加給年金とは?もらえる年金額や手続きの方法を分かりやすく解説

加給年金とは?もらえる年金額や手続きの方法を分かりやすく解説

加給年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金に加えて、追加で受け取れる年金です。ただし、支給を受けるためにはいくつかの条件があり、条件を満たしていても自動的に受け取ることはできません。

手続きをおこなわなければ受給できない年金のため、まずは加給年金の支給条件を確認し、条件を満たしているかどうかを判断することが重要です。

この記事では加給年金について年金額や手続きの方法も含めて分かりやすく解説します。3つの注意点も紹介するので、参考にしてください。

こんな人におすすめ

加給年金について知りたい方

加給年金の手続きについて知りたい方

加給年金に関する注意点を知りたい方

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加給年金とは何か

加給年金は年金が受給できる65歳になった際に、生計を共にし、維持している配偶者や子供がいるときに加算される年金です。年金には国民年金と厚生年金があり、年金の加入状況によって被保険者の区分は3つに分けられます。

第1号被保険者:国民年金に加入、国民年金保険料を負担
第2号被保険者:厚生年金に加入、会社と保険料を折半する形で負担
第3号被保険者:国民年金に加入、配偶者が基礎年金拠出金を負担しているため保険料を納付する義務がない

加給年金を受給できるのは厚生年金に加入している第2号被保険者です。しかし、第1号被保険者である自営業やフリーランスの方も厚生年金の加入期間によっては対象になるので条件を確認しましょう。

被保険者が受給開始年齢になった際に、一定の条件を満たしていると加給年金が受給できる仕組みです。また、加給年金の対象となる代表的なケースは夫が妻よりも年上であり、生計を夫に維持されてきた妻が年金を受給できない場合が挙げられます。

このケースでは夫が退職すると労働収入がなくなり、年金だけでは生計を維持することが難しいと考えられます。妻の年金が支給されるまで夫の年金に上乗せして加える形で支給することによって、生計を立てる際に助けとなる年金です。

加給年金がもらえる条件と年金額は

先ほどの項目で説明したケースから、自身や配偶者が対象であると考えた方もいることでしょう。ただし、加給年金にはもらえる条件が細かく指定されているので、手続きをおこなう前に確認が必要です。具体的な支給条件と支給額について解説します。

加給年金の支給条件

加給年金の支給条件は大きく分けて4つあります。

・65歳到達時点での厚生年金の被保険者期間が20年以上
・生計同一関係であり、対象者が生計を維持されていること
・配偶者は年齢が65歳未満かつ年収850万円未満(所得が655万5,000円未満)
・子供は18歳到達年度の末日までの間の子が対象

厚生年金の被保険者であることが前提ですが、被保険者期間が20年未満の場合は加給年金の対象になりません。配偶者は年齢が65歳未満であることが条件ですが、子供は1級・2級の障がいがある場合は18歳ではなく20歳未満が対象です。

また、加給年金は支給が停止される条件も存在します。

・配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金、障害年金を受給している
・配偶者や子供が支給条件の年齢を満たさない
・配偶者との離婚や死別などによって生計を維持していない

老齢厚生年金に関しては被保険者期間が20年以上、退職共済年金は組合員期間20年以上が対象になり、上記の年金を受給する場合は支給が停止されます。基本的には支給条件を満たさなくなったときが加給年金の支給が停止されるタイミングと考えておくとよいでしょう。

加給年金の支給額

加給年金の支給額は配偶者または子供によって以下のように変動します。

対象者 加給年金額(年額)
配偶者 22万4,700円
1人目・2人目の子 各22万4,700円
3人目以降の子 各7万4,900円

また、配偶者の加給年金額は老齢厚生年金を受けている場合、年金受給権者の生年月日に応じて以下のように変動します。

生年月日 特別加算額 加給年金との合計額
1926年4月2日~1940年4月1日 3万3,200円 25万7,900円
1940年4月2日~1941年4月1日 6万6,300円 29万1,000円
1941年4月2日~1942年4月1日 9万9,500円 32万4,200円
1942年4月2日~1943年4月1日 13万2,600円 35万7,300円
1943年4月2日以降 16万5,800円 39万500円

