浄土宗で使われる鳴り物にはどのようなものがあるかわからない、使い方がわからないという方もいるのではないでしょうか。浄土宗の葬儀は鳴り物の種類が多く、何のために使われるか、わかりにくいかもしれません。
そこでこの記事では、浄土宗の葬儀で使われる鳴り物の種類と使い方について解説します。浄土宗で使われる鳴り物の意味や種類を把握することで、澄んだ心で弔いができるでしょう。
<この記事の要点>
・鳴り物には「何かの合図として使われるもの」と「お経を唱えるリズムをとるもの」の2つがある
・浄土宗の鳴り物は8種類あり、それぞれ特定の用途がある
・鳴り物には読経のリズムを整えて精神統一を図り、空間を清める役割がある
こんな人におすすめ
仏具の鳴り物の種類や役割を知りたい方
浄土宗の葬儀で使われる鳴り物は何かを知りたい方
浄土宗とそれ以外の宗教で使われる鳴り物の違いを知りたい方
仏具で使われる鳴り物には、「何かの合図として使われるもの」と「お経を唱えるリズムをとるもの」の2つの用途があります。
合図として使われるものの例としては、妙鉢・銅鑼・大徳寺りんなどです。お経のリズムをとるために使われるものとしては、木魚・音木・鉦吾などが代表的なものでしょう。浄土宗ではこれらのものすべて使われる可能性がありますが、宗派によっては使われない鳴り物もあります。
浄土宗の葬儀で使われる鳴り物は8種類あります。8種類の鳴り物はそれぞれで使い道や使うタイミングが変わるため、きちんと把握することが大切です。こちらでは、浄土宗の葬儀で使われる8種類の鳴り物の特徴についてご説明します。
大徳寺りん(だいとくじりん)とは、読経をするときに使う鳴り物です。りん棒という専用の棒で叩くと「チーン」と澄んだ音が鳴ります。大徳寺りんの音で空間を清め、邪気を払うことが主な目的です。
この道具は読経の始まりと終わり、読経中に調子を取るときに使います。禅宗で使われることが多かったのですが、現在では宗派問わず使われているようです。
寺などで使われるものは大徳寺りんではなく、磬子(けいす・きんす)といわれており、音が仏様まで届くとされています。大徳寺りんは家庭用の少し小さめのものがあり、寺などで使用されるものは18センチメートル以上のものです。
木魚(もくぎょ)は杢魚ともいい、読経のときに使われる鳴り物です。打ち鳴らしながらリズムを整え、精神統一をするために使われます。単調なお経は眠気を引き起こすため、「昼夜問わず寝ない」という習性がある魚にあずかり、木魚に眠気防止を託しています。
妙鉢(みょうばち・みょうはち)は鉢(はち)とも呼び、シンバルのような形の鳴り物です。使い方はシンバルのように叩いて鳴らす方法だけではなく、擦り合わせるように鳴らす方法もあります。木でできているため、「カンカン」とシンバルよりも軽い音が鳴るのが特徴です。
元々は中国から伝わり、日本では平安時代初期から使われ始めました。法要の開始や終了の際に鳴らし、「仏様を呼ぶ」「お帰りいただく」という意味があります。
銅鑼(どら)は青銅または真鍮でできた円盤をバチで叩いて音を鳴らす鳴り物です。寺での法要のときに使われ、「ジャーン」という大きな音を聞いたことがある方もいるでしょう。お客様の送迎時の合図や、法要の際に使われます。銅鑼は妙鉢とセットで使われることも多く、妙鉢に合わせて銅鑼の音を響かせるように鳴らします。
懺法太鼓(せんぼうだいこ)とは、読経のときに使用する小型の太鼓です。片手で懺法太鼓の片側を叩き、主にお経を読むときに使います。金属製の輪に指をかけ、片手で持てるくらいの大きさがほとんどです。片面にのみ革を張っているため、通常の太鼓より少し軽めの音が鳴ります。
一般的な懺法太鼓の大きさは、太鼓の径が24センチメートル~36センチメートル程度です。無地のものと、竜など懺法太鼓柄が入ったものの2種類があります。
音木(おんぎ・おぎ)とは、木を2つ合わせて使う鳴り物です。木と木がぶつかり「カンカン」と軽い音が鳴り、複数人で読経をするときにリズムをとり、速度を調整するために使われます。
