故人との別れはとても悲しいもので、葬儀の場では涙を流す人も少なくありません。そんななか、世の中には変わった職業もあるもので、葬儀中に泣くことを仕事としている人たちがいます。
この人たちは「泣き女」と呼ばれているのですが、普段触れることのない私たちからすれば全く謎の職業です。
そこで今回は、この泣き女という職業についてご紹介したいと思います。
<この記事の要点>
・泣き女とは葬儀の際に登場し、遺族と共に声をあげて泣き叫ぶ職業
・儒教では葬儀で泣く人が多いほど故人の徳が高くなるとされ、供養の量は涙の数によって決まる
・現在では報酬を貨幣で受け取り、演技力や話術によって収入が異なる
こんな人におすすめ
「泣き女」という職業について興味がある方
泣き女という職業は、その名の通り「泣く」ことが仕事です。
葬儀の終盤、出棺のときに登場し、遺族と共にどころか遺族以上に声をあげて泣き叫びます。その姿は泣くというよりも、慟哭(どうこく)と表現する方が適切かもしれません。
この泣き女は韓国を中心にアジア圏でみられるものですが、その発生には儒教の教えが大きく関わっています。葬儀の際には悲しみで涙する人も多いものですが、その数は人によっても異なります。儒教では葬儀のときに泣く人が多いほど故人の徳が高くなるとされていて、どれだけの供養ができるかはその涙の数によって決まります。こういった教えがあるため、お金を払って泣き女を雇うのです。
その収入は昔と今とでは大きく変わっています。
昔は依頼の報酬として、泣き方に応じた量の米が利用されていました。そのため、泣き方にも「五合泣き」や「一升泣き」といった名前が付けられていたようで、当然ながら米の量が多いほうが大げさに泣くということになります。
現在では、このように米を報酬に利用するということはありません。近年はすでに貨幣経済が成り立っていますから、報酬も貨幣で支払われます。中国での場合、1回平均200元(日本円で3,000円程度)であるとされているデータもありますが、はっきりとしたことはわかっていないようです。また、テレビ番組などでは年収1,000万円を超える泣き女の人が登場したこともあり、場合によっては非常に高収入を得られるようです。
報酬を決める際の基準としては、激しく泣けるかどうかはもちろんのこと、話術も重要な要素になっています。ただ泣くだけではなく、その遺族や弔問客に訴えかけるような泣き方ができると報酬が上がるということで、演技力も身につけなければなりません。
泣き女は中国や韓国が有名ですが、それ以外にも泣き女が存在している国があるので一例をご紹介します。
エジプトの泣き女は現在は確認できず、これは古代エジプトでの話になります。
古代エジプトの泣き女は、ラモーセという貴族の墓に描かれた壁画が有名です。この壁画の泣き女は職業というわけではなく、親族の女性一同であるとの見方もされていますが、実際に泣き女という職業があったことも記録されています。
古代エジプトの泣き女は墓に向かうミイラを見送るというものでした。エジプト神話では最初のミイラはオシリス神であり、泣き女たちはその妻イシスと妹ネフティスを演じて泣いていたようです。この時の泣き声はトンビのような声だったようですが、これはバラバラにされたオシリス神の遺体をつなぎあわせたとき、女神たちはトンビの姿で遺体の上に乗って翼を広げていた、という神話からきています。
イギリスは幽霊や妖精といったものが人々の暮らしにも密接に関係している国ですが、泣き女に関してもその妖精が大いに関わっています。
イギリスにはバンシーという妖精の伝承があるのですが、このバンシーは身分の高い人が死ぬときに姿を現すとされています。バンシーが現れるのは故人にとって大きな名誉であるため、この化身としての役目を泣き女が果たすのです。
実は、日本にも泣き女という職業は存在していました。
しかし、日本の場合には泣き女ではなく鳴き女(なきめ)と呼ばれ、一般的な泣き女とはまた違った職業でした。
葬儀の場で涙を仕事にするという意味では泣き女も鳴き女も同じですが、泣き女が自分で泣いて報酬をもらうのに対し、日本の鳴き女は故人の話を弔問客たちに聞かせて死をいたむ役割であったと言われています。
ここでは、泣き女の仕事を題材にした映画をひとつご紹介したいと思います。
これは動画サイトに投稿されたものではありませんが、泣き女を題材とした3カ国合作の映画です。
この映画はカンヌ国際映画祭の「ある視点部門」などにも出品されている作品で、日本でも公開されていました。予告編の動画を見ただけでも、泣き女という職業がどういうものなのかを感じとることはできるでしょう。
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国が変われば広まる教えも変わるもので、今でも儒教の影響が強い中国や韓国では泣き女という職業は非常に一般的なものです。
日本にも儒教の教えは広まっているのですが、日本はどちらかというと静かに悲しむことを美徳としている傾向にあるため、泣き女が一般的になることはありませんでした。日本人としてはなかなか理解できない仕事ではありますが、こういった職業から各国の違いを知るというのもその国を理解する上では大切なことではないでしょうか。
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