自筆証書遺言の書き方と基本ルール|全財産の相続やお墓についての例文も紹介

自筆証書遺言の書き方と基本ルール|全財産の相続やお墓についての例文も紹介

自筆証書遺言は紙とペンさえあれば手軽に遺言を作成できる方法ですが、具体的な書き方やルールを知らない方も多いのではないでしょうか。

自筆証書遺言の書き方を知ることで、不備やミスを防ぐことができます。そこでこの記事では、自筆証書遺言の基本的な書き方や規定について詳しく解説します。

こんな人におすすめ

遺言書の書き方を知りたい方

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シンプルな自筆証書遺言の書き方例

人それぞれ資産や家庭状況などが異なるため、自筆証書遺言書などの遺言書を用意する場合は、シンプルな書き方例を覚えておくと安心です。

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の妻 ○○花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

(1)土地
所在:
地番:
地目:
地積:

2. 遺言者は、遺言者の有する次の財産(株式、債券を含む金融資産)を、長男 ○○一郎(長男の氏名・生年月日)と長女 ○○二子(長男の氏名・生年月日)に相続させる。相続割合はそれぞれ2分の1ずつとする
(1)遺言者名義の預貯金および債権
①A銀行 ○○支店(口座番号111111)
②B銀行 ○○支店(口座番号222222)

3. 遺言者は、遺言執行者に次の者を指定する。
東京都○○区○○町1丁目1番地 △ビル5階
○○法律事務所

4. 付言事項
花子、一郎、二子。今まで本当にありがとう。一緒に過ごした日々は僕の宝物です。一郎、二子、母さんを任せたよ。

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

シンプルな自筆証書遺言の下書きをひとつ完成させて自身の状況に合わせた内容を盛り込んでいくことで、いきなり遺言書を作成するよりも迷いが少なくなるでしょう。

後述しますが、自筆証書遺言書はすべて手書きで書かなければならないため、作成する際は注意が必要です。

自筆証書遺言を作成するときに守るべきこと

2020年から自筆証書遺言書を法務局内で保管してもらえる制度が始まるなど、自筆証書遺言書に関心が集まり始めています。

自筆証書遺言の場合、フォーマットに厳密な規定はありません。必要事項と優先したい事項を意識しながら具体的に記述したうえで、長期間保管できる遺言書を完成させましょう。

自筆証書遺言の条件

自筆証書遺言の条件は、遺言者本人の自筆で書くことです。必要な内容が適切に反映された書面であれば、紙やペンの種類は問われません。

自筆証書遺言を検討している方は、以下のポイントを押さえておきましょう。

自筆証書遺言の条件およびポイント
・遺言者の氏名と押印があること
・作成した日付(年月日)が記入してあること
・自筆による本文であること
・紙やペンの種類は問われない

自筆証書遺言に最低限書くべき内容

自筆証書遺言書を作成する上で特に重視したいのは、「誰に対してどのくらいの財産を相続させるか」という具体的な内容です。

あいまいな内容では効力が認められないため、財産の内訳や割合も細かく記載する必要があります。

具体的な内容は遺言者によって異なりますが、主に以下のような内容が明記されていると遺言者の意思として尊重されやすくなります。

自筆証書遺言書に最低限書くべき内容
・誰に相続させるか
・何をどのくらい相続させるか
・相続を廃除したい人の明記
・遺言執行者の指定
・隠し子の認知

自筆証書遺言の書き方と基本ルール

遺言書に正式な効力を持たせるためには、定められたルールに則って遺言を作成する必要があります。

書き方の基本ルールを把握して、法的に有効な正しい自筆証書遺言書を作成しましょう。

ルール1:自筆であること

自筆証書遺言の効力が判断される基準のひとつは、「自筆であるかどうか」という点です。遺言の本文をパソコンなどに入力・印刷した場合は、自筆証書遺言書本来の目的を果たしません

保管用としてコピーとっておくことは可能ですが、効力を発揮するのは原本のみとなります。同時に、配偶者や子どもの代筆でも認められないため、すべて自分の字で遺言を綴りましょう。

