遺言信託を活用して、相続トラブルを防ごうとすることがありますが、どのような場合に有効なのでしょうか。遺言を希望通りに実行させるためには、正しい知識を身に付けておくことが必要です。
この記事では、遺言信託の流れ、費用、メリット、デメリットについて詳しく解説します。
<この記事の要点>
・遺言信託とは、遺言書の作成を支援し、完成した遺言書を保管して死後に遺言の執行を行うサービス
・遺言信託をする際は、まず信託銀行などの金融機関に相談する
・遺言信託契約の締結には、数十万円~100万円程度の費用が必要
こんな人におすすめ
遺言信託について知りたい人
遺言信託の流れについて知りたい人
遺言信託のメリット・デメリットについて知りたい人
遺言信託には、信託銀行などが提供するサービスと、法律上の遺言信託の2種類があります。また、遺言代用信託や民事信託といった、よく似た言葉もあります。それぞれの違いについて解説します。
遺言信託には2種類ありますが、ここでは、信託銀行や証券会社が提供するサービスについて説明します。遺言内容についての相談を受け、遺言書の作成を支援し、完成した遺言書を保管し、亡くなった後に遺言の執行を行うサービスです。
遺言内容を決められない人や、遺言書作成に不安がある人、遺言書を信頼できる組織に預かってもらいたい人などが利用しています。
法律上の遺言信託とは、遺言による民事信託の設定のことであり、信託銀行などが提供するサービスとは異なります。
遺言書に、信託財産、財産の管理・処分を任せる「受託者」、信託財産から利益を受け取る「受益者」を記載して、信託を行うことです。
遺言代用信託も信託銀行が提供するサービスですが、遺言信託とは異なります。遺言代用信託では、まず財産を信託銀行に信託し、受取人を指定しておきます。
生前は財産を本人のために運用してもらい、死後は信託銀行から財産を受取人に渡すというサービスです。
民事信託は家族信託とも呼ばれ、家族の中から自分の財産を管理する人を選び任せます。信託契約を家族と結んでおけば、たとえ自分が認知症などになっても財産の管理をしてもらえるので安心です。
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遺言信託はどのような手順を踏んで行われるのでしょうか。実際の流れについて、金融機関への相談、遺言書の作成、遺言信託契約を結ぶ、遺言の執行の順に解説します。
まずは信託銀行などの金融機関に、遺言書作成に向けての相談をしましょう。どのような財産があり、相続人や受遺者それぞれに何を受け継がせたいのかを伝えます。
相談内容に対して、金融機関から遺言書作成についてのアドバイスをもらい、遺言書の内容を決定しましょう。
遺言信託の場合は「公正証書遺言」を作成するのが一般的です。公証役場へ行って申込みをして作成します。その際に、遺言執行者を信託銀行に指定することを記載しましょう。公正証書遺言には証人が2人以上必要です。場合によっては、信託銀行の職員がなってくれることもあります。
遺言書作成後は、信託銀行と遺言信託契約を結びます。この際に「死亡通知人」を指定しなければなりません。遺言者が亡くなったときに、死亡通知人は信託銀行に連絡する役割を担います。
公正証書遺言には、原本・正本・謄本の3種類があり、原本は公証役場、正本は信託銀行、謄本は遺言者本人が保管します。
遺言者が亡くなった際には、死亡通知人が信託銀行に連絡します。信託銀行は遺言書に書かれている内容を相続人に説明し、相続財産の調査、財産目録の作成などを行います。遺言信託が終わるのは、遺産の分配が完了したときです。
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遺言信託にはどのような費用がどれくらいかかるのでしょうか。信託銀行に支払う費用は金融機関によって異なります。以下に税別の目安金額を示したので参考にしてみてください。
・遺言信託契約:30万円~100万円程度
・遺言書の保管:年間5,000円程度
・遺言の執行:遺産の0.3%~2%程度
ただし、遺言の執行時には、30万円~100万円程度の最低報酬額が設定されている場合が一般的です。その他にも、公正証書遺言の作成や必要書類の取得に必要な費用が発生します。
遺言信託にはメリットとデメリットがあります。両方について理解した上で、活用するかどうかを判断しましょう。まずは遺言信託の4つのメリットについて紹介します。
法的に有効な遺言書を作成するには、正式な形式のものにしなければなりません。また、遺言書の内容によっては、後に相続トラブルが発生してしまうかもしれません。信託銀行に遺言書の作成を支援してもらえば、有効で適切な内容のものができます。
遺言を執行するには、書類を整えるなどの手続きを行わなければなりません。相続人が引き受ける場合には、大きな負担になるでしょう。信託銀行に遺言執行者になってもらえば、相続人の負担を軽減させられるとともに、確実に遺言者の意向を実現できます。
遺言信託を活用しなくても、遺言書の作成、執行などは弁護士や司法書士に依頼できます。ただし、信託銀行に遺言信託をしてもらう場合には、遺言書の保管、執行を銀行組織が行うことになります。そのため、保管が長期にわたったとしても、安心してサポートしてもらえるでしょう。
自筆証書遺言を作成した場合には自宅で保管できますが、いくつかのリスクがあることを理解しておかなければなりません。
まず、遺言書を相続人に発見されない可能性があります。また、火災などにより遺言書がなくなってしまうこともあるでしょう。遺言書が発見されても、発見者に破棄されてしまう場合もあります。
遺言信託の場合は、信託銀行に遺言書を安全に保管してもらえるので、遺言の内容を確実に実行してもらえます。
遺言信託には、メリットだけではなくデメリットもあります。費用がかかる、身分上の行為は引き受けてもらえない、親族間でトラブルがあると断られるという3つのデメリットについて解説します。
前述したように、遺言信託には決して安くはない費用がかかります。つまり、相続財産は費用の分、少なくなってしまうのです。
費用が発生してしまうこと自体が、相続時のトラブルにつながらないように注意する必要があります。
信託銀行が遺言信託において携われるのは、財産に関する遺言の執行です。子どもの認知や、特定の人を相続人から外すことなど、身分上の行為は引き受けてもらえません。身分に関することについては、弁護士などに相談する必要があります。
親族間でトラブルがある場合や、一部の相続人の遺留分を侵害する遺言内容であるなどトラブルに発展しそうな場合には、遺言信託を依頼しようとしても、信託銀行から断られるのが一般的です。
また、相続時にトラブルが発生した場合には、信託銀行が遺言執行者になれない場合もあります。
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信託銀行が提供する「遺言信託」サービスは、遺言書の作成を支援し、遺言書を保管して、遺言執行者になってもらえる便利なものです。その反面、費用がかかってしまいますが、必要に応じて上手に活用しましょう。
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