遺言書の種類は7つ|特徴やメリットに書き方の注意点も紹介

遺言書の種類は7つ|特徴やメリットに書き方の注意点も紹介

遺言にはさまざまな種類があり、細かく分類していくと最終的には7つもの方式が存在しています。遺言を作成しようと思っているものの、種類が多く内容も複雑なため、どの方法を使えばいいかわからないと困っている人もいるのではないでしょうか。

どの方式を使って遺言を作成するかは、置かれている状況や遺言にどの程度の信頼性を求めるかによって変わってきます。適切な方法を使用することで相続をスムーズにしたり、緊急時でも自分の意志を遺すことができたりします。そこでこの記事では、それぞれの遺言の種類や特徴、メリットなどについて解説します。

こんな人におすすめ

遺言の作成をお考えの方

遺言の種類と特徴について知りたい方

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相続の遺言の種類は7つ

遺言の種類は大きく分けると普通方式遺言特別方式遺言の2種類にわかれ、その中でさらに細分化されて最終的には7種類となります。ほとんどの場合は普通方式遺言を使用しますが、一部の緊急事態に限り特別方式遺言を使用します。

それぞれどのようなときに使うかを知っておくと、そろそろ遺言を作成しようと考えている人はもちろん、緊急事態が起こって遺言書を作成する必要に迫られた際にも役立つでしょう。

普通方式遺言

普通方式遺言には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。緊急事態に相当する場合以外の遺言はすべてこの方式を使うため、ほとんどの遺言がこの3種類に当てはまります。

中でも一般的に使われているのは自筆証書遺言と公正証書遺言で、普通方式遺言には有効期限は設定されません。内容の異なる日付が最新の遺言を作成した場合は、その時点で以前に記した遺言は無効となります。

特別方式遺言

特別方式遺言が利用される際には、「想定外の事故や緊急の災害などによって死の危険が差し迫っている場合に、特例として使用できる」遺言の方式です。「緊急時遺言」「隔絶地遺言」の2種類があり、有効期限が特に定められていない普通方式遺言とは異なり、作成後に6ヶ月間生命が維持されていると無効になるという特徴があります。

緊急時遺言は一般臨終遺言と難破臨終遺言、隔絶地遺言は一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言のそれぞれ2種類ずつあり、最終的に合計4種類にわかれます。

普通方式遺言の種類1:自筆証書遺言

いつでも好きなときに遺言を作成したい人や、遺言を作成するのにお金をかけたくない人は、自筆証言遺言を使うとよいでしょう。作成する場所や時期に制限はないので、思い立ったときにすぐ書き始めることが可能です。

他者が内容を確認しないため、不備にならないように注意は必要ですが、誰かに遺言を作成したことを明かさずに一部始終を完結させることができます。

自筆証書遺言の特徴

遺言を記す用紙に遺言者がペンを使用し自筆で遺言を記す方法です。事前の手続きは不要で、本人が書きたいと思ったタイミングで自由に作成できます。

「自宅などから遺言書が発見された」というシチュエーションの場合、多くの人が思い浮かべるのはこの自筆証書遺言でしょう。自筆で作成した遺言書に日付と氏名を記入し、捺印することで遺言として認められます。

自筆証書遺言のメリット

手続きをとらなくても作成できるので、自筆証言遺言なら本人の自由なタイミングで作成に取りかかれます。また、費用をかけずに気軽に作成できるところもメリットのひとつといえるでしょう。

本人の署名と押印があれば効力を発揮するため、遺言書を用意したことを誰かに告げる必要もなく、どのようなことを書いたのか他人がうかがい知ることもできません。そのため、生前に記した遺言の内容を知られたくない場合にも適しています。

自筆証書遺言のデメリット

作成した遺言書は自宅などで個人的に保管することになるため、第三者による偽造のおそれを完全に排除することが難しいという問題があります。また、遺言書の存在を知りながら隠匿されてしまう可能性もないとはいえません。

