葬儀に参列する際、遺族にどのような言葉をかけるか悩んでしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。葬儀は遺族にとって故人を送り出す大切な儀式です。不適切な言葉の使用は避けましょう。
また、喪主として葬儀を執り行う立場の方は、葬儀の合間に参列者に向けて挨拶をします。当日慌てることなく挨拶をするために、事前にマナーなどを確認しておくと安心です。
そこで今回は、葬儀の際に適した挨拶や言葉を立場別に紹介します。この記事を読めば、葬儀の場に合った挨拶ができるようになるでしょう。葬儀全体の流れについてあわせてご確認することもおすすめです。
こんな人におすすめ
喪主を務める予定の方
葬儀で使える挨拶の例文を知りたい方
お悔やみの言葉の種類について知りたい方
遺族は大切な家族を亡くし、悲しみの中にいます。葬儀に参列する際には、「お悔み」と呼ばれる言葉をかけるのが一般的です。ここではまず、参列者側の挨拶に焦点を当て、お悔みの言葉の持つ意味や役割、挨拶のタイミングを紹介します。
お悔みの言葉を伝える目的は、故人への追悼の意を表明することで遺族の心を慰めるためです。葬儀を執り行う時期は故人が亡くなって間もないため、遺族はまだ悲しみの中にいます。遺族の心の負担が少しでも軽くなるような言葉をかけ、辛い気持ちをみんなで分け合いましょう。
参列者からのお悔みの挨拶は、一定のルールやマナーを守ればそこまで難しく考えなくても構いません。遺族への思いやりの気持ちが、最も重要になります。
参列者がお悔やみの挨拶をするのは、受付時や遺族と顔を合わせた際受付時や遺族と顔を合わせた際です。伝える言葉はひと言、ふた言で構いません。通夜や葬儀の際には遺族は式に集中しています。また準備や片付け、他の参列者へのおもてなしなどに追われている場合もあるので、受付以外のタイミングで挨拶する場合はしっかりと頃合いを見計らいましょう。
他にも、葬儀に参列できない際は、お悔やみの言葉を記載した挨拶状を送ります。できるだけ早く、香典やお供えの品と一緒に送付しましょう。
葬儀の際に参列者がよく使用するお悔やみの言葉には、いくつかのパターンがあります。どのような言葉をかけたらよいか分からず悩んでいる場合には、ここで紹介する挨拶文を参考にしながら、自分の言葉で伝えましょう。「ご愁傷様です」「お悔み申し上げます」「ご冥福をお祈りします」の3つの例を紹介します。
「ご愁傷様です」は、よく使用するお悔みの言葉です。「愁」には「憂い」、「傷」には「傷み」といった意味があります。傷んだ心を悲しく思うという言葉になるので、ご愁傷様ですという挨拶は、悲しみの中にいる遺族の心に寄り添う言葉といえるでしょう。
また、御や様といった敬意を表す言葉も使用しているので、葬儀のような厳かな場で遺族に伝える言葉としても適切です。以下のように伝えるとよいでしょう。
●このたびはご愁傷様です。突然のことで誠に残念でなりません。
●ご愁傷様でございます。どうかお力落としなさいませんように。
「お悔やみ申し上げます」は、故人への追悼の気持ちを込めた言葉です。「ご愁傷様です」が遺族への心遣いの言葉だったのに対し、こちらは故人が亡くなったことを悲しむ言葉になります。
話し言葉としても書き言葉としても、問題なく使用可能です。「お悔やみ申し上げます」を用いた挨拶の一例は、以下のようになります。
●このたびは思いもかけないことで、謹んでお悔やみ申し上げます。
●お悔やみ申し上げます。どうかご霊前(ご仏前)にお供えください。
「ご冥福をお祈りします」は、故人の死後の幸福を願った言葉です。こちらも以下のように、お悔やみの言葉として使用できます。
●心よりご回復を祈っておりましたのに、本当に残念でなりません。ご冥福をお祈りします。
●このたびはご愁傷さまでございました。ご冥福をお祈りいたします。
ただし、「ご冥福をお祈りします」は、基本的に書き言葉として使用する表現です。そのため、葬儀の受付や遺族に会ったときではなく、弔電や挨拶状への記載に適しています。
参列者が挨拶をする際は、故人を偲ぶことや悲しみを抱えた遺族を思いやる気持ちが大事です。しっかりと心遣いを伝えるためにも、最低限のマナーは守りましょう。マナーや配慮に欠ける言葉は、遺族にとって負担となったり礼儀を欠いていると感じられたりしてしまうかもしれません。ここでは、葬儀で遺族に挨拶する際の注意点を3つ紹介します。
宗教や宗派によって考え方は異なるものです。自分にとっては何気なく使用している言葉でも、相手にとっては失礼に値することもあります。