ルール2:署名・押印があること

相続に関する内容のほかにも、遺言者本人の署名と押印が必要です。どちらかひとつでも確認できない場合は、効力が認められず遺言の内容すべてが無効になります。

遺言者が特定できないペンネームも対象外となるため、特別な理由がなければ戸籍上の氏名を記入しましょう。印鑑は、実印のほか認印や母印でも認められます

ルール3:特定の日付があること

遺言書の中でも不備が多いといわれるのが、作成日の記入です。年月日を正確に書き、作成した日付を特定させる必要があります。

「2020年10月吉日」といったあいまいな表現は無効となるため、正確な日付を記入しましょう。

国民の祝日を記載して認められた例もありますが、信頼性を重視するのであれば年月日のほうが賢明です。また、別の日に作成した場合は新しい日付が有効となる点も理解しておきましょう。

ルール4:紙とペンの種類は問われない

遺言に使われる紙は、便箋でも余ったチラシ広告の余白でも認められます。ただし、長期間保管することを考慮すると、耐久性を重視した方がよいでしょう。

熱に弱い紙と鉛筆で作成した場合、保管場所の熱気や湿気により劣化が進む可能性があります。

万年筆や消えにくいペンと紙を用意しておくと安心です。書式や記述の順番に決まりはないため、漏れがないよう必要事項を確認しながら書き進めましょう。

ルール5:訂正・修正のやり方

内容に間違いや変更があり手を加えたい場合は、二重線で消した上に押印をして新しい内容をそばに記入します。

この訂正方法は法律で定められています。1か所でも間違いや代筆箇所があると、内容が適切であっても修正内容として認められない可能性があります。訂正や修正にも厳密なルールがあるため、可能であれば新しく作り直しましょう。

ルール6:改変のリスクを考慮した保管を選択

遺言の保管方法には明確なルールはありませんが、第三者による改変のリスクを軽減する対策が重要です。

多くの場合は、封筒に入れてテープやのり付けをしてから保管されます。表書きも任意で決められるため、分かりやすいように「遺言書」などと記載するとよいでしょう。

遺言書が複数枚にわたる場合は、ホチキスなどでまとめて保管するのがおすすめです。順番が分かるように契印しておくと、改変や紛失の可能性を軽減できます。

【ケース別】自筆証書遺言の書き方10例

遺言書として認められる書類の内容は、遺言者の希望や財産の内訳によってさまざまです。ここからは、自身の状況に応じた内容に関する遺言書の例文を確認しておきましょう。

例文1:不動産の相続

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の妻 ○○花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

(1)土地
所在:
地番:
地目:宅地
地積:○○㎡
家屋番号:11111
書類:
構造:
床面積
1階:
2階:

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

財産項目に家や土地など不動産を含んでいる場合は、相続する不動産の詳細な情報が必要です。不動産については、登記簿謄本(登記事項証明書)と実際の住所や家屋番号が同じかどうかが重要です。

財産を特定するための大切な要素となるため、正確な情報が分かる資料を用意して住所だけでなく地積や建物の底面積などの情報も記載できると安心です。

例文2:車の相続(動産)

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の長男 ○○一郎(長男の氏名・生年月日)に相続させる。

(1)自動車

登録番号:(ナンバープレートの番号を正確に記入)
種別:(普通など)
用途:(自家用、営業用など)
車名:(TOYOTAなど)
型式:
車台番号:

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

遺言者の名義となっている車を相続する場合は、特定の相続人を指定します。車の登録番号や車台番号だけでなく、車の用途や車種など正確に記載しましょう。

数字やアルファベット表記などは、誰が見てもわかるように丁寧に記入します。

複数の車うを遺産として残す場合ば、一台ずつ内容を具体的に示す必要があります。相続人が特定できないと遺言が無効になる可能性があります。

例文3:有価証券の相続

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1. 遺言者は、遺言者が有する次の金融資産(株式投資信託)を、遺言者の妻 ○○花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

銀行:(銀行名・支店名)
口座番号:
ファンド名:
残高:

