法事や毎日のお参りの際に欠かせない香炉ですが、その種類はさまざまでどの香炉を選べばよいのかわからないという方もいるかもしれません。香炉は宗派に応じたものを選び、線香の本数や焼香の方法も宗派のきまりに従いましょう。
この記事では、香炉の種類や選び方、宗派による香炉の使い方の違いを紹介します。
<この記事の要点>
・香炉とは線香やお香を焚く際に使用する器を指す
・浄土真宗は「土香炉」、その他の宗派は「前香炉」を使うのが一般的
・一般的によく使用される香炉灰は、珪藻土灰である
こんな人におすすめ
香炉とは何か知りたい方
宗派別の香炉選び方を知りたい方
香炉の種類を知りたい方
香炉は弔事や法事の際に必ず使用するもので、仏壇のお供えに欠かせない仏具です。仏壇のお供えには、香炉のほかにも必要な仏具があります。ここからは、香炉をはじめ、故人を弔うために必要な仏具を紹介します。
線香やお香を焚く際に使用する器を「香炉(こうろ)」といいます。仏具の中でも特に重要なものとして、香炉・花立て・燭台がありますが、この3つの仏具は合わせて「三具足(みつぐそく)」と呼ばれます。三具足は、日々のお参りや法要で必須の仏具です。
正式な仏前では「五具足(ごぐそく)」を使用しますが、自宅で供養したりや仏壇が狭かったりする場合は三具足でも十分です。
お香は、香りの文化を重んじる古代インドで生まれたといわれています。当時お香は悪臭を消すために用いられ、たくさんの香りを混ぜて焚いたり体に塗りつけたりしていたようです。この慣習が仏教の法要にも取り入れられて、「線香の香りで身を清める」という宗教的な概念が浸透しました。
香炉は飛鳥時代から奈良時代ころに日本に伝わったとされています。貴族の間で香りを使った遊戯が広まり、徐々に庶民の間にもお香の文化が浸透していきました。現代の仏具としての香炉は江戸時代ころに完成されたようです。
香炉や三具足には正しい並べ方があります。本尊に向かいそれぞれの仏具を正しく立てましょう。
三具足
左側:花立て 中央:香炉 右側:燭台
五具足
左から花立て・燭台・香炉・燭台・花立て
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香炉には焼香用と仏壇用があります。焼香の際は抹香を、仏壇にお参りする際には線香を使用します。宗派によって香炉の材質や形状は変わりますが、故人を弔いお清めをするという意味合いは同じです。
焼香の際には粉末状の香料を調合した抹香を使用します。抹香を香炉に入れて香りを立たせて自身の邪気を払い、体を清めた後にお参りをしましょう。向かって右側には抹香を入れた器、左側には香炉が置かれていることが一般的です。一部の宗派では独自の香炉を取り入れています。具体的な種類は以下のとおりです。
火舎香炉(かしゃこうろ):主に浄土真宗の宗派で使用される真鍮製の香炉
金香炉(きんこうろ):主に浄土真宗の寺院などで用いられる香炉
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一般的な仏壇には、広口が大きく丸形の香炉が用いられます。線香を立てたり寝かせたりして使うことができます。線香立てや経本、おりん、マッチ消し、ロウソク消しとともに経机の上に置いて使用します。
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宗派によって香炉の種類が異なり、線香の供え方も変わります。こちらでは日本の仏教宗派で主に使われている香炉について詳しく紹介します。
もっとも一般的に使用されている香炉は、金属製の口の丸い「前香炉(まえこうろ)」と呼ばれる香炉です。仏壇の大きさにかかわらず使用できる香炉で、仏具店でもさまざまな種類の前香炉を見つけることができます。前香炉は「線香炉」「机用香炉」と呼ばれることもあります。
主に浄土真宗系で使用する香炉は、青磁で作られた「土香炉(どこうろ)」です。線香は立てずに折って寝かせて焚くのがマナーです。
浄土真宗・真宗大谷派では「透かし香炉」が使われることが多く、こちらも飾りのある青磁でできています。また、本願寺派では「玉香炉(たまこうろ)」を使用するのが一般的です。
長方形の細い香炉は「長香炉(ながこうろ)」と呼ばれます。黒檀調や紫檀調の落ち着いたデザインが特徴で、主に北陸地方の浄土真宗で使用されることが多いようです。線香を折らずにそのまま寝かせて焚けるため、線香による火事のリスクが少ないといわれています。
「柄香炉(えこうろ・えごうろ)」は柄のついた金属製の香炉で、取っ手がついていて持ち運ぶことができます。礼拝や行道中に、導師の身を清める際にも使用されます。
