葬式の会場に行くと、黒と白で配色されている縞模様の幕を見たことがある方は多いのではないでしょうか。実際に「頭の中で葬式を思い描いてみてください」といわれたときに、会場に黒と白の幕が張ってあるところを描かれる方も少なくないでしょう。
しかし、この幕は一体どういった目的で、どのような使い道で取り付けられているのでしょうか。また、この幕にはどのようなタイプがあるのか疑問を持たれている方もいるかと思います。この幕の用途がわかると、実際に葬式に幕を張るべきか否かがわかるでしょう。
この記事では葬式に使う幕の使い所やタイプを紹介します。今現在、喪主を任されている方はぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・葬式に使う鯨幕とは式場に張られている黒色と白色の幕を指す
・鯨幕には水引幕や浅黄幕など、さまざまな種類がある
・鯨幕の費用はレンタルの場合は3日間で2,500円程度、購入の場合は15,000円程度が目安
こんな人におすすめ
葬式に使う鯨幕とは何かを知りたい方
鯨幕の役割を知りたい方
葬儀で使用する鯨幕の選び方を知りたい方
式場に張られている黒色と白色の幕を「鯨幕」といいます。鯨幕は黒色と白色が縦縞に配色されている、幔幕(まんまく)の一種です。幔幕とは布を縦に貼り合わせたもののことを指し、別名「斑幕(まだらまく)」と呼ばれています。
世間的なイメージとして、鯨幕は弔事のときに利用されることが多いでしょう。しかし、実際は慶事にも利用されます。鯨幕は、黒色の布と白色の布を交互に貼り合わせて作られています。
鯨幕の最大の特徴は、黒と白の縦模様です。しかし、ひと昔前は紺色と白色で構成されていたそうです。この縦模様が鯨の見た目を連想させるため、鯨幕という名前がつけられました。
では、なぜ弔事や慶事では鯨幕を利用するのでしょうか。その理由は、江戸時代まで遡ります。黒色は江戸時代からすでに「悲しみ」という印象をもたれていました。この印象が代々受け継がれ、昭和時代に葬儀社が利用し始めたことがきっかけです。
鯨幕が利用される理由は、上記のような抽象的な理由の他にも、下記のような具体的な理由も存在します。
・雰囲気を作る
・式場の仕切り
・結界を張る
それでは、鯨幕を利用する具体的な理由を1つずつ解説します。
鯨幕は式場の厳かな空気を作り出すために利用されることが一般的です。鯨幕といえば葬式という印象が定着しています。そのため、どんなところにも鯨幕を張ることで緊張感を出し、厳かな雰囲気を作り出すことが可能です。
例として、自宅葬のときに自宅の一室に鯨幕を張ることで、普段とは違う雰囲気をつくることができるでしょう。
鯨幕は通常の幕と同様に、一室や空間の仕切りとしても扱われます。会場の周りを包むようにして張ることで、式場の範囲を決定するという役割があります。
また、式場の見せたくない部分を隠すという使い方もできます。式場には椅子やお花などの備品がたくさんあるため、座席から見えることで式の雰囲気を壊しかねません。幕を張ることで、一種の目隠しとして機能します。
鯨幕と結界は同等として扱われており、鯨幕を張ることで結界が生じているとされています。結界は、その内側の空間を清める作用があり、浄と不浄を分けることが可能です。身近なものだと、盛り塩と同等の意味を持ちます。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
幕の種類には以下のようにさまざまなタイプがあります。
・水引幕
・浅黄幕
・朽木幕
・紅白幕
・ドレープ幕
・焼香幕
・受付幕
・青・黒幕
見た目の違いのみならず、その意味にも違いがあるので1つずつ解説します。
水引幕とは、式場の入り口や祭壇の手前に上方から吊り下げた幕です。白が有名ですが、他にも多種多様なデザインの水引幕があります。
使い方としては、場を清めたり神人を分けたりする効果を持っており、家紋が入った幕を最も目を引く場所に張って使います。
浅黄幕は青と白の縦模様が入った幕で、鯨幕よりも昔から使われてきました。この幕が張られている場所は、神聖な場所とされており、部外者は立ち入ることが禁止されています。
また、この幕は弔事に限らず慶事でも使われるため、皇室の行事でも目にすることが可能です。浅黄幕はさまざまな場面で設置されますが、各地域の風習によって設置の是非が変わるので注意しましょう。
朽木幕とは、朽ちた木のようなデザインが特徴の幕です。基本的には、祭壇の上方に飾られます。ひと昔前は、大部屋をいくつかの小部屋に仕切るときに使われていました。その方法は、現在でも神社で利用されています。
祭壇の後方を飾る、厚い生地で作られている幕です。式場の壁が剥き出しにならないように隠す目的で使われます。
焼香幕はご焼香のときに場所をわかりやすくするために使われます。「御焼香所」と記されることが一般的です。
文字通り受付の周りに張る幕です。目的としては、弔問客が受付の位置に迷わないように張るとされています。
自宅で葬式を行う場合、家具等が剥き出しになるといけません。そのときに張られるのが青・黒幕です。葬式の雰囲気を壊す恐れのあるものはこの幕で包み込んでおきましょう。
