葬儀費用を兄弟同士で負担し合うときのトラブルを避ける4つのコツ

葬儀費用を兄弟同士で負担し合うときのトラブルを避ける4つのコツ

いつかは必ず来る親との別れですが、突然の葬儀となることもあるでしょう。あまり考えたくはないですが、親が亡くなった場合に心配なのが、葬儀費用です。実際のところ、葬儀が終わるや否や、葬儀社への支払いが発生します。

とくにお布施は、葬式当日にお寺に払わなければなりません。あらかじめその分のお金を確保しておくといいでしょう。

今回は、費用について大きな負担になり、兄弟同士で折半ができないか考えている方に、折半し合うときのトラブルを避けるコツや方法をご紹介します。

こんな人におすすめ

葬儀費用は誰が負担するのが一般的か知りたい方

葬儀費用の負担に関するポイントを知りたい方

兄弟間で葬儀費用のトラブルを避けるコツを知りたい方

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葬儀費用は喪主が負担することが一般的

葬儀費用は、いったい誰が支払うのでしょうか。実は法律上では、とくに規定はなく、喪主をされた方が支払うことが一般的です。民法の897条を確認しましょう。

(祭祀に関する権利の承継)第八百九十七条 系譜、祭具および墳墓の所有権は、前条の規則にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するただし、被相続人の指定。ただし、被相続人の指定にしたがい祖先の祭祀を主宰すべき者があるときはそのものが承継する前項本文の場合において慣習があきらかでないときは、同項の権利を継承するべき者は、家庭裁判所が定める
▶ 引用:民法 明治二十九年法律第八十九号

この祖先の祭祀というのは、葬儀も含みます。祭祀権を継承・所有している方が喪主となるのが最適といって差し支えないでしょう。どうしてももめてしまった場合は、最終的には家庭裁判所に「祭祀継承者」を決めてもらいます。

葬儀費用の兄弟折半に関する判例

葬儀費用を喪主が支払うべきなのか、兄弟が相続人の場合は長男が支払うものなのか、代金の支払いで後からトラブルになるのは避けたいものです。費用は親の預貯金から捻出すればいいのではないかと思う方もいるでしょう。

そこで、費用の負担について、支払いを求めて裁判となった、平成24年3月29日判決 名古屋高等裁判所の例をご紹介します。

判例の内容

亡くなったAの兄弟にあたるBとCのうち、今回喪主を務めたBは、「葬儀費用はAの相続財産・遺産から支出することが予定されている。そのため、葬儀費用はAの遺産の相続人となっているEの子どものD、Eが負担するべきである」と主張したのです。

Bは「葬儀会場でDに喪主の話が出たが断ったため、自分が喪主を引き受けた」「生前Eが、自分に対して自分が死亡したときには葬儀費用は自らの年金から支出することができるため、自分とCに迷惑はかからないと述べていた」という理由を証言します。

Aの子どもであるDとEはAと何年もの長い間別居状態であり、ほぼ絶縁している状態でした。そのため、Eは葬儀にも参加せず、Dは参加したものの喪主の要請を断ります。一方、Aは兄弟であるBとCの間には親密な交流があるという状況です。

判例の結果

この判例の結論ですが、「葬儀費用は、その葬儀を計画して実行した人(喪主)が負担すべきである」ということです。葬儀を行った後に、BがAの子どもたちに請求したものですが、今まで話し合いもないままに、故人の兄弟が独断で葬儀を執り行ったというケースでした。

最終的に葬儀は喪主が自分の責任において行ったことであることから、DとEには支払い義務がなく、Bの請求は棄却されました。費用はそれを主宰したBが負担すべきで、子どもたちには支払いの義務はないという結論です。

Bの証言はすべてが法的に根拠のないということとなり、いずれも棄却されましたが、この裁判例では、必ずしも相続人が負担するということではないとも言及しています。

葬儀費用の負担に関する4つのポイント

ここでは、負担に関する4つのポイントを解説します。決して少額ではないため、負担先をめぐってトラブルになることもあるかもしれません。上述のとおり、基本的には喪主が負担しますが、相続した財産や香典を充てることも可能です。また、協議を行えば、兄弟で折半することもできます。もめないためにも、費用の負担について理解しておきましょう。

生前の取り決めがない場合は喪主が葬儀費用を負担

亡くなった方とその子どもがとくに取り決めをしていない場合は、基本的には葬儀費用は、喪主が負担することになります。故人の相続人や関係者の間で負担について合意がない場合は、追悼儀式にかかる費用について、葬儀を主宰したものが負担するのがベストであるとされているのです。

つまり、喪主が必ず全額負担をしなければならないというわけではなく、事前に話し合いなどでどのようにするのかを決めておけば、問題を回避できるのです。

相続した財産の中から葬儀費用を支払うことができる

相続した財産を、費用としてかわりに充てることができます。また、相続財産が確定した段階で、喪主が一時的に立て替えることも可能です。葬儀はあくまでも死後の契約事項なので、相続分で葬儀を執り行うと、トラブルになってしまう可能性もあります。そのため、財産から支払う場合は、相続人全員の同意が必要です。

