葬儀に関わる仕事というと、葬儀会社に一任する印象が強い方も多いかもしれません。しかし、葬儀関連の職業にはさまざまなものがあり、納棺師もそのうちの1つです。納棺師の具体的な仕事内容や必要な技術・資格は、「納棺師になりたい」と思う方以外はあまり知らないのではないでしょうか。
この記事では、納棺師に関する情報をまとめました。仕事内容や必要資格などのほかに、納棺師に依頼する場合の費用も解説しています。納棺師の仕事に興味がある方はもちろん、納棺師への依頼を検討している方もぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・納棺師とは、遺体の腐敗処理を行い、故人を棺に納める人のこと
・納棺師になるには「納棺師認定試験」を受験する。無資格でも就職は可能
・精神力が強く、体力があり手先が器用な人は納棺師に向いている
こんな人におすすめ
納棺師の仕事内容が知りたい人
納棺師の資格について知りたい人
故人は葬儀の前に棺桶に納められますが、その前には故人を送り出すための準備が必要です。納棺師は、この準備を担う仕事だといえるでしょう。まずは、納棺師がどういった職業なのか、納棺師の別称などを見ていきましょう。
納棺師とは、故人を棺に納める人のことです。単に棺桶に遺体を入れるだけではなく、納棺するまでに故人を着替えさせたり、化粧を施したり、腐敗対策のための処理なども行います。
故人をできるだけ美しい姿で送り出すことは、遺族が後悔のないお別れをするためにも重要です。遺族や故人を見送る方のためにも、納棺師は欠かせない仕事だといえるでしょう。
納棺師の主な仕事は、故人を納棺することです。具体的な仕事内容を見てみましょう。
仕事内容 | 詳細 |
納棺の準備 | 遺体の状況を見て、遺族の要望を聞く。その後、遺体の衣服を脱がせて洗い流す。 |
遺体の身支度 | 遺族の要望をもとに、遺体の髭を剃ったり、化粧をしたりきれいにして、着替えをする。基本的に遺体には死装束を着せる。 |
防腐作業 | 遺体の腐敗を抑えるために、防腐液を注入する。また、殺菌・防腐・修復・保存などの特殊処置全般を行う。 |
納棺師は遺体を洗ってきれいにすることから、「湯灌師(ゆかんし)」と呼ばれることもあります。また故人を送り出す準備を担うため、「おくりびと」と呼ばれるケースも少なくありません。「おくりびと」という呼称は、映画「おくりびと」を見て知った方も多いのではないでしょうか。
納棺師は、専門的な知識や技術を伴う職業です。納棺師になるには、資格取得を含め、大きく3つの方法があります。
「納棺師認定試験」という資格試験があり、これは「一般社団法人日本納棺師技能協会」が実施している認定試験です。この試験に合格することで納棺師として高い技術と知識を持っているという証明になります。
認定試験は一度合格して資格を取得すれば終わりではなく、3年に一度の更新があります。常に時代に合った知識・技術を更新できるのも、この認定試験のポイントでしょう。
納棺師認定試験に合格して資格を取得すると、次のようなメリットがあります。
・名刺や各種自己紹介文面で「認定資格保有者」だと表記できる
・納棺師技能協会が就職支援などのサポートをしてくれる
・認定資格更新時に知識や技術をアップデートできる
納棺師の資格を取得することでさまざまな恩恵が受けられるのは事実です。しかし、納棺師認定試験は「業務独占資格」ではないため、資格がなければ納棺師として活動できないということはありません。
資格試験に合格していなくても第一線で活躍する納棺師の方も多くいますが、無資格の方が納棺師になる方法は大きく2つです。
納棺師になる方法の1つは、専門学校で学んで就職するというものです。宗教についての知識や、故人への化粧・衣装・遺体の処置・所作など、納棺師になるために必要な知識・技術を習得できます。
また専門学校は、学生の就職サポートを手厚く行ってくれるのも特徴です。独学で資格を取得するのと比較すると学費は高額ですが、就職支援制度も整っているなどメリットがあるといえるでしょう。
納棺師になる最短の方法は、納棺の専門業務のある会社に就職し、働きながら学ぶ方法です。葬儀会社はもちろん、納棺を専門としている会社もあるため、て経験を積みながら知識や技術を身につけられます。
専門的な知識・技術を要する納棺師は、目指す方が多いわけではないため、葬儀関連の仕事が未経験であっても採用される場合もあります。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
遺族とコミュニケーションを取る、遺体に触れるなど、納棺師の仕事はデリケートな内容が多くあります。
ここでは、納棺師の苦労や魅力を紹介します。
