葬儀や火葬を行った際には、葬祭費として公的な給付が受けられるケースがあります。そこで気になるのは、直葬によって故人とお別れをした場合は、給付対象として該当するのかという点です。
直葬では、原則として通夜や告別式といった通常の葬儀を行うことはありません。基本的に火葬のみとなるため、一般的な葬儀とは違う分、補助を受けられるのか不安や疑問が残ることもあるでしょう。
この記事では、直葬の内容について整理した上で、葬祭費として給付を受けることができるのかという点について解説します。
<この記事の要点>
・直葬とは火葬のみが行われる葬儀形態を指す
・葬祭費とは葬儀費用の公的な補助のことで、喪主に対して支給される
・直葬が葬祭費に該当するかどうかは自治体ごとに異なり「直葬は支給対象外」の場合もある
こんな人におすすめ
葬祭費の給付を考えている人
直葬を予定している人
葬祭費の仕組みを知りたい人
はじめに、直葬の定義や内容を詳しく整理していきます。家族の最期に際し、葬儀をどのような形式で行うべきか悩んでいる方も多いでしょう。後悔せずに葬儀を執り行うためには、事前に形式の内容について理解を深めておくことが重要です。
また、内容にあわせて予算の目安も解説します。直葬にすべきかどうかの判断ポイントとして押さえておきましょう。
葬儀の形式にはさまざまなものがあります。規模の大きいものもあれば、逆に小規模で簡易的な形式が取られる場合も現代においては少なくありません。直葬も小規模な葬儀のひとつです。
直葬は、通夜や告別式、火葬といった一般的な工程で行う葬儀形式と比較すると、簡易的な形式に当たります。
故人を見送る方法として直葬を選んだ場合は、火葬のみが行われるのが特徴です。したがって、直葬は別名として「火葬式」といったような呼ばれ方をすることも珍しくありません。
簡易的かつ多くの時間を取らない形式なので、費用がほかの形式よりも安価になることも特徴として挙げられます。
直葬によって家族とお別れをする場合は、自宅や病院など、家族を看取った場所から安置場所や火葬場に遺体を運びます。告別式などが行われる葬儀式場へ遺体を運ぶことはありません。
そして、火葬場に到着したら、出棺にあたって僧侶にお経を読んでもらうのが通常の流れです。その後、遺体は荼毘に付され、家族は火葬が終わるまで待ちます。最後にお骨上げを済ませて、直葬は終了です。
直葬に参列する人は、家族や親戚などの近しい方がほとんどを占めます。しかし家族のみと決められているわけではないため、親しい友人などが参列しても基本的に問題はありません。
近年では、故人とのお別れに際して、さまざまな形式の葬儀が営まれるようになりました。これには現代社会における人と人との繋がりや、それぞれの経済事情などが関係していると考えられます。
そのため、直葬によるお別れの形も、そこまで一般的ではないとはいえ、決して珍しいわけではありません。葬儀社によっては、10件のうち1件ほどが直葬を依頼される場合もあるようです。
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一般的に通夜や告別式を営む場合は、目安として200万円ほどの費用が必要になります。
一方で直葬の場合は、基本的に僧侶を火葬場に呼んで火葬するのみという簡易的な内容になるため、かかる費用は20万円前後が目安です。
つまり、直葬を選択すれば葬儀にかかる費用が通常の10分の1ほどに収まります。ただし、故人をゆっくり弔ってあげられない分、後悔が残ると感じることもあるかもしれません。
費用や手間がかからない利点とともに、ゆっくりお別れできないという側面も理解した上で、直葬にするべきか冷静に判断することが大切です。
お葬式や火葬をするにあたっては、多くの費用を用意する必要があります。したがって、葬儀を執り行うときには国の金銭的サポートを受けることが可能です。この支援制度は「葬祭費」といいます。
葬儀の内容や費用を考える際は、この葬祭費の補助についても理解しておくことが重要です。葬祭費とは何かを確認しつつ、直葬にかかるお金は葬祭費に当てはまるのかをチェックしていきましょう。
葬儀を執り行う際にかかった費用は、一般的に、喪主とその家族が協力して負担します。よって、葬儀の代表者である喪主は、故人の国民健康保険により、葬祭費として補助を受け取れる場合があります。
これは法律によって定められているきまりに当たりますが、実際に受け取れる補助額については市区町村によって金額が異なることも少なくありません。そこで、給付金を受け取るためには、所属する自治体の葬祭費の額がどれくらいに設定されているのか、前もってよく確認しておくことをおすすめします。
また、葬祭費補助を受けるためには、原則として喪主が葬儀後に自ら申請をしなければなりません。条件を満たせば自動的に支給されるということはないため、「葬儀から2年以内」の期限内に申請をすることをよく覚えておきましょう。