2.遺言者は遺言者名義の以下の金融資産(株式)を、遺言者の長女 ○○二子(氏名・生年月日)に相続させる。

会社名:株式数
会社名:株式数

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

株式や投資信託など、有価証券を保有している方でも相続が可能です。金融商品によって記載方法が異なるため、上記で挙げた代表的な例を押さえておくとよいでしょう。

例文4:相続の割合

相続の割合は、相続人ごとに割合を指定する場合と、遺産の分割方法を指定したい場合の2通りが考えられます。それぞれの例文は以下のとおりです。

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

遺言者は、遺言者名義の以下銀行預金を長男(氏名・生年月日)、長女(氏名・生年月日)に相続させる。相続割合は、それぞれ2分の1とする。

銀行:(銀行名・支店名)
口座番号:
残高:

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

相続人ごとに割合指定する場合は、誰にどの割合を指定するかを具体的に追記することが一般的です。

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1. 妻 〇〇花子(妻の氏名・生年月日)に対し、以下の財産を相続させる。
〇〇銀行〇〇支店 普通預金 〇〇〇〇〇〇 の預金3,000万円

2. 長男 〇〇一郎(長男の氏名・生年月日)に対し、以下の財産を相続させる。
〇〇銀行〇〇支店 普通預金 〇〇〇〇〇〇 の預金500万円

3. 長女 ○○二子(長女の氏名・生年月日)に対し、以下の財産を相続させる。
〇〇銀行〇〇支店 普通預金 〇〇〇〇〇〇 の預金500万円

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

遺産をあらかじめ指定して分割相続させたいという方は、具体的な金額を示しましょう。

相続を分割したい場合は、対象と割合を不明確にすると無効になる可能性があります。

また、不動産など分割できないものは割合指定に不向きなため、分割を選ぶ際は慎重に検討することをおすすめします。

例文5:全財産を相続させる

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1. 遺言者は、遺言者が有する一切の財産は、妻(氏名・生年月日)に相続させる。

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

特定の人物に全財産を相続させたい場合は、上記のように対象を指定することで効力を発揮しますので、参考にしてみてください。

ただし、他の相続人によって遺留分侵害が請求される可能性があります。なんらかの理由で廃除を希望する場合は、相続人の氏名も挙げて事実を表明しましょう。

例文6:相続人以外の相続

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、以下の財産を△△次郎(相続人の氏名・住所・生年月日)に遺贈する。

銀行:(銀行名・支店名)
口座番号:
口座残高:
口座名義:○○太郎(遺言者の氏名)

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

本来の相続人である配偶者や子ども以外に承継したい場合は、遺言書には後述の「遺贈」という言葉を用います。
対象を特定するために、相続人の住所も正確に記載します。

例文7:お墓の項目

遺言書

私、遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は次の通り遺言する。

1.遺言者は、祖先の祭祀を主宰する者として、長女 ○○二子(長女の氏名・生年月日)を指定する。

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

先祖のお墓がある方は、財産相続人とは別に主宰者を祭祀承継者として特定させることで祭祀を承継できます。

葬儀の内容や菩提寺に指定がある場合は、その旨も記載するとよいでしょう。自筆証書遺言書では承継のほか、祭祀に費やすお金の口座を指定したり、お墓の維持管理を委任したりする内容も認められます。

例文8:遺言執行者の指定

遺言書

私、遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は次の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言の執行者として次の者を指定する。

東京都○○区○○町1丁目1番地 △ビル5階(遺言執行人の住所)
○○法律事務所 □□三郎(遺言執行者の氏名)
(遺言執行者の生年月日)
職業:弁護士

2.遺言執行人は、この遺言を執行するに際し、預貯金などの名義変更と解約、登記手続きその他必要な一切の行為を行う権限を有する。

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

相続に関わる手続きをスムーズに進めるために、遺言執行者を指定するのもおすすめです。遺言執行者にしかできない手続きができる人物を指します。手続きの一例は以下のとおりです。

遺言執行者にしかできないことの一例
・子どもの認知
・被相続人の遺産管理
・相続人の廃除および取消など

特別な資格は必要なく、相続人のほかにも弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも可能です。より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

