法事の挨拶を重荷に感じる施主の方も少なくないようです。ただでさえ法事という不慣れな場面で、マナーなど分からないこともたくさんあるかもしれません。なかには、人前で喋ること自体が苦手に感じている人もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、法事の挨拶は、参列いただいた方々に感謝を伝える大切な機会です。この記事を読むことにより、法事での挨拶の仕方が文例とともにお分かりいただけますので、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・法事の挨拶は、法要の始め、法要の終わり、会食の前後の4回行います
・挨拶は手短にまとめて、忌み言葉を避けましょう
・献杯は、親族の年長者や、本家筋の家長の人、自治会長や組合長などが行います
こんな人におすすめ
法事の挨拶の文例を知りたい方
献杯を依頼された方
施主を務める方
法事・法要では、施主として挨拶をする場面がいくつかあります。施主が挨拶をするのは、どのような場面でしょうか。まずは挨拶が必要な場面を確認してみましょう。
なお、「法事」とは僧侶の読経と法話に会食を含めた一連の行事のことで、「法要」とは僧侶の読経と法話部分のみを示しています。
参考動画:法事の際の施主の挨拶の作法(やり方)・マナー 動画を見られない場合はこちら
施主が挨拶を行う場面は、4回ほどあります。
これから法事を始めるという挨拶です。法事の開始を告げるだけなので、一番簡単な挨拶です。挨拶のあとは参列者に対してお辞儀をし、ご僧侶に対しても礼をします。
この後、ご僧侶の読経が始まりますが、挨拶でご僧侶に対して読経の開始を呼びかけてもいいですし、省略するなら目礼で合図しましょう。
法事に来てくださったことに対する感謝や、これからも支援を願うといった旨を伝えます。後に会食が控えていればその案内も行い、なければ会を締めましょう。お開きの場合は、返礼品をお持ち帰りいただく旨の案内も行いましょう。
会食がある場合、その始まりと終わりに挨拶をします。始まりの挨拶の場合、集まってもらったことに対する感謝や、ささやかながら食事を用意していることなどを伝えます。献杯の挨拶をお願いする場合は、事前に頼むようにしましょう。
終わりの挨拶では、最後まで付き合ってもらったことに対する感謝、これでお開きであること、今後も支援を願う旨などを伝えます。
具体的な挨拶の文例をご紹介します。法事の挨拶は、四十九日でも一周忌でも変わりなく使えるので、ある程度覚えておくと便利です。
覚えておけるかどうか不安な場合には、文例をメモした用紙を手に持って読みながら挨拶をしても失礼にはあたりません。ただし、メモに目線を落としたままではなく、可能な限り参加者の方向に顔を向けるよう努めることは大切です
・「本日は、お忙しいなかお集まりいただきありがとうございます。これより、(続柄と名前)の(四十九日・一周忌など)の法要を執り行いたく存じます」
・雨が降っていれば「足元が悪いなかお集まりいただき~」、遠方の方が多ければ「遠方よりお集まりいただき~」などもよく使われます。
■基本の文言
「本日はご多忙のなかお集まりいただきましてありがとうございました。おかげさまで(続柄と名前)の(四十九日・一周忌など)の法要を無事に終えることができました。これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます」
■会食がない場合
「本来であれば皆様と一緒に粗宴を囲みながら母を偲びたいところではありますが、本日はこれでお開きとさせていただきます。お荷物かと思いますが、心ばかりのものを用意しておりますので、お忘れなきようお持ち帰り下さいませ。本日はまことにありがとうございました」
■会食がある場合
「心ばかりではありますが、別室にて席をご用意しております。お時間の許す限り、どうぞごゆっくりなさってください。本日はまことにありがとうございました」
■会食の始め
「本日はまことにありがとうございました。こうして母を偲ぶ席にお付き合いいただくことができ、本当に嬉しく思います。ささやかではございますが、母の思い出話でもしながら召し上がっていただければ、何よりの供養になると思います。どうぞ、時間の許すかぎり、ゆっくりとおくつろぎください」
献杯の挨拶をお願いしている場合、後に「まず始めに、母の友人である○○様にひとことお願いします」のような文言を加えておきましょう。
■会食の終わり
「本日はお忙しいなか、最後までお付き合いいただきありがとうございました。こうして皆様と一話をすることができ、母にとっても何よりの供養になると思います。なごりはつきませんが、これにてお開きとさせていただきたいと存じます。これからも家族力を合わせてやっていきたいと思っているので、どうか変わらぬ支援をお願い致します。本日はまことにありがとうございました」
他にも挨拶の例文を紹介していますので、こちらのページを参考にしてください。
参考:挨拶文例集
法事の挨拶は施主として重要な役目のひとつですが、長々と喋れば良いものでもありません。また、参加者は格別に流暢な挨拶を求めているわけでもないでしょう。まずは参列してくださった方々に対して失礼が生じないように適切なマナーを心得ておきたいところです。
