仏教は日本人にとってもっとも馴染み深い宗教かもしれません。世界三大宗教のひとつとして知られている仏教にはいくつか守らなければいけない戒律があり、その中には食事に関する内容もあります。
その戒律に則って作った僧侶の食事が、精進料理(しょうじんりょうり)と呼ばれるものです。この記事では、精進料理で禁じられていること、他宗教では制限されることが多い飲酒についてなど、仏教と食事の関わりについてご紹介します。
<この記事の要点>
・精進料理は肉や魚、卵などの動物性食材を使わない料理のこと
・仏教の戒律により飲酒は禁止されているが、現代では少量の飲酒は許容されることが多い
・「もどき料理」は植物性食材を使って肉や魚に似せた料理で、多様な料理を楽しめる
こんな人におすすめ
精進料理に興味がある方
仏教の食事制限について知りたい方
「もどき料理」について知りたい方
仏教の食事といえば精進料理が一般的です。精進料理とは、野菜や豆類など植物性の食材を使用して作る料理のことで、肉・魚・卵などは使われません。このことからもわかるように、仏教では基本的に肉食が禁止されています。
また、野菜の中でも香りの強い五葷(ごくん)と呼ばれる食材は使いません。五葷は宗派によっても異なりますが、一般的なものはニンニク・タマネギ・ネギ・ニラ・ラッキョウの5種類です。なお、これは僧侶に適用されるものであって、檀家などにはこういった制限はありません。
仏教では肉や魚が禁止されていますが、昔は肉も魚も食べていました。昔の僧侶は、農作業などが禁止されていて、信者からいただいたものを食べていたからです。しかし、仏教が中国に渡ると、農作業などに従事するようになり、僧侶も料理をするようになりました。そして、各寺院が戒律の厳しさを競った結果、現在の精進料理が誕生したのです。
ちなみに、怠け者の僧侶のことを生臭坊主といいますが、これは本来、肉や魚を使った料理である生臭料理を、戒律を破り食べた僧侶をさします。それが現在では、怠け者の坊主に対して使われることになったのです。
日本に仏教が渡ってきたのは中国からで、精進料理もその当時から一般的な僧侶の食事として知られていました。これが明治維新後、太政官布告によって肉食や妻帯が許されるようになりました。しかし、どのような肉でも食べられるというわけではなく、
・自分が食べるために殺された疑いがない肉
・自分が食べるために殺されるのを見なかった肉
・自分が食べるために殺されたと聞かなかった肉
だけを口にできました。これは、不殺生戒の戒律を犯さないためです。現在の日本ではこの戒律はあまり見られませんが、タイやスリランカなどの僧侶は、この戒律を守っていることも多いようです。
世界の様々な宗教の中には飲酒が禁止されていることもありますが、仏教はどうなのでしょうか。
実は、仏教でも飲酒は禁止されています。仏教の戒律の中には不飲酒戒というものがあり、飲酒は戒めなければならないとされています。飲酒自体は罪ではありませんが、飲酒した結果起こるかもしれない事柄を考えると、過ちを犯す要因を自ら増やす必要はないというのが仏教での見解です。
現在では僧侶でも飲酒することは珍しくなく、「飲酒した結果堕落し、罪を犯すことが悪い」という解釈のもと、少しの飲酒であれば大丈夫だとしているのです。特に日本では、古来より酒を神聖なものだとしていたり、社交の中で有効に活用していたりという事例もあるため、飲酒に関する戒律はやさしくなっているようです。
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イメージ写真の出典:作り方:白ごはん.com
精進料理では肉や魚など動物性の食材は使えないことから、植物性の食材を使い、見た目や食感を動物性の食材に似せた料理が生まれました。これを「もどき料理」と呼んでいます。 もどき料理は、特に中国や台湾でよく見られ、湯葉を加工してハムに似せたり、コンニャクで刺し身を表現したり、シイタケをアワビに似せたりと様々です。
日本でも、このもどき料理は利用されてきました。たとえば、普段何気なく食べている「がんもどき」は、その代表的なもののひとつです。飛竜頭とも呼ばれる雁もどきは、もともとは肉の代用品として作られたものでした。このほか、豆腐をうなぎに見立てた、うなぎの蒲焼もどき料理などもあります。
このようなもどき料理は、ヘルシーなだけでなく、本物との味や食感の違いを楽しめるため人気があり、精進料理専門店なども存在します。
精進料理で使ってはいけない食材があることにはいろいろな理由があったり、国によって戒律への厳しさに差があったりと、なかなか興味深い食事情ではないでしょうか。日本人として関わりの深い仏教を、このような話をきっかけに知るのも良いかもしれません。
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