死亡後の相続登記の手続き方法とは?

死亡後の相続登記の手続き方法とは?

親族の誰かが亡くなると、葬儀の準備だけでなく、さまざまな手続きに追われます。数多くの手続きの中でも苦労しやすいのが、「相続登記」です。

相続登記は「親族の死亡時に必要な手続き」である性質上、慣れるものではありませんし「わからないことだらけでどうすればいいの」と困ってしまう方が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、「相続登記の方法」について解説します。

こちらの記事を参考にすれば、「相続登記とは?」という基礎知識が身に付くだけでなく、相続登記の流れや必要書類の種類・収集の仕方もわかるようになり、相続登記の手続きを進めやすくなるでしょう。

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相続登記とは?

不動産の名義変更とは、登記簿に記載されている「不動産の所有権の名義人」を変更する手続きを指します。簡単にいえば「不動産の所有権を別の人に移す手続き」のことです。

「不動産の所有権の名義人が亡くなったときに行う不動産の名義変更手続き」は、とくに「相続登記」と呼びます。

相続登記とは、亡くなった方が所有する不動産の登記名義を、亡くなった方(被相続人)から相続人へ名義変更することを指します。相続登記には、対象不動産の相続人全員が関係するだけでなく、手続きを進めるには「対象不動産の相続人全員分の同意、同意を証明する署名と押印」が必要です。

相続登記のスタートは、相続人全員で「誰が何を相続するのか」を協議し、協議結果を全員が合意することだといえるでしょう。合意後、相続登記の手続きを主体的に進めるのは「対象不動産を相続する人」であるケースが多い傾向にあります。では、相続登記の手続きは、どのような流れで進めていくのでしょうか。

相続登記の流れ

相続登記の流れは、「物件の調査」「登記事項証明書(登記簿謄本)の取得」「相続人の調査」「必要書類の収集」「提出書類の作成」そして「法務局への提出」の6ステップにわけられます。

各ステップで必要な書類や確認事項はそれぞれ異なりますから、順にチェックしていき「相続登記の手続きの方法」についての理解を深めましょう。

物件を調査する

相続登記を行うにあたり、はじめに着手したいのが「対象物件の調査」です。まずは「対象物件の所有権が亡くなった人の名義かどうか」を確認しましょう。父に所有権があると思っていた不動産が、実は祖父の名義のままで変更されていなかった……そんなもケースも珍しくないからです。

また、対象物件の調査では、「地番」と「家屋番号」の正確な情報も確認しておきます。登記所が土地に振り分けた固有の番号が「地番」、管轄法務局が不動産規定法にもとづいて建物に振り分ける番号が「家屋番号」です。

これらの番号はどちらも1筆(土地の単位)に対してひとつずつ発行されており、不動産登記の管理や不動産の特定において、重要な情報といえます。相続登記の手続きを進めたり、相続登記に必要な書類「登記事項証明書(登記簿謄本)」を発行したりと、相続登記でも欠かせません。不動産の住所とはまったく異なる情報なので注意しましょう。

手元にあれば名義人を確認できる書類 それぞれの書類の特徴
登記済権利証 所有権取得の登記完了時に法務局が発行する書類で、「権利証」とも呼ばれる。平成18年以前に発行されていた。
登記識別情報通知 上記の登記済権利証に変わって登場したのが「登記識別情報」であり、英数字の組み合わせによって情報が管理されている。書類としては「登記識別情報通知」として保管されていることが多い。
登記権利証書 司法書士が登記の手続きを行った場合には「登記権利証書」と表記され、担当した司法書士の氏名も記載されている。
固定資産納税通知書 固定資産の納付に関して、毎年役所から納税者(不動産の名義人)に届く書類。

「対象不動産の所有権が誰にあるか」「不動産の地番や家屋番号」を確認する際に役立つ書類としては、上記4種類が挙げられます。どれも自宅保管が推奨されている書類なので確認してみましょう。

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得

登記事項証明書 コンピューターで記録・管理する登記事項を用紙に印刷し、内容を証明したもの
登記簿謄本 登記事項を直接記載している原本の登記用紙(バインダーにつづって保管されていることが多い)を複写し、内容を証明したもの