例えば、浄土真宗の方には、成仏する前の冥土の世界を連想させる「冥福」や「霊前」の使用を避けるのがマナーです。浄土真宗では、故人は死後すぐに極楽浄土に行けると考えられているからです。
キリスト教でも同じように、死後はすぐに神様の元へ召されると考えられているため、「冥福」「成仏」「供養」「往生」といった言葉は使用しないようにしましょう。
遺族はたくさんの参列者に対応します。また、身内を亡くしたことで心身ともに疲れており、たくさん話をできる状態ではない場合もあるでしょう。そのため、長話にならないようできるだけ端的に挨拶を済ませるのがベストです。
特に、死因を訪ねる行為はマナー違反となります。亡くなったときの様子を聞いたり、むやみに励ましの言葉をかけたりするのも避けましょう。お悔やみの言葉をひと言伝えるだけでも、気持ちは伝わります。
縁起が悪いとされる忌み言葉を使用しないように注意しましょう。人によっては気分を悪くする可能性があります。葬儀の場に適さない言葉の一例は、以下の通りです。
縁起の悪い言葉 | 大変、消える、浮かばれない、落ちる、四(死)、九(苦) |
不幸が重なることを連想させる言葉 | 次々、日々、ときどき、またまた、重ね重ね |
不幸が続くことを連想させる言葉 | 再び、再三、また、追って、引き続き など |
葬儀・告別式では、喪主が参列者や僧侶に向けて挨拶をする機会があります。 滞りなく進行するためにも、告別式の流れと挨拶のタイミングを事前に確認し、準備を進めましょう。当日の流れは以下のようになります。
1. 僧侶を迎える
2. 受付開始
3. 告別式
4. 出棺
5. 火葬
6. 精進落とし
挨拶の主なタイミングは、「僧侶を迎える際」「受付開始」「出棺」「精進落とし」の4つです。僧侶を迎える際は僧侶にのみ、受付では参列者ひとりひとりに対し挨拶しますが、他のタイミングでは全体に向けた挨拶になります。
葬儀・告別式では読経や弔辞・弔電の奉読(ほうどく)、焼香の後、出棺に際して最後に喪主から参列者に対してお礼の挨拶をします。また、精進落としの会食前後にも喪主の挨拶が必要です。
喪主として葬儀の際の挨拶文を考える場合には、「どのようなことを話せばよいのだろう」「文を考えるのが難しい」と感じることもあるかもしれません。しかし、挨拶の基本的な構成は決まっています。例文を見ながら、オリジナルの文章を考えてみましょう。ここでは、挨拶が必要となるそれぞれのシーンに分けて、挨拶例文を紹介します。
参考動画:喪主の挨拶の作法(やり方)・マナー【小さなお葬式 公式】
※動画が見られない場合はこちら
僧侶への挨拶は、最初に出迎えたときとお見送りするときの2回です。出迎えの際にはお通夜から2日間都合を付けてくれたことへ感謝を伝え、お見送りの際にはお布施を渡しながらお勤めに対する感謝を述べます。僧侶への挨拶例文は以下の通りです。
【出迎えの挨拶】
昨夜は遅くまでありがとうございました。
お忙しいところ恐れ入りますが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
定刻通り始めたいと思いますが、開式までしばらく時間があるのでひとまず控室にてお休みください。時間になりましたらお迎えに参ります。
【お見送りの挨拶】
本日は大変ご丁寧なおつとめを賜り、ありがとうございました。
おかげさまで、無事葬儀を執り行うことができました。
些少(さしょう)ではございますが、どうぞお納めください。
受付での挨拶
受付では、参列者からのお悔みの言葉に対して挨拶を返します。ここでの挨拶は簡潔にお礼を述べるだけで構いません。受付での挨拶例文は、以下の通りです。
●お忙しいところお運びいただきありがとうございます
●お忙しい中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます
●ご丁寧に恐れ入ります
●故人も喜んでいると思います
また、受付では参列者の管理をするために「芳名帳」を置いています。記帳を促す際には、以下のような言葉をかけるとよいでしょう。
●こちらにご記帳をお願いできますでしょうか
●お名前とご住所のご記入をお願いいたします
出棺前の挨拶では、参列者に、葬儀への参列や生前お世話になったことに対するお礼と感謝の気持ちを述べます。また、故人の生前の様子や人柄に関すること、今後の決意表明も併せて伝えられるとよいでしょう。ここでは、出棺の際の挨拶例文を2パターン紹介します。
【例文1】
本日はお忙しいところ、母○○の葬儀にご会葬くださり誠にありがとうございます。
皆様から心のこもったお別れの挨拶を賜り、故人もさぞかし喜んでいることと存じます。
生前みなさまからいただいた多くのご厚誼(こうぎ)につきましては、家族一同厚く御礼申し上げます。
