚、知人が余命1週間と宣告された場合、「お見舞いに行かなければ」と思う方もいるでしょう。それ自体は問題ありませんが、お見舞いに行く際は注意すべきことがあります。

家族のお見舞いに行く場合は、なるべく「普段通りの態度」を意識することが大切です。患者の体調が悪化するにつれて、わがままになったり周囲に八つ当たりしてしまうかもしれませんが、無理のない範囲で受け止めましょう。

親戚や知人であれば、患者本人が希望しない限りお見舞いに行くのは控えましょう。患者本人が余命を知らされていない場合、いつも来ない方々がお見舞いに訪れることで、患者に不信感を与えてしまいます。また、見舞客の対応で体力を消耗するため、行ったとしても短時間にとどめたほうがよいでしょう。お見舞いの品を持参する際は、患者の家族も食べられるものを選ぶと喜ばれます。

余命やモルヒネに関するよくある質問

医師からモルヒネを投与すると伝えられた場合「もう余命が短いのでは」と思うのではないでしょうか。ここからは、モルヒネと余命に関するよくある質問を紹介します。

緩和ケアと終末期ケアの違いは何ですか?

「緩和ケア」と「終末期ケア」の違いは、以下のとおりです。

緩和ケア 終末期ケア
・病気の治療と同時に開始する
・治療にともなう痛みを和らげる
・最後まで治療を継続するために行う
・延命治療から切り替えるタイミングで開始す
・患者が自分らしい最期を迎えるために行う

緩和ケアは積極的な治療を前提としますが、終末期ケアは治療を目的としない部分に違いがあります。

モルヒネに延命効果はありますか?

モルヒネを始めとする鎮痛薬には、痛みや息苦しさを改善する効果があります。鎮痛薬を投与することにより、病気による苦痛やその他の症状による体力の消耗を防げるでしょう。

モルヒネには一定の延命効果があると考えられていますが、どのくらい生きられるかは人それぞれです。

モルヒネは末期の患者に使われるのですか?

モルヒネといえば末期がんの患者に使われるイメージが強いかもしれません。しかし、実際には、末期がんでも痛みの程度が軽ければモルヒネを投与しない場合もあります。

また、がん以外の疾患であっても、手術後に強い痛みがあれば鎮痛薬としてモルヒネを使うこともあり得るでしょう。

人生の終末期に備えて早めに終活を始めよう

人は誰しも臨終のときを迎えます。そのタイミングが早いか遅いかの違いなので、いつか訪れる最期のときに向けて、元気なうちに終活を始めるのがおすすめです。

終活と聞くと「まだ早いのでは」と思う方もいるでしょう。しかし、先延ばしにしていると、いつの間にか終活が必要な年代に突入しています。体調を崩してからでは十分な備えができないため、思い立ったときから少しずつ終活の準備をしておくと将来の役に立つでしょう。

まとめ

モルヒネと聞くと「末期がんの患者に使われる薬」という印象がある方も多いかもしれませんが、必ずしも末期の患者に投与されるわけではありません。モルヒネを適切に使用すれば患者の生活の質が向上し、痛みの緩和につながります。

医師から余命宣告を受けるのは辛いですが、モルヒネを使うことで痛みから解放されて、最期まで自分らしく生きられるかもしれません。不安があれば医師や看護師に相談して、疑問点を解消すると安心して過ごせるでしょう。

小さなお葬式」では、終活や葬儀に関するお問い合わせを受け付けています。お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は0120-215-618へお電話ください。

監修
小さなお葬式 コラム編集部
小さなお葬式 コラム編集部

葬儀・法要に関する専門領域の記事を、5人のチーム体制で執筆しています。
メンバーは葬儀・法要関連だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
現在 「小さなお葬式のコラム」では、合計2,000記事以上を管理しています。
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