鯨幕には素材もさまざまなものがあり、用途によって使い分けることが可能です。ここからは、鯨幕の主要な素材について1つずつ解説します。
綿でできている幕は分厚く丈夫であることが特徴です。重厚感がある幕なので、より緊張感を出したいときや風に強い屋外で重宝されます。
しかし、厚みにより非常に重い幕となっているため、設置や回収のときに人手を要するのがデメリットです。
ポリエステルでできている幕の特徴は、薄く軽いため、手入れがしやすいことです。また、表面に光沢があり、水を弾く仕様になっているものが多いため、雨天のときにも重宝します。しかし、薄いが故に遮光性が低く、仕切りとしては使い所が少なくなるので注意しましょう。
テトロン製の幕は、軽くて丈夫な上に、水に強いことが特徴です。仕切りにも使えて持ち運びにも便利なため、多くの場面で重宝されている幕です。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
多くの場合、弔問客としてお葬式に行くと、すでに鯨幕は張られています。しかし、自らが式場の設営を行うときにどのように幕を張ればよいかわからない方も多くいるでしょう。そのため、ここでは鯨幕の張り方を解説します。
まずはじめに、幕が裏返しになっていないかを確認しましょう。次に、幕の紐を通す部分に白黒の配色がなされた紐を通します。その紐を天井や柱にくくりつけて幕を張りましょう。そのときに幕の重みで全体がゆるまないように、しっかりと張ります。
もし、幕がゆるんで地面についてしまうと、土や砂がついて見た目が悪くなる上に、レンタル品の場合クリーニング代が別途かかる恐れがあるので気をつけましょう。
日本の幕のタイプにはさらに種類があります。ここからは葬式以外で使う幕について紹介します。
紅白幕 |
紅白幕はおめでたいときに使われるイメージ通り、実際の用途もそのままです。特に、入学式や卒業式などに使われることが多いでしょう。中国から日本に来た方が、結婚式のときに紅白饅頭を配っていたのが由来となっているそうです。 |
葬式を営む際には鯨幕が張られることが多いですが、幕の値段はいくらするのでしょうか。幕の費用はレンタルと購入でも違ってきます。実際に購入するときに相場以上の値段を取られないように参考にしてください。
レンタルの場合、一般的な大きさ(縦約1.8メートル×横約5メートル)のものを3日ほど借りると2,500円程度かかります。上記よりサイズが大きくなったり、借りる期間が長くなったりするほどその分料金が増えます。
レンタル品を借りるときの注意点は、返却するときに借りたときと同等の状態にして返すことです。汚れた状態で返却してしまうと、追加料金を請求される場合があります。張るときに何らかの理由で汚れてしまったときは、クリーニングして元の状態に戻してから返却しましょう。
購入の場合、一般的な大きさ(縦約1.8メートル×横約5メートル)のものを購入すると15,000円ほどかかり、レンタル同様大きければ大きいほど費用は高くなります。
レンタル品とは違い、新品を用意するときは納品に時間がかかる可能性があるため注意しましょう。購入すると決めたときは、早めに注文されることをおすすめします。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
幕を選ぶときにどのように選んだらよいか悩んでいる方もいるでしょう。結論としては、葬式の形式に強いこだわりがないのであれば、壁にあったサイズで選ぶことをおすすめします。
幕の単位は「間」とされており、一間は約180cmです。6畳の部屋を幕で囲むならば、6間ほどの幕が必要です。とはいえ、レンタルをする場合は式場の大きさを伝えることで、式場に合わせたサイズの幕を貸し出してくれるでしょう。
家族葬では鯨幕はほとんど使いません。昨今、核家族化に伴って家族葬は増えているため、鯨幕を見る機会が減っています。
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式場に設置されている幕を鯨幕と呼びます。この幕は幔幕の一種に分類されており、白黒の布を繋ぎ合わせて作成される幕です。
鯨幕にはさまざまな役割があり、趣作りや結界を張るために使われます。また、水引幕や浅黄幕などいろいろなタイプがあり、それぞれの幕で込められている意味が異なるため、目的ごとに使い分けが必要です。
費用は3日ほどのレンタルで2,500円程度、購入で15,000円程度かかります。ご自身の状況に応じて据え付けましょう。
鯨幕についての他にも、疑問を抱いている方もいるかと思います。特に、自らがはじめて葬儀や法要、法事などを執り行うことになった際には、わからないことが多く不安になるでしょう。そのときは小さなお葬式にご相談ください。専門の知識を豊富に持ったスタッフがお客様のお悩みに心を込めてアドバイスいたします。
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