自分や家族が、医師から余命宣告された場合、動揺してどうしたら良いかわからない、とお困りの方も多くいるのではないでしょうか。
人の生死が関わる余命宣告を受け入れるためには、本人だけでなく家族や親族も悲しみや怒り、気落ちなど多くの感情を受け止める必要があります。気持ちを落ち着かせて準備するのは、なかなか難しいことでしょう。
そこで今回は、誰が余命宣告を受けたかによって変化する、終活の方法についてご紹介します。いざというときに備えて、あらかじめ余命宣告を受けた際に必要な準備を知っておくことで、自分だけでなく家族も平常心を保って終活準備ができるでしょう。
<この記事の要点>
・余命宣告を受けた場合、まずは保険会社に連絡し保険金適用可能かどうか確認する
・家族が余命宣告を受けた場合、本人の了承を取り財産を調査する
・万が一に備えて患者本人と家族・葬儀社で葬儀の準備をしておく
こんな人におすすめ
余命宣告を受けた際の終活について知りたい方
家族が余命宣告を受けた場合の終活の方法を知りたい方
大切な人が余命宣告を受けた際にしておきたいことを知りたい方
余命宣告を受けた場合、さまざまな感情が入り乱れてしまい、冷静に行動できないこともあります。
余命宣告の本当の意味を知ったうえで終活することにより、余命宣告を受けた本人だけでなく家族も悔いなく充実した日常を過ごせるでしょう。ここでは、自分が余命宣告を受けた際の終活のやり方について流れを追ってご紹介します。
余命宣告とは、何らかの病を患った場合に医師があとどのくらい生きられるかを本人または家族に知らせることです。
余命宣告という言葉は、がんを患った場合に耳にすることが多いでしょう。がんの場合は進行度合いだけでなく、手術後の合併症により余命宣告を受ける場合もあります。
進行性のがんによる余命宣告は1年以内である場合も多く、余命宣告を受けてから早い段階で終活準備を進めることにより、悔いのない時間を過ごせるでしょう。
余命宣告が残された人生を悔いなく前向きに生きるためのきっかけになる場合もあれば、死の予告と捉えてしまい、悲しみや絶望に打ちひしがれてしまう場合もあります。
余命宣告と聞くと、生きる可能性がほぼないと解釈したり、亡くなるまでの残された時間と捉えたりする方もいることでしょう。
余命宣告を決定づける方法は医師によって異なり、余命宣告に関する統一的なルールはありません。
がんを患った際の余命宣告の指標として多くの医師が取り入れているのは、がん治療薬における臨床実験において、有効性を確認する指標の「生存期間中央値」と呼ばれる過去データです。
「生存期間中央値」は、同じがんを患った人を生存期間順に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する50%の方が亡くなった時期の平均を指します。
医師による余命宣告は、あくまで統計上における真ん中の数値を参考に予測立てているため、自分や家族の寿命を正確に決定づけるものではありません。
保険に加入している場合は、余命宣告後も自分と家族が再び落ち着いて過ごせるよう、保険会社へ連絡して現状を説明しましょう。
加入している保険内容によっては、医療費や入院などに対して保険金が適用される場合もあります。受取人の確認も含めて一度保険会社へ連絡するのがおすすめです。
また、生命保険の中には事前に受け取り可能な「リビングニーズ特約」と呼ばれる死亡保証金があります。
「リビングニーズ特約」とは、保険金手続きで残された家族の手を煩わせないための保険契約で、余命半年以内と医師から宣告を受けた場合に手続きできるというものです。
自分が余命宣告を受けた場合は、家族や知人に伝えるかも考えましょう。家族や知人に余命宣告された旨を無理に伝える必要はないため、他の人に余命について伝えたいかどうかを最優先に考えることをおすすめします。
家族や知人に伝えるかどうか迷ってしまう場合は、告知を受けた相手の立場に立って考えると良いでしょう。面と向かって伝えられない場合は、手紙にして気持ちを一緒に残すのもおすすめです。
いざ余命を知らされると誰かに伝えるには勇気と心構えが必要で、家族や知人を悲しませたくない気持ちが働く方もいるでしょう。
残された人たちの気持ちも汲み取り、自分らしい方法で後悔のないように動いてみてはいかがでしょうか。
余命宣告により恐怖心や絶望感などに襲われ、不安定な場合はカウンセラーや精神科医など、専門家のサポートを受けることも検討するとよいでしょう。
