遺言書についてイマイチ分かっていない方へ!書き方と無効になるケースについて
終活

作成日:2020年01月09日  更新日:2021年05月10日

遺言書についてイマイチ分かっていない方へ!書き方と無効になるケースについて

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遺言書は正しい形式に則ったものでなければ、効力がありません。遺言書の内容に不備があると、遺言者の死後相続人間の争いの火種となることがあります。しかし遺言書の内容は複雑で、きちんと理解ができているという方は少ないのではないでしょうか。

遺言書の知識を深めておけば、後々の不要な相続トラブルを避けられます。そこで本記事では、遺言書の概要から書き方、無効になるケースまでご紹介します。多くの人が疑問をもつポイントを中心に分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

【もくじ】
遺言書の概要
遺言書で困らないために知っておきたい項目
遺言書の書き方
遺言書の文例
遺言書に関するトラブルを避ける方法
遺言書が無効になるケース
よくある質問
まとめ

遺言書の概要

遺言書とは、死後に自分の財産を「誰に」「どれだけ」渡すのかなどを明記する書面のことです。遺言書で財産の分配先を明示することで、渡したい人に渡したいだけ財産を譲れます。また反対に「○○への相続は行わない」など、特定の人を相続人から外せるのも遺言書の特徴のひとつです。

遺言書はすべての人に必要なものではないものの、

・夫婦間に子どもがいない
・相続人が誰もいない
・内縁者や認知をしていない子どもがいる
・不動産を所有している
・財産を渡したくない特定の人がいる

という場合は、遺言書を残しておくとよいでしょう。

参考:遺言書の効力から種類、書き方まで総まとめ|無効にならないための注意点とは – RashiK

遺言書で困らないために知っておきたい項目

遺言書は自分の財産の分け方を自由に決められるほか、死後の財産分配に関する相続人の間での不要なトラブルを回避する効果もあります。

ただし、遺言書は民法にしたがった正しい書き方で作成しないと効力を発揮しません。ここでは、遺言書作成にともなって押さえておきたいポイントを解説します。

書き方

遺言書には以下の3種類があり、それぞれ書き方が異なります。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の全文を「自筆」で作成するものです。自筆証書遺言は特別な手続きが必要なく遺言者一人で作成が完結するため、遺言書の中ではもっとも手軽といえるでしょう。

一方公正証書遺言は、公証役場で二人以上の証人の立ち会いのもと、公証人が遺言者の発言を聞き取りながら遺言書を作成します。

秘密証書遺言の場合も公正証書遺言と同様に公証役場での手続きとなりますが、こちらは遺言書を作成するのは遺言者本人です。作成後、遺言書を二人以上の証人と一緒に公証役場に提出することで、遺言書の効力を保証できます。

作成費用

遺言書の作成にかかる費用は以下のとおりです。

・自筆証書遺言:0円
・公正証書遺言:相続財産の価額に応じて決まり、100万円以下~1億円で5,000円〜4万3,000円。相続人ごとに分配金額に応じた費用が必要です。
・秘密証書遺言 11,000円

(参考:『公正人手数料令第9条』)

遺言書に関わる法律

遺言書は、民法の規定に沿った形式で作成しなければ法的効力がありません。これは民法の第960条で「遺言は、この法律に定める方式に従わなければすることができない」と定めているとおりです。

民法では遺言の方式や効力、失効、取消などのさまざまな規定を設けています。遺言書を作成する際には、民法上の遺言の要件をきちんと確認することが重要です。

遺言書の書き方

遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれ書き方が異なります。ここでは、この3種類の遺言書の書き方をそれぞれ具体的に紹介します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が自筆で作成します。平成31年の法改正によって財産目録に限り自筆でなくても構わないことになりましたが、それ以外の全文、氏名、日付の執筆、押印は遺言書本人が行う必要があります。

自筆証書遺言は、15歳以上で自筆と押印ができればいつでも作成ができるため、遺言書の中ではもっとも手軽です。相続人は遺言書を見つけたら、開封前に家庭裁判所の「検認」を受けましょう。

参考:自筆証書遺言書の書き方と気を付けたいポイント – RashiK

公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場にて二人以上の証人の立ち会いのもと、公証人と一緒に遺言書の作成を行います。公証人という専門家が遺言内容を聞き取り、作成をするため書面上の不備もなく、遺言書の効力に確実性があるのが特徴です。

公証人への遺言内容の伝達は「口答」が原則であるため、伝える内容に誤りがないようあらかじめメモなどを持参して記載漏れがないようにしましょう。

参考:遺言を公正証書で作成するメリットは?費用や必要書類、変更方法まとめ – RashiK

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の二つの特徴をあわせ持つようなもので、遺言者が遺言内容を秘密にしたい場合に利用する遺言書です。遺言者が自分で作成した遺言書を二人の証人と一緒に公証役場に提出することで、その遺言書が本人作成によるものだと保証してもらいます。

