納棺とは?気になる流れやマナーについて詳しくご紹介

納棺とは?気になる流れやマナーについて詳しくご紹介

ご遺体を棺に納める儀式を「納棺」と呼びます。基本的に、納棺に立ち会えるのは家族だけです。そのため「納棺に立ち会ったことがなく、何を準備すればよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、納棺の流れやマナーなど、納棺についての基礎知識について詳しく解説します。読むことで、納棺の意味や流れ、何を準備すればよいかが分かるでしょう。費用についても言及していますので、喪主になった方は予算立ての参考にしてください。

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納棺とは?納棺の意味から近年の傾向までご紹介!

納棺とは、ご遺体を棺の中に納めることで、一般的に通夜の前に行われます。では、納棺は誰とどのような形で行うものなのでしょうか。そこで記事では、納棺の基本的な意味やルール、専門職である「納棺師」について解説します。昨今の納棺事情についても知っておきましょう。

納棺の基本的な意味は?

納棺とは、ご遺体をきれいにし、副葬品などとともに棺に納める儀式のことです。故人が安らかにあの世へ旅立つためにも大切な儀式となります。納棺は、家族など身近な人たちで行われるのが一般的です。

一度納棺したご遺体は、火葬が終わるまで再び棺から出されることはありません。故人の体に直接触れられる最後の機会となるでしょう。家族だけで行いたいという方もいますが、ご遺体の扱いは難しいものです。そのため多くの場合は、葬儀社スタッフや納棺師の助言を受けながら行われます。

納棺の儀式を担う「納棺師」とは?

納棺師の仕事とは、その名の通り、ご遺体を棺に納めることとその準備です。しかし、ただ納棺するだけではありません。遺族が安心して故人を見送れるよう、ご遺体の準備や整理全般を行います。

防腐液を流し込む、ドライアイスを敷き詰めるなどしてご遺体の腐敗を防ぐのも納棺師の仕事です。メイクや衣装を整えたり、含み綿を使って表情を整えたりと、ご遺体をきれいに保つための作業もします。ご遺族に対する心のケアや、ときには葬儀全般の進行を任される場合もあります。

時代の流れで納棺の内容も変わってきている?近年の傾向をご紹介

かつて納棺は、すべて家族で行うのが一般的でした。しかし近年では、家族形態や葬儀スタイルの変化などから、葬儀社や納棺師に依頼するケースがほとんどです。儀式の内容についても、葬儀社に一任する場合が多いでしょう。

葬儀のなかでも、直接故人に触れられる納棺は、遺族にとって特別なものです。葬儀社によっては地域の風習を取り入れたり、オリジナルの儀式を用意したりして、より思い出深いものになるよう工夫される場合もあります。

納棺はどのように行う?納棺の流れ・手順についてご紹介!

亡くなってから棺に納めるまで、どのような流れで進むのでしょうか。ここでは、納棺の流れ・手順について順を追って解説します。葬儀社に任せられる部分もあれば、遺族が主体となって行うこともあるでしょう。故人を気持ちよく送り出すためにも、納棺全体の流れを把握しておくことが大切です。

死亡判定と死亡診断書の受け取り方法

人が亡くなったら、医師によって死亡判定がなされ、死因や経過までの詳細を記した死亡診断書が発行されます。

どこで亡くなった場合でも、死亡判定・死亡診断書(または死体検案書)の発行は、医師によって行われなければなりません。死亡診断書は死亡届を提出する際に必要です。受け取った人は、大切に保管しましょう。

その後、遺体安置場所への搬送手続きを行います。一旦自宅で安置するのが一般的ですが、葬儀場の専用施設での安置も可能です。ご遺体は自分で搬送できますが、業者に依頼したほうが安心でしょう。まだ訃報が伝えられていない親族がいる場合は、早めに連絡します。

故人の勤務先や知人に死亡を通知する

故人の勤務先や知人に連絡して、訃報を伝えましょう。葬儀のスケジュールが決まっている場合には、合わせて伝えます。なかには初めて連絡を取る相手もいるでしょう。自分の名前と故人との関係性を伝えた上で、要件を正確に伝えることが大切です。

また、檀家になっている菩提寺にも早めに連絡を入れます。ご遺体が安置場所に搬送されたタイミングで、読経に来てもらわなければなりません。特に、お盆の時期は僧侶の繁忙期です。危篤になった段階で連絡しておくとよいでしょう。

末期の水(死に水)とは?手順を解説!

安置場所が決まった後には「末期の水(死に水)」の儀式を行います。由来には諸説ありますが、仏教の経典「長阿含経」が元になったという説が有力です。由来は仏教ですが、宗教を問わず日本の葬儀では広く行われています。

「末期の水」は、臨終の後に行われるのが一般的です。「死後の世界で潤されるように」「喉を潤して安らかに旅立ってほしい」という願いがこめられています。

手順としては、水を含んだガーゼや脱脂綿などで、故人の唇を湿らせます。唇の左から右へ、上唇から下唇の順番でガーゼなどを当てましょう。参加するのは、臨終に立ち会った全員です。配偶者・子ども・両親・兄弟姉妹・子どもの配偶者・孫というように、故人との関係性の深い順に行います。

清拭とは?

清拭(せいしき)とは、納棺の前に、ご遺体を清めることです。アルコール、またはアルコールを浸したお湯を、ガーゼなどに含ませ、全身を拭き清めます。ご遺体に怪我や傷などがある場合は、その修復・処置もあわせて行われるでしょう。全身を清めた後は、耳・鼻・口・肛門などに脱脂綿を詰め、体液の流出を防ぎます。

かつては自宅で亡くなり、自宅で葬儀を行うのが一般的で、清拭も家族が行っていました。湯船にお湯を張ってご遺体を入浴する「湯かん」です。しかし、昨今では病院で亡くなり、葬儀場で葬儀を行うことが多くなりました。そのため、清拭も病院で行われるケースが増えています。

死化粧(エンゼルメイク)とは?

故人に対し「生前の美しい姿のままあの世へ旅立ってほしい」と思う遺族は多いでしょう。そのために施されるのが死化粧(エンゼルメイク)です。

化粧によって顔色をよくし、女性であれば口紅や頬紅などを塗って生前のようなイキイキとした表情に整えます。また、爪を切ったり、ヒゲを剃ったりといったケアも可能です。死化粧が終わったら、胸の前で手を組ませ、顔に白い布をかけて体をシーツで覆います。

病院では、医療器具を外して口腔ケア・清拭などを行った後、着替え・死化粧という流れが一般的です。この流れをまとめて「エンゼルケア」と呼びます。すべて看護師が行う場合があれば、着替えや死化粧などは専門の納棺師が行う場合もあるでしょう。

病院によってはエンゼルケアができない場合もあります。心配な場合は、病院に確認しましょう。

ご遺体安置とは?