記載した内容の解釈が相続人の間でわかれて争いを生んでしまったり、不備が発覚して遺言自体が無効になってしまったりする危険性もあります。遺言の第一発見者は遺言の検認を家庭裁判所に申請しなければならないため、少しの手間が発生するという点もデメリットといえるでしょう。

普通方式遺言の種類2:公正証書遺言

遺言書が無効になってしまうリスクを減らしたい場合や偽造防止を目的とする場合などは、公証人が遺言の本文を執筆する公正証書遺言が向いています。作成には決められた手数料がかかりますが、安全性や信頼性を高めることができます。

普通方式遺言の中で一番公共性が高いため、遺言を確実に実現に近づけるにはこの方法をおすすめします。

公正証書遺言の特徴

手数料は相続対象となる財産の総額によって定められています。ただし、相続財産が1億円までの場合、遺言加算と呼ばれる11,000円の特別手数料が別途かかる点に注意しましょう。

また、この手数料は財産を受け取る相続人ごとにかかるため、実際にかかる手数料の総額はそれぞれの相続人が相続する財産の価額に対して算定された手数料の合計金額となります。

公正証書遺言を作成する際の手数料は次のとおりです。

相続財産の価額 手数料
~100万 5,000円
100万円以上200万円未満 7,000円
200万円以上500万円未満 11,000円
500万円以上1,000万円未満 17,000円
1,000万円以上3,000万円未満 23,000円
3,000万円以上5,000万円未満 29,000円
5,000万円以上1億円未満 43,000円
1億円以上3億円未満 43,000円+5,000万円迄毎に13,000円
3億円以上10億円未満 95,000円+5,000万円迄毎に11,000円
10億円以上 249,000円+5,000万円迄毎に8,000円

参考:『日本公証連合会 手数料』

公正証書遺言のメリット

公証人が遺言を記すため、不備によって遺言書が無効になる不安を減らすことができます。保管まで受けもってもらえるので第三者による偽造を防止でき、紛失や隠匿のリスクも解消できます。

また、公証人が一度は目を通しているため、遺言書に記された内容の遺言能力が自筆証言遺言に比べて高まるというメリットもあります。もし相続人同士で紛争が起こったとしても解釈の余地を狭めることができるので、遺言を最大限に実現するには、公正証書遺言が有効です。

公正証書遺言のデメリット

あらかじめ公正役場に遺言書を作成する旨を申請しなければならないため、実際に遺言書を執筆するまでにさまざまな手続きが必要になります。

また、自筆証言遺言なら特別な費用はかかりませんが、公正証書遺言の場合は法律で規定された所定の手数料がかかるという点もデメリットです。相続人の数が多く、相続する財産が多額であるほど手数料の金額は上がるため、遺言書を作成するコストが非常に大きくなる可能性があるという点にも注意する必要があります。

普通方式遺言の種類3:秘密証書遺言

遺言が確実に書かれ、存在していることを証明するために使うのが秘密証言遺言です。内容を確かめることはないので不備のリスクは残りますが、遺言書の内容を他者に知らせることなく遺言を作成できるので、パソコンの使用や代筆も可能です。

第三者に対して遺言を用意してあることを示す目的で使用され、秘匿されるおそれを防げるという利点があります。

秘密証書遺言の特徴

秘密証書遺言は遺言が間違いなく存在しているというお墨付きを得た遺言のことで、2名の証人と一緒に公証役場へ自筆の遺言書を提示することで遺言の存在に対して保証を得られます。

また、自筆で署名と押印さえ行えば、他人に代筆を依頼したり、パソコンを使ったりして作成したものも遺言として成立するという特徴があります。

秘密証書遺言のメリット

どんな遺言を書いたのかは知らせたくないものの、遺言が存在していることは周知しておきたいという場合に秘密証書遺言は有効です。内容を公表する義務はないため、詳細を明かすことなく遺言の存在に保証を得られます。

また、代筆やパソコンの使用が認められることから、文字を書けなくても遺言書を作成できるというメリットもあります。自署と捺印さえそろっていれば、自筆で全文を書ける環境にない人でも遺言を残しておくことが可能です。

