曹洞宗の葬儀の流れと特徴は?焼香・数珠・お布施・香典の作法についても解説

曹洞宗の葬儀の流れと特徴は?焼香・数珠・お布施・香典の作法についても解説

仏教には様々な宗派があり、各宗派によって葬儀を行う意味や内容が異なります。その中でも、曹洞宗の葬儀には特徴があります。曹洞宗の葬儀を執り行う際には、故人をしっかりと送り出すためにもその特徴を理解しておきたいものです。この記事では、曹洞宗の歴史や教え、葬儀の考え方、葬儀の流れ、儀式と作法についてご紹介します。

こんな人におすすめ

曹洞宗の葬儀に参列予定の方

曹洞宗の葬儀の特徴を知りたい方

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曹洞宗とは

曹洞宗とは、日本3禅宗の1つであり、鎌倉時代に道元が中国から日本に伝えた仏教宗派です。ここからは、曹洞宗の歴史、教え、主要な寺院について解説します。まずは、曹洞宗の基本的な知識について紹介します。

曹洞宗の歴史

鎌倉時代に、道元は中国、当時の宋に留学しました。天童山の如浄(にょじょう)を師とし、禅宗である曹洞宗について学びます。坐禅の修行を続け、道元は悟りを得たことを認める「印可」を受けました。

帰国後、道元は坐禅の作法や心構えについての書物を書き、教えを広めていきます。京都に興聖寺を建てて多くの弟子を集めましたが、名声が高まったことにより比叡山から弾圧を受けてしまいました。

その後、道元は京都を離れて福井県の山中に新しい寺を建てます。これが永平寺の前身となりました。

曹洞宗の教え

曹洞宗の教えの中心となるのは坐禅です。修行としては、ただひたすら無心に座禅をする「只管打坐(しかんたざ)」を重要視しています。坐禅をすることによって悟りを開くのではなく「坐禅をしている姿が悟りの姿である」という教えです。また、全ての命あるものは仏の心を持っているとする「即心是仏(そくしんぜぶつ)」という教えもあります。

曹洞宗の主要な寺院

曹洞宗の大本山は、道元が開山した福井県の「永平寺」と、神奈川県横浜市の「總持寺」の2つです。

總持寺は、道元の没後に曹洞宗発展の基礎を作った瑩山(けいざん)が開山した寺です。總持寺は元々、石川県にありましたが、焼失したため明治時代に横浜市に移転しました。その他にも全国に寺院が多数あり、多くの信者を抱えています。

曹洞宗の葬儀の特徴

曹洞宗の葬儀はほかの宗派と葬儀の内容で異なる点がいくつかあります。喪主や遺族など曹洞宗の葬儀を執り行う立場にある方は、曹洞宗の葬儀の特徴について知っておきましょう。曹洞宗の葬儀へ出席する際にも役立つ知識です。ここでは、曹洞宗の葬儀の特徴についてご紹介します。

葬儀は故人が仏弟子になるための儀式

曹洞宗において、葬儀とは「故人が仏の弟子となる際に必要な儀式」です。曹洞宗の葬儀の内容は、二部構成となっています。葬儀の前半は、仏の弟子になるための儀式です。故人が戒名や戒法を授かるための「授戒」を行い、葬儀の後半は悟りを開くために故人を仏の世界へと導く「引導の儀式」を行います。

「授戒」と「引導」の2つを知ることで、曹洞宗の葬儀の意味について理解を深めることができるでしょう。

仏教には曹洞宗だけでなく、複数の宗派が存在します。中でも、曹洞宗にはほかの宗派とは異なる大きな特徴があります。故人が無事に仏の弟子となれるように、儀式や作法、マナーなどをしっかりと学びましょう。

鼓鈸三通(くはつさんつう)がある

曹洞宗の葬儀には、鼓鈸三通(くはつさんつう)という儀式があります。この儀式は、3名の僧侶が仏具である「太鼓」と「鐃祓(にょうはつ)」と「引磐(いんき)」をリズムよく鳴らして行われます。

仏具の音色からは、荘厳さを感じられるでしょう。鼓鈸三通は、故人が仏の弟子として仏の世界へと旅立つことを盛大に表現しています。鼓鈸三通の音色に乗せて、故人を仏の世界へと送り出しましょう。

枕経は「臨終諷経(りんじゅうふぎん)」

枕経とは、臨終後に故人の枕元でお経を読む儀式のことです。曹洞宗では、枕経のことを「臨終諷経(りんじゅうふぎん)」と呼びます。

臨終諷経では、お釈迦様の遺骨である仏舎利を敬う気持ちを述べた「舎利礼文(しゃりらいもん)」、お釈迦様が最後に弟子たちに向けて行った説法である「遺教経(ゆいきょうぎょう)」などが読まれます。

