お盆の時期になると、ナスやキュウリで作ったうまやうしの飾りを玄関先やスーパーで見かることがあるのではないでしょうか。見たことはあっても、詳しい意味や歴史については知らないいという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、お盆にナスとキュウリを飾る意味や、飾り終えた後の処分方法について紹介します。お盆は先祖をおもてなしする大切な行事です。意味を理解して、日本の文化を受け継いでいきましょう。
<この記事の要点>
・お盆に作る「うま」と「うし」は現世とあの世を行き来する乗り物を表現している
・精霊馬はなすときゅうりに割りばしを刺して作る
・飾り終えた精霊馬は、塩をふりお清めしてから処分するのがおすすめ
こんな人におすすめ
お盆に飾るナスとキュウリの意味を知りたい人
精霊馬の作り方が知りたい人
お盆に飾ったナスとキュウリの処分方法を知りたい人
お盆にナスとキュウリで作る「うま」と「うし」は「精霊馬(しょうりょううま)」「精霊牛(しょうりょううし)」と呼ばれ、故人や先祖を迎え入れるお盆の飾りです。ここからは、精霊馬と精霊牛の意味とナスとキュウリで作る由来について紹介します。
お盆は、故人やご先祖さまがあの世からこの世に帰ってくる期間です。キュウリのうまと、ナスのうしは、現世に戻ってくるときとあの世に帰るときの乗り物を表現しているといわれています。地域や宗派によっては、精霊馬を飾らないケースもありますので注意しましょう。
戻ってくるときには足の速い馬に乗って少しでも早く自宅に来てほしい、あの世に戻るときにはゆっくりと歩む牛の背に揺られて帰ってほしいという、願いが込められています。
反対に、ゆっくりとお迎えするために牛に乗ってきてもらい、迷わず楽にあの世に帰ってもらうために馬で帰ってもらうという考え方もあるため、菩提寺や地域の年長者に確認してみるとよいでしょう。
わらを材料として作る地域もありますが、精霊牛・精霊馬はナスとキュウリで作るのが一般的です。ナスとキュウリが用いられる理由には諸説ありますが、お盆の夏の時期に入手しやすい旬の野菜であること、形が馬や牛に見立てやすいものであることなどから使われるようになったのではないかと考えられています。
沖縄県では、さとうきびをお供えするそうです。こちらは歩くときに使う杖に例えられています。
お盆に精霊馬・精霊牛を自宅でも飾りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。ここからは、家庭で手に入る材料で簡単に作れる方法を紹介します。また、最近では繰り返し使えるお盆飾りがたくさん販売されているので、合わせて参考にしてみてください。
精霊馬・精霊牛を作るための材料は、ナス、キュウリ、脚に見立てる割り箸か爪楊枝で
す。ナスは牛に見立てるため、細めのものよりも大きめで少し曲がった形のものがよいでしょう。
一方で、キュウリは足の速い馬に見立てるため、細めで少し曲がった形のものがおすすめです。割り箸は切って使いますが、爪楊枝であればそのままの長さでよいでしょう。
まずはカッターで割り箸を4等分にします。割り箸は硬いので、ゆっくり回しながら切れ目を入れていくのがポイントです。切り終わったら、ナスのヘタ部分を牛の頭に見立てて足となる割り箸を4箇所に刺しましょう。それぞれハの字になるように刺すとバランスがよく見えます。
キュウリも同様に刺していきましょう。刺しにくい場合は、ナスとキュウリ本体にカッターで少し切れ目を入れておくと刺しやすくなります。子どもや、力の弱い方は無理せずに手伝ってもらいましょう。
最近は故人が好きだったバイクや車をナスとキュウリで作ることもあるようです。興味がある方は、お子さまの自由工作にもよいかもしれません。ただし、食べ物なので無駄にならないように注意が必要です。
暑い季節に本物の野菜を置いておくと、傷むのではと心配な方もいるでしょう。そのような方には、精霊馬・精霊牛の置物がおすすめです。涼しげなガラス製の精霊馬・精霊牛や、可愛らしいちりめん細工のものまでさまざまなデザインがあるので、好みに合わせて選べます。
精霊馬・精霊牛以外のお盆飾りもセットで売っている場合もあるので、もし自宅にない場合は購入を検討してみてもよいかもしれません。一年に一度、先祖のために用意する飾りなので、お気に入りの一品を選んでみてはいかがでしょうか。
ナスとキュウリで作った精霊馬・精霊牛を、いつ、どこに飾ればいいのかわからない方もいるでしょう。地域や家庭によってさまざまですが、一般的な精霊馬・精霊牛の飾り方について解説します。この機会に自身の地域のお盆の迎え方について確認しておきましょう。
精霊馬・精霊牛を飾る時期は地域によって異なりますが、8月13日の迎え盆で飾り、8月16日の送り盆で片付けるのが一般的です。お盆の時期は、8月13日~16日(新暦)とする地域と、7月13日~16日(旧暦)とする地域に分かれます。
これは元々1年を13ヶ月とする「太陰太陽暦」を採用していた日本が、明治政府の近代化政策により1年を12ヶ月とする「太陽暦」に変更したことがきっかけです。元々は7月にお盆を迎えていましたが、新暦になるとちょうど稲作の繁忙期である8月中旬にお盆が重なります。
当時多くの人が稲作に従事していたため、その時期を避けようと旧暦を採用した地域がありました。時期がひと月ずれていても、お盆行事の内容は変わらないため精霊馬・精霊牛を飾る風習は変わりません。
お盆の時期にはご先祖さまへのお供物を飾る「精霊棚(しょうりょうだな)」を設けます。昔の家庭には必ずありましたが、今では仏壇を併用していることが多いでしょう。精霊馬・精霊牛をこの棚に飾る場合は、以下の2通りの置き方ができます。