秘密証書遺言のデメリット

自筆証書遺言と同様に内容をチェックする人がいないため、いざ相続する段階になって不備が見つかり、遺言書が無効になってしまう可能性も否めません。そのため、作成の際は記入漏れなどがないかどうか、注意深く確認しましょう。

また、手続き後は遺言書を個人で管理しなければならないので、紛失してしまうおそれは常につきまといます。さらに手数料として11,000円がかかるため、リスクを考えると公正証書遺言よりも費用対効果が低いという見方もできます。

普通方式遺言の特徴を比較

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法 本人が全文を自筆で書き、作成した年月日と自署を記入して捺印する 証人2名とともに本人が公証役場を訪れ、口述した遺言を公証人が執筆する 自署と捺印がある遺言書を封筒に収め、公証役場を訪れて証明を得る
証人 不要 2名以上 公証人1名+証人2名以上
家庭裁判所の検認 必要 不要 必要
開封手続き 封がされている場合、相続人の立ち会いのもとに家庭裁判所で開封 不要 封の有無にかかわらず、相続人の立ち会いのもとで家庭裁判所にて開封
メリット 容易に作成できる、コストがかからない、内容を明かす必要がない 保管を任せられる、遺言の有効性が高まる、検認が不要 遺言の内容を明かさないまま存在を証明できる
デメリット 不備のおそれがある、紛失の危険性がある、検認が必須 遺言の内容を公表しなければならない、所定の手数料がかかる 不備が発生するリスクを回避できない、 検認が必須

特別方式遺言の種類1:危急時遺言

遺言を残す人に死の危機が迫っており、自ら署名や捺印ができないときに、証人が代理となって遺言を書面に記す方法です。病気などの場合に適用される「一般臨終遺言」と、船舶や航空機が遭難した緊急時に適用される「難破臨終遺言」の2種類があります。

通常ほとんど使われることはありませんが、どちらも法律で明確に規定されています。

危急時遺言の種類:一般臨終遺言

病死や緊急の死の危険が差し迫っているときに、特別に認められる遺言の形式です。死の危機に瀕しているのが遺言を残す人のみの場合に使用します。

この遺言が効力を発揮するには、3人以上の証人を必要とする点に注意しましょう。遺したい内容を口頭で述べて、それを証人の立ち会いのもとに書面に書き残すことで遺言として扱うことが可能になります。ただし、確認請求の期限は遺言書を書いた日から20日以内と定められているため、作成後は早急に裁判所に提出します。

危急時遺言の種類:難船臨終遺言

船舶が遭難したり、航空機が事故を起こしたりして死が間近に迫っている緊急時に認められる遺言です。遺言を残したい人だけでなく、周囲の人に死の危険がある場合にも使うことができます。

証人を2人以上立てて遺したい内容について口頭で説明し、それを書面に記すことで遺言として成立します。一般臨終遺言とは異なり、確認請求の期限は特に定められていませんが、作成した後はできる限りすみやかに提出するように心がけましょう。

特別方式遺言の種類2:隔絶置遺言

差し迫って死の危険があるわけではないものの、一定の特殊な状況下に置かれているときに遺言を作成することができます。隔絶されている理由が疫病や服役による隔離の場合と、乗船中の場合の2種類にわかれます。

この方法を使う場合、本人が自筆できない状態ではないため、遺言と認められるためには必ず自分で遺言書を作成することが条件です。

隔絶置遺言の種類:一般隔絶地遺言

伝染病などの理由で隔離病棟に入院している場合や、刑務所に服役していて行動が制限されている場合に遺言を残す方法です。性質上、「伝染病隔絶地遺言」と呼ばれることもありますが、伝染病のみに限らず交戦や災害などで交通が断絶したことにより隔絶状態にある場合も対象となります。

この方法で遺言書を作成するには、立会人となる警察官証人が1人ずつ必要になります。本人の自筆による遺言書を執筆した後、立会人と証人の2名が書面に捺印と署名を行うことで効力を発揮します。