受給者の生年月日が1943年4月2日以降で、配偶者を対象に年金を受け取る場合は22万4,700円に老齢厚生年金の特別加算額の16万5,800円が加算され、「22万4,700円+16万5,800円=39万500円」が年額で貰える仕組みとなります。

参考:加給年金額と振替加算 日本年金機構

加給年金の振替加算とは

配偶者の年齢が65歳以上になると加給年金の支給が停止されますが、一定の条件を満たしている場合は振替加算の対象となります。振替加算は配偶者が加給年金を受給していた場合に、自身が老齢厚生年金を受けられるようになった際に加算される年金です。

振替加算の支給条件

振替加算の支給条件は下記の通りです。

・1926年4月2日から1966年4月1日までの間に生まれている
・老齢厚生年金と退職共済年金の加入期間が20年未満
・1951年以前に生まれた場合は加入期間の条件が異なる

1951年以前に生まれた方は老齢厚生年金と退職共済年金の加入期間の条件が下記の表の通りに変化します。

生年月日 加入期間
1947年4月1日以前 15年未満
1947年4月2日~1948年4月1日 16年未満
1948年4月2日~1949年4月1日 17年未満
1949年4月2日~1950年4月1日 18年未満
1950年4月2日~1951年4月1日 19年未満

支給額は1926年に生まれた方の加算額が最も高く、1966年生まれの加算額が最も低くなる仕組みです。1926年生まれの方は加給年金と同額である22万4,700円が年額で支給されました。しかし、加給年金の年額を基準に政令で定める率が設定されており、1943年生まれは0.547であるため、半額に近い12万2,911円が振替加算になります。

1961年以降は0.067であるため1万5,055円となり、1977年4月2日以降に生まれた方は振替加算が貰えません。生まれが遅いほど支給額が減少するため、これから年金を受給する方が受け取れる振替加算は決して多くはありません。

参考:加給年金額と振替加算 日本年金機構

加給年金の手続きについて

加給年金の対象である方が支給を受けるには手続きが必要になります。年金事務所または年金相談センターで手続きをおこなうことができますが、手続きに必要な書類がいくつか存在するので確認しましょう。

加給年金の手続きに必要な書類

加給年金の手続きに必要な書類は下記の4つです。

・老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
・受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本
・世帯全員の住民票の写し
・加給年金の対象者(配偶者や子)の所得証明書など

加給年金額加算開始事由該当届は日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。記入例もあるので参考にしながら必要事項を記入しましょう。また、年金を申請する際に配偶者に関する届け出をおこなった場合はダウンロードしなくても社会保険事務センターから郵送されます。

戸籍抄本または戸籍謄本は、受給権者と加給年金の対象者の続柄を確認するために必要な書類です。住民票の写しは生計を同一にしているかを確認し、所得証明書または非課税証明書で生計を維持しているかどうかを判断します。またすべての書類はコピー不可能で原本が求められます。戸籍に関する書類と住民票の写しは提出日の半年以内のものを用意しましょう。

また、加給年金の対象者が障がいがある方の場合は診断書も必要になります。上記の書類を持参して年金事務所、年金相談センターで申請をおこなうことで、日本年金機構から加給年金の手続きのお知らせが送られてきます。返信用はがきに記入し返送すれば加給年金の手続きが完了します。

必要書類の用意は加給年金の受給開始前に余裕をもっておこない、申請する際には不備がないようにしましょう。

参考:老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届 日本年金機構
   加給年金額を受けられるようになったとき 日本年金機構

振替加算の手続きについて

振替加算を受ける場合は加給年金とは異なり手続きは必要ありません。ただし、65歳以上になった後に、生計を維持している配偶者の厚生年金保険の加入期間が20年以上になり、老齢基礎年金を受けられるようになった場合は国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届の提出が必要です。