紫檀(したん)や黒檀(こくたん)、樫(かし)などの木が主な原料です。音木の形はそれほど変わりませんが、大きさは12センチメートル~24センチメートル程度まであり、長さの種類はいろいろあります。
鉦吾(しょうご)とは、おつとめを行うときに使う金属製の鳴り物です。畳台という鉦吾専用の台の上に置き、支木(しもく)という棒を使い叩いて音を鳴らします。念仏中にリズムをとるために使われます。
金物のため大徳寺りんと似ていますが、大徳寺りんと比べると厚みがありません。大徳寺りんよりも少し軽めの音が鳴ります。レストランなどに置いてある、呼び鈴の音をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
印金は小型の大徳寺りん(おりん)のことです。用途は大徳寺りんと同様、りん棒で叩いて澄んだ音を鳴らします。大きさは4センチメートル~6センチメートル程度で、携帯しやすくなっていることが特徴です。お坊さんが外に法要に行くときや、立ったまま音を鳴らすときなどに使います。小さいながら、鳴る音は大徳寺りんとほとんど変わりません。
鳴り物は種類が非常に多いですが、実際にどの鳴り物を使うのかは宗派によって異なります。宗派ごとに使う鳴り物をまとめたのが以下の表です。
浄土真宗・西 | 浄土真宗・東 | 真言宗 | 浄土宗 | 日蓮宗 | 天台宗 | 曹洞宗 | 黄檗宗 | 臨済宗 | |
大徳寺りん | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
木魚 | × | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
妙鉢 | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
銅鑼 | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
懴法太鼓 | × | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
音木 | ○ | × | ○ | ○ | × | × | ○ | × | × |
鉦吾 | × | × | ○ | ○ | × | × | ○ | × | × |
印金 | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
浄土宗や真言宗では、大徳寺りん・木魚・妙鉢・銅鑼・懺法太鼓・音木・鉦吾・印金とご紹介したすべての鳴り物を使用します。浄土宗で特に使われることが多いのが、木魚や鉦吾です。念仏を唱える際の合いの手として、木魚や鉦吾を鳴らしながら行われます。
浄土真宗以外の宗派でも鳴り物は多く使われますが、鉦吾や音木を使う宗派はそれほど多くありません。浄土宗は鳴り物の種類が豊富なことで知られています。
浄土宗の通夜や葬儀の式次第は、宗派ごとに細かい違いがあったり浄土宗特有のものがあったりする場合があります。しかし大まかな流れは同じであることがほとんどです。こちらでは、浄土宗の通夜や葬儀の式次第について解説します。
浄土宗の通夜では故人を北枕で寝かせ、顔には白布、胸元に守り刀を置きます。白装束で行うことが一般的ですが、近年では故人がよく着ていた服装で行う場合も増えてきました。
通夜のあいだは、ろうそくや線香の火を絶やさないようにしながら静かに弔います。浄土宗で行われる通夜は、ほかの宗派の通夜と比べても大きな違いはありません。現在では半通夜と呼ばれ、1時間~2時間程度で終わる簡単な通夜が一般的です。浄土宗の通夜は以下の流れで進行します。
・僧侶の入場
・読経
・焼香
・喪主からの挨拶
鳴り物については読経の際に使われます。しかし浄土宗の宗派によっても違いがあるため、気になる場合には葬儀社に確認するのがおすすめです。
浄土宗の葬儀の流れは以下のとおりです。大まかな流れはほかの宗派と大きく変わるものはありませんが、読む経典や細かい式辞の違いがあります。