秘密証書遺言の場合、署名と押印以外は代筆やパソコンで作成しても構いません。秘密証書遺言は自筆証書遺言と同様に、家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。

遺言書の文例

言書は、種類によって書き方が異なります。また遺言者個々の財産状況によっても書面に書く必要のある項目は変わってくるため、注意が必要です。ここでは、遺言書の3種類である「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」それぞれの文例をご紹介します。

自筆証書遺言

遺言書

遺言者◯◯◯◯は、この遺言書によって妻◯◯△△、長女◯◯◇◇、次女◯◯☆☆に次の通りに遺言する。

1.現金5,000万円を妻◯◯△△に相続させる
2.現金2,500万円を長女◯◯◇◇に相続させる
3.現金2,500万円を次女◯◯☆☆に相続させる
4.ここに記載のない財産のすべては、妻◯◯△△が相続するものとする

遺言者◯◯◯◯は、下記のものを遺言書の執行者に指定する。
住所 東京都渋谷区恵比寿◯-◯◯-◯
職業 司法書士
遺言執行者 ●●●●



令和元年12月1日

住所 東京都目黒区青葉台◯-◯◯-◯

遺言者 ◯◯◯◯ 印

秘密証書遺言

遺言書

遺言者●●●●は、次の通り遺言する。

第1条 次の者は、私と内縁の妻◆◆◆◆(昭和45年6月20日生)との間に生まれた子であるため認知する。
住所 神奈川県高崎市相生町○○-○○-○○
氏名 ××××××
生年月日 平成元年9月9日
本籍 神奈川県高崎市相生町○○-○○-○○
戸籍筆頭者 ◆◆◆◆


第2条 私は、A銀行の遺言者名義の下記預貯金債権を、認知した××××××に相続させる。
普通預金
支店番号 98765
口座番号 4321987


定期預金
支店番号 65432
口座番号 1098765

令和元年12月1日

東京都中央区日本橋○○-○○-○○


※公正証書遺言文書作成は都度専門家が作成してくれるので今回は割愛します。

遺言書に関するトラブルを避ける方法

遺言書を作成する際は、遺言の内容をきちんと精査することが大切です。遺言書の内容の不備や間違いは、後々相続トラブルを引き起こす危険性があります。ここでは、遺言書に関するトラブルを避ける方法を解説します。

遺産の分配をじっくり考える

遺言書を作成する際は、相続人個々への分配割合をしっかりと考えて明確にしておきましょう。もしすでに書き留めた遺言書の内容を変更・撤回したくなった場合には、以下の対処で遺言の取り消しができます。

・自筆証書遺言・秘密証書遺言 古い遺言書を破棄
・公正証書遺言 公証役場が遺言書を保管しているため、既存の遺言書を破棄してから前回の遺言を取り消す旨を記した新しい遺言書を作成

遺言書の保管場所を決めておく

保管場所が定まらないと、遺言書を紛失してしまう可能性があります。そのため保管場所を決めておくことが大切です。

遺言書の保管に関しては、「遺言信託」というサービスがおすすめです。遺言信託とは、公証人を通して公正証書遺言を信託銀行に預かってもらうものです。信託銀行が遺言執行者となり、遺言の作成・変更から保管、財産の管理、遺言内容の執行までを一括で行ってくれます。

信頼できる弁護士を付ける

遺産相続をスムーズに遂行するためには、信頼できる弁護士への依頼がおすすめです。個人で遺言書を作成すると、どうしてもミスが起きやすくなるでしょう。

弁護士に遺言書作成を依頼すれば遺言書の不備による後々の相続トラブルが避けられます。万が一相続トラブルが起こっても弁護士が代理人として交渉を行ってくれるため、円滑に事態を収拾できるでしょう。

場合によっては相続財産の放棄を決断する

故人に借金などのマイナスの財産があった場合、相続人は遺産相続を放棄するのも選択肢のひとつです。ただし相続放棄をする場合は、マイナスの財産とプラスの財産のすべてを放棄することになります。

相続放棄には、必ず家庭裁判所への「相続放棄申述書」の提出が必要です。家庭裁判所での手続きをしていない場合は、法定相続分に応じて財産を相続しなければいけなくなるため注意が必要です。

参考:遺産の相続破棄とは?財産放棄との違いから手続き方法まで詳しく解説 – RashiK

遺言書が無効になるケース

遺言書は民法の規定にしたがって作成したものでなければ、遺言書として機能しません。遺言書に不備があれば、遺言者が望む財産分与は叶わなくなってしまいます。ここでは、無効となる遺言書のケースについて確認していきましょう。