病院で亡くなった場合、ご遺体は病棟から霊安室へと移動されます。病院によっても異なりますが、多くの場合はベッドごと移動して、霊安室で安置されるでしょう。また、個室を利用している場合には、霊安室へ移動しないケースもあります。部屋を移動するかそのままにしておくかは、病院関係者からの指示を待ちましょう。

ただし、ご遺体を病院に置いておけるのはおよそ半日です。それまでに、ご遺体の安置場所を決めて搬送しなければなりません。

搬送先や葬儀会社の手配についてご紹介

ご遺体が病院にあるうちに、搬送先を決めて、葬儀会社の手配をしましょう。自宅に安置するのが一般的ですが、安置専用の施設を持つ葬儀社もあります。一時的に安置してもらうのもよいでしょう。

自分たちでご遺体を搬送することも可能ですが、ご遺体は予想以上にデリケートです。ちょっとした揺れや衝撃で体液が漏れ出したり、死後硬直が始まって体が思うように曲げ伸ばしできなくなったりするケースもあります。ご遺体の扱いに慣れている葬儀社や搬送業者に依頼するほうが安心でしょう。

また、自宅に安置する場合、僧侶による枕勤めを行う場合もあります。その場合は、菩提寺へも忘れず連絡しましょう。

遺体の搬送と安置について

安置場所が決まったら、ご遺体を病院から搬送しましょう。葬儀までの間、安置場所で安置します。ご遺体を搬送する際には、念のため病院で受け取った死亡診断書を携行しておくと安心です。

自宅で安置する場合には、あらかじめ布団を用意しておきます。季節を問わず、敷布団一枚、掛布団一枚で北枕にして設置しましょう。

日本の法律では、死後24時間以内に火葬することはできません。そのため、家族や遺族の希望であってもすぐにご遺体の火葬はできず、死後1日間の安置が必要です。

枕飾りは?宗教での違いもご紹介

お通夜が始まるまでの間、棺の枕元に用意される祭壇が枕飾りです。「仮祭壇」とも呼ばれ、畳一畳分程度の小さな祭壇のことを指します。遺族の要望などによって異なりますが、ご遺体が安置したと同時に設置し、お通夜の準備を始めると同時に回収するのが一般的です。

飾りは宗教によっても異なります。仏教の場合は、白木台または白い布を掛けた台の上に、一膳飯・枕団子・水・香炉・線香・燭台・花瓶・鈴を飾るでしょう。花瓶にはしきみや菊などを供えます。ただし、仏教の中でも浄土真宗だけは、枕飾りを用意しません。

神道では「八足机」と呼ばれる机と、神饌を載せる「三方」、花瓶を用意します。三方には水・米・塩・お神酒などを、花瓶には榊を供えるのが一般的です。

キリスト教の場合は、枕飾りという風習がありません。代わりに、十字架や聖書、白い花などを飾る場合があります。

枕勤め

ご遺体の安置が完了したら、僧侶に来てもらって枕勤めを行う場合もあります。枕勤めとは、僧侶による枕経の読経です。枕経は「故人を仏弟子にして往生してもらうためのお経」のことで、読み上げることで故人の冥福を祈ります。

親族が参加しますが、喪服に着替える必要はなく、平服で構いません。ただし、数珠だけは用意しましょう。枕勤め終了後、通夜や葬儀も同じ僧侶に依頼する場合は、読経や戒名について相談しておきます。

昨今では、自宅で安置せず、病院から葬儀社へ直接搬送するケースが増えています。枕勤めを省略したり、通夜の直前に行ったりする場合もあるでしょう。

通夜や告別式に必要な手配を進める

枕勤めが終わったら、お通夜や葬儀・告別式の準備に入ります。葬儀担当者と喪主や日時・会場・葬儀内容などを打ち合わせしましょう。火葬の場合は、火葬場の空き状況なども確認しておくと安心です。

また、亡くなったことを証明するために、市区町村役所に死亡届を提出しなければなりません。火葬許可証をもらうためにも必要ですので、早めに提出しましょう。同時に遺影写真の準備や弔辞の依頼なども行います。

枕勤めを行っていない場合、菩提寺にはこのタイミングで連絡しましょう。後で日時を変更することにならないよう、事前に僧侶の予定を確認し、それに合わせて葬儀のスケジュールを組むことも大切です。読経や戒名についても話し合っておきましょう。

湯かん

湯かんとは、納棺の前にぬるま湯でご遺体を拭き清めることです。この世での穢れを洗い流すという意味から始まったとされ、かつては川の水で清められていたようです。お湯を使うことで死後硬直した体をほぐし、納棺しやすくすることが目的とする説もあります。

昔は、故人のために最後にしてあげられることという理由から、家族など身内で行うのが一般的でした。しかし近年では、葬儀スタイルの変化から葬儀社や専門の湯かん師などが行うケースがほとんどです。遺族はそれに立ち会います。

湯かんには簡易浴槽など、特別な設備が必要です。葬儀社によっては清拭が優先されることもあるでしょう。

死装束を着せる

湯かんで体を清めたら、ご遺体に白一色の着物である「死装束」を着せます。仏教式の場合は、「経帷子(きょうかたびら)」と呼ばれる、修行僧などが巡礼の際に着る着物です。仏教における白とは、穢れのないものを意味します。「清らかな姿で浄土へ旅立てるように」という遺族の思いが死装束には込められているのでしょう。

ただし、故人や遺族が希望した場合には、生前に用いていた好きな服装を着せることも可能です。あらかじめ用意しておき、葬儀担当者と相談しましょう。

副葬品を入れる

ご遺体と一緒に棺に納めるものが「副葬品」です。副葬品の歴史は古く、古墳時代の古墳からも、土器や土偶などの副葬品が発見されています。当時は、埋葬だったこともあり、「死後の世界で使えるように」という意味から道具などが副葬品として選ばれていたようです。

現代では、ほとんどが火葬です。そのため「煙とともに故人と一緒に天に昇っていくように」との思いから、さまざまなものが副葬品として納められています。故人が生前愛用していたものや、思い出の品などを入れるのが一般的です。具体的には、花や故人に宛てた手紙、生前よく着ていた服などを入れるケースが多いでしょう。