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葬儀費用に対する補助金とは?葬儀保険についても併せて解説
ここで不安・疑問として挙げられるのは、直葬を選んだケースでは補助を受けられるのかというポイントです。
対象になるかどうかは地域ごとのきまりによって異なります。給付を受けられる地域もあれば、残念ながら給付を受けられない地域もあります。
一般的に葬祭費は、通常の通夜や告別式を行うにあたってかかった費用を指すものとして捉えられています。例として、神奈川県横浜市のパターンを紹介します。横浜市では「火葬のみの場合は支給対象外」と明確に定められているため、直葬では給付を受けることはできません。
よって、直葬で故人とお別れをする場合は、葬祭費補助の対象になるのか、自治体にしっかりと確認を取ることが大切です。
また、上記のこと以外でも、葬祭費が支給不可となるケースが決められている場合があります。わかりやすい例でいうと、故人の国民健康保険に未納があった場合です。実際に、東京都千代田区では亡くなった人が保険料を支払っていなかった場合は、給付対象外となってしまいます。
したがって、葬祭費の対象として直葬費用の給付が受けられるときでも、さまざまなケースにより自治体によって不可と判断される場合もあります。葬祭費の申請を行う際には注意しましょう。
具体的な手順や必要書類については自治体によって異なる場合も多いため、詳細は自治体の案内を確認する必要があります。とはいえ、申請手順は前もってしっかりと押さえておきましょう。
手順は以下の通りです。
1. | 葬儀を済ませたのちに必要書類をそろえる |
2. | 自治体の窓口に書類を提出する |
3. | 指定口座に葬祭費が振り込まれる |
申請手続きは、故人が所属する自治体へ行います。喪主が市外・県外などに住んでいた場合でも、手続きは故人の住民票があった自治体宛てになるため、間違えないように気をつけましょう。
申請の際に必要な書類は以下の通りです。
・申請書類
・故人の健康保険証
・故人の本人確認書類
・葬祭費の振込先として口座番号のわかるもの
・喪主の本人確認書類
葬祭費補助を申し込む申請書類については、主に役所の窓口で入手できたり、公式ホームページでダウンロードできたりする場合が多いでしょう。
直葬は簡略化された葬儀の形式に当たるため、費用も比較的安いことで知られています。とはいえ、僧侶を呼んで火葬を行うため、10万円を超えるような費用がかかる場合も少なくありません。
さらに、葬祭費の中に直葬費用は含まれない場合もあるため、費用を準備する際には注意が必要です。では、葬儀費用が払えないときはどのように対処をすればよいのでしょうか。
喪主を務める方の経済事情的にどうしても費用の工面が難しいときは、近しい家族や親戚に費用を補填してもらうなどの協力を仰ぎましょう。直葬は安い費用で執り行えるとはいえ、どうしても工面できない場合は仕方がありません。
家族とのお別れのタイミングなので、事情を話せば身内であれば理解してくれる人が現れるでしょう。その際には、誠心誠意、返済の方法や期間について話し合うことが大切です。
葬儀社によっては、クレジットカード払いに対応してくれるところもあるでしょう。
クレジットカードでの支払いなら、まとまった現金がなくても、分割払い・リボ払いにするなどの方法を取ることで費用の工面ができます。直葬費用の工面に困ったときは、クレジットカード払いに対応している葬儀社を見つけることも重要といえるでしょう。
費用の用意が難しいときは、市民葬や区民葬といった自治体による葬儀支援を利用するのも選択肢として検討しておきましょう。これは、自治体が地元の葬儀社と提携することで可能となっている、比較的安価な葬儀のサービスです。
しかし市民葬や区民葬が安価とはいえ、費用はもちろんかかります。火葬のみの直葬を葬儀社に直接依頼するのと比べると、結果として高くなってしまうことも場合によってはあるでしょう。選択肢のひとつとして覚えておくことは大切ですが、必ずしも希望通りの安い費用で葬儀ができるわけではないことは認識しておく必要があります。
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直葬にかかる費用は葬祭費として扱われない場合があります。そこで、補助を受けて費用を節約したいときは、前もって自治体によく確認を取りましょう。
直葬は通常の形式の葬儀とは異なる部分も多いため、このように判断に迷う点がいくつかあるかもしれません。そのため、直葬の形式で故人とお別れをする際には、直葬の特徴をよく知ることが重要といえるでしょう。
小さなお葬式では、「直葬にするべきか」というご相談も含めて、ご家族さまからのお問い合わせを承っております。故人とのお別れで後悔しないためのサポート・アドバイスをしっかりとさせていただきますので、お困りの際にはお気軽にご相談ください。
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