納棺師の苦労は遺族と接すること、納棺までの時間が短い事、遺体の状態によっては自身の心のダメージになってしまうことの大きく3点があげられます。
家族を失い悲しみに暮れる遺族が納棺作業に立ち会うこともありますが、いかなる時も涙を流してはいけません。また、重苦しい雰囲気の中で仕事を全うするのは、大変なことでしょう。
また、葬儀や準備で納棺作業に割くことができる時間は平均90分ほどだといわれています。遺族にも配慮しながら限られた時間で作業を進められるかどうかは、知識や技術はもちろん経験も問われる部分です。
亡くなった段階で安らかな表情をしている遺体ばかりではありません。中には痛々しい状態の遺体もあり、その遺体をいかによい状態に復元するかも、納棺師の仕事です。さまざまな遺体と向き合うことで納棺師自身が心にダメージを追ってしまうこともあるため、日々苦労は絶えないといえるでしょう。
大変なことや苦労も多い納棺師ですが、やりがいがあるからこそ続けている方もいます。納棺師の魅力は専門技術であること、遺族からの感謝の言葉にやりがいを感じること、命について考えられることなどがあげられます。
納棺師は資格がなくてもなることができますが、正しい所作でスムーズな作業を行うには技術や経験が必要です。湯灌・化粧・防腐処理など、専門技術を問われるものですので、経験を重ねるなかで専門技術が身につくのは魅力だといえます。
納棺作業のなかで遺族の心の負担を軽減し遺族から感謝されることは、納棺師の大きなやりがいとなります。また、多くの「死」と向き合うことで命の尊さを実感できるのも、納棺師ならではだといえるでしょう。
納棺師は特殊な環境で、専門的な知識や技術を生かして働く仕事です。以下に当てはまる方は、納棺師に向いているといえるでしょう。
・精神力が強い
・体力がある
・手先が器用
・スムーズなコミュニケーションが取れる
日々遺族や遺体と向き合う仕事ですので、強い精神力がないと続けられません。また成人の遺体は重いため、着替えなどの作業には体力も必要です。さらに、化粧や髭剃り、整形などは繊細な作業なため、手先の器用さも求められます。遺族の意向を汲み、寄り添うためには、コミュニケーションも欠かせないでしょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
納棺作業を納棺師に依頼したいと思ったら、どのような方法で依頼するのでしょうか。納棺師への依頼方法や、費用の目安について解説します。
以前は納棺師に直接納棺作業を依頼することも多い傾向でしたが、近年では葬儀会社を通して依頼することがほとんどです。葬儀会社に納棺師が在籍している場合や、納棺師、納棺専門の会社と提携している葬儀会社もあります。まずは葬儀会社に相談するとよいでしょう。
葬儀会社にはさまざまなプランがありますが、納棺費用を含むケースが多い傾向です。プランに含まれるのは着替えと化粧など最低限の作業で、湯灌などを依頼したい場合は、別途費用を払う必要があります。費用の目安は葬儀プランに含まれている場合は1万~5万円程度、含まれていない場合は4万~10万円程度です。
<関連記事>
納棺とは?流れや時間・棺に入れていいものなどを詳しく解説
納棺の費用相場は?意味や行う理由・流れについて解説
「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。
喪主を務めるのが初めてという方に役立つ情報が満載です。いざというときの事前準備にぜひご活用ください。
\こんな内容が丸わかり/
・病院から危篤の連絡がきたときの対応方法
・親族が亡くなったときにやるべきこと
・葬儀でのあいさつ文例など
「小さなお葬式」では、お電話・WEBから資料請求をいただくことで、葬儀を割引価格で行うことができます。お客様に、安価ながらも満足できるお葬式を心を込めてお届けいたします。
小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上※の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。(※2024年4月 自社調べ)
納棺師は遺体をよりきれいな状態にし、遺族が後悔のないお別れをするためのお手伝いをする仕事です。納棺師になるための方法は資格取得や専門学校卒業など複数の選択肢があり、苦労は多いものの得られることも多い職業だといえます。
小さなお葬式では、葬儀に関するさまざまなお悩みに回答しています。どんなことでもお気軽にお問い合わせください。24時間365日、専門のスタッフが幅広い疑問にお答えいたします。
お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
人が亡くなった後に行う死後処置と、死化粧などをまとめて「エンゼルケア」と呼びます。ホゥ。