こちらの書類の提出先は年金事務所、年金相談センターであり、必要書類は加給年金の手続きと同様に戸籍に関する書類と住民票の写しと所得証明書です。手続きが必要なケースもありますが、基本的に振替加算に申請は必要ありません。

参考:振替加算を受けられるようになったとき 日本年金機構

支給を停止する場合は手続きが必要

加給年金の支給条件を満たさなくなり停止される場合は手続きが必要になります。支給停止となったにも関わらず受給を続けると、加給年金を不正受給したことになり、後から返金が必要になるので手続きするようにしましょう。手続きには老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由該当届が必要になります。加給年金の書類と同様に日本年金機構からダウンロード可能です。

提出先は年金事務所または年金相談センターであり、支給停止の手続きに関してはこちらの書類の提出によって完結します。

参考:老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由該当届 日本年金機構
   老齢厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受けることになったとき 日本年金機構

加給年金に関する注意点

加給年金の支給を受ける場合は3つの注意点があるので解説します。

繰り下げ受給をすると加給年金は受け取れない

年金の繰り下げ受給は、65歳で年金を請求しないことで年金の支給額を増加させる方法で、最大で70歳まで支給開始年齢を延ばせます。増額率は引き延ばした月数×0.07%となっており、最大で42%増額されます。

年金の支給額を増加させる方法の1つですが、繰り下げ受給を利用した場合は年金の支給開始まで加給年金の受給はできなくなります。どちらの制度を利用したほうがいいのかは余命に依存するので難しいところですが、繰り下げ受給で支給開始年齢を延ばすと年金を受給できる年数が減少するリスクがあります。余命が少ない状態で繰り下げ受給をおこなえば受け取れる年金の総額は減少します。

よって、支給条件を満たしている場合は、加給年金を65歳から受給するほうが確実です。また、支給額は減額しますが60歳~65歳になるまでに年金を早期請求する繰り上げ受給もあります。加給年金の支給条件は65歳以上であるため、繰り上げ受給で年金の受給を開始しても加給年金の条件を満たさず、65歳になるまで受け取れません。

参考:年金の繰り下げ受給 日本年金機構

配偶者は保険料を負担する必要がある

加給年金の受給権者が65歳以上になり第2号被保険者から外れると、対象となる配偶者の年金区分が第3号から1号になるので、年齢によっては国民年金の保険料を負担する必要があります。

加給年金の受給権者が65歳のとき配偶者が60歳であれば保険料の負担はありません。60歳で国民年金の保険料の納付が終了するからです。しかし、59歳以下であれば国民年金保険料の負担が生じます。

加給年金は、他の条件を満たしているなら配偶者が65歳になるまで受け取れる年金であるため、夫婦の年が離れているほど年金の総額は大きくなります。しかし、年の差が開くほど国民年金保険料の負担額が増加する点に注意が必要です。

加給年金の支給を受けている場合でも配偶者の国民年金保険料は免除されないので気をつけましょう。

共働きで被保険者期間が20年以上になった場合

加給年金を受給する共働きの家庭では、配偶者の年収が850万円未満であることも重要ですが、厚生年金の被保険者期間にも気をつけましょう。共働きで支給の途中に配偶者の厚生年金の被保険者期間が20年以上になり、年金を受け取れるようになった場合は年金が打ち切られます。

配偶者の被保険者期間は振替加算を受ける条件にも含まれており、20年以上になった場合は振替加算も受けられません。ただし、被保険者期間が20年以上であっても年金を受け取っていない期間に関しては加給年金を受け取れます。

受給権者だけでなく配偶者の被保険者期間も加給年金や振替加算を受給する場合は重要になるので確認しておきましょう。

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まとめ

加給年金は支給条件を満たしていても手続きしなければ受給できない年金であるため、条件を確認して年金事務所などで申請することが重要です。

支給条件を満たさなくなった場合は、支給を停止する手続きを自分でおこなう必要があるので忘れないようにしましょう。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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