最期を私に託し、最後の最後まで凛と生き抜いた養母
昨年12月に亡くなった養母の享年は103歳、みごとな大往生でした。100歳までひとり暮らしを続けながら、掃除や食事、お金の管理まできちんとこなし、他人に迷惑をかけないという意思を貫いて生きた人です。養母は亡くなった父の姉なのですが、ずっと隣の家に住み、小さい頃から家族のように付き合っていました。生涯独身を通し、私を養女に迎えたいということだったのでそのようにし、私の実母とともに最終的な面倒をみようと決めました。
数年前から少し認知症の症状が出てきたり体が弱ったりしてきたので、特別養護老人ホームへ入所。3年ほど経ったある夜、発作を起こして病院へ入院しました。その6日後、穏やかに息をひきとったんです。最期を看取ったのは私でした。看護師をしていることもあり、特別にエンゼルケア(ご遺体の清拭など)をやらせていただきました。病院へ移ったときから覚悟はできていましたし、年齢のことも考えて、延命処置などは行わないことに。体が痩せていて心臓マッサージは苦しいのでしない、痛みや苦しみがあるときの緩和ケアのみにとどめ、あくまでも自然に……という、生前の希望通りの旅立ちとなりました。
菩提寺の住職を尊重してくださる姿勢に感謝
「小さなお葬式」のことは、数年前にテレビの特集で知りました。父が亡くなったときは、会社経営をしていた関係で社葬に近い形式でしたので、莫大なお金がかかったんですね。その経験から、費用を抑えてプランを選べるシステムはいいなと思いました。養母のほかにも私が最期をみることになる高齢の親族がいることもあり、資料を請求して、会員になっていたのです。
プランは、養母が亡くなる数日前に「小さな火葬式」に決めました。「一日葬」と迷っていたのですが、参列者も少ないうえに皆さん90歳を超える方ばかりなので、移動したり長時間座っていたりする負担を考えると「火葬式」がベストのように思えたのです。養母も生前「簡単でいい」と言っていたこともあり、そのように決めました。電話をして、希望のプランとお坊さんだけは代々の菩提寺の住職に来てもらいたいことを告げると、「菩提寺があると宗教的に意味のある儀式を省略することを反対されることもあるので、先に住職の了解を得てからのほうがよい」と気遣ってくださいました。住職とは付き合いも長く、こちらの事情も理解してくださる新しい考えをおもちの方なので、問題ないことを伝えました。そのうえで、まず住職の都合などを優先してとりはからってくださいました。
さまざまなものを削ぎ落とした儀式には、大切な思いだけが詰まっていた
4日間の安置のあと、火葬場で読経などの儀式を行いました。当日は母も私も感情が追いつかず、とまどうことも多かったのですが「小さなお葬式」のスタッフの方の指示が的確で心強かったです。「心づけ」に使うポチ袋も必要な数を用意して、誰にいくら、表にはどう書けばよいかなどを教えてくださったり、代わりに渡してくださったり、細やかなフォローが助かりましたね。
火葬場での儀式は、一般の葬儀に比べるとシンプルなものです。その分とても厳かで尊い時間にも感じました。死と向き合い、旅立ちに立ち会う。細かい段取りがないので「いま、空に昇る道を歩いているんだな」など、ゆっくりと養母に想いを馳せることができました。オプションで棺に入れる花を加えたおかげでとても華やかになりましたよ。
火葬式のように簡略化した見送りに罪悪感を覚える人も少なくないことでしょう。でも大切なのは、故人が何を望み、残された人がどう応えるかなのだと思います。儀式や形は大切ですが、その価値を決めるのは、規模や金額ではなく、心の込め方なのだと今回感じました。養母のことをよく知る人だけが集まり、心の底からその死を悼み、残された人たちがいたわりあう。「小さなお葬式」のおかげで、理想的な旅立ちができました。私たちに最期を託した養母も満足してくれていると思います。
欲をいえば、養母が可愛がってくれていた犬たちも参列させたかったのですけれど(笑)。
小さな火葬式をご利用されたお客様インタビュー
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