仏壇には、自宅でご先祖さまを供養する重要な役割があります。昔は自宅に仏間が設けられ、先祖代々の遺影が飾られているという家庭も珍しくありませんでしたが、近年は核家族化が進み、「自宅に仏壇がない」という家庭も少なくありません。
仏壇には扉がありますが、馴染みのない方はもちろん、日頃から仏壇のお手入れや供養をしている方でも、仏壇の扉の扱いがわからないという方がいるかもしれません。扉が開いている状態が基本のように思われますが、どのようなタイミングで仏壇の扉を開閉するのでしょうか。
今回は、仏壇の扉に関するマナーをまとめました。扉のないタイプの仏壇の場合も対処法について紹介します。
<この記事の要点>
・仏壇の扉は朝に開けて夕方に閉めることが推奨される
・故人を身近に感じたいときや、お盆や法事のときは扉を開けたままにしてもよい
・最近は扉なしタイプの仏壇も販売されている
こんな人におすすめ
仏壇の扉の扱いについて知りたい人
仏壇に馴染みのない人
一般的な仏壇には、「観音開き」と呼ばれる、中央から左右に開く両開きタイプの扉がついています。扉は二重になっているものとそうでないものがあり、扉のなかには、位牌のほかにも花や水などのお供えものも置きます。
仏壇の扉は、ただ飾りやデザインとしてついているわけではありません。ではなぜ仏壇に扉があるのか、その理由について解説します。
そもそも仏壇は、お寺の本堂を小さく模したものです。お寺では本堂のなかの「内陣」と呼ばれる場所にご本尊を安置しており、一般の人が出入りできない場所です。そして、内陣と外側の「外陣」を扉や柵、結界によって区別しています。
仏壇もこの本堂に倣い、仏壇のなか(内陣)と外側(外陣)の境界線の役割のために、扉がついているといわれています。
伝統的な仏壇の扉は二重になっており、内側は障子の枠だけのような形、外側は門のような立派な扉になっています。呼び方はいくつかありますが、内側の扉は「内扉」「障子」など、外側の扉は「外扉」「雨戸」などと呼ばれています。
仏壇のなかには、扉が二重ではない略式のものもあります。また、近年では、昔のように立派な仏壇を置くスペースがない家庭も少なくありません。そのため、従来のような扉ではなく蛇腹式の扉や開けたときに収納できるタイプの扉を採用した仏壇も増えてきています。
仏壇は扉が開いていることも多く、仏壇のある家庭でもお花やお供えものを置いてあると、なかなか閉める機会がないとこともあります。仏壇の扉は、いつ閉めるのが正しいのでしょうか。
日常的なタイミングに加え、仏壇の扉を閉めておいたほうがよい行事やタイミングを紹介します。
一般的には、朝に仏壇の扉を開け、夕方に閉めることが多いようです。
朝、仏壇の扉を開けたら「今日も無事をお守りください」という気持ちを込めて、仏前でお祈りします。夕方は「穏やかに1日を終えられました」という感謝の気持ちを込め合掌し、扉を閉めるというルーティンを作ると、仏壇の扉の開閉を忘れないでしょう。
家族の誰かが亡くなり、通夜や葬儀を執り行うタイミングでは、仏壇の扉を閉めます。その後、四十九日を迎えるまで、仏壇の扉をずっと閉めておくことが多い傾向です。
この期間は、白木でできた仮祭壇で供養するため、仏壇に故人の位牌は入れません。四十九日が終わったら開眼供養などを行い、ご先祖さまたちと一緒に仏壇にお祀りします。
ただし、地域や宗派によっては四十九日までのあいだも、仏壇の扉を開けたままにすることもありますので、判断に迷う場合は菩提寺や地域の親しい方に確認するとよいでしょう。
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仏壇がリビングにある、仏壇のある部屋に人を招くといった場合には、訪問者が気を遣わないよう、扉を閉めておくのがよいでしょう。仏前に手を合わせる目的ではない方やそれほど親しくないかたが仏壇を見ると、「死」を連想されることもあるからです。
