お盆を控えているものの、「送り盆」「迎え盆」「新盆」「初盆」など「盆」のつく名称が多くあり、いつ何をしたらよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。お盆には、お盆初日に当たる「迎え盆」のほか、「送り盆」と呼ばれるお盆最終日にある一連の儀式があります。
そこでこの記事では送り盆を切り口に、お盆の概要や新盆の際に送り盆ですることについて網羅的に紹介します。送り盆のメインイベント、送り火は何時に設定するかの目安も分かる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・送り盆とはお盆の最終日に、ご先祖様や故人をあの世へ見送るための儀式を執り行う日
・地域によって時間帯は異なるが、お盆最終日の朝から夜にかけて行うのが一般的
・送り盆は、午前中にお供え物、夕方に送り火の準備、お墓参りの流れで行う
こんな人におすすめ
送り盆とは何かを知りたい方
送り盆はいつ・何時にするべきかを知りたい方
送り盆から盆明けまでにすることを知りたい方
「送り盆」はお盆の最終日に、ご先祖様や故人をあの世へ見送る一連の儀式を執り行う日です。ここでは送り盆について概要を解説します。「迎え盆」との違いから確認することで、より理解が深まるでしょう。
ご先祖様や故人を自宅に迎える儀式をするお盆初日が迎え盆、ご先祖様や故人の霊をあの世に見送るための儀式をする最終日が送り盆です。
ネーミングは、お盆にご先祖様が自宅で過ごすために、家族が迎え入れて送り出すことからつけられているといってよいでしょう。
お盆は地域性が強い行事であることから、住んでいる場所によっては日にちや時間帯が異なる場合も多くあります。
送り盆はお盆の最終日または最終日の前日夜に送り火をすることがメインイベントです。しかし、お盆は地域によって、新暦の7月15日前後だったり、旧暦の7月15日前後だったり、月遅れ盆と呼ばれる8月15日前後だったりします。それぞれの最終日は16日となるため、その日を送り盆とするのが一般的です。
また、浄土真宗など死生観が異なる宗派では、送り盆をはじめとするお盆の儀式そのものを省略することがあります。
ここでは、送り盆は何時に何をするべきかを解説します。何時から何時ごろまで何をすべきかについては大まかな時間帯の目安はあるものの、地域性に富んでいる点に注意しましょう。
送り盆では、朝から夜にかけてすることがあります。送り盆の終わりの儀式は送り火です。たく火による光であの世への道筋を作ることにより、現世に来てくれたご先祖様たちが迷わず天に帰れるようにするため、夕方から夜までに実施します。
お盆最終日の日中はご先祖様や故人と共にゆっくり過ごし、夕方以降は送り火をたいてお見送りする。以上の流れが、一般的な送り盆の過ごし方です。
一方で、夜まで時間を費やすのではなく、午前中のうちに送り盆が終了するという地域もあります。夕方で終了する地域もあれば、夜遅くまで丸1日かけて過ごす地域などさまざまです。地域によって変わることから、送り盆の時間帯にひとつの正解はないといえます。
多くの地域で、お盆はいわゆる「お盆休み(月遅れ盆)」の時期です。しかし、改暦の影響が地域によってまちまちだったことなどから、期間は3種類存在します。
お盆の名称 | 採用している時期 | 該当する主な地域 |
旧盆 | 旧暦7月13日ごろ~7月15日ごろ | 沖縄地方 |
新暦のお盆(東京盆) | 新暦7月13日ごろ~7月16日ごろ | 東京・横浜・静岡など |
月遅れ盆 | 新暦8月13日ごろ~8月16日ごろ | その他の地域 |
お盆は旧暦(太陰暦)を採用する地域と、新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)を採用する地域、7月でなくひと月ずれた8月の「月遅れ盆」を採用する地域もあります。旧盆を採用する地域では例年ある程度のずれが生じるため、毎年お盆の時期を確認しましょう。
さらに、各地域がお盆と定めている期間は地域によっては上記リストから数日前後することがあるため、日程に注意して準備したほうが安全です。
送り盆を詳しく知るには、お盆の概要を確認しておくことが大切です。普段、何気なく過ごしているお盆について「どのようなもので何をするのか本当のところ分かっているか自信がない」という方もいるかもしれません。この項では、お盆の概要を解説します。
お盆とは、浄土真宗以外の仏式葬儀で故人やご先祖様を見送った遺族が、四十九日明け後の夏の時期に毎年執り行う魂を祀る儀式のことです。
この期間、故人やご先祖様の魂が家に一時的に帰ってくるとされています。そのため、精霊棚を設置してお供え物をしたり、お墓参りしたりと準備を整えなければなりません。
期間は4日ほどに渡ります。遺族側は早い段階からお迎えするための準備にとりかかりましょう。以下にお盆の一連の流れをまとめました。