・奉請(ぶじょう):仏様の入場を祈願する。
・剃度作法・十念:頭を剃る仕草を行い、十念を唱えます。
・授与戒名:故人に戒名を授与します。
・念仏一会(ねんぶついちえ):参列者含め、念仏を唱えます。
・回向(えこう):念仏を唱え、極楽浄土に行けるよう願う儀式です。
・香偈(こうげ)、三宝礼、奉請、懺悔偈(ざんげげ):鐘や太鼓などの鳴り物を鳴らし、仏様を道内にお招きします。
・念誦、下炬引導、念仏一会、回向(えこう):念仏を唱え、参列者の焼香もこのタイミングで行います。
・総願偈(そうがんげ)、三身礼(さんじんらい):仏様への帰依を誓う儀式です。
・送仏偈(そうぶつげ):仏様と故人を極楽浄土に送る儀式です。
浄土宗の葬儀では、入堂・香偈・三宝礼・奉請・懺悔偈のタイミングで鳴り物を使います。参列者の焼香は、念仏一会のタイミングで行われることを覚えておきましょう。念仏一会の始めと終わりにも鳴り物が鳴らされます。
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浄土宗の葬儀・法要の特徴やマナー
鳴り物は種類がいくつかありますが、お寺用のものと家庭用のものがあり大きさなどが異なります。しかし目的は変わるものではなく、役割などもほとんど変わりません。こちらでは、お寺と家庭用の鳴り物の違いを解説します。
寺院で使われる鳴り物と家庭用の鳴り物の違いがあります。その中でも違いが現れやすいのが「おりん」です。おりんは寺にあるものと家庭にあるもので呼び方が変わり、お寺のものを「磬子」、家庭用のものを大徳寺りんといいます。
これらのおりんの違いは大きさです。家庭用の少し小さめのもので7センチメートル~15センチメートル、寺などで使用されるものは、18センチメートル以上あります。
「おりん」は読経の最初と終わりの合図として使われることが多い鳴り物です。読経中も鳴らすことがありますが、打つタイミングや回数が宗派によって定められています。
おりんを鳴らすと「チーン」と澄んだ金属音が鳴りますが、この音によって人々の邪念や空気を清める、供養や祈りを極楽浄土に届けることが役割です。おりん自体はほとんどの宗派で使われています。おりんの形や形状に決まりごとは多くありませんが、宗派によっては決まりごとがある場合もあるので、年長者などに確認をしましょう。
浄土宗でおりんを鳴らすのは主に読経の始めと終わりのタイミングです。お参りのときにも鳴らす人がいますが、これは作法としては間違っています。読経をしないお参りなどではおりんを鳴らしません。
宗派によってはおりんの鳴らし方や鳴らすタイミング、回数まで定められています。たとえば浄土真宗本願寺派の場合は始め2回、途中1回、最後に3回です。細かいマナーは宗派ごとに異なるため、それぞれの寺や葬儀社に確認しましょう。
浄土宗の葬儀は宗派がいくつも分かれており、その宗派や地域性によっては細かい作法が異なっていることもあります。そのため、正式な葬儀の作法は寺や葬儀社などのプロに確認することが重要です。
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浄土宗の葬儀で使われる鳴り物の種類や特徴、葬儀の作法について詳しく解説しました。浄土宗の葬儀では多くの鳴り物が使われますが、実際に使われる鳴り物や作法については宗派や地域ごとに異なります。
正確な鳴り物や手順については、寺や葬儀社に確認することがおすすめです。小さなお葬式では浄土宗の鳴り物についての質問などを、宗派や地域ごとの違いを把握したスタッフが対応しています。わからないことがあれば、お気軽にご相談ください。
お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
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訃報は、死亡確定後、なるべく早く届けることが大切です。ホゥ。