本人以外が書いたケース

自筆証書遺言では、遺言書本人による自筆が原則です。本人以外が書いたものは、遺言書としての効力がありません。

ただし平成31年の民法改正によって、「財産目録」のみ自筆でなくてもよいこととなったので覚えておきましょう。

2人以上の共同で書いたケース

二人以上でひとつの遺言書を作成することは、民法で禁じられています。これは共同で作成した場合、撤回や変更を希望する遺言書個人の自由意志が反映されなくなる恐れがあるためです。仮に夫婦が同じ書面で遺言を記したとしても、無効となってしまいます。

日付・日時が特定できないケース

日付・日時を記載していない遺言書は、無効です。遺言書の日付の書き方には決まりはないため、「○年○月○○日」のように日時がはっきりと分かる表記で書き添えましょう。「◯年◯月吉日」というような、日時が特定できない曖昧な表記も無効です。

レコーダーなどで録音したケース

民法では、録音による遺言は認めていません。これは録音の場合は編集が容易であることや、声が遺言者本人のものであるのかを確かめることが難しいなどの理由によるものです。

民法では、レコーダーのような偽造・変造が容易なものによる遺言を厳しく禁じているので注意しましょう。

認知症などで本人の判断能力が低下しているケース

遺言書の作成時に遺言者が認知症などの症状を患っていた場合には、本人に正常な判断能力がないとされ遺言書は無効となります。これは作成した遺言書が、本当に本人の意思に沿って書かれているのかが疑わしいためです。

遺言者に判断能力がないような場合、自分に有利になるような遺言内容を誰かが遺言者に書かせたという可能性があると判断されることがあります。

あわせて読みたい 遺言書の書き方や無効になるケースと対処法について詳しく解説 遺言書の種類は、大きく分けて3種類あります。それぞれの意味と書き方を理解しておかなければ、作成しても無効となってしまいます。きちんとした遺言書を作成するために… 続きを見る

よくある質問

Q:日付が違う遺言書が出てきた場合どうすればよいの?

A:遺言書は、最新の日付のものが有効です。民法上では、古い遺言書は新しい遺言書を作成した時点で「取り消し」となるとしています。なお日付がない遺言書がある場合には、日付の新しい古いに関わらず効力を持つのは日付の記載のある遺言書のほうです。


Q:拇印はどの指ですればよいの?

A:拇印は、どの指で行っても問題ありません。自筆証書遺言での押印は、実印でない認印や拇印でも構わないことになっています。

ただし後々遺言書の有効性を問うような事態に陥った場合、拇印だと本人のものであることを証明するのが非常に困難です。遺言書への押印は、極力実印で行うのが望ましいでしょう。


Q:遺産をすべて1人に相続させると書かれていた場合はどうなるの?

A:相続人が合意すれば、分割で相続ができます。相続人全員が遺言内容に反対する場合には、遺言内容に従う必要はありません。相続人間で「遺産分割協議」を行うことで、相続人全員が納得できる形の遺産分配を実現できます。

ただし遺言執行者を設置している場合には、遺言内容に反した遺産分割はできないことがあるため注意が必要です。


Q:相続人が放棄した遺産はどうなるの?

A:相続放棄をするとその人は相続人から外れるため、残りの相続人で遺産分割協議を行って分配割合を決めます。相続放棄をする人がいる場合は相続割合が増えるため、残りの相続人はより多くの財産を相続することになるでしょう。

ただし財産にはプラスのものと借金などのマイナスのものがあるため、この点も含めた協議が必要です。


Q:英語で遺言書を書いても大丈夫なの?

A:遺言書は、英語であっても有効となります。ただし遺言の種類によっては、翻訳文を添付する必要があるため注意が必要です。また英語による遺言書も従来どおり、民法で定める規定に沿った形式で書かれたものでなければ効力がありません。


Q:パソコンで書いた遺言状は有効なの?

A:2019年1月13日の民法改正によって、自筆証書遺言の「財産目録」に限りパソコンで作成できるようになりました。またパソコンで作成した書面以外にも、コピーした書面や不動産登記簿謄本などの添付も認めています。

ただし、遺言書本文に関してはこれまでどおり自筆で作成する必要があるため注意しましょう。


まとめ

遺言書は自分の財産をどのように残したいのかを示す、遺言者の意思表示です。遺言者の希望を叶えることはもちろんのこと、死後の不要な相続トラブルを避けるためにも、遺言書は規定に則った正しい形式で作成するようにしましょう。

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