浄土真宗本願寺派の大谷派では、真鍮製「火舎香炉」を使用します。本願寺派は黒系統の焼き色の香炉、大谷派は金色の香炉を使うことが多いようです。焼香用の香炉なので、自宅の仏壇に供えることはありません。
さまざまな形の香炉がありますが、「土香炉」と「前香炉」を間違えなければ大きな失敗はないでしょう。仏壇のお参りの仕方や仏具の使い方には地域差もあるため、詳しい方に確認しておくと安心です。
ここからは、宗派別の香炉の選び方を紹介します。
浄土真宗では一般的に土香炉を使用しますが、大谷派では「透かし香炉」を使います。線香は1本∼2本取って2つ、または3つに折って供えます。一方で、本願寺派では「玉香炉」を用いて1本の線香を数本に短く折って供えます。
浄土真宗以外の宗派は、前香炉を選ぶとよいでしょう。前香炉には線香を立てて供えますが、寝かせて焚きたいときや仏壇の雰囲気に合わせた香炉を使いたいときは、長香炉を選んでも問題ありません。
香炉の選び方や線香の供え方は、地域によっても異なる場合があります。迷うときは、仏具の選び方について、寺院や仏具店などに相談しておくと安心です。
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香炉に線香を立てる際に必要になるのが香炉灰です。灰がないと線香をまっすぐ立てることができず、火事のリスクがあります。また、香炉と香炉灰は定期的な手入れが必要です。
線香を立てる際は香炉に香炉灰を入れる必要があります。香炉に灰を厚く敷くことで線香が安定します。灰にはいくつかの種類がありますが、一般的によく使用されるのは珪藻土灰です。灰の種類と特徴は以下のとおりです。
珪藻土灰 (けいそうどばい) |
植物性プランクトンを原料にしている天然素材の灰。調湿性があり舞いにくいのが特徴。安価でもっともよく使われている。 |
藁灰(わらばい) | 藁を燃やして作った灰。軽くて通気性がよいため線香の燃え残りが少ないのが特徴。珪藻土灰に次いでよく使用される。 |
菱灰(ひしばい) | 菱の実の殻を焼いて作る茶褐色の灰。ほかに植物を焼いて作る灰には、白色の藤灰などがある。 |
香炉は線香の燃えカスで徐々に汚れてくるため、定期的な手入れが必要です。
1. 箸などの細長い棒で線香の燃え残りとカスを取り除く
2. 新聞紙など広めの紙の上で、灰ふるいを使用して灰をこす
3. こした灰を香炉に戻し、灰ならしで表面をキレイに整える
灰の代わりに小さな石を敷き詰める「香炉石」も近年人気が高まっています。水晶やアメジスト、カーネリアンなどの天然石やガラスを敷いてカラフルな香炉にすることもできます。
灰のように飛び散る心配がなく、汚れたら燃えカスを洗い落として手入れをすればよいため半永久的に使用可能です。宗派を選ばないところも香炉石のメリットです。
香炉灰は庭や畑などに撒いて肥料として使用することもできます。その際は、線香に火が残っていないか必ず確かめてから撒くようにしましょう。ごみとして処分する場合は、新聞紙などに包んで可燃ごみとして処分可能です。各自治体の処分方法に従って処分しましょう。
燃え残った短い線香はごみとして処分してもまとめて焚いてもよいでしょう。短い線香をすり鉢などで粉状にして水と練り「印香」を作る方法もあります。印香は熱した灰の上に乗せ、間接的に熱を加えて焚くものです。型抜きなどで型を作り香りを楽しむ方もいます。
ここからは、宗派ごとに使用する線香の本数と、それぞれの宗派の香炉の使い方を紹介します。ただし、地域によって多少の違いがある場合があります。
宗派 | 線香の本数 | 置き方や立て方 |
浄土真宗本願寺派 | 1本を半分に折り2本にする | 2本同時に火をつけて、火が左に来るよう倒して置く |
真宗大谷派 | 1本または2本を半分に折る | 全本同時に火をつけて、火が左に来るよう倒して置く |
浄土宗 | 1本 | 火をつけて香炉の中央に立てる |
天台宗・真言宗 | 3本 | 3本同時に火をつけて、逆三角形になるよう手前に1本・仏壇側に2本立てる |
臨済宗・曹洞宗・日蓮宗 | 1本 | 火をつけて香炉の中央に立てる |
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線香やお香を焚く際に使用する器を「香炉(こうろ)」といいます。仏具の中でも、香炉・花立て・燭台は特に重要なものとされ、この3つの仏具を「三具足(みつぐそく)」と呼びます。三具足は、日々のお参りや法要で必須の仏具です。
香炉の使い方は、宗派だけでなく地域によっても異なります。香炉や仏具、法事などに関してお困りのことがあれば、小さなお葬式にご相談ください。専門的知識と豊富な経験を持ったスタッフが、適切なアドバイスをいたします。
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