家族信託は、財産管理方法の1つ。委託者の財産管理を受託者が担当し、そこで生じた利益を受益者が受け取るという形で契約します。自力でも行えるため、具体的な費用について気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、家族信託を自分で行う場合の費用や手続きの流れについて紹介します。専門家に依頼する場合の違いや、費用に関する幅広い知識を身に付けられるでしょう。
<この記事の要点>
・家族信託の手続きを自分で行う場合、専門家に依頼するよりも費用を抑えられる
・家族信託を考えている場合は、家族の理解を得ておく必要がある
・家族信託の手続きを行う場合、最初に信託契約書を作成し信託口口座を開設する必要がある
こんな人におすすめ
家族信託を検討している人
家族信託の費用を抑えたい人
家族信託を自分で行う場合の流れが知りたい人
家族信託の費用について知ることで、スムーズに手続きを進められるでしょう。ここでは、自分で行う場合と専門家に依頼する場合の費用と相場について紹介します。
家族信託の手続きを自分で行う際には、主に以下の費用が発生します。書類の費用については、取得方法(窓口や郵送など)や自治体によって異なるため、事前に確認してから利用しましょう。また不動産の有無で、費用は大きく変わります。
主な費用 | 備考 | 金額 |
戸籍謄本または戸籍妙本 | 委託者・受託者・受益者のものが必要となる | 450円 |
印鑑証明書 | 委託者と受託者のものが必要となる | 450円 |
印紙代 | 信託契約書で必要となる | 200円 |
公正証書費用 | 信託契約書を公正証書にする場合に必要となる | 信託財産額によって異なる(財産額が500万円超~1,000万円以下の場合には17,000円) |
固定資産税評価証明書 | 信託財産に不動産がある場合に必要となる | 300円 |
登記事項証明書 | 信託財産に不動産がある場合に必要となる | 600円 |
登録免許税 | 信託財産に不動産がある場合に必要となる | ・土地の場合、固定資産税評価額×0.3% ・建物の場合、固定資産税評価額×0.4% |
信託口口座開設費用 | 金融機関で信託口口座を開設する場合に必要となる | 金融機関によって異なる |
弁護士や司法書士といった士業に依頼する場合には、自分で行うよりも、費用が高額になります。事務所によって金額は異なるため、初回相談の段階でしっかりと説明を受けて、不明な点を解決しておくことが大切です。
主な費用 | 備考 | 相場 |
コンサルティング費用 | 契約内容を決めるために必要なコンサルティングで発生する | 信託財産評価額により異なる(1億円以下の場合、信託財産評価額の1%) |
家族信託契約書の公正証書作成費用 | 信託契約書を公正証書にする場合に必要となる | 10万円~15万円 |
公証役場に支払う費用 | 信託契約書を公正証書にする場合に必要となる | 3万円~10万円 |
登記報酬 | 信託財産に不動産がある場合に必要となる | 10万円~30万円 |
登録免許税 | 信託財産に不動産がある場合に必要となる | ・土地の場合、固定資産税評価額×0.3% ・建物の場合、固定資産税評価額×0.4% |
信託口口座開設費用 | 金融機関で信託口口座を開設する場合に必要となる | 金融機関によって異なる |
家族信託をすると、税金が発生する場合もあります。一時的にかかる税金もあれば、継続的に課せられる税金もあるため、自身の状況をあらかじめ想定しておくことが大切です。ここでは、税金についての内容を具体的に紹介します。
贈与税は、個人(贈与者)から個人(受贈者)に対して財産を引き継いだ際に、受贈者側に課せられる税金です。
家族信託では、委託者と受益者が別である場合には、受益者に対して贈与税が課せられる可能性があります。
具体的には、父の財産管理を長男に任せ、そこで生じた利益を母が受け取る場合などです。「父が委託者」「長男が受託者」「母が受益者」となり、委託者と受益者は別人のため、受益者である母が納税義務者となります。
相続税は、故人(被相続人)の財産を引き継ぐ方(相続人)に対して課せられる税金です。
家族信託では、受益者が死亡した場合の次の受益者もあらかじめ指定できます。最初に指定した受益者が亡くなれば、新たな受益者に対して相続税が発生する可能性があるため、注意が必要です。
例えば「父を委託者・受益者」とする契約で、「母を第2受益者」に指定した場合には、父が亡くなると母に相続税が発生します。