ただし、何でも自由に入れてよいわけではありません。燃えないものや水分が多く燃えづらいものなどは避けましょう

納棺

いよいよご遺体を棺に納めます。納棺は、遺族で行う場合と、葬儀社のスタッフなどが行う場合があります。専門の納棺師がいる場合もあるでしょう。プロに任せたほうが安心ではありますが、故人の死と向き合う大切な機会です。自分たちで納棺したい場合には、あらかじめ葬儀社担当者に伝えておきましょう。

納棺の際は、ご遺体を支えながらゆっくりと棺のなかに納めます。その後、旅支度の一部である杖・わらじ・副葬品を納めたら、棺のふたを閉めましょう。これで、納棺までの一連の流れは終了です。

納棺での注意点!納棺の儀式は宗教によって異なる

ここまで仏教を中心とした納棺の流れを紹介してきましたが、納棺の儀式は宗教によっても異なります。故人・家族の信仰する宗教は何かと、その納棺についても知っておきましょう。

キリスト教では、神父や牧師の立ち会いのもと、参加者全員で祈りを捧げます。聖書朗読・聖歌斉唱のあと、納棺という流れが一般的です。

また、神式では、「帰幽奉告(きゆうほうこく)」と「枕直しの儀」という2つの儀式が行われます。「帰幽奉告(きゆうほうこく)」は、故人が亡くなったことを奉告するための儀式です。神棚などに奉告し、奉告が終わったら神棚の戸を閉めて白い紙を貼ります。

納棺後の「枕直しの儀」では、ご遺体に白い木綿の小袖を着せて、顔を白い布で覆うでしょう。棺のなかに枕飾りをし、二礼・二拍手・一礼で儀式は終了です。納棺後は毎日お供えをして礼拝します。故人が好きだった食べ物または未調理の洗米・塩・水などを供えましょう。

「死装束」の意味と宗教で異なる種類

死装束とは、亡くなった方が身につける衣装のことです。白色の木帷子をイメージする方も多いかもしれませんが、実は宗教によって異なります。

また、近年では故人や遺族の意向を大切にしようと、死装束の選択肢も広がってきました。死装束にはどのような意味、種類があるのか、知っておきましょう。

亡くなった方に死装束を着せる意味とは?死装束に込められた考え方を合わせてご紹介

死装束は、亡くなった方に着せる最後の衣装のことです。死装束の歴史は古く、およそ1200年前からあったとされています。かつては遺族によって着せられていましたが、近年では葬儀社スタッフや納棺師などが着せるのが一般的です。

白装束と言うと、白一色の木帷子をイメージする方が多いのではないでしょうか。木帷子は、修行僧が巡礼に出る際に着ていた衣装です。また、白は穢れのない神聖な色とされています。それらの理由から、白装束には「故人が無事に旅立てるように」「現世での穢れを落し清い姿であの世へ旅立ってほしい」との思いが込められています。

死装束を着せるタイミングはいつなのか?

多くの場合、死装束は納棺の前に着せます。病院で亡くなったら、看護師などが清拭を行い、安置場所に安置した後に納棺の儀式が始まるでしょう。つまり、自宅や葬儀社などの遺体安置場所に一旦ご遺体を安置し、枕飾りなどを飾ってから、死装束に着替えるのが一般的です。

一方、湯かんを行う場合にはタイミングが変わります。湯かんは、ご遺体を入浴させることで、ぬるま湯でご遺体を清めていく儀式です。

湯かんを行う場合は、湯かんを行った後に死装束を着せ、その後に納棺となります。湯かんを行うタイミングに決まりはありません。そのため、死装束を着せるタイミングも湯かんに合わせて前後する可能性があります。

現在では、湯かんを行うことは少なく、できる葬儀社も限られています。死装束を着せるタイミングは、「納棺の前が基本」と覚えておきましょう。

仏教における死装束「仏衣(経帷子)」とは?

多くの方が「死装束」と聞いてイメージするのは、おそらく仏教の死装束ではないでしょうか。仏衣・経帷子と呼ばれるものです。日本では仏教式の葬儀がとても多いため、「死装束」という言葉がそのまま仏衣や経帷子を指す場合も多いでしょう。

縫製に特徴があり、縫い目の糸止めがない、返し針を使わないなどの工夫が施されています。仏衣には、真っ白なものとお経が書かれた経帷子の2種類があり、いずれかを選択しなければなりません。

お経が書かれた経帷子は、巡礼者が巡礼の旅に出る際に着る衣装です。死装束にも旅支度という意味合いが含まれています。

ただし、在来仏教のひとつである浄土真宗では、経帷子を着ることはありません。浄土真宗では、亡くなった人は、阿弥陀如来の力によってすぐに成仏するとされています。成仏するために旅をすることはありません。よって、旅支度のために経帷子を着る必要もないわけです。

神道の「神衣」は男女で異なる

かつて、仏教と神道は同じ宗教のくくりで、作法も混在していました。1868年に発令された「神仏分離令」によって、明確に分けられたとされています。

それを機に、神道から仏式の作法が取り除かれました。現在でも似た作法が取られることもありますが、死装束については違いがあります。

神道の死装束は「神衣(かむい・しんい)」と呼ばれ、男性と女性とで異なるのが特徴です。男性は、真っ白な布を使った狩衣(かりぎぬ)を着ます。平安時代、貴族が狩りの際に着ていた衣装で、明治時代に入ってからは、神職の普段着として着用されていました。

女性の場合は、小袿(こうちぎ・こうちき)を着ます。十二単を略式化したもので、こちらも真っ白な衣装です。

神道では、亡くなった人は神様になって、子孫を見守ってくれると考えられています。真っ白な神衣は、神様そのものの象徴だとも言えるでしょう。

キリスト教は正式な決まりがない?キリスト教の詩に装束とは?

世界でもっとも多くの人に信仰されている宗教がキリスト教です。キリスト教には、仏教や神道のような決まった死装束がありません。生前愛用していたスーツやドレスを着せたり、普段愛用していた服を着せたりして納棺します。

場合によっては、布でご遺体を覆ったりかぶせたりすることもあるでしょう。布の色は白の場合もあれば黒の場合もあるようです。

ご遺体に服や布をまとわせた後、胸の上で両手を組ませます。その上に聖書や木製のロザリオ、十字架などを添えることもあるでしょう。

キリスト教に限らず、無宗教の場合にも死装束に関する決まりは特にありません。故人や遺族の意向により、好きな服を死装束とするケースがほとんどです。最近増えている、火葬式や直装の場合も、無宗教と同様、死装束に関する決まりはありません。

近年増えている「エンディングドレス」とは?

