ご飯を食べられない点滴だけの高齢者の余命は?注意点やすべきことを解説

ご飯を食べられない点滴だけの高齢者の余命は?注意点やすべきことを解説

食欲は人間に備わっている根源的な欲求ですが、老衰や病気などが進むと徐々に身体が食事を受け付けなくなります。自然な流れとはいえ、弱っていく家族を目の前にして「何かできることはないのか」と悩むのは当然の心理です。

高齢者が点滴頼みになったらどうする?
自分自身が口から食事を摂れなくなった場合、どのような選択をすべき?

この記事では、上記のような疑問にお答えします。最後まで読めば終末医療に関する基礎知識が身につき、冷静な判断ができるようになるでしょう。

こんな人におすすめ

家族が病院に入院している方

家族がご飯を食べられない状況にある方

もしものときに備えておきたい方

まずはご相談ください お急ぎ専用ダイヤル 電話をかける(無料)
このままWEBで調べたい方小さなお葬式についてもっと知る
事前準備をすすめたい方 喪主が必ず読む本プレゼント 資料請求する(無料)
事前準備をすすめたい方喪主が必ず読む本プレゼント!無料でお届けいたします。資料請求する
小さなお葬式LINE公式アカウント

高齢者がご飯を食べられずに点滴を受けているときの余命は?

高齢者終末期における人工栄養に関する調査」によると、末梢静脈栄養(いわゆる普通の点滴)で平均60日、経管栄養(カテーテル)で平均827日は生きられるという調査結果が出ています。人間の寿命は人それぞれなのでどのくらいとは断定できないものの、経口摂取が困難になると状況が厳しいのは間違いありません。

たとえば胃ろうや腸ろうなど、点滴以外の方法で体外から栄養を入れる場合は、寿命が延びる傾向にあるようです。

また、何らかの疾患がある方とそうでない方とを比較すると、やはり余命に差が生じます。さらに、患者本人の体力によっても違いが出ます。
お急ぎの方はこちら

認知症や病の終末期になると食べられなくなる理由

認知症や病の終末期に差し掛かると、人間の身体は水分や栄養を受け付けません。身体の機能が低下するにつれ、むしろ飲食が負担になるのです。

意外なことに人間は食べられないから亡くなるのではなく、死が近いことが原因で食べられなくなります。健康な方にとって食事は必要不可欠なため、理解するのが難しいかもしれません。しかし、余命わずかな患者に過剰な水分や栄養を与えると、むしろ負担になる可能性があると覚えておきましょう。終末期の患者には、わずかでも食欲があるときに好きなものを食べてもらうのがベストかもしれません。

経口摂取できなくなった場合の対処法【栄養摂取の種類】

続いては、口から食事を摂れない高齢者が栄養を摂取する5つの方法を紹介します。

1.末梢点滴
2.中心静脈栄養
3.経鼻経管栄養
4.胃ろう
5.腸ろう

家族が食事を摂れずに悩んでいる方は参考にするとよいでしょう。

1.末梢点滴

医療従事者でない方が点滴と聞いてイメージするのは、おそらく末梢点滴でしょう。末梢は腕や足などを意味し、末梢点滴では腕の静脈から輸液を投与するのが一般的です。

胃腸の機能が低下して口から食事を摂れない方には、末梢点滴で栄養を送り込みます。カテーテル(輸液を落とす管)を挿入する際の手術が不要なので、患者への負担が少なくて済むのがメリットです。ただし、一日に投与できるのは1,000kcalまでなので、65歳以上の男性に推奨される摂取カロリー(2100kcal~2400kcal)と比べると半分以下になります。

参考:一日に必要なエネルギー量と摂取の目安:農林水産省

なお、末梢点滴は一時的な手段であり、長期間の使用は推奨されていません。

2.中心静脈栄養

中心静脈とは、心臓に近い場所を流れる太い血管です。末梢点滴では対処しきれない場合に用いられる方法で、こちらも消化器の機能が落ちている方に向いています。

中心静脈栄養では一日あたり2,500kcalまで投与でき、経口摂取が困難な方でも高齢者に必要な栄養分を摂取可能です。ただし、針を刺している部分を清潔に保つ必要があります。また血胸(肺と胸壁の間に血液が溜まること)の原因になることも想定されます。

患者の血糖値を管理する技術が必要なので、すべての医療機関で実施できるわけではありません

3.経鼻経管栄養

鼻からカテーテルを挿入し、胃腸へ直接栄養剤を流し込むのが経鼻経管栄養です。胃腸の機能は問題ないものの、食べ物をうまく飲み込めない方に適用されます。

手術をせずに処置できるため、患者への負担が少なく消化管の機能を維持できるのがメリットです。しかし、投与期間の目安は4週間程度と短く、一時的な栄養補給の手段として使われます。

また、鼻から胃腸へカテーテルを通すため不快感があり、患者が嫌がって取ってしまう可能性があります。管が細くて詰まりやすく、衛生面を考慮して定期的に交換する必要がある点もデメリットといえるでしょう。

