母は、とにかく優しい人でした。私がやりたいと思ったことは、常に物心両面で応援してくれました。少年野球に入りたいと言ったときは野球道具を用意してくれたり、学費が高い私立高校に行きたいとお願いしたときも、「学費のことは心配せんでええ」と言ってくれたり……。いつだって私や兄の将来を思ってサポートしてくれる。母はそんな存在でした。
私の妻に対しても、本当に自分の子どものようにいつも接してくれました。夫婦げんかをしたときもどちらの立場にかたよるわけではなく、でも本当に困ったときはそっと助け船を出してくれる。そんな母は、私たち夫婦にとっても欠かせない存在でした。
食べることが本当に大好きで、晩年になっても30cmはあろうという大きなエビフライをパクリと食べたり、回転寿司では13皿もたいらげたり。亡くなるまで自分の歯で元気に食べていたことは、私たち夫婦の自慢でした。
そんな母も、84歳で認知症と診断。普段は几帳面な性格だったのに、一人で自宅へ帰れなくなった出来事があり、サービス付き高齢者向け住宅に入居することに。コロナ禍で会えない期間が長くなるにつれ母の体力・気力にも衰えがきたため、最期は私たち夫婦の家で同居することとなりました。

母は、生前「あんたら家族だけに見送ってほしい」と常々話していたこともあり、葬儀は家族葬にしようと決めていました。「小さなお葬式」のことは、TVCMやネットでその存在を知ってはいましたが、実は半信半疑だったんです。というのも、他社と費用を比較したときに、あまりにも費用が抑えられていたため「ほんまにこの金額で葬儀ができるの？」と、正直、疑いの気持ちがありました。
でも、実際に小さなお葬式にお願いしたら、疑いの気持ちはすぐに晴れました。電話で対応してくれたスタッフの方は、とても親切で丁寧。配車手続きもスムーズで、条件に合った希望の葬儀場も用意してくれたんです。今でも覚えているのは、病院から葬儀場へ向かうときのこと。「母に自宅を見せてあげたい」とお願いしたら、ドライバーの方は二つ返事で自宅に寄ってくれました。最期にクラクションを鳴らして自宅を出発できたことは、母にとっても本当にうれしかったのではないでしょうか。葬儀では、立派なお坊さんにお経を読んでいただきました。法事・法要のお布施が一律の「てらくる」にも満足しています。
妻も「私がもし死んだら、何百万円もかけて華やかな葬儀をするのではなく、生きている人にお金を残してあげたい」と、私に話してくれます。私も妻と同じ意見です。もし私たち夫婦に何かあったときも、小さなお葬式にお願いしようと思います。