般若心経とはどのような宗派か?ほかの宗教との関係とは?

般若心経とはどのような宗派か?ほかの宗教との関係とは?

仏教には「お経」という仏様の教えをまとめたものがあります。そのなかでも多くの人が知っているお経といえば「般若心経」です。しかし、この単語自体は聞いたことがあっても、「どのような宗派で使われ、どういった意味があるのか分からない」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、気になる意味や宗派との関係などについて分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、覚えておきたい基本知識が身につき、仏教についてさらに深く理解できるでしょう。

こんな人におすすめ

般若心経とはどのような宗教なのかを知りたい方

般若心経とほかの仏教について知りたい方

般若心経を題材とした書籍について知りたい方

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般若心経とはどのような宗教なの?

まずは、日本では多くの人が耳にしたことのある「般若心経」には、どのような意味があるのかを解説していきます。知る人の少ない本当の名前や内容のすべてをチェックすることで、より深く理解が深まるでしょう。ここでは、3つの項目に分けて、把握しておきたい基本知識を紹介します。

般若心経とはなにか?般若心経の本当の名前とは?

正式名称は「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」といいます。別名は「プラジュニャーパーラミターフリダヤ」です。

「般若」は観自在菩薩の「智慧(プラジュニャー)」を指し、「波羅蜜多」には「浄土にわたる」という意味があります。これらをまとめた意味は「智慧の完成」です。私たちを浄土へ導こうとする内容であり、「仏陀の考え方にとらわれない」といった意味も込められています。

名前をきくと恐ろしい顔をした日本の「般若」をイメージする方もいますが、それとは関係がありません。

般若心経は観自在菩薩とシャーリプトラとの対話

このお経には、人々の苦しみを聞いて救いを与えてくださる観自在菩薩と、お釈迦様の弟子で仏陀の十大弟子の1人とされるシャーリプトラとの対話がまとめられています。

内容の全体像は、仏教の基本である「空」の思想についての解説です。真実の世界では、この世にあるような形があるものは存在せず、人間の悩みや苦しみといった概念すらも存在しないとされています。これが「空」の考え方です。これを知った仏は心安らかな存在であり続けます。このような悟りの境地について説かれた内容といえるでしょう。

般若心経のお経のすべて(漢文)

今のうちに一度は見ておきたい全文をチェックしてみましょう。以下が漢文で記された全文です。

仏説摩訶般若波羅蜜多心経
(ぶっせつまか はんにゃはらみた しんぎょう)
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空
(かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ しょうけんごうんかいくう)
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空
(どいっさいくやく しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう)
空即是色 受想行識 亦復如是 舎利子 是諸法空相
(くうそくぜしき じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ しゃりし ぜしょほうくうそう)
不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中
(ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん ぜこくうちゅう)
無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法
(むしきむじゅそうぎょうしき むげんにびぜっしんい むしきしょうこうみそくほう)
無眼界乃至無意識界 無無明亦無無明尽
(むげんかいないしむいしきかい むむみょうやくむむみょうじん)
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得
(ないしむろうし やくむろうしじん むくしゅうめつどう むちやくむとく)
以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故
(いむしょとくこ ぼだいさった えはんにゃはらみったこ)
心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想
(しんむけいげ むけいげこ むうくふ おんりいっさいてんどうむそう)
究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故
(くうぎょうねはん さんぜしょぶつ えはんにゃはらみったこ)
得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多
(とくあのくたらさんみゃくさんぼだい こちはんにゃはらみった)
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪
(ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ)
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪
(のうじょいっさいく しんじつふこ こせつはんにゃはらみったしゅ)
即説呪日 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
(そくせつしゅわつ ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい)
菩提薩婆訶 般若心経
(ぼじそわか はんにゃしんぎょう)

このように漢文だけだと読解が難しいかもしれません。次の章では、概要や要約について解説していきます。

般若心経を日本語で概要・要約するとどうなるか

次に気になるのが、日本語での概要や要約ではないでしょうか。実は、般若心経は4つのパートに分かれていて、仏教でも重要とされている「空」の思想について触れられています。