余命宣告は長くも短くも、あとどれくらい生きられるかにも関わりますので、恐怖と不安に押し潰されがちです。
また、一緒に過ごしてきた家族や友人と「もう会えなくなるかもしれない」という不安や悲しみに打ちひしがれ、心が不安定になるケースもあります。
身体のサポートは信頼のおける担当医に委ね、心のサポートは心の専門家に頼るのがよいでしょう。
ひとりで抱える不安や恐怖・悲しみなどのネガティブな感情を共有してくれる相手が見つかり、後悔のない残りの時間を過ごす手助けになるかもしれません。
自分の考えや希望を書き記す「エンディングノート」を書いてみるのもおすすめです。エンディングノートには最低限、以下の内容を記載することで、残された家族が迷ったときの大きな助けになるでしょう。
氏名
住所
生年月日
配偶者や子ども・兄弟姉妹・親戚に関する氏名や住所・連絡先
かかりつけの病院の連絡先
延命措置についての希望
葬儀に関する希望
相続や財産・保険に関する内容および連絡先
通帳や印鑑の保管場所
家族や友人知人へのメッセージ など
エンディングノートの書き方には、特に決まった形式はありません。好きなノートや枠組みが作られたエンディングノートを使ったり、自分の好みのスタイルを選んでみてはいかがでしょうか。
残された時間を悔いなく過ごすためにも、エンディングノートを早い段階から少しずつ書き進めてみましょう。
自分が余命宣告を受けた場合、どうしても恐怖心や悲しみといったネガティブな感情から自暴自棄になりやすく、冷静でいることは難しいといえます。
どうしても冷静になれない場合や恐怖心で何も手につかない場合は、専門家による心のサポートも積極的に活用しましょう。
また、「エンディングノート」などで気持ちの整理を少しずつスタートさせることにより、残りの時間を悔いなく過ごすための助けになるかもしれません。
ネガティブな気持ちを少しずつ落ち着かせつつ、自分が今できることはないかを考えながら充実した余生を過ごせるよう終活しましょう。
余命の宣告先が自分ではなく家族になる場合もあるため、本人へ直接告知される場合とは準備すべき内容が異なります。
余命宣告後の過ごし方や対応については、周囲もしっかり把握しておきたいところです。この項目では、家族が余命宣告を受けた場合における終活の方法について解説します。
余命宣告を受けるべき立場の人が保険に入院している場合は、本人が余命宣告を受けた場合と同じく保険会社へ連絡が必要です。
「リビングニーズ特約」やその他保険金に関する手続きを、生前の被保険者に代わって行う「指定代理請求」があるので、被保険者である本人と話し合いながら上手に活用しましょう。
ただし、保険会社によっては「指定代理人請求」によって保険金の減額や契約内容が変更となる場合がありますので、保険会社へ確認するのがおすすめです。
最近では、医師が患者や家族に対して病状や治療法を明確に伝えながら治療する「インフォームドコンセント」が浸透していますが、医師によっては病状を踏まえて本人に告知せず家族だけに伝える場合もあります。
特に、リビングニーズ特約の代理利用には細心の注意が必要です。余命を聞いた家族が、被保険者に黙って保険会社へ電話したことがきっかけの保険金トラブルに発展する可能性も考えられます。
本来であれば直接本人に伝えられる余命宣告ですが、もし家族が告知を受けた場合は本人に伝えるべきか考えましょう。
余命宣告を受けた本人が幼かったり、余命宣告を伝えることで取り乱してしまい手に負えなくなったりする可能性がある場合は、本人に伝えられない場合があります。
余命を本人に伝えたことにより気持ちがふさがったり心が不安定になったりすることにより、病状の進行が早まってしまうかもしれません。
まずは、本人の性格や病状も加味したうえで医師と家族全員で話し合い、告知するか決定しましょう。不安な場合は、心の専門家によるサポートも組み合わせるのもおすすめです。
患者の知人に伝える際は、余命宣告の具体的な年数を伝えず、病状が思わしくなく余生が限られている旨だけ伝えることをおすすめします。
患者の知人に余命宣告があったことを伝えるかどうか、家族だけでは迷ってしまうものです。しかし、何の連絡もなくある日突然、自分の知っている人や関わりがある人がこの世を去ってしまうと、悲しみと同時に「あの時会っておけばよかった」という後悔の気持ちが生まれるかもしれません。
