法事後には僧侶をはじめ、参列者に「お斎(おとき)」を振る舞うのが通例です。法事と同様に、お斎でも施主が挨拶をするタイミングがあります。身内や気心知れた間柄の方が参列するとはいえ、どのような挨拶をすればいいか悩む方もいるでしょう。
こちらの記事では、お斎の挨拶におけるポイントや文例を紹介します。初めて施主を務める方も、マナーを守った挨拶ができるようになる内容です。
<この記事の要点>
・お斎とは、法要が執り行われた後に開かれる会食のこと
・お斎の挨拶では、僧侶と参列者への感謝を簡潔に話す
・お斎の挨拶の際、縁起の悪い「忌み言葉」は使わない
こんな人におすすめ
お斎で挨拶する予定がある人
施主として法要を控えている人
お斎に参列予定の人
法要が執り行われた後に、開かれる会食を「お斎」といいます。お斎は、僧侶や参列者への感謝の気持ちを込めた場であるとともに、故人を偲ぶ場として用意するものです。
一般的には「おとき」と読みますが、地域によっては「おとぎ」と読むこともあるでしょう。仏教において、決まった時刻にとる食事を「斎食(さいじき)」と呼び、斎食には法要後の食事という意味合いもあることから、「お斎」の由来になったと言われています。
お斎を振る舞う際には、会場の手配が必要です。法事の案内状を送る段階で、お斎に参加する人数を把握しておくとスムーズでしょう。人数が決まり次第、早めに会場を押さえておくことをおすすめします。
また、お斎会場への持ち物として忘れてはならないのが位牌と遺影です。会場の上座に当たる場所に位牌と遺影を置き、陰膳(かげぜん)を配置します。
お斎のメニューの定番は、精進料理や懐石料理、仕出し弁当などです。料理を提供してもらうお店に対して法事で利用する旨を伝えましょう。
もともと、お斎に肉や魚はタブーとされていましたが、最近ではメインでなければ使ってもよいと考える方も増えています。しかし、鯛や伊勢海老などお祝いをイメージさせる食材は避けたほうがよいでしょう。また、事前にアレルギーの有無を参列者に確認することも重要です。
お斎は単に食事を行う場ではなく、法要の一部と考えられているため、一連の流れが存在します。一般的なお斎の流れは次の通りです。
・お斎はじめの挨拶
・献杯
・会食
・お斎終わりの挨拶
お斎を滞りなく行うためにも、はじめと終わりに施主が行う挨拶は重要です。事前にどのような挨拶をするかを決めておくと、当日に戸惑わずに済むでしょう。
お斎の挨拶は、感謝や弔いの気持ちを踏まえつつも簡潔にする必要があります。あまり長く話しすぎると、僧侶や参列者を必要以上に待たせてしまうかもしれません。ここでは、お斎の流れに沿って挨拶のポイントと文例を見ていきましょう。
僧侶や参列される方がお斎の会場について、全員が着席したら、施主がはじめの挨拶をします。ここでは、参列者への感謝や、法要が無事終わったことへのお礼などを織り交ぜましょう。
本日は、ご多用中にも関わらず亡き父の一周忌法要にお越しいただき心より感謝申し上げます。おかげさまで無事法要を執り行うことができました。父も喜んでいることと思います。ささやかではありますが、皆様と父を偲ぶ時間をご用意しましたので、お時間の許す限りゆっくりとお過ごしくださいませ。
お斎は、参列者にとっても故人を弔うかけがえのない時間です。誰もがリラックスした状態で過ごせるように、施主の挨拶も穏やかなものにするとよいでしょう。
献杯の挨拶は、参列者の一人に依頼するのが通例です。明確な決まりはありませんが、親族の代表や故人と親しかった友人などに依頼することが多いでしょう。献杯は故人を偲ぶためのものなので、乾杯のようにグラスを合わせたり大きな声で唱和したりすることはありません。献杯時の挨拶は次のような内容がおすすめです。
ご紹介に預かりました〇〇と申します。故人の友人であり、非常に懇意にさせていただいておりました。この度の悲報は本当に残念でなりません。本日は、彼を囲んで思い出話をしながら過ごしたいと思います。彼は大勢集まり食事をするのが大好きでしたので、このように皆様にお集まりいただき、喜んでいることでしょう。それではグラスをお持ちください。彼を偲び、献杯させていただきます。献杯。
代表者の「献杯」という言葉に合わせて、グラスを少し掲げます。乾杯のようにグラスの中身を飲み干す必要はありません。故人のことを語らいながら、ゆっくりと飲みはじめます。アルコールが苦手な方は口を付ける程度にしたり、ソフトドリンクを選んだりしましょう。
施主による終わりの挨拶をもって、お斎は終了となります。お酒が入っていたり、故人の思い出話に花が咲いていたりして、賑やかに歓談しているケースも少なくありません。挨拶前には、一度大きな声でお斎の終わりを案内したあと、次のような挨拶を行いましょう。
この度は、ご多用中にも関わらずお集まりいただき感謝申し上げます。懐かしい皆様の姿に亡き父もホッとしていること思います。名残惜しい気持ちはありますが、そろそろお時間となりましたので、お開きとさせていただきます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。本日は、誠にありがとうございました。