漢文だけ読むと難しく感じますが、内容が複雑なわけではありません。この章を読んで、日本語での概要や要約を把握しておきましょう。

般若心境は4つのパートに分かれている

般若心経は、実は以下のように4つのパートに分かれています。それぞれのパートに分けると、概要がより理解できるかもしれません。

・誰が思想を得たのかの説明
・シャーリプトラへの呼びかけ
・「空」の思想について
・悟りの境地に至るための真言

これを見ると、物語のように続いているのが分かります。

最後の悟りの境地に至るための真言は「マントラ」とも呼ばれる重要なパートです。次項で、より細かく説明していきます。

五蘊(色・受・想・行・識)とは何か

般若心経では、五蘊(色・受・想・行・識)について触れられます。五蘊とは、人間の意識をつくっている5つの要素のことです。

1つ目の要素が「色蘊(しきうん)」で、肉体などの物質を意味します。2つ目の要素が「受蘊(じゅうん)」で、人間が感じるものです。3つ目の要素は「想蘊(そううん)」で、人が想うものを意味しています。4つ目が「行蘊(ぎょううん)」で人間が行うこと、5つ目が「識蘊(しきうん)」と呼ばれ、人間が認識するものです。

「空」の思想とはどのようなものか

般若心経では「空」の思想に関する内容が大きな割合を占めています。「空」とは「この世の形あるものや考え、苦しみなどは存在しない」という考え方です。

空の思想をもつと、全ての夢想や欲から離れることができ、ニルヴァーナへ至ることができると説明されています。この世にあるものは、全て実体があるようにみえるのではないでしょうか。しかし、分解していくと実態はなくなります。

これは物理学でも同じで、先ほど説明した五蘊にも実体はありません。このように、なにごとにも実体がなく、その事実から出てくる考えについて説明しています。

マントラの訳され方は複数ある

最後のパートではマントラ(真言)について書かれています。書かれている真言の文字数は以下の全22文字です。

「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提僧莎訶」

漢文だけみると意味が分からないかもしれませんが、重要なパートといわれています。このマントラには決まった和訳がありません。ここでは、一般的に知られている2つの訳を紹介します。

・「往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、彼岸に全く往ける者よ、さとりよ、幸あれ」
・「智慧よ、智慧よ、完全なる智慧よ、完成された完全なる智慧よ、悟りよ、幸あれ」

どちらにせよ、最後の「幸あれ」というメッセージは変わりません。

般若心経とほかの仏教はどのような関係にあるか

日本の文化は仏教と深い関わりがあるので、日本に住んでいる方であれば、その名前を聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、仏教とどのような関わりがあるかと聞かれると具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。ここでは、ほかの仏教との関係について分かりやすく説明していきます。

般若心経と法相宗・天台宗・真言宗・禅宗

天台宗や真言宗では、炎の前でお経を唱える護摩行や、ほかの勤行で般若心経が読まれます。一度読むだけではなく、お導師様がストップの合図をするまで何回も読経するのが基本です。法相宗や禅宗でも、それぞれの解釈で唱えられています。

一方、浄土真宗や日蓮宗などでは、ほとんど唱えられることはありません。ただし、唱えられることはなくても、それぞれの宗派で解釈自体はもっているというのがポイントです。

多くの宗教の根幹となっている般若心経

般若心経は多くの宗教の根源となっているものです。全262文字という短い内容ではありますが、そこには仏教の大切な教えが説かれています。

お経のなかには何百巻でひとつという非常に長いものもあるようです。そう考えると、短くても大切な内容が含まれている般若心経が、多くの宗派で使用されている理由が分かります。心を落ち着ける毎日の祈りとしても使えるお経といえるのではないでしょうか。