近年、亡くなった方が着る衣装には「エンディングドレス」という新たな選択肢が増えました。「最後はきれいな姿であの世へ行きたい・見送りたい」という故人や遺族の思いから選ばれるケースが増えています。

エンディングドレスは、白や淡いピンク色などやさしい色のものが主流です。オーガンジー素材などを用いたふんわりとしたシルエットが特徴でしょう。

死後硬直が始まった方にも着せやすいようなつくりになっていたり、怪我や病気のあとが目立たないよう配慮されていたりと、一般のドレスとは違った視点でデザインされています。

手袋やポーチなどの小物類もセットになっている場合が多く、金額相場は6万円~20万円です。一般のドレスよりはやや高額と言えるでしょう。それでも「美しく旅立ちたい」という故人の希望を叶えようと、エンディングドレスを選ぶ方は増えています。

故人が好きな衣装で送り出すケースもある

最近の葬儀では「故人らしさが表れたオリジナリティあふれる葬儀」を希望する方も増えています。それに合わせて白い死装束にとらわれず、故人が好きな衣装で送り出すケースも増えているようです。

スーツやドレスなど特別な衣装ではなく、普段よく着ていた日常着を着せて送り出すこともあります。

好きな衣装で送り出すケースは、宗教にとらわれず取り入れることが可能です。ただし「故人が好きだったから」と何でも身につけてよいわけではありません。

基本的に、燃えないものは選ばないようにしましょう。貴金属の装飾やプラスチック、ゴムなどの装飾が付いた服は避けます。また、メガネも火葬時に注意されるでしょう。

死装束以外に小物を身に着けることも可能

ご遺体は、死装束以外に小物や装飾品を身に着けることも可能です。ただし、宗教によって異なることも覚えておきましょう。

仏教における死装束は旅立ちの服装です。そのため、小物も旅立ちにちなんだものが中心となります。笠・杖・手甲・脚絆・白足袋・わらじ・頭陀袋・三角頭巾など、頭や手足をサポートする装身具が主です。

なかでも三角頭巾はご存知の方も多いのではないでしょうか。頭に着ける三角の形をした布です。由来には諸説あり、極楽浄土に旅立つことを表しているという説や、再生をもたらすという説もあります。

神式の場合は、性別によって着ける小物が異なるでしょう。烏帽子(えぼし)を被ることは共通ですが、男性の場合は笏(しゃく)と言われる薄い板を持ち、女性の場合は扇を持ちます。

納棺を行うタイミングとは?所要時間もあわせてご紹介!

納棺はいつ行われるものなのでしょうか。実際にはお通夜の有無や地域の風習によっても異なるでしょう。

ここでは、納棺のタイミングや時間帯、所要時間について詳しく解説しています。ご遺体の状況や遺族の心境などによっても、納棺の所要時間は変わってきます。あらかじめ、スケジュールには余裕を持たせておくことが大切です。

納棺のタイミングは通夜の有無によって変わる

納棺のタイミングは、地域の風習や状況、お通夜の有無によっても変わるでしょう。一般的には、ご遺体が安置され、家族・親族が集まってから通夜までの間に行われます。遅くともお通夜開始の1時間前までには終わるのが基本です。

かつては、納棺は自宅で行われることがほとんどでした。しかし、近年では葬儀社で行われるケースが増えています。葬儀社で納棺、そのまま通夜・葬儀と行うことで、ご遺体の搬送にかかる時間なども短く済むでしょう。

納棺はいつ行う?納棺を行う時間帯について

納棺の時間は、お通夜の時間から逆算して考えます。一般葬の場合、お通夜は、亡くなった日の翌日18時~19時ごろに行うのが一般的です。ご遺体を自宅に安置している場合には、納棺は、お通夜と同日14時ごろからスタートすることが多いでしょう。

ご遺体を葬儀社などの施設で安置している場合は、「納棺の儀」があるかどうかで異なります。「納棺の儀」がある場合は、ご自宅の場合同様、お通夜の直前14時ごろのスタートとなるでしょう。「納棺の儀」がない場合は、遺族や葬儀社のスタッフによって、安置後すぐに納棺されます。

納棺の儀式は1時間前後が目安

納棺の儀式にかかる時間には特に決まりがありません。そのため、地域や依頼する葬儀社によっても異なるでしょう。一般的には30分~1時間程度が目安ですが、ゆっくり行う場合には2時間程度かかることもあります。

一般的な仏教式の葬儀は、2日間かけて行われます。1日目に行われるのが納棺とお通夜、2日目に行われるのが葬儀・告別式・出棺・火葬です。

納棺は1日目の最初に行われる儀式です。特に喪主の場合は、お通夜に向けた準備なども必要なため、納棺がお通夜の時間にかからないようにしましょう。その後の葬儀を滞りなく進行するためにも、余裕を持ったスケジュールで行うことが大切です。

事故などで損傷がある場合は長時間かかることも!

納棺の儀式の目安時間は1時間前後です。ただし、これはご遺体に特別問題がない場合に限ります。

事故や事件で亡くなった場合、災害で亡くなった場合など、ご遺体に損傷があれば所要時間も長くなるでしょう。清拭や傷口の修復、死装束への着替えに時間がかかるためです。また、納棺の儀式は遺族も一緒に行います。遺族の精神的なダメージが大きい場合は、予定通りに進行できない場合もあるでしょう。

納棺の所要時間はあくまで目安です。実際には長くかかる場合もあることを覚えておきましょう

納棺を終えてから火葬までの所要時間は?

従来の葬儀では、家族や親族以外に知人・職場の同僚・近所の方などたくさんの人を招いて行うのが一般的でした。

しかし、近年では、葬儀の形が多様化しています。家族だけで行う「家族葬」、お通夜を行わない一日だけの葬儀「一日葬」などもあり、それぞれ納棺から火葬までの所要時間も異なるでしょう。

ここでは、葬儀のタイプ別に流れを紹介します。葬儀のタイプによって、納棺後の流れが大きく変わってくるのが分かるでしょう。

一般葬・家族葬の場合

1日目 臨終~納棺
2日目
3日目 通夜
4日目 葬儀・告別式・火葬

一日葬の場合

1日目 臨終~納棺
2日目
3日目 葬儀・告別式・火葬

直葬・火葬式の場合

1日目 臨終~納棺
2日目
3日目 火葬

納棺・湯かんや葬儀にかかる費用はどのくらい?