挨拶が終わると、参列者が会場を後にします。施主は全員が無事に帰路につくまで、お見送りをするように心がけましょう。また、返礼品を渡す際は、終わりの挨拶でその旨を伝えるとより丁寧です。
お斎をしない場合は、法要後に施主から参列者に向けて、お斎をしない理由を踏まえて挨拶をしましょう。挨拶の文例を紹介します。
本日は、ご多用のところ亡き父の法要にご参列いただきありがとうございました。本来であれば、皆様と故人を偲ぶ会食をご用意したいところではありますが、遠方よりお越しいただいた方もいらっしゃるためこの度はここでお開きにさせていただきます。
なお、ささやかなお品をご用意しておりますので、お帰りの際はどうぞお忘れなきようお持ちください。この度はありがとうございました。
お斎に限らず、仏事では縁起が悪い、不幸を連想させるなどの理由から、使ってはいけない「忌み言葉」があります。普段は気にせず使っている単語も多いため、挨拶をする際には注意が必要です。ここでは、お斎の挨拶で避けるべき言葉をまとめました。
重ね重ね・度々・いよいよ・近々など同じ言葉を繰り返すのは「不幸が重なる」ことを連想させるため、タブーとされています。日常的に使っている言葉もありますが、法事の挨拶では次のような言葉に言い換えるとよいでしょう。
・十分に
・深く
・近いうちに
・一段と
繰り返し言葉と同じく、不幸が続くことを連想させる以下の言葉もお斎の挨拶では使わないようにします。
・引き続き
・次に
・繰り返し
・もっと
気をつけていなければ、自然に使ってしまう言葉もあるでしょう。心配な方は、どのように挨拶するかを文章に書き出し、事前にチェックすることをおすすめします。
「四」や「九」など縁起の悪い数字や、死や苦しみを連想する単語にも注意が必要です。避けるべき単語の一例を紹介します。
・消える
・数字の四(死を連想させる)
・数字の九(苦を連想させる)
・流れる
・破れる
言葉に気をつけることは、参列している誰もが気持ちよく過ごすための基本です。これらの単語は、施主だけではなく参列する側も使用しないのがマナーのため、覚えておくとよいでしょう。
お斎は、必ず行わなければいけない行事ではありません。最近では、規模を縮小した家族葬を選ぶ方も増えています。法要の負担を軽減するためや、時勢を考慮してお斎をしないケースもあるでしょう。
いくら規模を縮小した法事であったとしても、親族の中にはお斎を振る舞わないことを疑問に思う方もいるかもしれません。お斎をしない場合は、慎重に判断をし、事前にお斎をしない旨を連絡しましょう。
お斎をスムーズに執り行うためには、施主だけでなく、参列者もマナーを守ることが大切です。和やかに会食することが前提なので、意識しすぎて堅くなる必要はありませんが、最低限のポイントは押さえましょう。続いては、参列者が気をつけるべきお斎の基本マナーをご紹介します。
法要後に施主が振る舞うお斎は、故人への供養の意味もあるため、よほど事情がない限りは短時間でもよいので参加します。特に、連絡なく断るのはマナー違反となるため注意しましょう。お斎に参加できない理由がある場合は、案内状を受け取った時点で断りの連絡をします。また、急な事情で当日になってお斎を欠席する場合にも、なるべく早い段階で施主に伝えることが大切です。
お斎を途中で退席する場合は、前もって施主に伝えておきましょう。そうすることで、施主側は返礼品の準備や御膳を包む手配などをスムーズに行えます。また、お斎の途中で退席する際には、遺族の方に挨拶をした上で会場を後にしましょう。同席された参列者に対しても、一言添えてから退席します。
お斎は故人を偲ぶ大切な時間です。懐かしい友人や親族に出会い、故人の思い出話をして供養をするのも重要ですが、お酒を飲みすぎて羽目を外さないよう注意します。施主や他の参列者の気持ちを汲んだ上で、穏やかに時を過ごすことがマナーです。話の内容も、故人の思い出に沿ったものにし、ネガティブな話は避けましょう。
ズルズルと語り続けると会場や遺族の迷惑になります。お開きの挨拶があった後は、速やかに退席しましょう。法要を無事終えた安心から、施主や遺族の方も疲れが出るころです。施主や遺族に対して思いやりをもって行動することもマナーのひとつといえます。
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故人を偲ぶ大切な時間であるお斎を気持ちよく過ごすためにも、施主の挨拶は重要です。スムーズな挨拶を心がけ、出来るだけリラックスしてゆっくりと言葉を選ぶようにしましょう。また、緊張しやすい方は事前に挨拶を紙にまとめるのもおすすめです。
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