患者本人だけでなく知人の後悔が残らないためにも、誰に伝えたいかを患者本人に確認し、具体的な内容は避けながら現状を患者の知人に伝えるのがおすすめです。
余命宣告を受けた方が大人の場合、本人に了承のうえ、念のため財産を調査しましょう。個人が所有する財産に該当するものは、例えば家や土地・車・銀行口座・年金などがあります。
特に、銀行口座に預貯金がある場合は死亡連絡をした後は凍結されるのが一般的で、年金関係は手続きが煩雑のため後回しにしがちです。手続きについては生前に本人を交えて、できる限り早めに話し合いを進めましょう。
財産の調査結果を「財産目録」と呼ばれるリストにしておくと、わかりやすいのでおすすめです。マイクロソフト・オフィス・エクセルを使用して個人で作成しても構いません。財産が多い場合は、弁護士に作成依頼することも可能です。
財産をまとめたら、遺言書を作成しましょう。遺言書は、死後に誰にどの財産を分けるかなどを明確にした書面です。
遺言書は大きく分けると以下の3種類があります。財産がある場合は、どの形式で作成するかを決めておくことで、亡くなった後の遺産を巡る親族間の揉めごと回避できます。
自筆証書遺言 | 遺言を遺したい人が全文・日付・氏名を自筆し押印した一般的な遺言書 |
公正証書遺言 | 2人以上の証人が立ち会ったうえで、公証人が遺言を残したい人から内容を聞き取って作成する遺言書 |
秘密証書遺言 | 遺言者が作成した遺言書を2人以上の証人と一緒に公証役場に持ち込んで、存在を保証してもらう形式 |
それぞれの遺言書には、決められた内容を書き記す必要があるため、遺言書の書き方はあらかじめ調べておくのがおすすめです。
遺言書に関して心配ごとがある場合は、相続に詳しい弁護士や税理士・行政書士などに相談しましょう。
本来、余命宣告を受ける本人が病気により遺言を遺せない状態、または遺言書を書くことが困難な場合にも助けになります。
家族を介した余命宣告があった場合、万が一に備えて患者本人と家族・葬儀社を交えてどのように葬儀を迎えるか考え、準備しましょう。
亡くなってから葬儀を準備する場合、悲しみやショックをこらえながら進めなければいけません。
残された遺族は心の余裕がなくなるため、プランや見積りにじっくり目を通さないまま全てを即決しがちです。
そのため、「想像していた葬儀とは違った」「どうしてこの費用が含まれているのか」など、葬儀社とのトラブルが発生する可能性も考えられます。
早い段階から複数の葬儀社に相談することで、存命中の本人も納得がいく形で葬儀を迎えられるため、おすすめです。
葬儀社によっては、亡くなる前に本人が葬儀について相談ができる「生前相談」と呼ばれるサービスがあります。
亡くなった後に残された家族の手を煩わせたくないと考えている場合は、活用したいサービスです。
自分ではなく、家族や親戚など身近な大切な人が余命宣告を受けた場合、一番近い存在である家族にできることはあるのでしょうか。
大切な人との時間を悔いなく過ごすために、家族の一員としてできることをやっておくことが大切です。本人の意思をできるだけ汲み取ることを優先しましょう。
まずは、大切な人のそばに寄り添い、しっかり支えてあげましょう。余命宣告を受けた本人は、不安や恐怖心にとらわれてしまうだけでなく、精神面でも弱くなりがちです。
しばらくの間、側にいて手を握ったり、ただ側にいてあげたりするだけでも、本人の恐怖心や不安が和らぐでしょう。また、いつでも側にいることを言葉にして相手に伝えるのもおすすめです。
できる限り、互いにネガティブな感情を抱き続けないようにし、残された時間でできることを一緒に考えられるように支えてあげましょう。
ショックな気持ちが和らいだら、どのような小さなことでも良いので本人のやりたいことをなるべくやらせてあげることをおすすめします。
食べたいものや会いたい人、行ってみたい場所、やってみたかった趣味など余命宣告を受けた本人がやりたいことを紙に書いてもらい、できる限り応えていくのもよいでしょう。
紙に書くことで、本人もやりたいことや達成できたかが整理できるので、達成感や幸福度も上がります。
やりたいことをやらせてあげることこそ、余命宣告を受けた本人や家族が後悔のない人生を過ごすための助けになるのではないでしょうか。
何らかの財産を保有している場合は、本人と財産に関する話し合いをしましょう。財産をリスト化した「財産目録」を作っても良いですし、エンディングノートに書いてもらうなど、本人と話し合いのうえでどうするか決定します。