不動産の運用により不動産所得が発生している場合は、所得税の対象です。不動産所得を得る立場は受益者となるため、納税義務者も同様に受益者となります。
また家族信託では、受託者を法人にする形での契約も可能です。法人に所得があれば、法人税が発生します。
登録免許税は、不動産を登記する際に必要な税金です。登記申請の際に、固定資産税評価額に基づいた金額を納めます。
固定資産税は、毎年1月1日時点での土地や建物の所有者に課せられる税金です。信託財産に不動産を入れる際に、所有権移転登記をすることで、不動産の所有者が受託者に変わります。
家族信託には、自分で行うことで費用を安くできるというメリットがあります。一方で、自分で進める際には、法的知識を十分に身に付けることが重要です。ここでは、自分で手続きをするメリットとデメリットについて紹介します。
家族信託の費用を安くしたい場合には、自分で行うのが効果的です。弁護士や司法書士といった士業に依頼すると、コンサルティング費用や登記報酬などが発生します。
さらに家族の財産を他人に知られたくないときには、自分で行うほうが適切な場合もあるでしょう。
前提として士業には守秘義務があり、他人に個人情報が漏れることはありません。ただし、財産状況を話すのに抵抗がある場合には、自力で手続きを進めることも視野に入れましょう。
家族信託では、「目的」や「信託財産の内容」「委託者・受託者・受益者」など、決めなければならない項目がたくさんあります。法的知識を要するため、士業に気軽に聞けないのは大きなデメリットとなるでしょう。
士業が入ることで、客観的な視点から問題を精査でき、適切な管理方法が見えてくる場合もあります。自力で行う場合には、時間がかかる可能性もあるため、余裕を持って進めましょう。
家族信託を自分で行う場合には、トラブルを回避するために、あらゆる点に気を配ることが大切です。ここでは、具体的な注意点について紹介します。
家族信託は、形式上、委託者と受託者、受益者の契約になります。ただし、他の家族に対して説明のないまま手続きを進めてしまうと、財産の管理方法に不満を持たれてしまうケースもあるでしょう。
家族信託を考えている場合は、後のトラブルを予防するためにも、家族に仕組みやメリット・デメリットを丁寧に話して、理解してもらうことが大切です。
財産管理方法には、家族信託以外にも「成年後見制度」があります。成年後見制度とは、認知症や障害を持つ方の財産管理や契約の手続きなどを支援する制度です。
家族信託と比較すると、財産管理の範囲や裁判所の関与や費用など、異なる点はたくさんあります。
家族信託を考えている際には、まずは目的を明確にした上で、適切な方法を検討することが大切です。
家族信託を始める場合は、契約書の作成から口座の開設まで、手続きがたくさんあります。希望するタイミングで始められるように、計画的に準備をすることが大切です。ここでは、自分で行う際の流れについて紹介します。
最初に信託契約書を作成します。契約書には、目的や信託財産、委託者・受託者・受益者、信託財産の管理や処分などについての記載が必要です。最後に、委託者・受託者・受益者全ての署名・押印をします。
さらに作成した契約書は、公証役場で公正証書にしておくことが大切です。公正証書にすることで、偽造などのトラブルを回避できます。
信託財産に不動産を入れた場合には、登記手続きを法務局で行います。家族信託でする登記には2種類あり、「所有権移転登記」と「信託登記」です。登記をすることで、不動産の名義人が委託者から受託者に変更されます。
必要書類は、委託者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)や受託者の住民票などです。
受託者には、自分の財産と別で管理する「分別管理義務」があります。そこで金融機関にて「信託口口座」を開設して、財産を管理することが重要です。
信託口口座は、全ての金融機関で提供しているわけではありません。「近くのATMで引き出せるか」などの点から、長期間にわたって利用しやすい金融機関を選んでみましょう。
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家族信託を自分で行う場合、専門家に依頼するよりも費用を抑えられます。ただし、自力で行う際にはさまざまなトラブルが想定されるため、法的知識を身に付けたり、家族と十分に話し合ったりすることが大切です。
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忌引き休暇は、実は労働基準法で定められた休暇ではありません。ホゥ。