仏壇のなかにはご本尊や位牌だけでなく、仏具も入っています。仏壇のなかの定期的なお手入れも必要ですが、入っているものすべてを取り出して掃除をするのは手間もかかります。
扉を開けっぱなしにしたまま仏壇のある部屋を掃除すると、ほこりが舞い、仏壇のなかに入ってしまうこともあるため、仏壇のある部屋を掃除する際には、扉を閉めたほうがとよいとされています。
仏壇の扉については、宗派によって閉めるか開けておくかが異なります。浄土宗、浄土真宗、日蓮宗などは、四十九日までの間も仏壇の扉を開けておくことが多い傾向です。
天台宗や真言宗、曹洞宗、日蓮宗などは、まだ魂が入っていない仏壇に故人とは別のものが入ってくるのを防ぐために、仏壇の扉は基本的に閉めておきます。
また、宗派だけでなく家庭の方針や地域の慣習によっても、仏壇の扉の開閉に関する概念は異なります。迷った場合は、早めに葬儀関係者や親戚などに確認しましょう。
仏壇の扉を閉めたほうがよいタイミングはありますが、日常的な扉の開閉については厳密なルールがあるわけではありません。
しかし、時期によっては閉めたままにしておくと仏壇のなかに湿気が溜まり、傷む原因になってしまいます。劣化が早まるだけでなく、かびが生えたり、湿気や傷みで仏壇がゆがんだりする可能性もあります。
扉を閉めたままにすることは避けて、定期的に開けるようにしましょう。
仏壇の扉は開けっぱなしにしておくと、埃が溜まりやすくなりますので、適宜閉めることをおすすめします。
とはいえ、仏壇の扉を閉めておいたほうがよい場合や、開けておいた方が良い場合など状況によって異なりますので、季節やタイミングによって臨機応変に対応しましょう。
お盆の時期は、ご先祖さまが現世に戻ってくるとされており、仏壇の扉は開けっぱなしにしておく方がよいでしょう。
自宅で法事を執り行うときや親族が集まる時、仏壇に線香をあげに来訪者があるときなどは仏壇の扉は開けっぱなしにしておくのがおすすめです。お客さまが来てからではなく、事前に扉を開けておき、スムーズに案内できるようにしておくとよいでしょう。
ただし、位牌を仏壇から精霊棚に移している場合は、仏壇の扉は閉じておいても問題ありません。状況に応じて、開けっぱなしにするかどうかを判断しましょう。
大切な家族が亡くなっても故人を身近に感じていたいと思うのは、珍しいことではありません。このような場合、仏壇の扉が閉まっていると、故人との隔たりがあるように感じられるので、仏壇の扉を開けっぱなしにしておいてもよいでしょう。
伝統的な仏壇には扉がついていますが、仏間や和室がない家庭も増えていることから、現代のライフスタイルに合わせた新しいタイプの仏壇も登場しています。コンパクトでリビングなどに置いても違和感なく調和するモダンな仏壇には、扉がないことも少なくありません。
これから自宅に仏壇を置く方は、部屋の雰囲気や仏壇のお手入れのしやすさなども重視しながら、選択肢に入れてみてもいいのではないでしょうか。
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仏壇の扉の開閉について厳密なルールはないものの、開閉のタイミングに悩むかもしれません。判断に迷った場合は、仏事に関して詳しい方に質問するようにしましょう。
仏壇の扉の開閉については、基本的に家族の判断でおこなって問題ありません。しかし、地域や宗派によっては慣習を重んじることもありますので、あまり馴染みのない地域では菩提寺に相談することをおすすめします。
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仏壇はお寺の本堂を小さく模したもので、自宅で故人やご先祖さまへの感謝の気持ちを伝え、心を込めて供養するためのものです。伝統的な仏壇は二重の扉がついていますが、扉の開閉についての厳密なルールはありませんが、判断に迷ったときには菩提寺などに相談するとよいでしょう。
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