
作成日:2021年09月15日 更新日:2022年11月25日
真言宗の法事のお供えは?他の宗派との違いはある?
法事のお供えを考えるとき、宗教や宗派によって違いがあるのかと悩む方もいるでしょう。仏教には真言宗をはじめとした多くの宗派が存在し、それぞれの異なったしきたりや作法があります。
この記事では真言宗における法事のあり方や、お供え物についてまとめました。真言宗についての理解を深められる内容です。
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【もくじ】
・真言宗の法事は他の宗派と違う?
・真言宗の法事にお供え物を贈るなら「五供」を考えて
・真言宗の仏壇にお供えするもの
・真言宗をもっと知る
・法事・法要の費用をおさえる「お坊さん手配」をかしこく活用しよう
・おすすめ記事
・まとめ
真言宗の法事は他の宗派と違う?
真言宗は、平安時代に弘法大師空海により大成した、日本で唯一の密教です。「大日経」と「金剛頂経」が主な経典で、大日如来を本尊としています。ここからは、真言宗の法事の特徴や他の宗派との違いを見てみましょう。
基本的には変わらない中陰法要・年忌法要
真言宗は即身成仏(そくしんじょうぶつ)を目指す密教ですが、仏教における中陰法要(四十九日までの七日ごとに営む法要)については、他の宗派と大きな違いはありません。
年忌法要(一周忌以降数年ごとに営むの法要)の時期に関しては、仏教宗派や地域によって少しずつ異なります。真言宗では十七回忌ののち、二十五回忌の法要を行うのが一般的です。そして多くの場合、三十三回忌に弔い上げとなります。

仏壇のお供えと飾り方は宗派によって異なる
仏壇にお供えや御膳を置くという標準的なスタイルは、どの宗派でも変わりません。「右側に火(ろうそく立て)、左側に花」が基本的なルールです。しかし、祭壇やお供えの飾り方については、宗派による違いがあるため注意しましょう。特にご本尊や掛け軸など飾りの種類は、宗派と地域で差が出る部分です。
真言宗の法事にお供え物を贈るなら「五供」を考えて
真言宗の法事において、どのようなお供え物を用意すればよいか分からないという方も少なくありません。法事のお供え物は何でもよいわけではなく、選び方のマナーが存在します。こちらでは真言宗のお供え物にふさわしいものと、タブーとなるものについてまとめました。
なお、お供え物は3,000円~5,000円が一般的な目安です。近しい親族になれば1万円以上のものを用意することもあります。
五供は5つのお供え
お供え物の基本として「五供(ごくう)」があり、これは香り、花、灯り、水、食べ物の5つを指します。五供には仏様をもてなしたり、場を清めたりといった意味があり、仏教において重要なものです。
また弔事では「悲しみを長く引きずらない」「不幸を断ち切る」という考えから「消え物」を贈るのがよいとされています。真言宗の法事のお供え物にも、五供をもとにした消え物を選ぶのがおすすめです。
果物やお菓子などの食べ物
五供の「食べ物」にあたる果物は、お供え物の定番です。季節感が出やすく、仏壇が華やぐため、遺族にも喜ばれるでしょう。しかし果物を贈る際には、個数に注意が必要です。仏教で不吉とされる4と9や、ネガティブな印象がある「偶数」となる個数を贈るのは避けます。果物店などで購入する際は、弔事用と伝えて包んでもらうと安心です。
また、お菓子もよく選ばれるお供えのひとつでしょう。お菓子は遺族が好きなタイミングでいただけるよう、賞味期限が長く、個包装されているものを選びます。生菓子などの冷蔵保管が必要なお菓子は、お供えしづらいため避けたほうが無難です。
お茶やコーヒーなど飲み物の詰め合わせもお供え物として人気があります。故人が好きだった銘柄や、遺族の家族構成を考えて贈るとよいでしょう。
石鹸や洗剤などの日用品
日用品を選ぶ場合は、消耗して使い切ってしまえる物を選びます。具体的には石鹸や洗剤、タオルなどの生活必需品です。気温や日持ちを考えなくてもよいため、お互いにとって比較的負担がかからないお供え物になるでしょう。
五供である「香」につながる線香や、灯りの意味を持つろうそくなどもおすすめです。最近はさまざまな香りの線香や、美しい絵柄の施された仏壇用のろうそくなどが販売されています。故人が好きだった香りやカラーを参考に選んでもよいでしょう。遺族の好みが分からない場合は、好きなものを選んでもらえる「カタログギフト」を贈る方もいます。
タブーとなる贈り物
仏教では殺生はタブーとされており、真言宗でも同じです。肉や魚などは、故人が好んでいた食べ物だとしても失礼になるため避けましょう。贈答用の缶詰や乾物、加工食品であっても肉や魚を使ったものは選ばないのが無難です。だしの詰め合わせなどを贈る際は、かつおだしではなく植物性であるシイタケや昆布だしを選びましょう。
また、殺生をイメージさせる毛皮などを使ったものもお供えにはふさわしくありません。生クリームのケーキなども生ものにあたるためNGです。その他にも受け取る遺族のことを考えて、香りが強すぎるものや遺族が好まないものは避けます。