般若心経が「難しい」といわれる理由

概要や要約の説明である程度の意味は分かっても、全てを深く理解するのが目的になると、般若心経は難しいといわれます。仏教のなかでも有名なお経ではありますが、なぜ「難しい」といわれるのでしょうか。般若心経が初心者向けではないといわれる理由を、2つの項目に分けて説明していきます。

般若心経を理解する前に勉強すべき経典がある

実は、般若心経をしっかり理解するのであれば、事前に勉強すべき経典があります。それが「阿含経(あごんきょう)」「方等経(ほうどうきょう)」です。

阿含経は、お釈迦様が因果の道理を説いたものとされます。ここでは、十二因縁や四聖諦が教えられています。はじめに勉強しておくべき経典といえるでしょう。方等経は「維摩経」「勝髪経」「阿弥陀経」などを総称したものです。

ともに般若心経の前に説法された内容なので、まずはこの2つを勉強することで般若心経への理解がより深まるでしょう。

般若心経は初心者向けではない

般若心経がお釈迦様によって説かれた時期は後期にあたるため、初心者向けとはいい難いお経です。先にこれを理解しようとすると、仏教の基本的な教えを誤解してしまう恐れがあります。

まずは因果の道理を説いている阿含経を勉強し、次に方等経を理解していきましょう。ちなみに、より理解が難しいお経も多くあります。仏教の教えを理解するためには、地道な勉強が必要不可欠といえるでしょう。

般若心経を題材とした書籍

ここまでの解説を読んで「もっと深く理解を深めたい」と考えている方は、書籍での学習がおすすめです。書籍は誰でも手に入れやすく、内容について細かく説明されているものが多くあります。

価格もそれほど高くないので、より詳しく調べたい方は般若心経を題材にしている書籍をチェックしてみましょう。ここでは、読んでおきたい4つの本を紹介します。

『般若心経とは何か―ブッダから大乗へ』

中古本でも多く出回っている書籍が『般若心経とは何か―ブッダから大乗へ』です。タイトルからも分かるように、般若心経をメインの題材として扱っています。お経のなかで伝えられている真実のメッセージを読み解くのがこの本のテーマです。

著者は1948年生まれのインド哲学を専攻している博士なので、信頼度の高い1冊といえるでしょう。

『ブッダが考えたこと 仏教のはじまりを読む』

仏教はインド哲学と密接に関係しています。この本では、仏陀が得た「悟り」の本質を、インド哲学の内側から考えていくのがテーマです。上記で紹介した『般若心経とは何か―ブッダから大乗へ』と同じ宮元啓一氏が書いています。人間を超越している仏陀の思想や知性を知りたい方にはおすすめです。

『NHK「100分de名著」ブックス 般若心経』

NHKの『100分de名著』は、全国のファンから支持されている人気シリーズです。わずか262文字しかない般若心経ですが、具体的な内容は深く難しいものです。こちらはかみ砕いた説明になっており、本記事でも紹介した、「空」の意味や「色即是空」の意味などを理解できるでしょう。

『般若心経 ─まんがで読破─』

活字を読むのが苦手な方に人気のシリーズが「まんがで読破」です。難しい単語も多く、文章だけだと理解が難しいという方も、漫画で読めば頭に入りやすいのではないでしょうか。

般若心経には、「迷い苦しむ人々を救いたい」という願いが込められています。本当の幸せについても説かれている般若心経の全貌を、この漫画をとおして学んでみてはいかがでしょうか。

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まとめ

ここまで、般若心経の要約やほかの仏教との関係などについて解説してきました。仏教と深い関わりをもつ日本では、最も有名なお経といえますが、その内容を知っている方は多くありません。一見すると難しく感じるかもしれませんが、ここで紹介した日本語訳や要約を確認すると大まかな内容は把握できるのではないでしょうか。

般若心経は葬儀でも読経されます。内容を把握することで、故人のご冥福をより強い想いでお祈りできるかもしれません。宗派によるお経や法要の違いについて疑問がある方は、『小さなお葬式』にご相談ください。24時間いつでもお問い合わせを承っています。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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