重篤な病気を抱える方の中には、生命維持装置をつけて延命するよりも、自然な死を迎えたいと考えることも少なくありません。
日本では度々安楽死の法制化について議論されることがありますが、安楽死の場合、保険金はおりるのでしょうか。
この記事では、日本における安楽死の現状や、保険金に関することを解説しています。生命保険のリビングニーズ特約についても紹介します。
<この記事の要点>
・日本では安楽死は法的に認められていない
・安楽死は薬物投与で生命を終わらせ、尊厳死は治療中止により死期を早める違いがある
・自然死と尊厳死には保険金が支払われるが、保険の契約で安楽死に関する規定はない
こんな人におすすめ
安楽死の定義が知りたい人
安楽死での保険金の扱いが知りたい人
安楽死と尊厳死、自然死との違いが知りたい人
安楽死が認められている国は、世界でも少数です。人間の死については、さまざまな考え方があり、一概に何が正しいとはいえないものです。まずは、日本における安楽死の法的な位置付けについて解説します。
日本では現在、安楽死は認められていません。患者が自ら死を望み、その要望に基づいたとしても、関わった医師は自殺関与や同意殺人、嘱託殺人として罪に問われることになります。
少数ではありますが、世界では安楽死が合法化されている国があります。それは、スイスやアメリカなどです。安楽死を認める国や地域は、年々増加傾向にあります。
日本で安楽死は認められていません。ここでいう安楽死とは、医師が患者の生命を積極的に絶つことで苦しみから解放させる「積極的安楽死」の場合についてです。
ただし、延命治療をしなかったり中止したりする「消極的安楽死」であれば、認められる場合があります。苦痛を長引かせないために、治療をしないことを選択する方法です。
安楽死について考える中で、同時に「尊厳死」や「自然死」という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。
生命を終えるという意味は同じであっても、死に至るまでの過程はそれぞれ異なります。ここでは、安楽死と尊厳死、自然死の定義や違いについて解説します。
安楽死とは、回復の見込みがない患者が安楽死を望む場合において、致死薬を投与するなど、人為的な方法で生命を絶たせることを指します。
死期が迫っている患者に耐えがたい苦痛があり、代替手段がなく、本人の意思表示があることが条件です。一般的には「積極的安楽死」のことを安楽死といいます。
尊厳死とは、積極的に治療をせずに緩和ケアを行いながら、人としての尊厳を保った状態で死を迎えることです。
先ほど述べた消極的安楽死は、日本では尊厳死にあたります。人為的に寿命を縮めるのではなく、本人の意思により延命治療を中止した結果、自然な形で死に至るものが尊厳死です。
怪我や病気ではなく、老化現象として自然と体力が衰えて生命の維持ができなくなって死に至ることを自然死といいます。老衰や平穏死とほぼ同じ意味です。
しかし、尊厳死と同様の意味で使われることも多く、実際は病気によって身体機能が衰えた結果、自然と亡くなる場合も自然死と呼ぶことがあります。
「安楽死」は薬物を投与して生命を終わらせる、「尊厳死」は治療をやめることで死期を早める、「自然死」は身体機能の低下による死という違いがあります。
尊厳死と安楽死はどちらも本人の意思に基づいて実施される点は同じですが、自然な死を迎えられるかどうかという点では大きな違いがあります。
また、尊厳死と自然死は同じ意味で使われることがあるなど、個人の価値観によっても捉え方が変わる場合があるでしょう。
人には寿命があり、誰しもいつかは必ず死が訪れます。多くの方が穏やかで自然な最期を迎えたいと思うものですが、自然死とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、自然死の原因と増えてくる年齢について解説します。
自然死は、基本的に年齢とともに身体機能が低下し、衰弱していくことで生命維持ができなくなることが原因とされています。以下は自然死の主な原因です。
・加齢による老化
・循環器トラブル
自然死の原因は事故や病気によるものではないとされていますが、心臓などの循環器トラブルで突然亡くなる場合も、自然死として扱われることがあります。
自然死は「何歳以上」など、年齢が明確に決められているものではありません。しかし、身体機能の低下は、高齢になるほど加速するものです。
そのため、男女ともに平均寿命あたりから自然死が増えてきます。日本の平均寿命は2022年時点で、男性が79.64歳、女性が86.39歳です。
(参考: 『厚生労働省 主な年齢の平均寿命』)
自然死は衰弱が原因であることが多いため、高齢者に起こるイメージが強いかもしれませんが、自然死は年齢に関係なく、若い世代の人にも起こりえます。
例えば、心筋梗塞や不整脈などで突然亡くなる場合は突然死として扱われますが、これも自然死の1つです。突然死は、急性症状が現れてから24時間以内に死亡した場合と定義されています。
生命保険に加入している場合、亡くなったときに死亡保険金を受け取れることがありますが、どのような場合に保険金は支払われるのでしょうか。安楽死や自然死における保険金の支払いについて解説します。
老衰死は、衰弱により各臓器が機能しなくなって亡くなることを指します。そのため、老衰による自然死の場合でも多臓器不全として病死扱いになることがほとんどです。
病死は死亡保険金の支払い対象なので、老衰でも保険金は支払われます。ただし、加入していた保険が傷害保険だった場合、老衰死は対象外です。
日本では安楽死が認められていないため、保険の契約において安楽死に関する規定はありません。ただし、消極的安楽死と同義とされる尊厳死に関しては異なります。
例えば、終末期がんの患者が延命治療をせず尊厳死(自然死)した場合は病死にあたるため、死亡保険金支払いの対象となります。
生命保険の契約時に付加できる「リビングニーズ特約」については、初めて耳にする方も多いかもしれません。リビングニーズ特約の特徴やメリットやデメリットを理解して、もしもの時に役立てましょう。
リビングニーズ特約とは、通常は死亡後に支払われる保険金を生前に受け取れる特約のことです。医師から余命6か月以内という診断を受けた場合には、病気や怪我の種類に問わず利用できます。
特約は無料で付加でき、保険の種類によっては最初から自動で付加されているものや、後からでも付加できるものなど、さまざまです。
リビングニーズ特約は無料で付加できますが、それ以外にもメリットは数多くあります。
・受け取った保険金は自由に使える
・生前給付金は非課税
・余命以上に生存した場合でも返還しなくてよい
・受け取り後の保険料が減額される
経済的な面でのメリットが大きい特約です。受け取った保険金は緩和ケアのための医療費にあてたり、家族旅行のために使ったりするなど、自由に利用できます。
リビングニーズ特約を利用する際のデメリットについても把握しておきましょう。
・使い切らなかった生前給付金は課税対象
・死亡後に受け取る保険金額が減る
・請求によって余命を知られる可能性がある
亡くなった人が所有していた財産には相続税が課せられます。使い切らなかった生前給付金は相続税の対象になる点に注意しましょう。
リビングニーズ特約を請求するためには、まず保険会社に連絡をしなければなりません。その後、取り寄せた書類に必要事項を記入して医師の診断書とともに請求します。
ただし、支払いの最終的な判断は保険会社が行うため、請求しても生前給付金を必ず受け取れるとは限りません。
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安楽死や尊厳死、自然死と、死に至るまでの過程にはさまざまな形があります。日本では、安楽死は法的に認められておらず、保険においても安楽死の規定は存在しません。
尊厳死や自然死の場合は、死亡保険金の対象となる場合が多く、さらに生命保険のリビングニーズ特約を利用することで、生前給付金を受け取ることも可能です。
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