
作成日:2019年12月11日 更新日:2020年09月01日
親が亡くなったら銀行口座が凍結されるって本当?
親が亡くなると銀行口座が凍結されると聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。凍結されるタイミングや理由を知っておくと戸惑うこともなくスムーズに手続きができます。
亡くなった親の銀行口座を料金支払いの引き落とし口座として使っている場合は、準備が整ってから手続きするのがよいでしょう。預貯金口座の引継ぎも、遺言書の有無で手続きが異なるため事前に確認をしておくことが大切です。
そこでこの記事では、親が亡くなったら銀行口座が凍結されるかどうか詳細をご説明します。
【もくじ】
・銀行に死亡の連絡をした段階で口座が凍結される
・親が亡くなったら銀行口座をすぐに凍結したほうがよいケース・困るケース
・凍結された口座の預貯金残高を引き継ぐ方法
・よくある質問
・まとめ
銀行に死亡の連絡をした段階で口座が凍結される
親が亡くなると、親名義の銀行口座は親族が銀行に死亡したことを伝えることで初めて凍結されます。銀行口座は、親が亡くなった後に勝手に凍結されるわけではありません。親が亡くなったときにどのような流れや理由で銀行口座が凍結されるのかを確認しましょう。
死亡後すぐに凍結されることはない
親が亡くなった病院や死亡届を提出した役所から銀行へ情報が洩れることはなく、銀行口座がすぐに凍結されることはありません。
銀行口座が凍結されるのは、親族が銀行に口座の名義人が死亡したことを連絡したときです。銀行に連絡を入れた人は、死亡した名義人との関係を銀行に確認されます。死亡の連絡を受けた銀行は、相続担当部署に連絡を入れ銀行口座の凍結を行います。
あまりないケースではありますが、会社の社長や著名人であれば新聞のお悔やみ欄などメディアの報道により銀行口座の凍結が行われることもあります。ただし、凍結前に親族に連絡が入るため勝手に凍結されることはありません。
銀行口座が凍結される理由
銀行口座が凍結される理由は2つあります。1つ目は、死亡した日時での相続財産を確定させるためです。親が亡くなってからの親名義の預貯金は、相続財産の対象となります。
2つ目は、遺族が勝手に亡くなった親の預貯金を引き出すことで起きるトラブルを防ぐためです。相続財産のひとつである亡くなった親の預貯金は、一時的に共有財産として管理されます。具体的に相続財産の分配の仕方が決まるまでは、銀行口座はひとまず凍結されるのです。
キャッシュカードの暗証番号さえ分かれば、お金の引き出しは可能です。遺族の誰かが持ち去ってしまわないためにも、できるだけ早く銀行口座の凍結を行いましょう。
銀行口座を凍結する背景には、預貯金は名義人が亡くなってもその人のものであるという考え方があります。
親が亡くなったら銀行口座をすぐに凍結したほうがよいケース・困るケース
親が亡くなった後に銀行口座をすぐに凍結したほうがよいのかどうかは、状況によって異なります。財産を巡りトラブルが起きそうな場合は、できるだけ早く凍結したほうがよいでしょう。そうでない場合は、亡くなった親の銀行口座を凍結することで困ることがないか十分に考えてから凍結しましょう。ここからは、ケースごとに解説します。
銀行口座をすぐに凍結したほうがよいケース
亡くなった親に多額の財産があり、財産争いが起きそうな場合はすぐに銀行口座を凍結しましょう。キャッシュカードや暗証番号を知っていれば、親族や知人に関係なく誰もがお金を簡単に引き出せます。相談をすることなくお金を引き出してしまいそうな人がいる場合は特に注意が必要です。
相続財産の一部を手続きや分配を決める前に誰かがお金を引き出してしまうと、親族間で大きなトラブルになる可能性があります。亡くなった親の銀行口座にある財産は、手続きを行った上で正確な分配が決められます。
親が残した財産が多いほど財産争いも起こりやすいため、早めの行動が重要です。

銀行口座を凍結されると困るケース
亡くなった親の銀行口座で普段から家計のやりくりをしていた、各種料金の引き落とし口座に設定していたという場合は銀行口座を凍結されると困ります。銀行口座の凍結が行われると、引出しはもちろん引き落としもできないため、お金の管理も今までどおりにはできません。
凍結された銀行口座をそのままにしておくと、公共料金の支払いができない、クレジットカード会社から引き落としができないという旨の通知が届きます。
銀行口座の凍結をして困らないようにするためには、準備を終えてから銀行に親が死亡したことを伝えるのがよいでしょう。特に、各種料金の引き落とし口座はひとつずつ確認しながら口座設定の変更を行う必要があります。
凍結された口座の預貯金残高を引き継ぐ方法
亡くなった親の遺言書があるかどうかで、凍結された口座の預貯金残高を引き継ぐために必要なものは異なります。ここからは、遺言書がある場合とない場合それぞれについて凍結された口座の預貯金残高を引き継ぐ流れを解説します。預貯金残高を引き継ぐときに不備がないように、確認しましょう。
遺言書がある場合