また、趣味で集めていたコレクションが実はプレミア物だったというケースもありますので、コレクションなどもどうするか話し合いをしておくことが大切です。
お金のことは切り出しにくいかもしれませんが、残された家族が困らないためにも、納得のいく形で話し合いをし、財産管理を決めていきましょう。
亡くなった際に、臓器提供の意思があるかどうかの確認をしておくこともおすすめします。臓器提供は、亡くなった後に眼球や内臓といった臓器を必要としている人に提供することです。
生前に、亡くなった際に自分の臓器を提供することで、他の人に役立ちたいという意思表明ができます。
臓器提供に関する意思表明は、インターネット申請や「臓器提供意思カード」だけでなく、免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどでも可能です。亡くなった後も誰かの役に立ちたいという意思がある場合は、意思表明の手伝いをしましょう。
今後の治療方針を医師と確認するとともに、意識を失った後にどう最期を迎えたいかも確認しましょう。
本人が治療に対する意思表示をできれば良いのですが、病院では、意識がない状態でも希望がなければ延命措置を継続します。
なかには、医療行為を継続せず自然な流れに身を任せて亡くなることを希望する「尊厳死」で最期を迎えたいと考える方もいるでしょう。
本人が尊厳死を希望していたにもかかわらず、家族の誰も知らない状態では医者から延命措置するかどうかを尋ねられたときも、決断が難しいといえます。
自分の意識がなくなった場合、どのような最期を迎えたいかをしっかり聞き、家族間で共有しておくのがおすすめです。
「まだ余命宣告の段階なのに葬儀の準備なんて」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、いざというときに備えて葬儀の計画を立てておくことにより、後悔のない葬儀を執り行えるでしょう。
亡くなってからの葬儀の準備は、悲しみをこらえながら素早く決断すべきことが多いため、冷静に判断できなくなってしまう傾向があります。
なかには意図せず追加費用が発生するオプションを付けてしまい、想像以上の葬儀費用の高さに後から気づいて、葬儀社とのトラブルに発展する場合もあります。
余命宣告を受けた後に葬儀の相談を始めることにより、本人の希望に沿った葬儀形態が把握できるだけでなく、比較的冷静な状態で見積りに目を通せるためおすすめです。
「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。
喪主を務めるのが初めてという方に役立つ情報が満載です。いざというときの事前準備にぜひご活用ください。
\こんな内容が丸わかり/
・病院から危篤の連絡がきたときの対応方法
・親族が亡くなったときにやるべきこと
・葬儀でのあいさつ文例など
「小さなお葬式」では、お電話・WEBから資料請求をいただくことで、葬儀を割引価格で行うことができます。お客様に、安価ながらも満足できるお葬式を心を込めてお届けいたします。
小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上※の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。(※2024年4月 自社調べ)
何かしらの病状にある場合、病状次第では突然余命宣告を受けるものです。余命宣告を受けると、本人だけでなく家族も悲しみや恐怖や不安に襲われてしまい、何も手がつけられなくなってしまうことも考えられるでしょう。
しかし、余命宣告はあくまで同じ病気にかかった人の半数が亡くなった時期をもとにしているため、人によっては宣告された年数よりも長く生きたり短くしか生きられなかったりする場合があります。
余命宣告に対して悲観的にならず、何かあった時のためにエンディングノートを書き始めたり葬儀の準備を進めたりすることが大切です。また、心が不安定になってしまったら、専門家によるサポートも検討しましょう。
小さなお葬式では、葬儀費用を抑えながら葬儀前から葬儀が終わるまで専門スタッフがしっかりサポートします。葬儀をお考えの場合は、どのような些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
四十九日法要は、故人が亡くなってから48日目に執り行います。ホゥ。