葬儀の経験が少ない場合「位牌って何?」「どうやって用意するの?」と、わからない方がいるかもしれません。ここでは、位牌の役割や不要な場合、種類、相場といった準備するのに役立つ情報をまとめました。購入する際の注意点もあわせて解説します。
<この記事の要点>
・位牌とは故人の霊魂が宿る依代で、浄土真宗以外の仏教のほとんどの宗派では必要
・白木位牌は仮の位牌として用意し、本位牌は四十九日法要で白木位牌と入れ替えて設置する
・位牌を処分する方法として「お焚き上げ」と「永代供養」がある
こんな人におすすめ
位牌を準備しようとしている人
位牌の種類や選び方について知りたい人
位牌の管理・処分方法を知りたい人
戒名の書かれた札を仏壇で目にする機会があるでしょう。その札を、位牌(いはい)と呼びます。ここでは、位牌の役割や由来、記載されている文字について解説します。また、お焚き上げのタイミングについても、確認しておきましょう。
位牌とは、故人の霊魂が宿る依代です。依代のない状態では故人の帰ってくる場所がありません。例えば、仏壇の前でご家族から故人に声をかけると、位牌を通して伝わると考えられています。
位牌は、中国の儒教で使われていた「木簡(もっかん)」が起源だと言われています。木簡は短冊状の木の板で、故人の氏名や生前の官位を書いていたようです。
日本へは、江戸時代頃から伝わったという説があります。その頃から、仏壇の中に位牌を入れる文化が広く普及しました。
位牌には亡くなった方の戒名(あの世での新しい名前)・法名(浄土真宗における戒名)、享年、死亡年月日を記します。そのため、安置されている方は誰か、何歳まで存命していたか、亡くなった日はいつかを一目で把握できるでしょう。
位牌は、三十三回忌を過ぎたらお焚き上げします。仏教の教えだと、死後30年かけて死後の未練を断ち切り霊会へ行くとされているからです。
お焚き上げをしたあとは、ご先祖様のご位牌に合祀(ごうし)します。なお、三十三回忌までの期間は、正月やお盆、命日に祀るのが通例です。
必ずしも、位牌を用意するとは限りません。無宗教者や信仰している宗教によっては、位牌を置かない場合もあります。それぞれについて、詳しく解説します。
仏教では、宗派に関わらず位牌を用意する場合が多いようです。亡くなった方の魂は、位牌を通して遺族からの呼びかけに応じます。また、仏教式で葬儀や法要をする場合も、基本的に位牌を用意します。
浄土真宗の教えだと、位牌を用意する必要はありません。故人は、死後すぐに成仏して仏様に生まれ変わると考えられているからです。
浄土真宗の教えでは「信心をもって亡くなれば、阿弥陀如来によって救われる」と信じられています。つまり、故人を供養するという教義はありません。
ただし、位牌の代わりに、故人の法名を記載する「法名軸(ほうみょうじく)」と、法名や没年月日、名前、年齢をまとめた「過去帳」を仏壇に飾ります。
特定の信仰にとらわれない場合は、位牌を不要としています。ただし、無宗教者であっても、「故人を偲ぶ対象が欲しい」という理由から位牌を購入する場合もあるでしょう。その場合には、戒名ではなく本名で記載されるのが一般的です。
位牌には、白木位牌と本位牌があります。それぞれの役割を確認し、理解を深めましょう。
白木(しらき)位牌は、亡くなったあとに仮の位牌として用意します。別名、「仮位牌」とも呼ばれています。また、自宅の仏壇用に「内位牌」、火葬場に運ぶ用に「野位牌」に分類できます。
白木位牌は、紙に文字を書いて貼り付ける、もしくは直接記すこともあります。表に戒名・生前の姓名(俗名)、裏側に亡くなった年月日・享年を記載します。また、白木位牌は、中陰壇(遺影のある飾り棚)に祀るのが通例です。
四十九日の法要で、白木位牌から本位牌に入れ替えて仏壇に設置します。不要になった白木位牌は、お寺でのお焚き上げで供養する習わしです。本位牌に入れ替える理由は、四十九日を過ぎて魂が成仏した証とするためです。
本位牌は用途や形状、材質、目的別に分類できます。ここでは、それぞれの違いや特徴について解説します。
用途や形状による本位牌の分類は、下記のとおりです。
・板位牌(札位牌)
もっとも一般的な位牌で形状は、蓮台(蓮の花をかたどった位牌の土台)に札板が垂直に刺さっている。位牌には、故人一人分の戒名を記す。
・繰り出し位牌(回出位牌)
ご先祖様からの位牌を1つにまとめるため、箱型で中に10枚ほどの札板を収納できる。
・寺位牌
自宅用とは別に、お寺やお寺の本山に安置するための位牌。永代供養を希望する方や諸事情により家庭に位牌を安置できない方は、寺位牌を検討する。
本位牌は、材質や加工の方法によっても分類できます。
・塗位牌
ヒノキの木の札を漆で黒く塗っている位牌。用いられる漆は「本漆」と「カシュー漆」の2つに分けられる。金箔、金粉の装飾が施されている。
・唐木位牌
唐木位牌には、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった高品質な木材に、透明感のある塗装をしている。耐久性が高く、虫に浸食されにくい。