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、法務局(登記所)で発行してもらえる書類のことで、請求方法は「窓口」と「郵送」の2種類があります。上記のように、登記事項証明書と登記簿謄本は名称や保存形式・発行の仕方が異なるものの、どちらも証明内容は同じなので問題ありません。

また、登記事項証明書(登記簿謄本)は1筆あたり1通の申請となり、申請には1通につき手数料600円がかかります。申請手続きでは「登記事項証明書交付申請書」に記入しますので、あらかじめ下記情報を、手元で確認できるように準備しておきましょう

【登記事項証明書(登記簿謄本)の申請に際して準備しておきたいもの】
1.請求する不動産の地番・家屋番号がわかる書類(もしくはそれらの番号を記載したメモ)
2.本店発行手数料に必要なお金(申請する不動産数×600円)
3.請求する不動産が会社・法人の場合は商号(法人名)

登記事項証明書(登記簿謄本)では、いずれも「表題部」と「権利部」で下記のような証明内容が記載されます。それぞれの証明内容を確認し、対象不動産の権利状況を確認しましょう。

表題部に記載の証明内容 権利部に記載の証明内容
・所在
・地番
・地目
・地籍
・原因およびその日付
・(甲区)所有権に関する事項:所有者などの情報
・(乙区)所有権以外の権利に関する事項:抵当権などの担保の情報

なお、登記事項証明書は、記載内容によって4種類にわけられます。相続登記に際して用意する場合には、すべての事項(閉鎖記録以外)が記載された「全部事項証明書」で申請しましょう。相続登記に必要な情報をもれなく確認するためです。

登記事項証明書(登記簿謄本)が手元にあったとしても、記載されている証明内容が古くなっている恐れがあります。相続登記に際して新たに取得し、最新の不動産の権利状況を確認しましょう。

相続人調査

不動産の名義人だった人が法的効力をもつ遺言書を残していなかった場合、相続登記に関与するのは法定相続人(法律で決まっている相続人のこと)全員です。相続人全員の手続きが必要ですから、法定相続人が誰であるのか調査しましょう。

法定相続人を調べるときには、戸籍謄本の記載内容を確認します。戸籍謄本は、亡くなった人の最後の本籍地の市区町村役場で取得可能です。

なお、法定相続人となりうる親族関係をすべて明らかにするには、「亡くなった人の死亡時から出生時までの戸籍」をさかのぼって調べなければなりません。結婚や離婚、転籍(引っ越しによる転移)、法律の改正によって、新しい戸籍が作られるからです。

相続登記の手続き・書類の用意でもっとも難しいといえるのが戸籍謄本の確認で、亡くなった人の戸籍を死亡時から出生時まで順にさかのぼって調べるのは骨が折れます。個人で行うには難しい作業ですから、亡くなった人の戸籍謄本を申請する際に、役場の人に「出生時から死亡時までを確認できる戸籍謄本一式が欲しいです」と頼むようにしましょう。

【亡くなった人の死亡時から出生時までの戸籍をさかのぼる方法】
ステップ1.
亡くなった人の最後の本籍地がある役場にて戸籍謄本を申請する際、担当の人に「出生から亡くなるまでの戸籍謄本が欲しい旨」を伝える。

ステップ2.
戸籍謄本を受け取る際に、「出生までのすべての戸籍がそろっているか」を担当の人に確認し、そろっている場合……戸籍の収集はその時点で終了。

ステップ3.
戸籍謄本の受け取り時に、死亡から出生までのすべての戸籍がそろっていないとわかった場合……担当の人に「次はどこの役場で請求すべきか」を尋ねて役場の人に戸籍謄本をチェックしてもらい、次に請求すべき役場の案内を受ける。次の役場でも同じ手順を踏み、最終的に出生までのすべての戸籍をそろえる。

請求先となる本籍地がある役場が遠い場合には、郵送でも取得が可能です。「出生から死亡までの戸籍謄本が欲しい旨」などの事情を伝えるためにも、一度電話での問い合わせておくといいでしょう。なお、郵送で取得する場合には、申請書などの必要書類だけでなく、手数料分の小為替の用意が必要です。