曹洞宗の葬儀の流れ

曹洞宗は授戒と引導に重きを置いているため、ほか宗派の葬儀と比べて少し異なった形式で行われます。葬儀の流れを確認しておきましょう。
1. 剃髪(ていはつ)
導師(引導を渡す僧侶)が偈(げ)を唱え、剃髪の儀式を行います。

2. 授戒
授戒ではいくつかの儀式を行います。

◆懺悔文(さんげもん)
生涯で犯したとされる罪を反省します。
◆三帰戒文(さんきかいもん)
仏陀の教えを守り、修行者に帰依することを誓います。
◆三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
導師が法性水を用意し、位牌や自らの頭に注ぎます。
◆血脈授与
釈迦から故人までの法の系図が記されたものを血脈(けちみゃく)と呼び、これを霊前に供えます。

3. 入棺諷経(にゅうかんふぎん)
大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)と回向文を唱えます。焼香はこのタイミングで行います。

4. 龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
十仏名(じゅうぶつみょう)と回向文を唱えます。

5. 挙龕念誦(こがんねんじゅ)
大宝楼閣陀羅尼(だいほうろうかくだらに)を唱え、太鼓やハツを鳴らす鼓鈸三通(くはつさんつう)を行います。

6. 引導法語
導師が故人の生前を漢詩で表し、松明で円を描いて故人を悟りの世界に導きます。

7. 山頭念誦(さんとうねんじゅ)
故人の仏性が覚醒するように祈願します。

8. 出棺
回向文を唱え、鼓鈸三通を行い、出棺します。

また、葬儀の流れは師匠からの口伝で伝承されるため、各寺院ごとに順番が違うこともあるようです。法性水をかけるのは懺悔文の時で、鼓鈸三通は式中3回(挙龕念誦の後・引導の前・出棺回向の後)という寺院もあります。

一般的な葬儀の流れをまとめた記事もありますので、曹洞宗の葬儀と比べてみてください。

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葬儀は段取りが肝心。流れ・費用・マナーが「やさしくわかる!」

曹洞宗の葬儀の作法

曹洞宗の葬儀に出席する方は、曹洞宗の葬儀の作法を覚えておくことをおすすめします。出席する葬儀の宗派に合わせた作法やマナーを知っていれば、いざというときにも戸惑わずに対応できるでしょう。

焼香の作法

焼香の作法は、宗派ごとの違いが表れやすいところです。曹洞宗の焼香は2回行います。1回目は右手でお香をつまみ、額の高さまで持ち上げます。この動作を「押し頂く」といます。2回目は1回目よりも少量のお香をつまみ、押し頂かずに香炉に入れます。

基本的には2回行いますが、参列者が多く時間がかかることが予想される場合には、1回にするようにとアナウンスされることもあります。

参考動画:<曹洞宗>葬儀におけるお焼香の作法(やり方)【小さなお葬式 公式】 動画が見られない場合はこちら
1. 祭壇に進み、遺族に一礼し、参列者に一礼します。
2. 焼香台の前に立ったら、まず合掌し一礼します。
3. 右手の親指、人差し指、中指の3本の指で抹香を軽くつまみ、一回目は額の高さに押し頂き、2回目は押し頂かずに香炉にくべます。
4. 数珠は左手にかけ房を下にし、両手で挟むようにして再び合掌をします。
5. 遺影を向いたまま2、3歩下がり遺族に一礼をし、参列者にも一礼をして席に戻ります。

なお、上記は祭壇まで進んで行う「立礼焼香(りつれいしょうこう)」の焼香の手順です。会場にスペースがない場合は、焼香炉が回ってくる「回し焼香」が行われることもあります。焼香後は、隣の人に焼香炉を渡しましょう。

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【動画で解説】もう迷わない焼香のやり方・マナー

数珠の作法

曹洞宗では、宗派にこだわりなく使用できる略式数珠を使用することが一般的です。数珠を左手にかけて、右手は添えるようにして合掌します。

参考動画:<曹洞宗>葬儀の際の数珠の持ち方【小さなお葬式 公式】 動画が見られない場合はこちら

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参考:曹洞宗の葬儀に対応「小さなお葬式」

曹洞宗葬儀のお布施の特徴

葬儀の際に読経などを行っていただいたことに対する謝礼として、僧侶にお布施を渡します。お布施の表書きの書き方は、葬儀の様式と同じように仏教の宗派によって異なります。

