なぜ葬儀で松明を利用するのか?宗派ごとにおける松明のあり方もご紹介

なぜ葬儀で松明を利用するのか?宗派ごとにおける松明のあり方もご紹介

葬儀の際、僧侶が松明を用いて儀式を行っている姿を目にしたことがある方もいるかもしれません。松明ははるか昔から利用されており、葬儀においても重要な意味を持つ道具です。

この記事では、葬儀に用いる松明について詳しく解説します。松明について疑問がある方はぜひ参考にしてください。

こんな人におすすめ

なぜ葬儀で松明を使うのか知りたい方

宗派ごとの葬儀で使う松明について知りたい方

松明以外の葬儀に関する道具について知りたい方

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なぜ葬儀で松明を使うのか

葬儀で、僧侶が松明のようなものを投げているのを目にしたことがある方もいるでしょう。葬儀で松明を使うことは必要な行為で、とても重要な意味があります。

葬儀で松明を投げることは「引導」と呼ばれ、逝去した方を仏道へと導くための行為です。松明を用いる理由は、松明の火が魔除けの効果煩悩を消し去る効果を有していると伝えられているからです。

なお、一昔前までは、本物の松明を用いていましたが、現在では安全面を考慮して松明に見立てたものを利用することが少なくありません。

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葬儀で使う松明の歴史

西暦600年以前の日本において、土葬を行う際は葬儀を行う自宅から埋葬する場所まで列を作って向かっていたといわれています。この行列の先頭にいる方が提灯と松明を持って列を率いていたため、葬儀に松明を用いるようになったようです。

加えて、火葬のための炎を松明で点火していたともいわれています。このように、松明は昔から葬儀と関係が深く、その文化が今でも続いています。

宗派ごとの葬儀で使う松明

松明と葬儀には深い関わりがありますが、その関わりは宗派ごとに少しずつ変化しています。そのため、各宗派によって松明の扱い方や認識が異なることに注意が必要です。ここからは、宗派ごとの松明の関わりについて解説します。

臨済宗

臨済宗の葬儀では、お焼香をあげる直前に、故人を偲ぶ感情を表した「引導法語」という漢詩を唱える行為が行われます。引導法語を唱える前には、松明を用いて空中に円を描いて投げます。

松明で円を描くようになった理由は、一昔前の中国で禅僧が行っていたことが由来とされています。その禅僧は、不慮の事故で母親が亡くなったため、安らかに成仏してもらいたいと思い松明を川に投げたとされています。

このことから、臨済宗の葬儀において松明を投げる行為は、この世との繋がりを断つという意味が含まれています。

浄土宗

浄土宗の葬儀で松明を用いるタイミングは、逝去した方を極楽浄土へと送り出す「引導下炬」という儀式を行うときです。

この際、2本の松明を利用し、1本は穢れているこの世から離れることを願うために利用され、もう1本は浄土を欲する気持ちを表すために利用されます。

曹洞宗

曹洞宗の葬儀では、松明は逝去した方を悟りの世界へと導くために利用され、右に回したり左に回したりして使用します。その後に、動物の毛などを束ねた払子を用いて、引導法語を唱えて、最終的に「喝」と唱えるのが一般的な順序です。

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臨済宗の葬儀の順序

臨済宗は日本における禅宗のうちの1つで、葬儀には逝去した方を仏の弟子にする目的と仏の世界に導く目的があります。臨済宗の葬儀の特徴は、授戒・念誦・引導の3つによって構成されており、自分自身と語り合い悟りを開きます。

葬儀の順序としては、まず逝去した方の髪の毛を剃る体で行う、剃髪が行われます。その次に、これまでの悪い行いを懺悔して許しを乞う「懺悔文」が行われることが一般的です。続いて、仏の教えに従うことを誓い、自身を清める儀式が行われます。出棺する際は、口に出して念誦が唱えられるでしょう。

臨済宗における焼香は、基本的には抹香を額に当てることはありませんが、地域によっては当てるところもあるので、住んでいる地域に合わせるのが賢明です。

上記のように、臨済宗の葬儀は「自分と見つめあってこれまでの人生を振り返る」ことに重点を置いています。葬儀の最中に太鼓のような鳴り物をならすのが他の宗派と異なる点です。

浄土宗の葬儀の順序

浄土宗は鎌倉時代に開かれ、経典は「浄土三部経」が読まれます。

浄土真宗の教えは「南無阿弥陀仏」と唱えることで、阿弥陀仏の救いを受けられ、極楽浄土へと往生できるというものです。この考えは「他力」と称され、現在でも利用されている他力本願という四字熟語も、この言葉が由来だとされています。

対して、浄土宗の葬儀は、念仏を僧侶だけではなく参列者も唱える「念仏一会」が行われ、南無阿弥陀仏を10回唱えることで、阿弥陀如来から救われるという意味を持ちます。

浄土宗の葬儀では、まずお通夜が行われ、その間はろうそくと線香の火は消さないようにします。葬儀当日の順序は、以下の通りです。

1. 奉請
2. 懺悔
3. 剃度作法・十念
4. 三帰三竟
5. 授与戒名
6. 開経偈
7. 誦経
8. 発願文
9. 摂益文
10. 念仏一会
11. 回向

これらが終わったら、次に法要にあたる儀式が行われ、続いて引導が行われます。この引導は葬儀全体の中心になるでしょう。最後に法要が無事終わったことを感謝して逝去した方を送り出す儀式を行います。