隔絶置遺言の種類:船舶隔絶地遺言

難破などによる命の危険はないものの、航行中の船に乗っているときに遺言書を作りたい場合に使う方法です。別名「在船者遺言」とも呼ばれ、作成時には乗務員1名と、2名以上の証人の計3名以上が立ち会う必要があります。ただし、船長が立ち会う場合は1名のみで作成が可能です。

遺言者が自筆で作成した遺言書に、立ち会った3名全員もしくは船長1名が署名と捺印をすることによって成立します。民法978条によって規定されています。

無効にならないための遺言書の書き方

せっかく書いた遺言書も、書き方を誤ると無効になってしまうことになりかねません。要件を満たしていない場合に効力を失ってしまうのはもちろん、表現があいまいで相続人同士の争いを招いてしまうことも起こり得ます。

記載する内容やポイントをしっかり押さえて、法的に認められて争いも生まない万全の遺言書を準備することが大切です。

遺言書に書く内容とポイント

遺言書に書く主な内容は下記のとおりです。それぞれのポイントに注意して、不備にならないように作成することが大切です。

遺言の内容

相続する内容をできるだけ具体的に記入します。「遺言者が」、「誰に対して」、「何を」相続するのか、はっきりとわかりやすいような記載を心がけましょう。相続の相手も「長女○○(令和元年6月1日生)」など、生年月日まで詳細に記入すると安心です。相続が認められる財産の代表的な例としては、預貯金、不動産や乗用車、有価証券などが考えられます。

遺言書を記載した年月日

月日だけではなく、作成したのが何年なのかまで正確に記載します。たとえば「令和2年6月20日」などのようになります。

作成者の氏名

フルネームで遺言者の氏名を明記します。また、住所も併記しておいたほうがよいでしょう。

認印を含む作成者の印鑑

遺言としての効力を発揮するためには、遺言者の押印が必須です。必ずしも実印でなくても構いませんが、できれば実印の方がベターです。

遺言書作成の注意点

記載が必須となる内容のほかにも、遺言書の中に記載しておいた方がいい事柄もあります。また、作成する際は下記の注意点を確認しておくとよいでしょう。

劣化しにくい紙を使う

自筆証書遺言では、なるべく長期にわたって劣化しない用紙を使って作成します。長い年数が経過して紙が焼けてしまい、内容を読み取れないなどの事態を防ぐためです。

訂正箇所は正確に指定する

誤字脱字や内容の訂正が生じたときは、「訂正:第○行10字」などと修正箇所を示し、該当部分に署名と押印を行います。

遺言書内で遺言執行者を指名する

遺言がスムーズに実行されるように、遺言執行者を指名しておきましょう。未成年と破産者以外であれば誰でもなることができますが、相続人以外の専門家に依頼する方法も考えられます。

費用負担を明示する

葬儀の費用や債務の負担など、考えられる費用の負担者と割合を明示しておきましょう。また、相続人が複数名でひとつの財産を共有する内容は指定しないように注意します。

遺留分について記載する

遺留分侵害額請求の可能性が考えられるので、意図して遺留分を侵害する内容を記載する場合は対応策について併記しておくことが大切です。

随時最新の内容に訂正する

財産や相続人に変動があった場合は、内容に応じて遺言書を訂正しましょう。情報が古いままだと信頼性に欠け、不備として効力を失ってしまう場合があります。

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まとめ

遺言には7つもの種類があり、平時と緊急時で使う遺言が変わってきます。通常は普通方式遺言が使われるので、3種類の中から自分の状況に適した方式を選んで遺言を作成するとよいでしょう。

遺言書は必要事項を正確に記載しなければ不備として無効になってしまうリスクも抱えています。間違いなく実行される遺言を残すためにも、作成する際には内容をよく確認し、抜けている情報や表記の間違いがないかなど、細心の注意を払うことが大切です。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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よくある質問

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  • 遺言書の種類は?

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