ここでは挨拶をする際、特に注意しておきたい3つのポイントを紹介いたします。
挨拶は長すぎるとだらだらとした印象になってしまうため、できるだけ手短にまとめることをおすすめします。長くても1分程度でまとめるのが通常です。
弔事では忌み言葉を避けるマナーがあり、法事の挨拶でも同様です。忌み言葉とは、不幸の発生や連続を想起させるような言葉、言い回しのことを言います。
【忌み言葉の例】
くれぐれ、たびたび、次々、再三、重ね重ね、死ぬ、苦しむ、迷う、数字の4及び9など
会食後の挨拶では、参加者同士で話が盛り上がっていないか、まだ料理の進み具合を見ておきましょう。途中で止めてしまわないよう、参加してくださった方全員が落ち着いたタイミングを見計らって下さい。
一般的に会食は1時間半から2時間ほどでお開きになるケースが多いです。もし、お開きのタイミングに迷ったときには、料理業者さんのスタッフに相談してみることも良いでしょう。
お祝いの席では食事の前に乾杯をしますが、法事の会食では献杯が広く行われています。献杯は乾杯と同じ作法のつもりで行うと、気まずい思いをすることになる可能性が高いので注意が必要です。
献杯はもともと弔事に限った行為ではありませんでしたが、現在は仏様や故人に対して畏敬の念を込めて杯を捧げる意味合いがあります。
献杯は誰に頼まなければならないという仏教上の決まりがあるわけではありません。一般的に親族の間で年長者、長老的立場の人、本家筋の家長の人、地域によっては自治会長や組合長などが献杯の発声をすることが多いようです。
地域性や親族間における慣習も考慮することに注意が必要です。また、家族のみで行う場合には献杯を省略したり、施主が献杯の発声をしたりする場合もあります。
只今ご紹介いただきました(故人との関係性、自分の名前)でございます。このように皆様にお集まりいただき故人もさぞ喜んでいることと存じます。ここに故人を偲び、皆さまに献杯をお願いしたいと存じます。
皆さまお手元にグラス(または杯)のご用意をお願いいたします。それでは、献杯とご唱和をお願いいたします。献杯。皆さま、ありがとうございました。
献杯のときには下記の点に注意しましょう。
・グラス同士をカチンと合わせない(グラス同士を触れさせることはしません)
・献杯の発声時、グラスを高く掲げることはしません(胸の高さに軽く掲げる程度)
・献杯の発声は明るく元気よくするのではなく、トーンを抑えた声にします。
法事の挨拶に関する事項として、法事の実施日以前の案内をどうしたら良いのだろうかと思い悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。法事の前段階である案内状や挨拶状でつまずくことのないよう、適切な対応を把握しておきたいところです。
ここでは法事の案内状・挨拶状について文例とともにポイントを確認しておきましょう。
案内は、法事の1ヶ月から2ヶ月前に先方の手元に届くように送ることが基本です。したがって、案内状の作成は更に前のタイミングで取りかかることとなります。
特に四十九日法要は、葬儀を終えてから2ヶ月に満たない期間で迎えることになりますので、早めに案内状の手配に入ることが肝心です。
謹啓 春雪の候 みなさま方には御清祥のことと拝察申し上げます
この度 亡父〇〇〇〇の一周忌法要を下記にて執り行います。
ご多用中のところ誠に恐縮ではございますがみなさま方のご参列を賜りたくご案内申し上げます 敬白
記
日時 令和○年○月○日 午前○○時より
場所 臨済宗清流山東林寺
(住所 東京都葛飾区○○ ○-○-○ 電話番号 ○○-○○○○-○○○○)
法要後 同場所にて粗宴をご用意しております。
以上
令和○年○月○日
東京都港北区○○ ○-○-○
施主 鈴木一郎
(電話番号 ○○-○○○○-○○○○)
お手数ながらご参列については○月○日までにご回答いただきたくお願い申し上げます
法要後に会食の席を設けないケースもあります。その際は参列者への配慮のためにも、案内状に次のような文章を追記しておくと良いでしょう。
当日は諸般の事情により会食の席をご用意しておりません 大変恐れ入りますがご了承のほどお願い申し上げます
自宅にあるプリンターを活用して、案内状を自作しても差し支えありません。実態としては、法事で利用する料理屋や返礼品業者、そのほか葬儀社や仏壇仏具店に作成を依頼するケースが多数です。最近は、インターネット上で礼状や案内状作成を受託している業者も多く見られます。
普段からお寺と頻繁にコミュニケーションを取っているという方は少ないようです。そのため、法事の依頼の仕方やお布施などお寺の対応方法について、何をどうしてよいのかお困りの方も多いと考えられます。
施主を務めるのであれば、法事をお寺にお願いする際に配慮すべきマナーや、用意する御布施の金額についても知っておくとより安心です。
菩提寺などお付き合いのある寺院があれば、直接寺院に伺うか、もしくは電話を利用することが一般的です。
直接寺院に足を運んで法事の依頼するほうが丁寧ですし、聞き間違いによる認識の相違を防ぐことができます。また、より確実性を高めるため、口頭で依頼をした後にメールやFAXを送信しておくことも良いでしょう。
菩提寺が無い場合には、小さなお葬式にて寺院手配サービスの提供も承っておりますので、ぜひご相談ください。
参考:小さなお葬式の寺院手配