浄土宗の葬儀の際、焼香の回数に制限はありませんが、一般的には3回とされています。また、浄土宗の葬儀でも、香典を渡すことが一般的であり、表書きには「御霊前」や「御香典」と書くようにしましょう。

曹洞宗の葬儀の順序

曹洞宗の葬儀の順序は以下の手順で行われることがほとんどです。

1. 剃髪
2. 授戒
3. 入棺諷経
4. 龕前念誦
5. 挙龕念誦
6. 引導法語
7. 山頭念誦
8. 出棺

手順2の授戒では、酒水や懺悔文といった儀式が行われるのが一般的です。曹洞宗は他の宗派の中でも特徴的な宗派にあたるため、これらの儀式にも以下のように独特な意味が込められています。

・お釈迦ように弟子入りする
・弟子になるための戒名を授かる
・悟りを開くために引導を渡す

曹洞宗の葬儀の焼香は、通常の焼香と大きく異なるわけではありません。初めに、焼香台に進み、御本尊や遺影に向かって一礼します。次に、抹香をつまみ額に当てて、念じて焼香をあげましょう。続いて、2度目の抹香を手に取り、額に当てずに焼香をあげます。最後に数珠を手にかけ、合唱と礼拝を行いましょう。

また、曹洞宗の葬儀には香典を持参する必要があります。香典の表書きには「御霊前」や「御香典」と記すことが一般的です。包む金額は通常の香典と変わらず、逝去した方との関係の深さで変動します。身内のような近い間柄であれば1万円~10万円ほどで、友人や知人であれば5,000円~1万円程度です。

松明以外の葬儀に関する道具

葬儀に用いる道具として松明は有名ですが、その他にも以下のように葬儀に関する道具は存在します。ここからは、松明以外の葬儀に関する道具について1つずつ解説します。

野道具

野辺の送りを行うにあたり、重宝されていた道具のことを野道具と称します。野道具は、野辺の送りが行われなくなった現在でも継続されて利用されており、出棺する際に祭壇の飾り付けに用いられることが少なくありません。ここからは野道具の種類について解説します。

・四本幡
野辺の送りでは四本幡と呼ばれる、仏教の教えが記されている旗を棺などの四方に立てていました。四方に立てるのは結界を張るといった理由があり、各々には「是生滅法」「諸行無常」「寂滅為楽」「生滅滅巳」と記し、それぞれには、死は必ず訪れるなどの意味が込められています。

この四本幡は現代でも利用方法は変わっておらず、棺の四方に立てたり並べたりする機会を設けているようです。

・四華花
四華花は、竹串に白や金、銀の紙を巻き付けて細かい切れ込みを入れた道具です。一昔前までは、四華花を立てないと極楽浄土へ辿り着くことが不可能といわれ、野辺の送りで、墓地の四隅に立てて利用していました。

四華花がこの上記のような見た目になった理由は、お釈迦様が入滅した際に沙羅双樹の4つの花が白く変色したことが由来だそうです。祭壇や経机の周りに設置することが一般的ですが、場合によっては親族の方々が手に取ることもあります。

・六道
六道は篠竹にろうそくを6本立てたものを称する言葉です。六道は、松明と同様に葬列を導く際に利用されていました。また「人間は生前の行いにより、6つの道のうちいずれかに行くとされている」という考えがあります。六種の地蔵菩薩から助けてもらうという願いを込めたことが由来の1つとされています。

現在の六道は、祭壇の上部にあり、6本の灯明で表現されていることが少なくありません。

仏具

葬儀に関する道具は、野辺の送りだけではなく、仏具が元となっているものも存在します。ここからは仏具が元になっている道具を1つずつ解説します。仏具に関して疑問がある方はぜひ参考にしてみてください。

・位牌
位牌とは逝去した方の魂を入れるための道具です。現在では、喪主が手に持ち霊柩車に乗り込む機会を目にしますが、元々は葬列で喪主が位牌を持ち火葬場へ魂を運んだとされています。

位牌は逝去した直後に用意し、葬儀が終わった後は自宅にお供えすることが一般的です。

・香炉
香炉は、お香を焚くときも利用する入れ物のことで、野辺の送りでは参列者が運んだといわれています。仏壇に線香をお供えするときに、線香をさしておくのが香炉です。

香炉の素材は2種類あり、金属製の金属炉や粘土製の土香炉が存在します。焼香をすることで、参列者の身を清めるとともに、逝去した方を極楽浄土へと導くことができます。非常に重要な役割を担っている道具の1つといえるでしょう。

・提灯
提灯は主に照明として使われる道具の1つで、葬儀の際は門前提灯といって2つで1対として用いるのが一般的です。この提灯は、葬儀が執り行われていることを付近の家に知らせるための役割を果たしていましたが、最近では必要性の低下から利用頻度が減っているようです。

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まとめ

葬儀の際、僧侶が松明のようなものを利用しているところを目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。葬儀において、松明には重要な役割があり、宗派によって扱いや認識は多種多様です。

また、松明以外にも葬儀で用いられる道具はさまざまあり、各々が重要な役割を担っています。

松明をはじめとした葬儀に使用するさまざまな道具の準備は小さなお葬式にお任せください。宗派に合わせたものを手配し、安心できる葬儀をご提供いたします。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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