緩和ケアの実態！平均余命との関係とは？

緩和ケアとは

緩和ケアとは、がんなどの重い病気を患った方に対し、精神面および身体面の痛みや苦しみを少しでもやわらげることです。現在の日本において、がんは最も多い死因となっています。がんを患った場合、症状の苦しさのほか、強い治療薬の投与による過酷な辛さもあるでしょう。

がんを患った方の家族の精神面のケアは、緩和ケアの対象であることがほとんどです。ここでは、緩和ケアの種類や利点を詳しく解説します。

緩和ケアの種類

緩和ケアには、複数の種類があります。大きく分けると「基本的緩和ケア」と「専門的緩和ケア」の2種類です。

基本的緩和ケアとは、がんの診断を受けた際に、担当の医師が施す治療やカウンセリング、看護師からのサポートといった基本的なケアのことです。一般的な病院では、不安や病気に関する悩みのケアも合わせて行われるでしょう。

また、基本的緩和ケアは病院外でも行われます。患者が望めば、自宅をケアの場所にすることも可能です。がん患者の気持ちを尊重したケアが中心になるので、最期の日々を自分の家で過ごしたいと願う患者は少なくなく、そういった希望に応えてくれるでしょう。

対して、専門的緩和ケアは、緩和ケアの専門家がするケアのことを指します。緩和ケアを専門に行う人材が、一般の病院では取り除けない苦痛や不安の解決にあたります。病院によっては、緩和ケア病棟を用意しており、より専門的なケアが可能な場合もあります。

また、緩和ケア外来も少しずつ広まってきており、地域によっては外来で緩和ケアを受けることもできるでしょう。

緩和ケア病棟と在宅、それぞれの利点

緩和ケア病棟への入院を選ぶべきか、それとも自宅での療養を選ぶべきなのかを悩む方もいるかもしれません。患者本人の気持ちを最優先して決めるべきですが、それぞれの方法の利点をあらかじめ理解しておくと、判断材料の一つになるでしょう。

緩和ケア病棟を選ぶ利点は、苦痛や辛さといった精神面および身体面の問題をやわらげてくれる医師や看護師が、24時間いつでも対応可能な点です。また、全室個室の病棟がほとんどであり、私物の持ち込みの制限もないので、工夫次第で安心して生活できるでしょう。

在宅を選択する最たる利点は、住み慣れた自身の家で緩和ケアを受けられる点です。病気の苦痛も、在宅緩和ケアの専門家に対応してもらうことが可能でしょう。心配な点として家族の負担がありますが、介護施設あるいは病院などと連携を取り、一時的に入院するという選択肢もあります。

緩和ケアと平均余命・余命宣告について

では、緩和ケアを受けると平均的な余命は変わってくるのでしょうか。そもそも平均余命は平均寿命とも呼ばれ、病気を患っているに関わらず厚生労働省が日本中のデータを統計して、それぞれの年齢で生きることが可能な日数の平均を表したものです。

がんの終末期に緩和ケアをすすめるのは、治療に有効なことをやり尽くして、もう他にできる治療がなくなったときがほとんどです。ここでは、緩和ケアと余命との関係性や、がんの余命宣告について解説します。

がんの余命宣告について

がんと診断されたとき、あとどのくらい生きることが可能なのか、余命を宣告する医師もいるでしょう。しかし、余命はあくまでも医師が判断した予測に過ぎません。余命より長く生きる方もいれば、余命より早く亡くなる方もいます。余命は正確に生きられる時間を表しているわけではないことを、まずは理解しておきましょう。

がんと診断されて余命宣告がなされる際、がん患者における余命の平均は特に定まっているわけではなく、人それぞれであることが現状です。

緩和ケアと余命

緩和ケアは、がんと診断されたと同時に希望すれば受けることができます。診断後に受けるさまざまなサポートは、緩和ケアに含まれていると言ってよいでしょう。現在では、早いうちから緩和ケアをはじめることが主流になりつつあります。