4.胃ろう

胃ろうとは、手術で腹部に穴を開けてカテーテルを通し、胃に直接栄養を流し込む方法です。血管に点滴を入れられない方や、誤嚥性肺炎を起こしやすい方が対象となります。

なお、胃ろうを選択しても経口摂取は可能なので、嚥下(飲み込む)トレーニングのために口から食べる練習をすることもできます。

注意点として、胃ろうを選ぶと点滴には戻せません。本人の意思や家族の意見を確認してから手術を行うのが望ましいでしょう。

5.腸ろう

小腸に直接カテーテルを挿入するのが腸ろうで、手術を必要とします。すでに胃を切除しているといった事情で、胃ろうができない方を対象とする方法です。

腸ろうを設置したあとも口から食事を摂れるため、食べる楽しみを維持したい方は嚥下トレーニングを兼ねて、経口摂取を続けるケースが見受けられます。入浴や運動など日常生活における制約は少ないものの、カテーテルの交換は必要です。
お急ぎの方はこちら

点滴が有効な場合・効果が薄い場合

口から食事を摂れなくなると、点滴やその他の方法で栄養を摂る必要があります。しかし、必ずしも点滴が有効とは限りません。ここでは以下について解説します。

1.点滴が有効な場合
2.点滴の効果が薄い場合

家族に点滴を受けさせるか迷っている方は参考にするとよいでしょう。

1.点滴が有効な場合

点滴が有効なのは、病気や体力の低下により、一時的に口から食事を摂れない状態になった場合です。確実に回復する見込みがある方なら、点滴を入れて効果を感じられるでしょう。

人間は経口摂取できないと弱る一方で、点滴は一時しのぎに過ぎません。「高カロリー輸液」を入れても、口から食べるのと比べると、栄養摂取の効率はよくない点を押さえておきましょう。

2.点滴の効果が薄い場合

すでに死期が近く、明らかに回復の見込みがない場合、点滴を投与しても効果が薄いでしょう。患者の体力が著しく消耗している状況であれば、むしろ何もしないほうが体力を温存できます。

終末期の患者に過剰な水分や栄養分を流し込むと、手足のむくみや腹水・胸水などを誘発してしまいます。なるべく苦痛を与えないためにも、点滴は控えたほうがよいでしょう。

小さなお葬式で葬儀場をさがす

点滴で栄養を摂るメリット

点滴は一時的な栄養補給の方法とはいえ、体力が落ちている患者には以下のようなメリットがあります。

1.誤嚥防止になる
2.患者の負担を減らせる

それぞれ解説しますので、点滴のメリットを知りたい方は参考にするとよいでしょう。

1.誤嚥防止になる

病気や加齢などで体力が落ちると、食べ物を飲み込む際にむせやすくなります。高齢者が誤嚥(食物が誤って気管に入ること)を繰り返すと、肺炎を引き起こすリスクがあるので要注意です。体力が低下している状態で誤嚥性肺炎を引き起こすと、最悪の場合は命に関わるかもしれません。

すでに飲み込む筋力が落ちている方が食事を摂る際は、介助者がそばについて様子を見ながら食事を進める必要があります。食事介助にどうしても時間がかかるため、誤嚥する可能性が高い方には点滴の使用を検討してもいいでしょう。

2.患者の負担を減らせる

末梢点滴で栄養を入れる場合は血管に針を入れるだけで済むため、体力のない患者でも利用できます。ただし、同じ点滴でも、中心静脈栄養では医師による処置が必要です。

胃ろうや腸ろうなどを選択すると手術が必須です。カテーテルの穴を開けるため、身体に異物が入る不快感を伴います。また、経鼻経管栄養では鼻からカテーテルを挿入する際に違和感があり、患者にとっては辛いでしょう。

結論として、食べられない状況で栄養を摂取する場合は、末梢点滴がもっとも負担の軽い方法といえます。
お急ぎの方はこちら

点滴で栄養を摂るデメリット

続いては、点滴による栄養補給のデメリットを2つ紹介します。

1.点滴では栄養摂取に限界がある
2.感染症や合併症を引き起こしやすい

家族に点滴を受けさせたいと考えている方は参考にするとよいでしょう。

1.点滴では栄養摂取に限界がある

カテーテルを通して輸液を体内に入れる方法では、一日あたり1,000kcalが上限となります。中心静脈栄養なら2,500kcalまで可能ですが、経口摂取と比べると効率が悪いのは事実です。

また、消化管を使わないことにより胃腸の機能が衰えてしまい、誤嚥を誘発する危険があります。一時的に点滴で栄養摂取させる場合は、回復後に通常通り食事を摂れるように食事の訓練を欠かさないようにしましょう。

2.感染症や合併症を引き起こしやすい

中心静脈栄養で高カロリー輸液を入れる場合は、感染症や合併症にならないように注意が必要です。針を入れた部分を常に清潔に保ち、体調に変化がないか観察しましょう。

なお、末梢点滴でも雑菌の感染によって、血管や皮膚などに炎症が生じる可能性があります。もともと肌が弱い方は、何らかの症状が出てくるかもしれません。点滴の期間が長くなるほど血管への負担が大きく、とくに刺激の強い薬を投与し続けると血管がもろく細くなりやすいため、覚えておきましょう。