必要書類の収集

相続登記とはいっても、「誰に相続させるかをどのような方法で決めるか」によって、下記3種類のパターンにわけられます。なお、下記「法廷効力を持つ遺言書」とは、「検認済み証明書」が付いている「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」、「公正証書遺言」のことです。

1.法的効力をもつ遺言書に則し、法定相続人が相続する場合
2.法的効力をもつ遺言書がなく、相続人全員の遺産分割協議の結果に則して相続する場合
3.法的効力をもつ遺言書がなく、法定相続分の割合にしたがって相続する場合

上記3種類のパターンでは、それぞれ必要となる書類が異なりますから、どのパターンに該当するかを踏まえた上で、各書類を用意しましょう。

法的効力をもつ遺言書に則し、法定相続人が相続する場合に必要な書類

被相続人(亡くなった人)に関する書類 1. 被相続人の死亡時の戸籍謄本:遺言書がある場合には、被相続人の死亡の記載がある戸籍のみで問題ない。
2. 法的効力をもつ遺言書:遺言書原本、検認済み証明書がある場合には一緒に用意する。
3. 被相続人の住民票の除票:被相続人の最後の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
4. 相続の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本):相続手続きでは使用しないものの、不動産の確認に必要。登記事項証明書では「全部事項証明書」を用意する。法務局(登記所)で取得可能。
相続人に関する書類 1. 法的効力をもつ遺言書により相続する相続人の現在の戸籍謄本:相続人の本籍地で取得する。
2. 法的効力をもつ遺言書により相続する相続人の住民票:相続人の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
3. 委任状:司法書士に相続登記の手続きを任せるときに必要。
4. 相続関係説明図:戸籍謄本の原本還付を希望する場合に必要。
上記2種類に分類されないそのほかの書類 1.相続の対象となる不動産の固定資産評価証明書:登録免許税算定に必要となる資料であり、役場の「資産税課」で取得可能。最新の「固定資産課税証明書」があれば代用可能。

法的効力をもつ遺言書がある場合の相続登記では、必要となる書類が全3種類のパターンの中で、もっとも少ないといえます。亡くなった人の戸籍謄本をさかのぼる必要がなく、相続人全員で手続きを進める「遺産分割協議書」といった書類が不要だからです。

相続人全員の遺産分割協議の結果に則して相続する場合に必要な書類

被相続人(亡くなった人)に関する書類 1. 被相続人の出生時から死亡までさかのぼれる、すべての戸籍謄本一式:法定相続人を明らかにし、全員の同意がある旨を証明するため。
2. 被相続人の住民票の除票:被相続人の最後の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
3. 相続の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本):相続手続きでは使用しないものの、不動産の確認に必要。登記事項証明書では「全部事項証明書」を用意する。法務局(登記所)で取得可能。
相続人に関する書類 1. 法定相続人全員の現在の戸籍謄本:各相続人の本籍地で取得する。
2. 遺産分割協議の結果、相続する相続人の住民票:相続人の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
3. 遺産分割協議書:行政書士が作成する書類で、法定相続人全員の署名と捺印が必要。
4. 法定相続人全員の印鑑証明書:各相続人の住所地の役場で取得可能。
5. 委任状:司法書士に相続登記の手続きを任せるときに必要。
6. 相続関係説明図:戸籍謄本の原本還付を希望する場合に必要
上記2種類に分類されないそのほかの書類 1.相続の対象となる不動産の固定資産評価証明書:登録免許税算定に必要となる資料であり、役場の「資産税課」で取得可能。最新の「固定資産課税証明書」があれば代用可能。

「遺産分割協議書」とは、相続人全員で亡くなった方の遺産の分け方を話し合い、全員が合意した「誰が何を相続するのか」を記載した正式な文書を指します。遺産分割協議書の作成には、相続人全員の合意の証明として「相続人全員分の署名・実印での押印」、「全員分の印鑑証明書」が必要です。