例文9:付言事項

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の妻 ○○花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

~中略~

4. 付言事項
花子、一郎、二子、私は生涯をかけて家族を愛していました。子どもたちも立派に独立したことに誇りを持っています。

遺産については、私の介護で負担をかけたため、先の通りに相続させることを決めました。争うことなく公平な行動を望んでいます。今まで本当にありがとう。

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

形式的な記載内容以外に、遺言者本人の意思を伝えるために用いられるのが「付言事項」です。

一般的に自筆証書遺言の最後の部分にあり、相続の割合や生前の感謝など自由に執筆できます。

例文10:予備的遺言

遺言書

遺言者 ○○太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の妻 ○○花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

2. 遺言者は、遺言者の妻 ○○花子(氏名・生年月日)が遺言者の死亡前または同時に死亡したときは、同人に相続するとした前条に定める財産を長男 ○○一郎(氏名・生年月日)に相続させる。

~中略~

令和4年11月1日(記入した年月日)
住所 東京都○○区○○町2丁目2番2号
遺言者 ○○太郎 印

遺言書を作成してから相続が発生するまでの間、指定した相続人が先に亡くなるケースも考えられます。

遺言書の本来の意図が変わらないようにするために「予備的遺言」の項目を設けることで予備的な選択肢の提示が可能です。

予備的遺言の項目は、対象の財産に関する事項を記載した次の章で指定するとわかりやすいため、おすすめです。

自筆証書遺言の一部はパソコン作成できる

自筆証書遺言の本文や自分の氏名などは自筆で記入する必要があります。しかし、2019年1月より施行された相続法の改正で、財産の事実を証明する目録や書類は自筆以外でも認められるようになりました。

自筆以外でも認められる目録及び書類の例
・不動産に関する詳細情報をパソコンで作成する
・証券番号などを印字する
・預貯金口座の口座番号や氏名が分かるページをコピーする

これまで負担の要因となっていた作業が省略できるため、パソコン作成や印刷を組み合わせて作成するとよいでしょう。

自筆証書遺言の書き方の注意点

自筆で作成した遺言書に法的な効力を持たせて問題なく相続させるためには、意思を表明する内容の正確性が重要です。

不明確なものは認められない可能性があるため、相続人以外の第三者が読んだときにも理解できる文章を意識しましょう。

あいまいな表現は避ける

複数の意味に捉えられるような内容や、対象が特定しにくい情報の記載は避けましょう。

相続人の間で認識できる内容でも、場合によっては効力が認められない可能性があるためです。

財産の承継を指定する場合は、それぞれに対する割合も明確に記載します。家族への理解だけでなく、客観的に読んでも理解できる内容を意識しましょう。

遺留分侵害額請求をするなら同意を得ておく

法律では、不当な相続を避ける対策として「遺留分」の規定が設けられています。遺言者(被相続人)との続柄によって、最低限受け取れる財産の割合を決める法律です。

特定の人物にすべての財産を相続させる場合は、ほかの相続人とトラブルに発展する可能性があります。申し立てがなければ問題にならないため、相続人と遺言者の話し合いが重要といえるでしょう。相続人の考えを共有することで、亡くなった後も円満な関係を維持しやすくなります。