身近な人が亡くなった経験が少ない場合、納棺にかかる費用の見当がつかないかもしれません。そこでここでは、納棺や湯かんなどにかかる費用について解説します。儀式を簡略化したり、葬儀社ではなく自宅で行なったりすることで、抑えられる費用もあるでしょう。

ただし、葬儀で大切なのは費用だけではありません。葬儀のスタイルなどを決める際には、故人の思いを尊重しつつ、遺族とよく話し合って決めましょう。

湯かんにはどんな意味がある?

湯かんは、ご遺体を入浴させて、きれいに洗い清めることです。入浴後には、男性であればヒゲを剃り、女性であれば死化粧を施します。

人は一日の終わりに入浴します。体についた汚れを落とし、疲れを癒すためです。湯かんも同様で、「人生の終わりにゆっくりと入浴させてあげたい」という思いが込められています。

また、ご遺体から体液や血液が流れ出すこともあるでしょう。それを防ぐという、衛生的観点からも湯かんは行われます。

さらに、湯かんには「現世でまとった苦しみや悩みを洗い流す」という意味もあるようです。「煩悩を洗い流して清め、あの世へ行く旅支度を整える」という宗教的な意味合いも含まれています。

「湯かん」と「清拭」はどう違う?

湯かんを行う場合には、介護用の簡易浴槽や専用の浴槽が必要です。そこに湯を張り、ご遺体を入浴させます。一方「清拭(せいしき)」とは、ぬるま湯でアルコールを薄めたものをガーゼなどに浸し、ご遺体を拭き清めることです。清拭の場合は、特別な用具などは必要ありません。

また、病院で亡くなった際には、看護師が清拭を行ってくれる場合もあります。医療器具の取り外しや、傷や怪我の手当て、体の清拭などが基本的な内容です。

病院によっては、死化粧までしてくれることもあり、病院によっても異なるでしょう。これらを含めた一連のケアを「エンゼルケア」と呼びます。エンゼルケアの内容が充実している場合には、治療代とは別にエンゼルケア代がかかる場合もあるでしょう。

湯かんは自宅でもできる

かつて、湯かんは自宅で家族らの手によって行われるのが一般的でした。近年、自宅で行う方は減っていますが、必要なスペースがあれば自宅で行うことも可能です。

一般の浴室を使ってもできなくはないですが、ご遺体を扱うのは予想以上に大変です。介護用の簡易浴室などがあるとよいでしょう。

ただし、スペースや設備などが十分でない場合は、葬儀社などの施設を利用するほうがおすすめです。

遺族も湯かんに立ち会える?

湯かんはもともと、遺族で行われてきたものです。葬儀社や湯かん師に依頼する場合も、遺族の立ち会いは認められています。体を清めながら、故人を偲ぶ時間として、立ち会いを希望する方も多いでしょう。葬儀社によっては、遺族にも体を拭き清めてもらうなど、一緒に湯かんを行える場合もあります。

ただし、立ち会いはあくまで任意です。どうしても立ち会わなければならないというわけではありません。葬儀社スタッフや湯かん師のみで湯かんが行われる場合もあります。

納棺・湯灌にかかる費用は?業者に依頼する場合の費用は5万円~10万円が目安

湯かんにかかる費用は、葬儀代とは別にオプションとして用意されていることがほとんどです。一般的には、湯かん・清拭から、ヒゲ剃り・死化粧・着替えまでが含まれます。費用は業者や地域によってばらつきがあるため、事前に確認しておきましょう。

湯かんの費用相場は5万円~10万円です。浴槽の有無によっても金額は異なります。浴槽を使わず手足などを清拭し、メイクや死装束への着替えだけなら5万円程度です。専用の浴槽で入浴し、納棺まで行うとなると10万円程度かかると考えておきましょう。

専門の納棺師が行うか、葬儀社のその他スタッフが行うかによっても金額が変わる場合があります。

家族で湯かんを行うケースもある

現在では、葬儀社などに依頼することが多い湯かんですが、家族で行うことも可能です。昔は、一般家庭の浴槽で、湯かんは行われていました。

しかし現在では、専用の設備や介護用の簡易浴槽を使う場合がほとんどです。家庭にないことがほとんどであるため、業者などに依頼して持ち込んでもらうことになるでしょう。

湯かんは葬儀社ではなく、湯かんの専門職「湯かん師」や「納棺師」に依頼するケースもあります。湯かん師・納棺師は、どちらも湯かんから納棺までを行うプロです。

ほとんどの場合、死化粧の技術も持っています。「湯かんは必要ないけど、死化粧だけをお願いしたい」といった要望にも応えてくれるでしょう。

また、多くの場合、湯かん師・納棺師は、専用の移動式浴槽も持っています。ご自宅で湯かんを行いたい場合は、湯かん師・納棺師に依頼するのもよいでしょう。

湯かんで重要な「逆さ水」とは

普段、入浴をする際には熱いお湯に水を足して、適温にするのが一般的でしょう。しかし、湯かんはその逆です。

水に熱いお湯を足してあたたかい湯にしていきます。これが「逆さ水(さかさみず)」です。また、かつて故人に湯をかける際には、柄杓の根元を左手で持って行っていました。これを「逆さ手」と言います。

葬儀においては「逆さごと」と呼ばれる習慣があり、「逆さ水」もこのひとつです。通常と逆の手順を踏むことで、日常である「生」と、非日常である「死」とを区別しています。着物の襟を着せる側から見て左が上になるように着せる「逆さ着物」や、「逆さ布団」「逆さ屏風」なども「逆さごと」の一種です。

葬儀にかかる費用は?湯かん以外にかかる納棺の費用をご紹介

納棺にあたっては、湯かん以外にもさまざまな準備が必要です。病院から安置場所への遺体搬送を業者に依頼すれば、搬送料金がかかります。また、遺族で湯かんを行う場合は、布団や枕飾りなどを準備しなければなりません。エンディングドレスを着せる場合は購入しておきましょう。

安置場所が自宅の場合、利用料はかかりませんが、葬儀社などの安置施設を利用する際にはその利用料が発生します。

同時にご遺体の腐敗を遅らせるためのドライアイスが必要です。目安は1日5,000円~1万円程度ですが、夏場はドライアイスの量が増えるため、その分費用もかかるでしょう。

納棺以外の葬儀ではどんな費用が必要?