法定相続分の割合にしたがって相続する場合に必要な書類

被相続人(亡くなった人)に関する書類 1. 被相続人の出生時から死亡までさかのぼれる、すべての戸籍謄本一式:法定相続人を明らかにし、全員の同意がある旨を証明するため。
2. 被相続人の住民票の除票:被相続人の最後の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
3. 相続の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本):相続手続きでは使用しないものの、不動産の確認に必要。登記事項証明書では「全部事項証明書」を用意する。法務局(登記所)で取得可能。
相続人に関する書類 1. 法定相続人全員の現在の戸籍謄本:各相続人の本籍地で取得する。
2. 相続人全員の住民票:各相続人の住所地の役場で取得可能。本籍地の記載が必要。
3. 委任状:司法書士に相続登記の手続きを任せるときに必要。
4. 相続関係説明図:戸籍謄本の原本還付を希望する場合に必要。
上記2種類に分類されないそのほかの書類 1.相続の対象となる不動産の固定資産評価証明書:登録免許税算定に必要となる資料であり、役場の「資産税課」で取得可能。最新の「固定資産課税証明書」があれば代用可能。

民法で定められている法定相続分に則して相続する場合、遺産分割協議書をはじめとした書類が不要なため、「相続人全員の遺産分割協議の結果に則して相続する場合」よりも書類数が少なくなっています。

提出書類の作成

上記項目でご紹介した必要書類がそろった後、相続登記に際して提出する「登記申請書」を作成しましょう。登記申請書は法務局で用意されていないため、自分たちでゼロから記入していきます。

その際、法務局で公開されている「相続登記申請書のフォーマット」を活用すれば、記入漏れを防ぎながらスムーズに記入できます。下記順序と注意点を踏まえて、提出書類を作成しましょう。

参考:『不動産の所有者が亡くなった:法務局

【登記申請書作成の順序と注意点】
1. 戸籍謄本の原本還付を希望の場合には「相続関係説明図」を作成する。また、原本還付を希望する書類はすべてコピーする。

2. 1でコピーした書類すべてに「上記は原本と相違ありません。」という文章の記載+署名・押印する。

3. 登記申請書はA4用紙に記載する。パソコンやワープロの使用可。手書きでは、摩擦などで消えたり見えなくなったりしないインクや黒色ボールペンではっきりと書く。鉛筆などは使用不可。

4. 申請書が表紙となるよう「申請書→登録免許税分の収入印紙を貼った紙」の順で重ね、ホッチキスでとじる。とじた場合には、書類の見開き部分に不動産を相続する人全員の契印が必要。「申請書に用いた印鑑」を使う。

5. 委任状、相続関係説明図を提出する場合には、4で作成した書類の下に重ねる。

6. 2で作成した原本還付を受ける書類の写し(コピー)をまとめ、ホッチキスでとじる。このときもすべての書類のとじ目に契印を押す。

7. 6で作成した書類の写し(コピー)をまとめたものを、5で作成した書類の下に重ねてホッチキスでとじる。

8. コピーをとった書類の原本すべてを7の下に重ね、すべてをクリップで留める。

原本還付を希望できる書類としては下記が挙げられ、希望時に必要となる書類は、それぞれ異なります。

原本の写し(コピー)の用意で原本還付が売れられる書類 相続関係説明図の提出で原本還付が受けられる書類
・遺産分割協議書
・遺言書
・印鑑証明書
・不動産を相続する人の住民票または戸籍の附票
・不動産の固定資産評価額証明書、固定資産納税通知書
・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までをさかのぼれる連続した戸籍謄本一式
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本

また、申請書に登記に課せられる税金「登録免許税」を算定して記入するほか、「算定した登録免許税分の収入印紙台紙」を提出書類に添付しなければなりません。この登録免許税の算定に用いるのが、「固定資産評価証明書」「固定資産納税通知書」に記載されている「固定資産評価額」であり、「登録免許税」の算出方法は下記のとおりです。

【登録免許税の計算方法】
1. 相続登記の対象不動産すべての固定資産評価額を合算する。このとき「固定資産評価額」では「評価額」に記載の金額を用いるが、役場の書類によっては「本年度額」「価格」の欄に記載されていることもある。
(例:固定資産評価額が123万4,567円の建物と123万4,567円の土地がある場合、固定資産評価額合計額は246万9,134円)

2. 登録免許税の課税価格は「1,000円未満切り捨て」であるため、1で算出した固定資産評価額合計額の1,000未満を切り捨てる。
(例:固定資産評価額合計額246万9,134円の1,000円未満を切り捨て、課税価格246万9,000とする)