凍結された口座の預貯金残高を引き継ぐには、預金の払い戻しが一般的です。遺言書を用意して、銀行口座の凍結後に書類の提出や準備を行います。金融機関の担当者を予約する際に、残高証明書の発行を希望することを伝えると手続きもスムーズです。
銀行に行くときには、残高証明書の請求に必要な書類をそろえて持参しましょう。必要な書類は通帳、死亡記載のある戸籍謄本、法定相続人が分かる戸籍謄本、実印と印鑑証明です。そのときに、預金の払い戻しの際に必要な相続手続き依頼書を受け取っておきましょう。
相続手続きの記載事項を記入して書類提出をする際は、遺言書および家庭裁判所の検認が済んでいることが確認できる書類、亡くなられた方の戸籍謄本、受遺者・遺言執行者の印鑑証明、遺言執行者選任審判書、受遺者・遺言執行者の実印、通帳、キャッシュカードなどの提出が求められます。
書類提出後は、2週間程度で代表相続人の口座に預金が振り込まれます。それをほかの相続人に代表相続人が分けるのが一般的です。
遺言書がない場合
遺言書がない場合も、預貯金残高の引継ぎは預金の払い戻しが一般的です。口座を凍結したら銀行の担当者を予約して残高証明書の請求を行います。必要な書類は、通帳、死亡記載のある戸籍謄本、法定相続人が分かる戸籍謄本、実印と印鑑証明です。その際に、相続手続き依頼書を受け取っておくとスムーズです。
相続財産の確定、相続人の確定を行います。その後、どれくらいの財産を誰がもらうのかを協議して、結果を遺産分割協議書にまとめましょう。
相続手続き依頼書の記入すべき項目を記入して相続人全員が署名し実印を押し、相続依頼手続き依頼書と一緒に次の書類も提出します。同封する書類は、遺産分割協議書、亡くなられた方の戸籍謄本、法定相続人が分かる戸籍謄本、通帳、キャッシュカード、相続人の実印と印鑑証明です。
書類提出後、2週間程度で代表相続人の口座に預金が振り込まれます。振り込まれた預金は、代表相続人がほかの相続人に分けましょう。
よくある質問
Q:口座凍結後は公共料金などの引き落としはどうなるの?
A:口座凍結後は公共料金などの引き落としは一切行うことができません。そのため、亡くなられた方と同居している方がいる場合は自動引き落としに速やかに切り替えましょう。
カード払いの場合は、未納扱いにはならず債務として扱われます。督促状が届くこともあるので、同居人や身内は郵便物をこまめに確認しましょう。
Q:役所が銀行に死亡を伝えることはある?
A:役所が銀行に死亡を伝えることはありません。仮に、そのようなことが起これば個人情報漏洩となり役所に責任が問われます。
人が亡くなると役所で死亡届を提出しますが、それが外部に自動的に伝わることもありません。銀行が死亡を知り銀行口座を凍結する場合は、メディアで社長や著名人が死亡した事実を確認できたときです。
Q:銀行に死亡の連絡をするとほかの銀行にも伝わるの?
A:銀行に死亡の連絡をしても、ほかの銀行に伝わることはありません。基本的に、死亡の連絡は故人が所有している口座の銀行すべてに行う必要があります。そのため、複数口座を所有している場合はひとつずつ死亡の連絡をしましょう。ただし、ひとつの銀行に複数口座を所有している場合はひとつの支店のみに連絡するだけで問題ありません
Q:連絡をしていないのに口座が凍結されたのはなぜ?
A:死亡した方が会社の社長や著名人の場合、新聞のお悔やみ欄を見た行員が銀行口座の凍結することがあります。ほかにも銀行員が死亡した情報を聞き、口座を凍結することもあります。その際には、銀行口座を凍結する前に銀行から死亡した事実を確認する連絡が入ります。口座が凍結される理由について、詳しくはこちらからご確認ください。
Q:銀行に死亡の連絡をしないと法的に違法?
A:相続の手続きに期限は定められていません。そのため、長期間死亡の連絡をせずに相続の手続きをしなくても法的には問題なく罰則を受けることもないです。ただし、相続手続きをするときに必要な相続人の印鑑証明書の有効期限は3か月と決められています。死亡した方の口座の預貯金残高を引き継ぐ場合は、他の相続手続きと一緒にするとスムーズです。
Q:凍結された口座を解約せず放置するとどうなるの?
A:凍結された口座を解約することなく放置すると、預金保険機構に移管されます。期限は10年と定められています。
10年間口座に残高があるにもかかわらず年間取引がないと、休眠預金になることが法律で決められています。休眠預金は、NPO法人などの公益団体の助成、貸付け、出資などに活用されます。手続きを踏めば、休眠預金を引き出すことは可能です。
まとめ
親が亡くなると故人を偲ぶことも大切ですが、銀行口座の凍結や預貯金残高の引継ぎの手続きを行うことも重要です。
亡くなった親の銀行口座の凍結は、各種料金の支払いやカード支払いの引き落とし口座に設定されていないか確認をした上で行いましょう。確認をしないまま凍結の手続きを行うと、引き落としができないと同居人に連絡や督促状が来ます。
預貯金残高の引継ぎの手続きは、遺言書の有無によって流れが異なります。それぞれのパターンを把握した上で、手続きを行いましょう。
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