相続させたくない人がいる場合は意思表明を

相続させたくない人がいる場合は、遺言書内に廃除の旨を明記してしっかりと意思表明をしましょう。

自筆証書遺言書で記載した内容で極端に不公平な相続割合などがある場合は、遺言者の遺志を尊重することなく相続人が効力の無効化を訴えるかもしれません。

何らかの理由があり廃除を希望する場合は、相続人の氏名や理由を挙げたうえで、相続させないという意志を表明しましょう。

不安な場合は遺言執行者を指定しておく

遺言の実行に不安が残る場合は、信頼できる方や専門家を遺言執行者に指定してもよいでしょう。

指定された方は遺言書通りに手続きを進めるため、相続人とのトラブルや不適切な手続きを防ぐきっかけにもなります。

特に、不動産を所有している方はメリットを得られるでしょう。登記に関する手続きは、遺言執行者がいる場合には、執行者のみで登記の手続きを済ませられます

遺贈と相続の表現を正しく理解する

不動産の財産を承継する場合は、言葉によって相続の認識が異なります。以下の言葉の内容を正確に把握しておきましょう。

相続 遺贈
法定相続人にのみ使用できる言葉 法定相続人・法定相続人以外のどちらでも使える言葉

遺贈した場合は、登記や借地権などの手続きに手間がかかります。法定相続人に対して単独の登記と認めるのであれば、相続させる旨を記載しましょう。

自筆証書遺言を有効にする方法

作成した遺言書を有効なものとして認めてもらうには、開封前の検認作業が必要です。第三者による改変を防ぐ目的もあるため、保管前の段階で家族とも共有しておきましょう。

自筆証書遺言には検認が必要

作成した遺言書が封印されている場合は、相続人が開封する前に「検認」を申請する必要があります。

家庭裁判所に申請し、期日までに足を運んで開示してもらいます。確認は任意ですが、相続人全員に検認の事実を通知できます。

検認を行わないまま開封すると、罰金が課せられる場合があります。改変が疑われると遺言書そのものが無効になるリスクもあるため、まずは家庭裁判所に問い合わせをしましょう。

検認不要の保管制度も

安全な場所での保管を望む方は、「自筆証明遺言書保管制度」を活用してもよいでしょう。この制度は、法律の一部改正によって2020年7月10日からスタートしました。

申請の形式チェックも規定に加わったため、相続発生時も検認が不要となります。これから自筆証明遺言書の作成を検討している方は、新しい保管制度の活用も視野に入れておきましょう。

参考: 『法務省 自筆証書遺言書保管制度

自筆証明遺言以外の遺言

自筆証書遺言のほかにも、普通形式の遺言と特殊事例に対応できる遺言があります。

改変や紛失を防ぐための遺言なので、選択肢のひとつとして理解を深めておくと安心です。

公正証書遺言

公証役場の担当者(公証人)に依頼し、遺言者が口述した内容を反映してもらう方法が「公正証書遺言」です。

自分で本文を記入する必要がなく、構成や詳しい内容は公証人が決定します。作成した遺言書の原本は、手続き後に公証役場で保管可能です。

作成から保管まで公的機関で作業できる点を考えると、安心性が高く効力を発揮しやすい方法といえるでしょう。

秘密証書遺言

自分が遺す言葉を誰にも知られたくない場合、公証人などにも開示せず作成できるのが「秘密証書遺言」です。

自分で作成した遺言書を公証役場に提出し、遺言書としての存在を認めてもらう目的があります。

専門家による形式チェックが行われないため、相続が発生してから内容の不備が発覚するリスクがある点には注意が必要です。

特別証書遺言

遺言書を作成するために十分な時間が確保できない方には「特別証書遺言」がおすすめです。

外界から隔離された状態にあったり、死亡の危機が認められたりする際に有効です。以下の要点を押さえておくとよいでしょう。

遺言書の区分 想定されるケース 条件
一般危急時遺言 死亡の危機にある 3名以上の証人が立ち会う
一般隔絶地遺言 外界から隔絶されている 警察官1名と証人1名以上が立ち会う
難船危急時遺言 船舶が遭難し、死亡の危機にある 証人2名以上が立ち会う
船舶隔絶地遺言 船舶中で外界から隔絶されている 船長または事務員1人と証人2人以上

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まとめ

自筆証書遺言はフォーマットや保管場所が定められていないため、比較的取り組みやすい遺言の形式です。

一方で、書き方次第で内容の不備が発生しやすく、場合によっては効力が失われるリスクも理解する必要があります。

万が一の際に家族が相続について困ってしまう事態を避けるために、今のうちに下書きから作成してみましょう。

自筆証書遺言について疑問や不安を感じる方は、小さなお葬式へお気軽にご相談ください。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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よくある質問

よくある質問
  • 自筆証書遺言の書き方のルールは?

  • 自筆証書遺言を有効にする方法は?

  • 自筆証書遺言の一部はパソコン作成できる?

  • 自筆証書遺言以外の遺言書の書き方は?

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