お盆前日まで | ・お供え物準備 ・盆棚(精霊棚)の飾り付け ・お盆用品の準備 ・お墓の掃除 ・法要をする際は菩提寺へ依頼 |
迎え盆(お盆初日) | ・朝に位牌を盆棚へ移動 ・午前中にお墓参り ・迎え火をたく |
盆中 | ・家族でお墓参り(留守参り) ・法要や読経など ・家族で食事 ・提灯を絶やさない |
送り盆(お盆最終日) | ・家族そろって食事 ・送り火をたく ・お盆用品を片付ける |
迎え盆が亡くなった方やご先祖様を招く日を指すことに対し、送り盆はご先祖様を見送る日です。送り盆では、主にお見送りと後片付けを中心に進んでいくため、一般的な流れを把握しておくことでスムーズに対応できるでしょう。
送り盆では、家族そろって食事するだけでなく、ご先祖様や故人の霊が滞在するとされる盆棚にもお供え物をします。
お供えする物は「百味五果」や「五供」に基づいたものを基準にしたり、ご飯や家族が食べているものと同じ物をお供えしたりするなど、地域や家庭によってさまざまです。お供え物は午前中に済ませましょう。
夕方を目安に送り火の準備をします。迎え火をした庭先や玄関先などに精霊馬を置き、オガラ(麻ガラ)を燃やして火をたくことが一般的です。送り火によってご先祖様があの世へ帰るとされています。「送り盆」の名前の由来です。
最近では、火気厳禁など防災ルールがある集合住宅や地域・自治会に住む方も多いでしょう。地域や住居のルールなどにより火がたけない場合は、地域のしきたりを考慮したうえで、送り火の時間になったら提灯やランプをつけて手を合わせることで代用することも可能です。
地域によっては、提灯を送り火の代わりに灯して家族全員でご先祖様や故人の魂をお墓までお見送りする風習が残っている場合があります。
お墓参りをするときは、一緒に過ごせたことに対する感謝の気持ちを墓前に伝えるとよいでしょう。
送り盆を済ませた後から翌日にかけて、精霊馬やお盆飾り、お供え物を片付けます。精霊馬は庭に埋めたり、塩で清めて紙に包んで処分したり、お寺へおたき上げしてもらったりして片付けることが一般的です。
片付けのタイミングも、地域性があることを覚えておくと役立ちます。送り盆当日に片付ける場合もあれば送り盆の翌日に片付ける場合などさまざまです。ただし、送り火をした火の始末は必ずその日のうちにしてしまいましょう。
「新盆(初盆)」は、故人が亡くなり四十九日が明けた後に初めて迎えるお盆のことです。新盆では、普段の迎え盆・送り盆と異なる準備が発生します。新盆と普段のお盆を比較してみましょう。
故人の四十九日明け後に執り行われる新盆(初盆)では、お盆期間中に僧侶に仏前で読経してもらったり、近しい親戚を招いて法要を営んだりします。僧侶に読経を依頼する場合は「読経料」などを包んだお布施の用意が必要です。
自宅に招く場合は「お車代」、会食にお呼びする際は「御膳料」の準備も必要となる場合もあります。状況に応じて準備しましょう。
新盆では、普段のお盆とは違う白一色の提灯を使います。この白提灯は新盆にのみ使うもので、使った後は処分しなければなりません。これを送り盆の日にする送り火で、ご先祖様や故人の乗り物とされるナスとキュウリでできた精霊馬とともに燃やす地域があります。
白提灯は、お盆の時期に玄関や軒先に吊るしたり仏壇・盆棚の横に設置したりする盆提灯の一種で、新盆時のみ飾ることが一般的です。近所に新盆であることを示す役割があるほか、亡くなった方の霊が初めてのお盆でも迷わず家に帰れるようにという願いや、「穢れのない心で亡くなった方の霊を迎える」という意味も込められています。
一般的なお盆飾りでは盆提灯以外にも盆棚を飾る仏具や用意するものがいくつかあるため、準備の参考にしてみてください。
・位牌
・線香
・香炉
・燭台
・ろうそく
・りん、りん棒
・精霊馬(ナスの牛、キュウリの馬)
宗派や地域によって盆棚の飾り付け方が異なりますので、事前に葬儀社や菩提寺に確認するようにしましょう。
また、お盆のお供え物では「百味五果」と呼ばれるご先祖様や故人をおもてなしする食べ物や植物が飾られます。特に新盆では百味五果のひとつであるお団子やそうめん、ホオズキをお供えする光景が見られるでしょう。
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送り盆は、お盆最終日に故人やご先祖様の魂をあの世にお見送りするための大切な日で、送り火をたく日でもあります。
何時にどのような流れで行うかについては地域性があることから一概には言えませんが、食事の席などを設けてご先祖様とのひとときを過ごした後、夕方以降に送り火をするのが一般的です。
新盆での送り盆では、準備している内容が本当に正しいかどうか不安になってしまう方もいるでしょう。送り盆の過ごし方について不安がある方は、葬儀だけでなく、地域性のあるお盆に詳しい葬祭のプロが常在している小さなお葬式に気兼ねなくご相談ください。
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