小さなお葬式で葬儀場をさがす

家族に点滴を受けさせる際に知っておきたい注意点

家族が目の前で苦しむのを見ていられず、何かできる治療はないかと点滴を選択する方は多いでしょう。しかし、その選択が最善とは限らない点に注意が必要です。ここからは、点滴をすることによる注意点を解説します。

終末期の患者には点滴が推奨されない
患者本人が点滴を嫌がって取ってしまうことがある
点滴の投与が患者の苦しみを長引かせることがある

1.終末期の患者には点滴が推奨されない

日に日に衰弱していく家族を目の前にすると、医師や看護師に「せめて点滴だけでも入れてほしい」と訴える方は多いかもしれません。しかし、終末期の患者には最低限の治療にとどめることで、本人の苦痛を軽減できます。

医師から点滴の中止を勧められた場合、無理に続けないほうがよいでしょう。家族としては辛いのですが、静かに見守ることも選択肢の一つです。

2.患者本人が点滴を嫌がって取ってしまうことがある

腕や足などに点滴が入った状態だと、どうしても手足を動かしにくくなります。そのため、点滴を嫌がって抜き取ってしまう患者もなかにはいます。

点滴の抜き取りを繰り返すと危険なので、病院の判断で点滴を中止するかもしれません。点滴は確かに栄養補給の手段として有効ではありますが、患者によっては不向きなケースがある点も覚えておきましょう。

3.点滴の投与が患者の苦しみを長引かせることがある

終末期の患者に点滴を投与すると、身体がむくみやすくなります。血管から水分が漏れやすい状態になり、手足や腹部のような場所に水が溜まりがちになってしまうのが原因です。

この場合も、医師から点滴の中止を勧められることがあります。家族にとっては酷に感じられるかもしれませんが、患者の苦しみを和らげるためにも、できるだけ長く患者に寄り添ってあげましょう。

お急ぎの方はこちら

家族が元気なうちに終末医療について話し合う

遅かれ早かれ、誰もが最期の時を迎えます。終活にまつわる話題は縁起が悪いと敬遠されがちですが、家族と意思の疎通が取れなくなってから「元気なうちに話しておけばよかった」と後悔するケースは決して珍しくありません。

終活をするのは自分のためであり、家族のためでもあります。延命治療や介護などについて、時間がある際に家族間で話し合う時間を設けておくことが大切です。また、エンディングノートに終末医療に関する内容を記載しておくのもおすすめです。

「喪主が必ず読む本」無料プレゼント中

「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。

喪主を務めるのが初めてという方に役立つ情報が満載です。いざというときの事前準備にぜひご活用ください。

\こんな内容が丸わかり/
・病院から危篤の連絡がきたときの対応方法
・親族が亡くなったときにやるべきこと
・葬儀でのあいさつ文例など

喪主が必ず読む本

全員に「喪主が必ず読む本」プレゼント 無料資料請求はこちら

資料請求で葬儀が5万円割引

「小さなお葬式」では、お電話・WEBから資料請求をいただくことで、葬儀を割引価格で行うことができます。お客様に、安価ながらも満足できるお葬式を心を込めてお届けいたします。

小さなお葬式の家族葬小さなお葬式の家族葬
※一部式場ではプラン料金以外に式場利用料等が発生します。

無料資料請求で割引を受ける

「小さなお葬式」で葬儀場・斎場をさがす

小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上※の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。(※2024年4月 自社調べ)

まとめ

点滴や胃ろうなど、食事が摂れなくなった場合の対処法はいくつかあります。それぞれメリットやデメリットがあるため、その方の状況に応じて適切な方法を選びましょう。

人工的な手段による栄養補給は確かに有効ですが、すべての方にメリットがあるとは限りません。医師や看護師などと相談し、どの方法がいいのか慎重に検討しましょう。両親や家族が元気なうちに、どのような最期を迎えたいのか話し合っておくと、いざという時に役立ちます。

小さなお葬式では、終活に関するご相談を受け付けています。介護や遺言などのコラムも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

法要以外にも、お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
お急ぎの方はこちら小さなお葬式小さなお葬式

監修
小さなお葬式 コラム編集部
小さなお葬式 コラム編集部

葬儀・法要に関する専門領域の記事を、5人のチーム体制で執筆しています。
メンバーは葬儀・法要関連だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
現在 「小さなお葬式のコラム」では、合計2,000記事以上を管理しています。
運営会社についてはこちら

よくある質問

よくある質問
  • 一度点滴を使い始めたら経口摂取はできませんか?

  • 点滴のやめどきはいつですか?

このままWEBで調べたい方
小さなお葬式についてもっと知る
このままWEBで調べたい方小さなお葬式についてもっと知る
事前準備をすすめたい方 喪主が必ず読む本プレゼント 資料請求する(無料)
事前準備をすすめたい方喪主が必ず読む本プレゼント!無料でお届けいたします。資料請求する
小さなお葬式LINE公式アカウント
小さなお葬式LINE公式アカウント

この記事をシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
基礎知識・マナーを徹底的に解説 葬儀・葬式の流れ