・天然木位牌
ヒノキやサクラといった天然木で作られる位牌。自然で優しい風合いが特徴的で、インテリアの一部としても飾ることができる。
・モダン位牌
貴重といわれる天然石や銘木を用いるモダン位牌は、デザイン性の自由度も高い。さまざまな素材で作られるのが特徴で、洋間にも合わせやすいお洒落なデザインのものも多い。
本位牌は、2つの目的別に分類できます。
・順修牌
亡くなったあと、故人のために用意する位牌。
・逆修牌(寿牌・予修牌・生前位牌)
生前のうちに授かった戒名や法名を記す位牌。例えば配偶者を亡くした際、自分の戒名も作り、隣に位牌を並べることもある。
位牌を購入する際、相場はどのくらいなのかは気になるところでしょう。種類別の費用相場は以下のとおりです。
【位牌の費用相場表】
塗位牌 | ・国内製品:約4万円~10万円 ・海外製品:約1万円~3万円 木札の種類や、装飾の質・量によって価格が変動する |
唐木位牌 | ・約2万円~7万円 唐木のランクや加工技術の高さによって価格が変動する。精巧な彫刻を施した高価な唐木位牌は、30万円する場合もある |
モダン位牌 | ・約3万円~5万円 素材の質・量、デザイン性の高さによって価格が変動する |
一般的な大人の位牌のサイズは、約3.5寸~4寸(約7センチメートル~12センチメートル)です。なお、記載されているサイズは、戒名を書く木札の大きさを差します。
位牌の大きさには、宗教上の明確なルールはありません。ただし、ご先祖様の位牌よりも、大きなサイズを購入しないようにしましょう。
位牌は、注文してすぐに届くわけではありません。ここでは、位牌を購入するのに適した時期や、依頼前に確認しておくべき事項、記載する文字の提出方法についてまとめました。
位牌は、四十九日の法要までに準備する必要があります。製作期間は2週間ほどかかるため、早めに手配を進めましょう。初七日法要後、可能であればすぐに位牌の依頼をしておくと安心です。
位牌の購入時に、仏具店や葬式業者に伝える事項があります。購入前に把握しておきましょう。
・仏壇の有無(ない場合は購入する)
・ご先祖様の位牌の有無(ご先祖様の位牌の寸法を測り、それより小さい位牌を購入する)
・印字する故人の情報
位牌に印字する情報は、紙に記載して仏具店に提出します。戒名・俗名・命日・年齢は、口頭で伝えられないため、調べた情報をメモしておきましょう。
ただし、インターネットを利用して注文する場合には、購入手続きのフォームに入力する場合もあるでしょう。
仏教の宗派によって、位牌に違いがあります。下記の表に、それぞれの特徴をまとめました。
浄土真宗(真宗) | 死者は仏になるとの教えから、位牌を用意しないのが基本。ただし手を合わせる対象として、位牌を用意する場合もある。 |
真言宗 | 位牌に記す戒名の上に、大日如来を意味する「阿」を入れる。 |
浄土宗 | 戒名の上に梵字(古代のインド語)で、阿弥陀如来を意味する「キリーク」の文字を入れる。 |
禅宗(曹洞宗・臨済宗) | 戒名の上に、「空」という文字を入れる。 |
日蓮宗 | 法号(戒名を差す)の上に、「妙法」という文字を入れる。 |
位牌をまとめる方法として、下記の3パターンを紹介します。
複数のご先祖様の位牌を1柱の「先祖位牌」にまとめる。表には一般的に「〇〇家先祖代々之霊位」と記すが、宗派によって異なる。先祖位牌には個人情報を記入しないため、「過去帳」に戒名と俗名・没年月日、享年を書き写す。過去帳は「見台」にのせて、仏壇に飾るのが通例。
大きめの箱型の位牌で、中に木札が複数入れられる。木札1枚につき故人1人分の情報を記入できるため、過去帳を必要としない。
2人分を連名にして、1柱にまとめた位牌。表に2人分の戒名、裏面に2人分の俗名・没年月日、享年を記すため、札幅が横に長い「巾広位牌」を用いる。
「位牌を作り直したい」「1つにまとめたい」「仏壇に入りきらない」といった理由から、位牌の処分を検討する方がいるかもしれません。位牌を処分する方法には、「お焚き上げ」と「永代供養」があります。
お焚き上げは神社やお寺に依頼して、供養していただいたあと焼いて天に還す儀式です。永代供養は、寺院や霊園に位牌を納めて、維持管理から供養まで代行する方法を差します。
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位牌は、故人の魂を宿す依代として用います。遺族は位牌に呼びかけて、故人を偲ぶことができます。位牌には亡くなった方の戒名(あの世での新しい名前)、法名(浄土真宗における戒名)、享年、死亡年月日を記します。
また、位牌には用途や形状によりさまざまな種類があります。仏教の宗派によって、位牌の形に違いがあります。予算や目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
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