がんと診断された後、早いタイミングから緩和ケアを受けていたことで、余命にもよい影響が起きる可能性があるでしょう。緩和ケアを受けたか否かで、少なからず余命に差ができる傾向があることは事実です。ただし、必ずしも余命が伸びるわけではないことは理解しておきましょう。

残りの余命を安心感のある生活にするために

周囲の人間も含めて、緩和ケアを通して患者のサポートをすることは、患者の精神および身体の両面に大きな影響を与えます。がんの診断を受けた方の精神面での負担は計り知れません。余生を自宅で過ごすにしても病棟で生活するにしても、患者が少しでも安心感を持って生活し、がんと向き合うためには、周囲の支えが欠かせないでしょう。

ここでは、患者が安心感を持って生活を送るために、主に家族をはじめとした周囲の人間が意識した方がよいことを解説します。意識することにより行動が変わってくるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。

患者や家族、その他の関係者との意思疎通を忘れない

がんの治療にあたっては、さまざまな人との支え合いが大切です。もしものことがあれば、お互いに協力して柔軟に対応していかなければなりません。

例えば、連絡手段や咄嗟の事態での対応方法を事前に確認しておきましょう。お互いが何を求めているのかを普段から考えておくことも有効かもしれません。

患者の意志を尊重する

何より大切なのは、患者の意志です。患者がどうしたいかを優先的に考えて物事を進めていきましょう。ただし、がんと向き合うのは当事者一人だけではありません。家族や医療関係者、介護関係者も同様にがんと向き合っていく必要があります。

患者が安心感を持って過ごせるよう、お互いを尊重しながら過ごすことが大切だといえるでしょう。

緩和ケアに関する注意点

病院側や周囲から緩和ケアをすすめられたら、「最終手段だ、見放された」と感じてしまう方もいるかもしれません。ここまで緩和ケアについて解説してきましたが、緩和ケアは決して患者を見放すわけではありません。緩和ケアは、周囲が支えとなって患者と家族に残された時間を後悔せずに過ごしてもらうために行うものです。

まだ世間的に広く認知されているわけではないので、細かな点について分からないことがたくさんある方もいるでしょう。ここでは、緩和ケアに関する注意点を解説します。

ホスピスとの違いを理解しておく

ホスピスという言葉は、緩和ケアと同時に耳にすることが多いのではないでしょうか。どちらも患者の精神面と身体面をサポートすることに変わりはありません。2つの違いは、ケアをはじめるタイミングにあります。

ホスピスは通常「余命が残りわずかな患者」が受けるケアですので、余命の長さや病気の進行具合に左右されないケアであることがほとんどでしょう。一方、余生をどう過ごすかを支えるのが緩和ケアです。

緩和ケアの理解を深めておく

詳細を知らない方も多い緩和ケアですが、知っておかないといざというときに対応に困ってしまいます。言葉は知っていても、認識の違いから思わぬトラブルが起こるかもしれません。理解をあらかじめ深めておくことで、いざという時に柔軟な対応ができるでしょう。

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まとめ

緩和ケアは、余命宣告をされてから行うサポートではなく、がんと診断された後に行われる精神面と身体面のサポートのことです。しかし、緩和ケアによって余命が必ずしも伸びるとは限りません。また、平均余命は人それぞれで異なることも理解しておきましょう。

自身や家族ががんを患うことは、とても苦しく辛いことでしょう。周囲にできることは限られてきますが、しっかりとしたサポートができるよう今のうちに知識を得ておくことが肝心です。

残された時間を希望通りに使えば、病気と闘う患者や家族の負担を軽くすることができます。具体的な症状の緩和が一番の目的ではなく、他の負担を和らげるものであると考えておきましょう。周囲や医療機関との連携が必要になる場面もありますので、手の届く範囲から備えておくことをおすすめします。

余命を希望通りに過ごした後には、葬儀や通夜が訪れます。故人と遺族が共に過ごす最期の時間です。後悔のないお別れをするためにも、事前の準備をしっかりと行っておきましょう。その際には、小さなお葬式にご相談ください。ご負担を少しでも減らすために、プロの知識と豊富な経験を持ったスタッフが全力でサポートいたします。