葬儀には、納棺以外にもさまざまな儀式があり、それぞれに費用がかかります。主にかかるのが、通夜・葬儀・告別式を執り行うための費用です。

内容には、祭壇費・施設利用費・人件費・車両費などが含まれます。「葬儀一式」とまとめて計算されることが多いでしょう。葬儀全体にかかる費用の約60%~65%は、この葬儀一式にかかる費用です。

ほかに、飲食接待費もかかります。通夜の後の通夜振る舞いや、初七日法要の後の精進落としなどです。返礼品や香典返しも接待費として計算しましょう。飲食接待費は、葬儀全体の約15%~25%の金額になるのが一般的です。

ほかにも、読経料や戒名料、お車代などを僧侶に渡す必要があります。宗教によって招く宗教者や費用も異なるでしょう。仏教式の場合の、読経料の相場は15万円~30万円です。

費用で注意すべき点!葬儀まで時間がかかる場合は追加料金が発生することも

ご遺体の腐敗を防ぐために必要なドライアイスですが、火葬までの時間やご遺体の状況によって必要量が違ってきます。

例えば、火葬場が埋まっていて希望するスケジュールで火葬を行えなかった場合には、ドライアイスも追加しなければなりません。その分の追加料金が発生するでしょう。

また、遠方に住む家族を搬送してくる際には、搬送に時間がかかります。その際にもドライアイスが通常よりは多く必要です。追加料金がいくらくらいかかるのか、あらかじめ確認しましょう。

きれいな状態を保つ「エンバーミング」とは?

ドライアイスでご遺体を保存できるのは、約4日間と言われています。そのため海外など遠方からご遺体を搬送する際には、ドライアイス以外の方法でご遺体を保存しなければなりません。それ以外の理由で、火葬までに時間がかかる場合にも同様です。

その際に行われるのが「エンバーミング」です。エンバーミングは、エンバーマーと言われる専門技術を持った人の手によって行われるご遺体の腐敗防止処理です。エンバーミングをすることで、10日間~2週間程度、ご遺体の保存が可能になります。

埋葬が主なアメリカやカナダでは、エンバーミングは一般的な処理方法です。日本でも徐々に普及してきており「ご遺体を生前のようなきれいな状態で保管したい」という遺族が、希望する場合もあります。

葬儀費用を抑えるには?納棺や葬儀の費用を抑える方法をご紹介

葬儀のやり方次第では予想以上に費用がかかってしまうこともあります。葬儀費用を抑えるためには、費用のかからない葬儀スタイルを選びましょう。また、費用内訳を確認しながら、一つひとつの項目をしっかり精査することも大切です。

例えば、一般葬の参列者は50名~300名程度です。人数が多ければ会場利用料や接待費なども増えるため葬儀費用も高額になるでしょう。反対に、家族葬の場合、参列者は20名~30名以下です。家族・親戚など近しい身内だけ行うため、会食接待費なども抑えられます。

また、通常2日間かけて行われる葬儀を1日で行う一日葬も選択肢のひとつです。一日葬では、通夜を行いませんので、その分費用も抑えられます。通夜・告別式を行わない直葬も、費用は抑えられるでしょう。

それ以外にも、パッケージプランをそのまま使うのではなく、少しグレードを落とす、自分たちで準備できる部分は自分たちでするという方法もあります。供花のグレードを落したり、棺を自分たちで選んで準備したり、内訳を見直してみるのもよいでしょう。

納棺の際の服装・マナーとは?

納棺の際の服装は、喪服でなくても構いません。ただし、何を着ていってもいいわけではなく、ルールやマナーはあります。知らずに参列すると気まずい思いをすることにもなりかねません。

そこでここでは、納棺時の服装やアクセサリーなどの選び方について詳しく解説します。地域の慣習が分からない場合などは、葬儀社に相談するのがおすすめです。

男性の服装マナーは?

基本的に納棺には、平服で参加しても構いません。ただし、ここで言う平服とは、略式喪服のことです。黒やグレーのスーツ、黒のネクタイに白のワイシャツが基本と覚えておきましょう。

ただし、納棺が葬儀社で行われる場合、そのまま通夜となるのが一般的です。納棺から喪服を着ていたほうが、スムーズでしょう。

喪服の場合は、黒のスーツ、できれば漆黒のスーツがよいとされています。白シャツに黒のネクタイ、黒のビジネスソックスを合わせましょう。ネクタイは光沢のないものを選び、ネクタイピンは使用しません。

「黒のビジネススーツでも代用できるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、避けましょう。

ビジネススーツには光沢のある生地が使われることも多く、特に自然光の下で見ると喪服との生地の違いが鮮明です。万が一のときのために、日ごろから喪服を用意しておきましょう。

女性の服装マナーは?

女性の場合も、納棺は平服で参加しても構いません。黒・紺・グレーのワンピースや、セットアップスーツなどがよいでしょう。露出が高いデザインは避け、ふくらはぎからひざ下あたりまで丈のあるスカートを選びます。

葬儀社で納棺がある場合は、そのまま通夜に参列できる喪服がおすすめです。女性の喪服は黒のワンピースやアンサンブル・セットアップスーツなどになります。

露出には注意し、上着の袖丈も長袖から五分袖くらいのものを選びましょう。30デニール以下の薄手の黒ストッキングを合わせます。

靴はシンプルな黒のパンプスを選びましょう。ヒールが高すぎるもの、エナメルなど光沢のある素材、ミュールやサンダルなど足先やかかとが見えるものは避けます。

子どもが参列する場合の服装は?

子どもが納棺に参列する場合も、基本的には大人と同様、黒・紺・グレーなど地味な色の服を選びましょう。スーツやワンピースがない場合は私服でも構いません。ただし、キャラクターが入ったものや、派手なデザインの服は避けましょう

葬儀社で納棺が行われる場合には、喪服に順じた正装で行くとスムーズです。幼稚園や学校の制服がある場合は、それが正装となります。制服がない場合は、黒・紺・グレーの光沢のない生地を使った服を着ましょう。きちんとした印象を与えることが大切です。

ただし、乳児の場合はこれらの色の服を探すのが難しいでしょう。派手な色を避け、シンプルな服装を心がければ、特に問題はありません。

私服でよいケースもある?その際の注意点とは?