法事で包むお布施の金額は、3万円~5万円がおおよその目安です。法事当日に納骨も行い、僧侶にも立ち会っていただく場合には、3万円~10万円とお布施の目安も上がります。
ただし、お布施に包むべき金額は、寺院の考え方やお付き合いの程度などで変わるので注意が必要です。
お布施にいくら包んだら良いかをお寺に尋ねることは、特に失礼にあたらないとされています。色々な尋ね方がありますが、下記はその一例です。
この度、法事をお願いするにあたりまして御布施はいかほどお包みすればよろしいものでしょうか。どのくらいお包みすべきものなのか想像もつかず、大変恐れ入りますがお教えいただけないでしょうか。
お寺によっては「お気持ちで結構ですよ」と答えが返ってくる場合があるかもしれません。その際には「では、みなさまはどれくらいご用意されているのでしょうか」と尋ねてみるのも良いでしょう。
お布施を渡すタイミングは、法事が始まる前か終わった後です。どちらのタイミングが良いかはお寺によります。無難な方法として、法事をお寺に依頼する際に「お布施はいつお渡ししたらよろしいでしょうか」と確認してしまうことです。
下記に一例として法事が終わった後にお布施を渡す場合の挨拶文例を紹介します。
本日は誠にありがとうございました。御布施でございます、どうぞお納めくださいませ。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、法事を中止したり延期したりするケースが多くなっています。
新型コロナウイルス以外でも、施主家族における急病や災害など、想定外のトラブルが発生するなどして、法事の日程について急遽見直しを迫られることは起こり得る事態です。ここでは非常事態の発生によって法事を中止・延期する場合の対応について紹介いたします。
一度法事の案内を実施した後に中止や延期をする場合には、参加予定者に急いで連絡することが基本的対応となります。連絡方法は電話を主とし、親しい親族であればメールやLINEなどメッセージアプリでも問題ないでしょう。
そのほか、法要の実施日程を公にする前に中止や延期の案内をする場合や、家族のみで法要を営んで事後報告とするケースなどがあります。
謹啓 みなさまにおかれましては すこやかにお過ごしのことと存じます
故○○○○の一周忌を迎えようとしているところでございますが 昨今の社会情勢を考慮し一周忌法要の実施は見送りとすることにいたしました
法要への参加をお考えくださっていた方にはご迷惑をおかけすることになりお詫び申し上げます
次回年忌法要を開催する際には みなさまにお集まりいただければと存じます
何卒ご理解のほどお願いを申し上げます 敬白
令和○年○月○日
神奈川県横浜市旭区○-○-○
施主 ○○○○
謹啓 みなさまにおかれましてはご清祥のことと存じます
故○○○○の一周忌法要につきまして 昨今の新型コロナウイルスの流行状況を踏まえ延期することといたしました
法要参加のご用意をしてくださっていたみなさまには 法要予定日が差し迫った時期でのご連絡となり大変申し訳ありません
新型コロナウイルス収束後あらためまして法要の御案内をいたしたく存じます
大変恐縮でございますがご理解のほどお願い申し上げます 謹白
令和○年○月○日
静岡県沼津市市道町○-○-○
施主 ○○○○
拝啓 春暖の候 皆様いかがお過ごしでしょうか
故○○○○の死去より葬儀や四十九日法要等々皆様には折に触れて温かいお心遣いを賜り深謝申し上げます
まもなく一周忌を迎える時期となりますが 昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し本法要は家族のみで営むことといたしました
誠に勝手ながら皆様のご理解を賜りたく存じます
皆様のご多幸ご健勝をお祈り申し上げます 敬具
令和○年○月○日
大阪府大阪市中央区大手前○-○-○
施主 ○○○○
謹啓 皆様におかれましてはご清栄のことと存じます
さて先般○月○日に家族のみが集まり亡父○○○○の一周忌法要をささやかに相営みました
本来であれば皆様にご参加をお願いしたいところではございましたが 昨今の新型コロナウイルスの流行下において多人数の集いを執り行うわけにもいかず家族のみの法要とさせていただいた次第でございます
事後の報告となり大変申し訳ございません
皆様のご健康が守られますよう心よりお祈り申し上げます
令和○年○月○日
東京都大田区西蒲田○-○-○
施主 ○○○○
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法事で施主がする挨拶は法要の始まりと終わり、会食の始まりと終わりの4場面が主です。挨拶は手短にし、忌み言葉を避けるなどの注意点があります。
献杯は施主自身がするものではなく、一般的に親族など参列者のどなたかに発声をお願いするものです。献杯では杯同士を合わせないことや杯を高く掲げないことなどの注意点がありますので覚えておきましょう。
法事では施主としてお寺への挨拶も欠かせません。お布施のことを含めて対応に困った際には小さなお葬式にご相談ください。菩提寺がなく法事にお越しくださるお寺を希望される場合は、寺院手配サービスもございますのでぜひお気軽にお問い合わせください。
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