家族が危篤になってしまった場合、「遺書作成はどうすればよいのか」「何を準備しておくべきなのか」と悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。
この記事では、危篤の際に遺せる遺言方式と一般方式の遺言について解説します。また、家族が危篤になった場合にするべきことについても紹介します。
<この記事の要点>
・危篤状態で、一般方式の遺言を遺すことが困難な場合は危急時遺言を利用できる
・一般方式の自筆証書遺言の場合、遺言証書を執筆する余力がある状況でなければ作成は難しい
・危篤状態で遺書の自筆が難しい場合、公証人に依頼して公正証書遺言を遺すことができる
こんな人におすすめ
危篤時の遺言作成方法を知りたい方
遺言書の種類を知りたい方
家族が危篤になった際にすべきことを知りたい方
病気やけがで死期が迫る危篤など、特殊な状況下における遺言は「特別方式遺言」と呼ばれます。ここからは、危篤時に利用できる3つの遺言について解説します。
特別方式遺言とは、通常の遺言書を作成する余裕のないときに利用できる、特殊な方式の遺言です。危篤時は自力で遺言を執筆できないことも考えられます。自筆や公証人を介しての遺言執筆が難しい特殊な場合に採用される遺言方式です。また、特別方式遺言には「危急時遺言(ききゅうじゆいごん)」と「隔絶地遺言(かくぜつちゆいごん)」の2つがあります。
危急時遺言とは、病気やけが、遭難などの特殊な事情によって危篤状態になっており、一般方式の遺言を遺すことが困難だと判断される場合に利用される遺言です。
一般危急時遺言
病気やけがなどの一般的な事情により、死亡の危機が迫っている方が利用できる遺言方式です。一般危急時遺言を作成するには、証人が3人以上立ち会い、1人が読み聞かせをします。20日以内に利害関係人が裁判所に確認をとることが遺言適用の条件です。
参考:民法 第976条 七章 第二款 特別の方式|死亡の危急に迫った者の遺言
難船危急時遺言
船や飛行機に乗っていて遭難などの危難に遭い、死亡の危機が迫っている方が利用できる遺言方式です。証人が2人以上立ち会い、証人が遺書内容を記載して裁判所に確認をとる必要があります。一般危急時遺言と異なり、すぐに裁判所で手続きできない場合も多いので、期限は設定されていません。
参考:民法 第979条 七章 第二款 特別の方式|船舶遭難者の遺言
隔絶地遺言とは、一般社会から隔絶された状況で遺す遺言です。隔絶地遺言には「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の2つがあります。
一般隔絶地遺言
一般隔絶地遺言とは、コロナウイルス感染症のような感染症や伝染病により遠隔地に隔離されて通常の遺言方式を利用するのが難しい場合に認められる遺言方式です。作成時には、警察官と証人が1人ずつ必要です。また、危急時遺言と異なり、遺言書は本人が作成します。代筆や口頭で伝えて書き取ってもらう方法は利用できないので注意しましょう。遺言書を完成させるには、立会人全員の署名押印が必要です。本人が作成しているため、裁判所での確認手続きは不要となります。
参考:民法 第977条 七章 第二款 特別の方式 |伝染病隔離者の遺言
船舶隔絶地遺言
船舶隔絶地遺言とは、長期にわたる航海で陸地から離れた場所にいるために通常の遺言書を作成できない方が利用できる遺言方式です。作成時には、船舶の事務員と2人の証人が必要です。一般隔絶地遺言と同様に遺言者本人が作成する必要があり、証人などに代筆してもらったり口頭で伝えて書き取ったりすることはできません。遺言書には遺言者と立会人の署名押印が必要です。本人が作成しているため、裁判所で確認の手続きは必要はありません。
参考:民法 第978条 七章 第二款 特別の方式|在船者の遺言
危篤になった際に利用される特別方式遺言ですが、一般方式遺言で遺言を作成できるならそれに越したことはありません。ここからは、一般方式遺言を作成する際の条件や期間について紹介します。また、危篤時に一般方式の遺言が利用できるかどうかについても解説します。
自筆証書遺言は、自分で必要書類を集めて、自筆で遺産相続の条件について記載する遺言です。預金口座や証券取引口座の番号・車の車検番号・不動産登記簿など、遺言執筆に必要な書類を集められれば、数日で遺言の執筆が完了するでしょう。
ただし、必要書類を親族などが集められる状況で、かつ遺言を遺す本人に遺言証書を執筆する余力がある状況でなければ、自筆証書遺言を遺すのは難しいでしょう。
一般方式の遺言書のなかでもっとも有名なのは、口頭で公証人に遺言内容を執筆してもらう公正証書遺言です。遺言の内容を口頭で伝えてそれを公証人が文書にするため、内容の不備によって遺言が無効になる可能性は極めて低くなります。
遺言を遺す本人が遺言の下書きを作成しておいて、公証人と遺書の内容を読み合わせて確認していく方法が効率的でしょう。
書き間違いや記入漏れが心配な方は、公証人に遺言書作成を依頼できる公正証書遺言がおすすめです。
秘密証書遺言という一般方式の遺言もあります。遺言を遺す本人が遺書を作成して、公証人のもとに預けておく方法です。遺書がないと、親族同士のトラブルを引き起こす可能性があります。
秘密証書遺言は前もって遺言を作成できるので、遺言を遺す本人が危篤状態になる前の保険として活用するのもおすすめです。
危篤時は、公証人に依頼をして公正証書遺言を遺すこともできます。遺言を遺す本人が、口頭で公証人とやり取りできるので、危篤状態で遺書の自筆が難しい場合にも利用しやすい方法です。
遺言に書きたい内容をメモしておくと、公証人との遺言作成がよりスムーズに進むでしょう。
危篤時の遺言について考えておくことも大切ですが、それ以外にも準備しておくべきことがいくつかあります。ここからは、家族が危篤になった際に準備すべきことを紹介します。
家族が危篤状態であれば、当面の入院費や生活費を引き出しておくことも大切です。危篤の家族に必要な生活用品を差し入れたり、入院費用などを準備したりするためです。
危篤の家族が亡くなった場合は、相続が完了するまで銀行預金が凍結されてお金が引き出せなくなってしまいます。危篤の本人に必要なお金だけでなく、家族に必要なお金についてもある程度引き出しておくと、相続が完了するまでの金銭的な不安を減らせるでしょう。
危篤の家族が、訃報を伝えたいと考えている友人や職場関係者について確認しておきましょう。事前に伝えておけば、自身が亡くなった際に家族が交友関係をもとに訃報を伝えてくれます。
遺言を保管している場合や遺言の執行を依頼している方がいる場合は、生前に本人に確認しておきましょう。遺言執行人に故人の訃報を伝えない限り、遺言を受理・執行できない恐れがあります。
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家族が危篤になったときの遺言作成の方法には、「一般方式」と「特別方式」の2種類があります。一般方式は、自筆で遺書を作成していることを前提としているため、危篤時は特別方式が利用されることが多いでしょう。
ただし、口頭で遺書を代筆できる公正証書遺言は、危篤の場合でも例外的に利用しやすい一般方式の遺書作成方法です。
家族が危篤の際は、遺書だけでなく生活費や入院費の引き出しや、訃報を伝える相手の把握なども忘れないようにしましょう。家族が危篤になった場合を想定して、遺書の作成方法や準備が必要なものについては、事前に確認しておくことをおすすめします。
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