故人が生前に第三者などと費用や規模などについて詳細な契約がなされ、契約にのっとり施行された場合には、相続財産から支払うことが可能です。死後のことについて同意事項や遺言書があれば、故人の遺志をくみ取って希望どおりに葬送が執り行うこともできるでしょう。

受け取った香典を葬儀費用に充てることができる

香典とは、故人の霊前に供えるお花やお香の代わりの金品のことです。突然の不幸と出費に対する助け合いの意味もあります。つまり香典は、葬儀費用をまかなうためのものといってもいいのです。このことから、支払う人が香典を受け取るというのが一般的な考えで、参列者の気持ちをくみ取る形となるでしょう。

喪主が全額負担する場合、香典をすべて受け取ります。兄弟で折半するなら、香典も兄弟で折半です。香典をわけ合うのも面倒と考える方もいるでしょう。わけずにそのまま費用に充てるという方法もあります。また、葬儀の規模が大きくなれば費用もそれに比例して高くなりますが、香典を考慮すると、参列者の少ない一日葬を行うよりも、より参列者の多い一般葬のほうが、負担額の少なくなるケースもあるのです。

協議を行えば兄弟で葬儀費用を折半することもできる

費用については喪主が支払うことが基本ですが、折半を可能にするためには、兄弟間で協議することが必要です。最近の経済格差で雇用も不安定である中、喪主1人で全額支払うのは、経済的に厳しいというケースもあるでしょう。

皆でわけあって折半することになった場合には、負担の割合について話し合いで決めます。全員で折半するか、年齢や収入に応じて負担の割合を決めるなどさまざまな方法があるので、後々トラブルにならないように、よく話し合って合意することが必要です。

兄弟間で葬儀費用のトラブルを避けるコツ

兄弟間で協議する場合には、まずトラブルを避けることを考えましょう。それは、いくら血がつながっていても、お金が関わると、人は簡単に変わることがあるからです。重要なのは、費用の負担をどうするかについては特別な決まりがなく、人によってはそれぞれ考え方が異なります。後でもめることも考えて、事前に避けるコツを確認しておきましょう。

遺言書で葬儀費用の負担割合を決めておく

生前に遺言書にて葬儀費用についての負担割合をはっきりと決めておけば、トラブルを避けることができます。ただし遺言書には、法律上効力をもつ遺言事項と、効力がない付帯事項があります。遺言書に葬儀の方法や費用を負担する人については、付帯事項です。つまり、遺言書に葬儀方法に関することを記しても、法的効力や拘束力はありません。

遺族に実現する義務もなく、あくまでも遺言書の補足の役割です。しかし、故人の最後の意思ですから、できるだけかなえてあげるとよいでしょう。なお、遺言書については、葬儀前に開封されるとは限りません。生前のうちにご家族とよく話し合い、意思を伝えることが大切です。

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遺言書の書き方や無効になるケースと対処法

葬儀の内容や費用を相続人同士で協議しておく

相続人同士で協議を行い、葬儀の内容や費用について理解し合っておけば、トラブル回避に役立ちます。事前の協議が十分に行われていない場合は、もめてしまうケースが多く見られます。葬儀の仕方や費用などについては、個人によってさまざまな考え方があるので、事前に協議しておくといいでしょう。

葬儀は亡くなられてから落ち着く暇もなく行われるため、亡くなってからでは、相続人同士で十分な話し合いができないことがほとんどでしょう。そのため、最近では死後にもめないように、前もって遺言対策をされる方が増えています。もしものときのために備えておきましょう。

相続人間で葬儀費用や香典の金額を開示する

葬儀費用や香典の金額を相続人間で開示して折半することで、公平感が生まれてトラブルを回避できます。解決方法としては、費用の負担について葬儀代から香典分を引いて、不足している代金を、相続人が法定相続分にしたがって負担するという方法が考えられます。

また、代金の総額や内訳については領収証を取っておき、必要に応じて開示することも必要です。香典については、トラブルを避けるために、金額の確認作業を複数人でするとよいでしょう。

銀行の預貯金から葬儀費用の払戻しを受ける

2019年7月1日の民法改正によって、故人の銀行口座から葬儀費用を直接請求できるようになりました。これまでは、相続人が認める同意を得なければ、預貯金を引き出せないという面倒なものでしたが、ほかの共同相続人の承諾を得なくても一定の金額であれば、故人の銀行口座から預貯金を引き出すことが可能です。

引き出しが可能な上限額は債務者である銀行ごとに150万円です。預金を引き出すには、どのような書類が必要となるのかは金融機関によって異なりますので、この制度を利用したい方は、金融機関に確認しておくといいでしょう。

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葬儀費用の払い戻し・故人の銀行直接請求は可能?法改正後の制度を徹底解説

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まとめ

親が亡くなったときの費用を、この人が負担しなければいけないと定めた法律や明確なルールはありません。喪主が全額負担しなければならないものでもなく、兄弟でわけ合うこともできるのです。その場合は、よく話し合い、お互いが納得するようにしましょう。

誰が負担するか明確にすれば、トラブルを事前に予防できます。両親がまだ生きているのに葬儀の話をするのは縁起でもないと感じるかもしれませんが、お葬式がきっかけで仲が悪くなるのは避けたい事態です。大切な故人の葬儀ですから、相続人同士でのトラブルを避け、故人をしのび、しっかり供養して送れるようにしましょう。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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