今後とも〇〇の生前と同様に、ご指導、ご鞭撻(べんたつ)いただけますことをお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
【例文2】
故〇〇の葬儀並びに告別式にご参列くださり、ありがとうございます。
父はここ20年余り、家督(かとく)を譲りまして以来悠々自適な生活を送っておりました。
先日○○病院にて○○歳の生涯を終えましたが、大往生とも言える安らかな最期であったことは、子として何よりの慰めでございます。
父が晩年を豊かに過ごせましたのも、ひとえに皆様方のご厚情(こうじょう)のたまものと深く感謝致しております。
父に代わりまして、生前に賜りましたご恩情に深く感謝を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
精進落としの席では、式の始めと終わりに挨拶をするのが一般的です。始めの挨拶では、葬儀を無事に終えられたことに対する感謝や、ゆっくりと過ごしてもらいたいことなどを伝えます。そして終わりの挨拶では、これでお開きとすること、今後もよい関係を続けていきたいことを伝えましょう。挨拶例文は、以下の通りです。
【例文1】
本日はお忙しいところ、最後までお見送りいただきまして誠にありがとうございました。
おかげさまで滞りなく葬儀を済ませることができました。
ささやかではございますが、精進落としの席を用意いたしましたので、どうぞ、お時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎください。
【例文2】
本日はお忙しい中、また遠方よりお越しの方もおられる中、お時間頂戴しましてありがとうございました。
もう少し、父の思い出話など伺いたいところではございますが、本日はこれにて、お開きとさせて頂きたく存じます。
父がいなくなって寂しくはなりますが、遺された家族一同助けあっていきたいと思いますので、どうかこれからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
初めて葬儀で喪主を務める場合には、「話が分かりにくいと思われてしまうのではないか」「うまく話せなかったら」と心配になることもあるでしょう。しかし、葬儀の場での挨拶は誰でも不慣れなものです。挨拶のポイントを事前に確認しておけば、安心して臨めるでしょう。ここでは、喪主が葬儀で挨拶する際のポイントを3つ紹介します。
挨拶文の基本的な構成は決まっているため、構成に沿って考えればおかしな文章になってしまうことはほとんどありません。挨拶文に記入する内容は、以下の通りです。
・故人との関係性を伝えるための自己紹介
・葬儀へ参列いただいたことへの感謝
・生前の故人に対するご厚意へのお礼
・故人の生前の様子や人柄が伝わる思い出話
・今後も変わらぬお付き合いを続けていただくためのお願い
こうした内容を構成に組み込むことで、気持ちのこもった挨拶文になります。葬儀や告別式での挨拶は、参列していただいた皆様への感謝を述べる場です。忌み言葉に気を付けながら、自分なりの言葉で文章を考えましょう。
挨拶は長すぎると聞く側の負担になる可能性があります。2分~3分程度、長くても5分程度にまとめるのが適切です。特に、会食の席での挨拶は料理が冷めてしまうため、短くまとめて話すのが望ましいでしょう。
また、参列者が多かったり高齢の方が多かったりするケースでは、ゆっくりと大きな声で話すことで全員に声が届きやすくなります。ただ、会場にマイクが設置されている際には、声を張り上げる必要はありません。
「緊張で内容を忘れてしまいそう」「いつどの話をするか覚えていられない」といった不安を感じる方もいるでしょう。喪主を務める機会は人生の中でそう何度もあるものではなく、大勢の方の前で話をするため、誰でも緊張してしまうものです。
必要であればメモを用意しましょう。メモを見ながら話したり、途中で言葉が詰まったりすることがあっても問題はありません。
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葬儀の場で使用する挨拶には一定のマナーがあります。言葉の使い方には気を付けましょう。特に喪主は大勢の前で挨拶する場が何度かあるため、事前にマナーや挨拶のポイントを確認しておくと安心です。告別式に参加している全員が温かい気持ちで故人を弔ってあげることができるよう、事前にしっかりと挨拶文を考えておきましょう。
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