納棺は、平服での参列が基本です。ただし、「私服でお越しください」などの案内があった場合には、私服で参列しても問題ありません。特に急な訃報の場合などは、服を着替えていては納棺に間に合わない可能性もあります。

ただし、ジーンズなどカジュアルすぎる服装は避けたほうが無難です。着替える時間がある場合には、派手な色合いの服・光沢のある服・露出の多い服も避けたほうがよいでしょう。服同様、バッグや小物、アクセサリーにも配慮しましょう。

私服指定であっても、納棺は厳粛な儀式です。会場で失礼だと思われないよう落ち着いた服装で参列しましょう。

アクセサリーに関する注意点!派手なアクセサリーは外しておく

納棺の際、基本的にはアクセサリーは着けずに参列しましょう。納棺では、ご遺体に触れることもあります。誤って棺に入ってしまったり、ご遺体を傷つけたりしてしまわないためにも外しておくのがよいでしょう。

そもそも葬儀の場で、光るものを身に着けるのはNGです。特に、通夜や葬儀など喪服の着用が求められる場では、真珠以外のアクセサリーはタブーとされています。

納棺から着けずに参列したほうがスムーズでしょう。髪飾りも光るものは避け、プラスチック製のものやゴムを使うようにします。

地域によって慣習がある場合は注意が必要

一般的に、自宅での納棺の場合は、平服で参列してもよいとされています。しかし、地域によっては、独自の慣習を持つ地域もあるでしょう。引っ越して間もない方や、遠方から嫁いできた方にとっては分かりづらい点です。

この場合は、葬儀社に相談するのがおすすめです。葬儀社は、葬儀に関する地域の慣習についても熟知しています。いざその場になって気まずい思いをしなくていいように、アドバイスを仰ぎましょう。

納棺に立ち会う人は?

納棺は法要ではありませんが、家族が故人を取り囲んで行う大切な儀式です。通夜や葬儀とは違い、ゆっくりとした時間のなかで故人を見送ります。

また、多くの場合、故人の体に触れられる最後の機会でもあります。これらの意味を踏まえた上で、納棺には誰が立ち会うのがよいか、考えてみましょう。

納棺は親族に限るケースが多いので注意が必要

葬儀や告別式になどは、遺族のほか知人や会社の同僚など多くの一般弔問客が参列します。一方、納棺に立ち会うのは基本的には身内のみです。

通夜・葬儀が始まると、喪主を中心に遺族たちは慌ただしい時間を過ごすことになります。納棺は、穏やかな気持ちで故人を見送れる貴重な時間と言えるでしょう。

納棺では、湯かんや着替えなど、肌を露出する機会が多々あります。それも、家族に限ったほうがよいとされる理由です。

親族以外が立ち会いを希望するのは望ましくない

生前故人と親しかった方などに、遺族側から声をかけるのは構いません。喪主との関係性ではなく、あくまで故人との関係性を重視して決めましょう。

「どうしてもこの方には見送ってもらいたい」と思える相手に限り、声をかけます。念のため、遺族間で話し合ってから声をかけるほうがよいでしょう。

ただし、親族以外の人自らが納棺への立ち会いを希望するのはよくありません。万が一「納棺に立ち会いたい」という申し出があってもお断りするのが賢明です。

遺族が希望する場合は服装にも注意!

納棺を自宅で行う場合、平服でも構いません。この場合の平服とは、略式喪服のことです。黒・紺・グレーなどを基調としたきちんとした服装を心がけましょう。

葬儀社で納棺が行われる場合は、納棺にも喪服で行ったほうがその後の流れがスムーズです。通夜に参列できるブラックフォーマルなどを選びましょう。

ただし、遺族が平服・喪服以外を希望する場合には、遺族の意向に従います。遺族が「私服」を希望する場合には、納棺に私服で立ち会っても構いません。派手なデザインやラフすぎるものは避け、清潔感のある服装を心がけましょう。

通夜の前に香典を渡してもよい?マナーについてご紹介
納棺は、法要ではありませんが、先に香典を渡しても問題はありません。ただし、納棺後はすぐに通夜・葬儀の準備が始まります。遺族は慌ただしく過ごしている場合もあるでしょう。その場合は、無理に渡すのではなく、通夜まで待ってから渡すほうが親切です。

また、最初から遺族側が香典の受け取りを辞退している場合もあります。その場合は、渡さないことがマナーです。

親族が立ち会えないときは?

親族が海外などの遠方にいる場合や、身内がおらず親族の立ち会いが難しい場合はどうすればよいのでしょうか。その場合には、納棺の儀式すべてを葬儀社に依頼できます。自宅ではなく、葬儀社のほうで納棺の儀式を行ってくれるでしょう。

また、ご遺体の損傷が激しい場合など、親族の立ち会いがおすすめできない場合もあります。その場合も葬儀社に一任できます。湯かんやご遺体のケアを含め、納棺までを行ってくれるでしょう。いずれの場合も、一度葬儀社に相談してみるのがおすすめです。

副葬品は何を入れる?副葬品として入れてよい物・避けるべき物をご紹介!

副葬品とは、ご遺体と一緒に棺に納めるもののことです。故人が生前愛用していたものを入れるのが一般的ですが、何でも入れてよいわけではありません。

また、入れる量や大きさにも注意が必要です。そこでここでは、副葬品に適したものや適さないもの、判別方法などを解説します。悩んだときには葬儀社に相談するとよいでしょう。

一般的に用いられやすいのは花や洋服

副葬品として多いのは花です。故人が好きだった花や、育てていた花を切り花にして入れてもよいでしょう。

出棺前に、参列者らによって供花を棺に入れていきますが、副葬品の花とは異なります。副葬品として花を入れる場合は、別で用意しましょう。

また、故人が生前愛用していた着物や洋服、帽子・スカーフなどの服飾小物を入れることもあります。綿・麻・毛など天然素材でできた、燃えやすいものを入れましょう。金具やプラスチック製パーツなどが付いている場合は、あらかじめ外しておく必要があります。

洋服類は入れても構いませんが、あまり大量になると灰が多く出て、遺骨を拾うのが大変です。「あれもこれも」とたくさん入れるのではなく、厳選して入れましょう

寄せ書きの色紙や家族からの手紙

手紙も副葬品として選ばれやすいもののひとつです。生前故人が受け取った手紙や、大切にしていた手紙を入れる場合があります。

あるいは、家族から故人に充てて手紙を書くのもよいでしょう。亡くなった後に、今までの感謝や思い出をつづります。

故人に宛てた手紙があまりに多くなりそうな場合は、色紙を使うのがおすすめです。手紙が多くなると、その分、火葬後の灰が多くなるためです。家族や親族らで色紙に寄せ書きし、棺に入れましょう。

幸福を願う千羽鶴や朱印帳

死後の幸福を願うために、千羽鶴や朱印帳を副葬品として入れることがあります。闘病生活が長かった方の場合、病室に飾っていた千羽鶴があるかもしれません。「病気から回復してほしい」という作り手の気持ちがこもっており、副葬品にも適しています。

あるいは、納棺に合わせて、新たに作っても構いません。親族や親しい方たちで協力し合って作るのもよいでしょう。

朱印帳は、神社や寺社を参拝した際にいただける功徳高いものです。副葬品として入れることで、「あの世で幸せになれる」「極楽にいける」とも言われています。故人が持っていた朱印帳があれば、一緒に入れるとよいでしょう。

時計など燃えない物は入れられない

故人が毎日身に着けていた時計やメガネ、指輪などを副葬品として入れたいという方もいるでしょう。しかし、貴金属などの燃えないものは棺に入れられません。熱によって溶けてしまったものが、遺骨を汚し、火葬炉を傷つけてしまう可能性があるためです。

一見、布製と思われる小物でも、中に金属が使われている場合もあります。念のため確認しておきましょう。

どうしてもという場合は、火葬の後、遺骨と一緒に骨壺に入れるという方法もあります。小さなものであれば入れられるでしょう。

骨を傷つける革製品もNG!