3. 2で算出した固定資産評価額に税率0.4%を掛けて計算する。
(例:244万9,000円×0.004=9,796円)

4. 登録免許税は「100円未満切り捨て」であるため、3で算出した登録免許税の100円未満を切り捨てる。
(例:9,796円の100円未満を切り捨てた9,700円が登録免許税となる)

法務局へ提出する

登記申請書を書き終え、必要書類を漏れなく添付した「提出書類」が完成したら、法務局へ申請します。このとき、登録免許税分の収入印紙台紙が、過不足なくきちんととじられているか確認しましょう。

相続登記の申請ができる法務局は、「対象不動産を管轄する法務局」です。不動産が複数ある場合には、各不動産を管轄する法務局にそれぞれ申請する必要があります。登記事項証明書(登記簿謄本)の取得時のように、どの法務局でもいいというわけではないので要注意です。

「相続登記の対象となる不動産がどの法務局の管轄下なのか」を調べるには、法務局のホームページで案内されている「管轄のご案内」から確認しましょう。

参考:『管轄のご案内:法務局

相続登記手続きにかかる時間

相続登記手続きにかかる時間や期間には、明確な目安はありません。先述のとおり、相続登記にいくつかのパターンがあるほか、相続人の人数とその関係性、被相続人の戸籍謄本一式の収集する作業……相続登記にはさまざまなケースがあり、必要書類の用意に要する時間・期間に大きな差があるからです。

とくに、被相続人の本籍地が遠方である場合には、戸籍謄本は郵送で取得することになり、時間がかかります。死亡時から出生までさかのぼれる戸籍謄本一式を集めるとなると、必要となる時間はさらに増えるでしょう。

相続登記の必要書類を集めたり、法務局への提出書類を作成したり……これらに要する時間や期間には大きな差がありますが、法務局へ申請して受理されるまでの期間は、「2週間~3週間程度」が目安とされています。提出後すぐに受理されるわけではありません。

相続登記にかかる費用の目安

相続登記にかかる費用は、「自分で手続きする場合」と「司法書士に依頼する場合」とで異なります。「司法書士への報酬」が発生しない分、「自分で手続きする場合」のほうが費用は安くなりますが、さまざまな諸費用が発生するのも事実です。

そこでこちらの項目では、それぞれの場合に必要な「相続登記手続きにかかる費用」についてまとめました。

自分で手続きする場合

自分で相続登記の手続きをする場合、かかる費用としては、必要書類の申請にかかる手数料などが挙げられます。上記の必要書類を集めるための交通費郵送費も別途必要です。

必要書類・手続きの種類 手数料などの費用
登記事項証明書(登記簿謄本) 1通600円(対象不動産1筆あたり1通必要)
※オンライン申請・送付の場合は1通500円、オンライン申請・窓口交付の場合には1通480円
戸籍謄本 1通450円
除籍謄本・改製原戸籍(被相続人の死亡から出生をさかのぼる必要がある場合) 1通750円
遺言書の検認手続き(自筆証書遺言や秘密証書遺言に必要) ・遺言書1通につき収入印紙800円
連絡用の郵便切手(申立てをする人や相続人など申立書記載の関係者の数の2倍の枚数の80円切手を用意する)
・遺言者の死亡から出生までをさかのぼれる戸籍謄本一式分の費用
・相続人全員の戸籍謄本
検認済証明書 遺言書1通につき150円分の収入印紙
住民票・住民票除票 1通300円
印鑑登録証明書 1通250円
固定資産評価額証明書 土地1筆につき300円、家屋は固定資産課税台帳1枚につき300円
登録免許税 固定資産評価額の0.4%

「自分で手続きする場合」には、必要書類の作成・収集などに使う費用だけでコストを抑えられますが、場合によっては、膨大な手間と時間がかかるといえるでしょう。

司法書士に依頼する場合

「司法書士に依頼する場合」では、上記「自分で手続きする場合の費用」で発生する必要経費に加えて、司法書士への報酬が発生するものの、必要書類の作成・収集での手間が省きやすいというメリットがあります。