置き方1 | 迎え火のときはキュウリもナスも頭を内向きにして置き、送り火のときには外向きに置く |
置き方2 | キュウリは内向きに置き、ナスは外向きに置く |
いずれの場合も、ご先祖さまが家に帰ってくるタイミングのときに精霊馬・精霊牛を内側に向けて、帰る際は外側に向けて置くのがルールです。
置く場所は「精霊棚の両端に置く」「2頭まとめてお供物の1番奥に置く」など、地域や家庭によって異なります。わからない場合は菩提寺や詳しい親戚に確認しましょう。
精霊馬・精霊牛を自宅の玄関先に飾るときは、迎え火のときにナスとキュウリを自宅のほうに向けて飾り、送り火のときは自宅にお尻を向けて飾るのが一般的です。飾る場所は玄関前や塀の上など、人目につく場所であれば問題ありません。
迎え火と送り火のタイミングで外に出し、それ以外の日は精霊棚に置いておきましょう。季節柄、食べ物をずっと外に出しておくと鳥に食べられてしまったり、腐ったりすることもあるので注意が必要です。
浄土真宗は、親鸞の教えにより「みな死して仏になる」という考えの宗派です。「先祖はいつでも遺された者達の側で見守っていてくれる」という思想があるため、基本的にお盆行事は行いません。そのため、お盆の飾りである精霊馬・精霊牛を作ったり置いたりすることもないので注意しましょう。
故人が亡くなってから初めての迎えるお盆を「初盆(はつぼん・ういぼん)」といいます。その際に飾られる「白提灯」に関しては禁止されていないので、浄土真宗でも飾る場合があります。
浄土真宗は日本で一番信者数が多い宗派です。各家庭や地域での長年の習慣もあるので、気になる方は確認しておくと安心です。
役目を終えたナスとキュウリはどうやって処分するのがよいのでしょうか。先祖の移動手段としてお供えしているため、通常のお供え物とは意味合いが少し異なります。
昔は「精霊流し(しょうりょうながし)」といって川に流していたようですが、現代の生活様式では難しいことが多いでしょう。ここからは、現代の家庭でも処分可能な方法を紹介します。
自宅に庭がある場合は、土に埋めるという方法があります。野菜も割り箸も土に還るので、穴を掘って埋めましょう。公園や土手など、公共の場所に埋めるのは犯罪行為になる場合もあります。あくまでも、自宅に庭がある場合にのみおすすめの処分方法です。
お寺などでは、お供えして役目を終えた品物や、お札やお守りをを燃やす「お焚き上げ(おたきあげ)」を行っていることがあります。ただし最近では、煙が出ることや環境保護の観点から、決められた品物しか受け取らないお寺や、お焚き上げ自体を行っていないお寺も増えているのが現状です。
もしお焚き上げでの処分を考えている場合は、事前にお焚き上げを行っているか、持ち込みが可能かどうかを確認してから行くようにしましょう。
自宅に庭がなく、近くに処分を頼めるお寺がないという方も多いでしょう。その場合は、家庭ゴミとして処分可能です。そのまま捨てるのは忍びないと思う場合は、ナスとキュウリを半紙に包んで塩をふり、お清めしてから処分するのがおすすめです。塩は家庭にあるもので構いません。「また来年お世話になります」という気持ちを込めて処分しましょう。
役目を終えたナスとキュウリは食べてはいけません。これには2つの理由があります。1つ目は、精霊馬・精霊牛はほかのお供え物とは異なり、食べて供養するものではないと考えられているからです。故人や先祖を運んでくれたことに感謝して処分しましょう。
2つ目は、夏のお盆期間中にお供えをしていたものであるため、傷んでいる可能性があります。決して食べないようにしてください。
お盆の時期には、ナスとキュウリを飾る以外にもやっておきたいことがあります。お盆の期間中は、ご先祖さまの供養のために過ごしましょう。お墓参りをしたり、盆踊りで踊りを奉納したりするのも過ごし方のひとつです。
なによりも大切なことは、ご先祖さまを想う気持ちです。形式にこだわりすぎなくてもよいので、日々の感謝を表しながら過ごしましょう。
「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。
喪主を務めるのが初めてという方に役立つ情報が満載です。いざというときの事前準備にぜひご活用ください。
\こんな内容が丸わかり/
・病院から危篤の連絡がきたときの対応方法
・親族が亡くなったときにやるべきこと
・葬儀でのあいさつ文例など
「小さなお葬式」では、お電話・WEBから資料請求をいただくことで、葬儀を割引価格で行うことができます。お客様に、安価ながらも満足できるお葬式を心を込めてお届けいたします。
小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上※の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。(※2024年4月 自社調べ)
キュウリのうまと、ナスのうしは、現世に戻ってくるときとあの世に帰るときの乗り物を表現しているといわれています。ナスとキュウリが用いられる理由には諸説ありますが、お盆の夏の時期に入手しやすい旬の野菜であること、形が馬や牛に見立てやすいものであることなどから使われるようになったのではないかと考えられています。飾り方は地域や家庭によってことなるので、お盆の前までに確認しておくと安心です。
仏教行事でわからないことがあったときは、小さなお葬式にご相談ください。24時間365日対応可能なコールセンターもございますので、困りごとがありましたらお気軽にお電話ください。
お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
お通夜とは、家族や友人たちが集まり、故人と最後の夜を過ごす儀式のことです。ホゥ。