財布や靴なども副葬品として選びがちですが、皮革製品も入れてはいけません。皮革製品は燃えにくく、遺骨を汚したり、傷めたりする可能性があるからです。バッグやグローブ、ジャケットなどもレザー製のものが多いため、注意しましょう。

ガラスや陶器なども遺骨を傷つける可能性があります。愛用品とは言えコーヒーカップや湯呑みなどを入れるのは避けましょう。

そのほか、ゴルフクラブや杖、ラケットなどのカーボン製品も入れられません。燃えにくく、燃え切らなかった炭素原子が炉内を浮遊し、火葬炉の換気・集塵設備の故障につながる可能性があるためです。

お金(お札)を入れると法律違反になるので注意!

かつては、故人が三途の川を渡れるようにと、六文銭を副葬品として入れる風習がありました。しかし、現代では六文銭は使われていません。代わりに、紙に印刷した六文銭を入れることが風習になっています。

「六文銭の代わりに、アルミ製の1円玉を入れては」と考える方もいるかもしれません。しかし、硬貨を故意に傷つける行為は、貨幣損傷等取締法に違反します。納棺に際する行為も罰則の対象となるため、注意しましょう。

紙幣を燃やす行為はこの法律には抵触しません。ですが、故人にとってもあまり気持ちのよいことではないでしょう。そのような理由から、紙に印刷した六文銭を入れるのが定番となっています。六文銭に限らず、「一万円」「千円」などを書いた紙を入れるのでも構いません。

写真を入れるときの注意点をご紹介

写真は燃えるものですので、基本的には入れても問題ありません。ただし、写真を選ぶ際には注意が必要です。

「故人があの世で寂しい思いをしないように」と、家族写真や仲間と写った写真を入れようと考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、生きている人が写っている写真を入れると「その人も一緒にあの世に連れて行く」と言われています。後々トラブルにならないためにも、生きている人が写った写真は避けましょう

故人の写真やすでに亡くなっている方の写真を入れるのは問題ありません。また、ペットに関しては上記の言われは該当しないため、入れても大丈夫でしょう。風景写真や食べ物の写真、副葬品として入れたいけど入れられなかった物の写真などを入れるのもおすすめです。

食べ物を入れる場合は葬儀社に確認しよう!

故人が好きだった食べ物・飲み物を入れてあげたいと思う方もいるでしょう。食べ物は燃えるものですので、基本的には入れても構いません。ただし、容器やパッケージには注意が必要です。プラスチックや缶・瓶に入った食べ物は入れないようにしましょう。缶ジュースや瓶酒も入れられないため、紙パックの飲み物を選びます。

スイカのように水分が多い食べ物は、燃焼の妨げになる可能性があります。また、いくら燃える食べ物でも、大きさによっては燃焼の妨げになる場合もあるでしょう。食べ物を入れる際は、葬儀社や火葬場のスタッフに事前に相談すると安心です。

ペースメーカーも事前相談が必要

故人が生前、ペースメーカーを入れていた場合、臨終後にそれを外すことはしません。入れたまま、火葬されることになります。ただし、ペースメーカーは火葬時に爆発する恐れがあり、危険です。火葬自体は可能ですが、爆発音を聞いて周囲が混乱に陥る可能性もあるでしょう。

そのため、ご遺体がペースメーカーを入れている場合は、葬儀社・火葬場への申告が義務付けられています。忘れずに伝えましょう。

灰が出やすい物はあらかじめ確認できると安心

故人が愛読していた本や、いつもそばに置いていたぬいぐるみなどを一緒に入れたいと考える方も多いでしょう。どちらも燃えるものですが、選び方には注意が必要です。

意外と燃えにくいのが、ページが幾重にも重なった分厚い本です。分厚い本を入れる際には、一部だけを抜粋して入れたり、分冊化したりして、燃えやすくしておきましょう。

ぬいぐるみの場合は、大きさに注意します。あまりに大きいぬいぐるみは、燃えるのに時間がかかり、灰が大量に出る可能性があります。いずれの場合も、事前に葬儀社に相談しておくと安心です。

副葬品にできる物・できない物の見分け方は?判別方法をご紹介!

副葬品を選ぶ際には、どのような基準で選べばよいのでしょうか。まず、一番は「燃えやすいかどうか」です。

紙製や布製(綿・麻・絹などの天然素材)などであれば基本的には大丈夫でしょう。ただし、あまりに大きすぎるものや、燃えるのに時間を要するものは避けたほうが無難です。どうしても入れたい場合には葬儀社に相談しましょう。

金属など不燃性の素材でできたものは副葬品にできません。また、皮革・ガラス・陶器・カーボン素材のものは、燃えることで遺骨を汚したり、傷つけたりする可能性があります。避けておきましょう。

しかし、「これは入れてもいいのか」と迷う場合もあるでしょう。その際は、葬儀社スタッフに相談するのがおすすめです。入れてもいいもの・入れられないものの判別をしてくれます。また、「こうすれば入れられる」といった提案もしてくれるでしょう。

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まとめ

納棺は、家族で故人を静かに見送るための大切な儀式です。納棺の流れや、ご遺体に着せる死装束などは宗教によっても異なるでしょう。

納棺を業者に依頼する場合には5万円~10万円ほどの費用がかかります。立ち会う際は、ご遺体と一緒に棺に入れる副葬品も準備しておきましょう。

納棺の流れや服装は、宗教や地域によっても異なります。不安な場合には葬儀社に相談するのがおすすめです。

小さなお葬式では、365日24時間対応でスタッフがサポートします。また、提携葬儀社4,000会場以上の中から、あなたのニーズに合った葬儀社をご紹介することも可能です。納棺・葬儀についてもお気軽にお問い合わせください。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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