では、司法書士に相続登記を依頼したときに発生する報酬金額はいくらなのでしょうか。結論からいうと、司法書士への報酬額は、各司法書士事務所によって異なります。報酬金額は、各司法書士が自身で自由に設定できるからです。

しかし、報酬金額の目安となるデータは存在し、日本司法書士連合会が2018年に実施した「報酬アンケート」での調査結果にて、相続登記依頼時の報酬は「平均6万円~8万円程度」というデータが発表されています。

固定資産評価額 司法書士への報酬目安
1,000万円 平均6万円~8万円
3,000万円 10万円程度
5,000万円 10万円以上
1億円 12万円以上

また、固定資産評価額によって、上記のように報酬の目安が変わります。それに、必要書類の作成・収集をどこまで依頼するか、不動産が複数あるかどうか、登記申請をする法務局が複数あるかどうか、相続人の人数など、相続登記のケースによって報酬額に差があります。そのため、依頼前に必要経費込みでどれくらいかかるのかを確認しておくと安心です。

相続登記はしなくてもよい?

これまでにご紹介したように、相続登記は、場合によっては膨大な手間と時間を要する手続きといえます。そんな相続登記は、不動産の所有権を持つ方の死亡時に手続きを行わなくても、罰則は生じません。

相続登記はしなくてもよいのか」と思われるかもしれませんが、相続登記を行わなければ、さまざまなトラブルの原因となり得ます。相続不動産を利用したい場合には、相続登記が必要です。そこで最後に、相続不動産を利用したいときの方法について見ていきましょう。

次の世代で相続手続きが大変になる

亡くなった父親の相続登記をするために、不動産の所有権名義を確認したら随分前に亡くなった祖父の名義だった……このように、被相続人(祖父)の死亡時(一次相続)に相続登記を行わないまま一次相続の相続人(父)が亡くなり、次の相続(二次相続)が行われることを「数次相続」と言います。

上記の例では二次相続ですが、何世代にもわたって相続登記をしていないと、三次相続、四次相続、五次相続……と相続が重なっていくのが数次相続の特徴です。数次相続でどんどん相続が重なっていくと「相続人として関係する人」が増えたり、「相続人として関係する人の関係性」が複雑になったりします。

相続登記で大変なのは、「法定相続人全員の同意と押印を集めること」「法定相続人を全員明らかにするために、故人の死亡から出生までを戸籍謄本などでさかのぼること」です。相続が重なり、相続人として関係する人が多くなれば、それに比例して必要書類や確認事項も増えます。

次の世代に相続手続きで苦労させないためにも、被相続人の死亡時には、相続登記の手続きは済ませておきましょう。こうしてきちんと相続登記を済ませることは、将来のトラブル防止にもなります。

相続不動産を売却・担保にしたい場合も相続登記が必要

売ったり担保にしたりと相続不動産を利用する際には、相続登記は欠かせない手続きといえます。所有権が被相続人にある以上、相続不動産の所有権を対外的に主張できないからです。

たとえ相続不動産であったとしても、相続登記を行わず、「所有権が被相続人名義のままの状態」では売却できません。同様に、不動産を担保にして銀行から融資を受けたい場合にも、「所有権が被相続人名義のままの状態」では、融資手続きを進めることは不可能です。

金融機関をはじめとした第三者に相続不動産の所有権を主張するには、所有権の名義を被相続人から相続人である自分に移すための相続登記は、必須だといえます。売却したり担保に入れたりするには、相続登記を完了させておく必要があるので注意しましょう。

先述のとおり、相続登記は時間と手間のかかる手続きです。相続不動産の売却・担保としての利用を考えるのであれば、速やかに相続登記に着手したほうが賢明だといえます。

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まとめ

確認事項が多かったり必要書類の用意に時間がかかったりと、場合によっては煩雑な手続きとなりうるのが相続登記です。

しかし、相続登記を行わなければ売却・担保としての利用ができないなどのデメリットが生じることを踏まえると、被相続人の死亡後、すぐに着手しておきたい手続きだといえます。

親族が亡くなったときには相続登記だけでなく、葬儀に関する手続きにも追われて慌ただしくなります。葬儀に関しては、事前に準備を済ませておけば、肉体的にも精神的にも余裕が生まれやすくなるでしょう。

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監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
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