間違えた表書きでお布施を渡してしまうと、感謝の気持ちが僧侶に伝わらない可能性があります。ここからは、お布施の表書きの正しい書き方や作法、お布施の目安について説明します。

お布施の書き方

曹洞宗で使用する表書きは2種類のみです。不祝儀袋に「御布施」または、「お布施」と表書きを書きましょう。お布施は奉書紙に包むのが正式な方法ですが、郵便番号記載欄などのない無地の白い封筒を使用してもかまいません。また、すでに表書きが書かれている不祝儀袋も販売されているので、そちらを購入しても問題ありません。お布施は僧侶に対する感謝の気持ちを伝えるものなので、薄墨は使用しません。筆ペンは通常の濃い墨のものを使用しましょう。

名前は、不祝儀袋の下半分の中央に氏名、またフルネームまたは〇〇家と記載しましょう。

お布施の目安

お布施は、あくまでも感謝の気持ちなので、明確な金額は定められていません。一般的に、葬儀のお布施は20万円~60万円といわれています。

お布施の他には、戒名をいただいたことに対する謝礼である「戒名料」も準備しましょう。戒名の金額は、依頼するお寺や戒名のランクによって変動します。一般的な相場は、30万円~100万円以上です。経済的負担が大きい場合は、あらかじめ僧侶に金額を抑えた戒名にしてほしいと依頼してもよいでしょう。

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曹洞宗葬儀の香典の特徴

お通夜や葬儀に参列する方の中には、曹洞宗の香典の作法やマナーについて知らないという方もいるのではないでしょうか。香典袋の表書きの書き方など、曹洞宗ならではの作法やマナーがあります。

曹洞宗の作法やマナーに合わせた香典を準備すれば、慌てることなく、参列できるでしょう。ここでは、曹洞宗における香典袋の作法やマナーを紹介します。

香典の書き方

コンビニなどで販売している白黒か双銀の水引のある不祝儀袋を準備しましょう。上半分の中央に表書きを記載します。曹洞宗の場合の表書きは、「御霊前」もしくは、「御香典」です。不祝儀袋の下半分の中央には氏名を記載しましょう。

不祝儀袋には、自分の住所や香典の金額を記載する欄が設けられています。記入漏れのないようにしましょう。使用する筆ペンは薄墨です。薄墨の筆ペンもコンビニなどで販売されています。

香典の相場

曹洞宗の葬儀へ出席する際に、香典の金額について悩む方もいるのではないでしょうか。香典の相場は、故人との関係によって異なります。

親族などの身内の場合は1万円~10万円、会社関係などの方であれば5,000円程度、親しい間柄の場合は5,000円~1万円ほどが相場です。

ただし、地域や関係性、親族の考えによっても金額は大きく変わるので周囲の人に相談するのがおすすめです。

親しい間柄だったからだといって、高額な香典は遺族を恐縮させてしまうかもしれません。遺族の負担にならない金額を香典として準備しましょう。

曹洞宗葬儀の相場

曹洞宗の葬儀には、ほかの仏教の宗派にはない特徴がたくさんあります。そのため、葬儀費用が一般的な葬儀よりも高額に設定されているようです。葬儀にかかる費用は、会場の規模や参列者の人数によって異なります。葬儀費用は次の3つに分けられます。

1つ目の葬儀一式費用は、葬儀だけでなく、お通夜や火葬などに必要な品物や人件費などです。一般的な相場は約131万円です。

2つ目は、飲食接待費用です。こちらは、お通夜から葬儀にかけてかかる飲食費用やそれにかかわる人件費です。一般的な相場は約25万円です。参列者の人数によって異なるので注意しましょう。

最後は、寺院費用です。僧侶から読経や戒名をいただく際にお渡しするお布施が含まれます。相場は約35万円ですが、戒名のランクなどでも価格が異なります。

これらの金額を合計したものが葬儀費用です。一般的な葬儀にかかる費用は191万円ほどですが、条件によっても金額は異なるので注意しましょう。

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まとめ

曹洞宗は禅宗のひとつで、無心に座禅をする「只管打坐(しかんたざ)」を重要視しており、坐禅をしている姿が悟りの姿であるという教えを持っています。

曹洞宗の葬儀は、故人が仏の弟子となる際に必要な儀式であり、仏の弟子になるための「授戒」と、故人を仏の世界へと導く「引導」という2部構成になっています。

曹洞宗の葬儀にはほかの宗派と異なる点もあり、どのように執り行えばよいのか悩むこともあるかもしれません。その際はぜひ小さなお葬式にご相談ください。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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