真言宗の仏壇にお供えするもの
仏壇には御本尊と掛け軸(脇掛け)を祀り、仏具やお供え物を飾ります。宗派により御本尊や仏具は異なりますが、基本的な仏具は同じであると考えてよいでしょう。また、こちらでは最低限必要とされている仏具を紹介しますが、地域によって違いがあるため注意が必要です。
仏壇の飾り方
法事の当日には、仏壇が整っている状態にします。堅く絞った濡れタオルなどで祭壇を拭き上げ、お供えなどを置くスペースを確保しましょう。御本尊は一度祀ったら動かすことは少ないですが、法事の前には仏具がきちんと並んでいるか、埃などの汚れはないか確認しましょう。
仏具に関しては以下を参考に、仏壇の段数やスペースに合わせて、前後で並べるなど工夫をして配置します。
最上段:真言宗の御本尊は「大日如来」で、脇掛けは「不動明王」と「弘法大師空海」です。まず仏壇の最上段中央に御本尊を祀り、脇掛けは向かって右に「弘法大師空海」を、左には「不動明王」を祀ります。
二段目:中央に茶湯台(湯のみ)を、右に位牌を安置します。このとき御本尊が隠れないように注意しましょう。
三段目:中央に高坏を安置し、向かって右に花台を飾り左に過去帳を置きます。
最下段:前香炉、灯(ろうそく)立て、線香立て、リンなどを安置し、ろうそく消しなども備えておきましょう。
法事の御膳の供え方
法事では、仏様の食事として霊供膳(れいぐぜん、りょうぐぜん)をお供えします。霊供膳用は専用の小さな器を使い、精進料理をお供えするのが通例です。宗派や地域の習わしによって内容は多少変わりますが、真言宗の場合は以下のように御膳を並べます。
器 | 料理 | 器の位置 |
飯椀 | 炊いた米を高く盛る | 左前 |
汁椀 | 味噌汁や吸い物 | 右前 |
平椀 | 野菜や高野豆腐の煮物など | 左奥 |
壺椀 | 和え物やおひたし、煮豆など | 右奥 |
高杯 | 漬物など | 中央 |
仏様にとっては、湯気がご馳走といわれています。霊供膳は温かいうちにお供えし、冷めたら御膳を下げましょう。
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いただいたお供え物はどこに置く?
お供え物が仏壇に直接置ける大きさなら仏壇の中段に供えます。法事の際は頂くお供えも多いため、並べるための台を用意しておくとよいでしょう。大きく重量のあるものなら仏壇近くの畳の上に敷物などを用意して置くこともありますが、基本的には台の上に乗せます。
お供え物は品物やかけ紙に記された贈り主の名前が、お参りする方から見えるように置きましょう。
真言宗をもっと知る
真言宗では、教えに従い修行に励めば誰でも仏になれると考えられています。地域による偏りは少なめで、日本全国で信仰されている宗派です。ここからは、真言宗についてもう少し詳しく見てみましょう。
教えは「即身成仏」と「密教」
真言宗は弘法大師空海によって開かれた宗教であり「すべての命は大日如来の化身であり、仏のような信心と言葉で行えば、誰もが仏となれる」という考え、すなわち即身成仏に基づいています。
仏教には「顕教」と「密教」があり、顕教はお釈迦様が大衆へ向けて説いたあらわな教えです。一方、密教は大日如来が説いた真理そのものを表す秘密の教えであり、段階を踏まなければ到達できない教えもあります。
真言宗は日本で唯一の純粋な密教であり、悟りの究極を目指すのが特徴です。密教の世界観を表した「曼荼羅」も真言宗が発祥とされています。
御本尊のほか念仏や念珠の特徴
真言宗において、御本尊である大日如来は宇宙の真理であり、最高の仏様と考えられています。真言宗の教えでは、世界のすべては大日如来から生まれ森羅万象を司るということです。また、真言宗では念珠(数珠)を重要視しているのも特徴といえます。
主玉が108個、親玉が2個、四天玉4個、そして2つの房がついているものが真言宗の念珠です。他の宗派のものよりも長いのが特徴で、一連の念珠を左手で持ち、親玉を上にした状態で二重にして使います。合掌の際は、二重にしたまま両手の中指にかけましょう。擦り合わせて音を鳴らすことで、108の煩悩を消す意味もあります。
法事・法要の費用をおさえる
「お坊さん手配」をかしこく活用しよう
法要・法事にはお布施以外にも読経、お車代、御膳料などさまざまな費用がかかります。合計すると、平均して10万円以上はかかるでしょう。
また、寺院や地域によっても異なるため、いくら準備しておけばよいのか悩む方もいるのではないでしょうか。

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まとめ
真言宗の法事は法要や会食を行うなど、基本的な流れは他の仏教と同じです。お供え物も五供を念頭に置いた心を込めたものとし、真言宗の決まりにそった御膳を供えましょう。
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