遺品整理のあと、家族や故人と親しかった親しかった友人、知人と形見分けをします。しかし形見とは何か、対象となる品や贈り方に考慮しなければトラブルになる可能性もあります。また、形見と遺品は異なるため、注意が必要です。死後のトラブルを回避するためにも、形見について理解を深めましょう。
<この記事の要点>
・形見とは故人が残したもので思い入れが深いものを指す
・生き物、高価な品、現金や金券などは形見に該当しない
・高価な品を形見分けすると贈与税や相続税がかかる可能性があるため、注意が必要
こんな人におすすめ
形見分けの方法について知りたい人
遺品整理についても知りたい人
親族や親しかった友人、知人とお別れしたあとに、形見や遺品を整理します。残す品と処分する品を判断するうえで、形見と遺品の違いについて理解しておく必要があります。ここでは、それぞれの違いと品物の例を説明します。
亡くなった人が残したものを「形見」や「遺品」といいます。それぞれの意味は、下記のとおりです。
形見 | ・故人の思い入れが深かったもの ・日常的に愛用していたもの (例)アクセサリー・時計 |
遺品 | ・故人が残した品の総称 ・金銭的な価値が高くないものや日用品 (例)衣類・靴・バック |
故人にとって愛着のあった品は、「形見」として残された家族のよりどころとなることがあります。
形見分けとは、故人の残した「形見」を親族や親しかった友人で分けることです。何でもよいわけではなく、故人との思い出を分かち合える愛用品が適しています。形見分けで故人を思い偲ぶことで、追善供養にもなるでしょう。
また、遺品は残すものと処分する品を仕分けして、遺品整理を進めていきます。賃貸物件に住んでいた場合は、契約期間があるため、手際よく遺品整理をしなければなりません。
形見分けでは、故人の意志を尊重しつつ、トラブルが起きないように配慮する必要があります。スムーズに形見分けをするためには、必要性やタイミング、分け合う相手、贈り方について確認しましょう。
家族や親しい友人、知人とする形見分けですが、義務付けられてはいません。「まだ気持ちの整理ができていない」「遺品整理に時間がかかっている」といった理由から、形見分けをしない、もしくはいったん保留にする場合もあるでしょう。
ただし、家族や友人・知人に形見分けを重んじる方がいるかもしれません。昔ながらの習慣なので、特に年配の方は形見分けを希望する可能性があります。故人の関係者の考え方や状況に応じて検討しましょう。
一般的な形見分けのタイミングは、「忌明け後」とされています。仏教の場合、忌の間は「故人があの世とこの世の間をさまよっている期間」と考えられているからです。しかし、宗教によっては、形見分けに適したタイミングが異なります。信仰に合わせて進めるとよいでしょう。
<宗教別:形見分けのタイミング>
仏教 | 四十九日の法要後 |
神道 | 五十日祭の後 |
キリスト教 | 死後30日目のミサのあと (ただし、キリスト教では「忌」という考えはありません) |
形見分けの対象者は、家族や故人と特に親しかった友人・知人です。また、遺言書やエンディングノートの記載を尊重し、指定された方に対象の形見を贈ります。
形見分けは親から子、上司から部下へ贈るのが基本です。目上の方に形見分けをする場合は「ご無礼とは存じますが、もしよろしければ」と提案して、意向を確かめましょう。
形見の贈り方には、マナーとして好ましい方法があります。
・手渡しする
・半紙、もしくは白い紙に包む
・表書きをする(仏式:「遺品」、神式:「偲ぶ草」と記す)
形見分けの品は、お祝いではないため、包装紙で包む必要はありません。
郵送もマナー違反にはなりませんが、事前に了承を得る必要があります。もし、郵送する場合には、「形見分け」だと分かるように一筆添えると丁寧です。例えば「故人の希望により、こちらを形見分けいたします。受け取っていただけると嬉しく思います」という文章が適しているでしょう。
形見分けは、高価な品でなければ該当します。しかし、遺品整理をするときに、形見の対象か判断しにくい品があるかもしれません。ここでは、該当する品としない品を紹介します。
形見に適しているのは、故人の日用品や愛用品です。
・時計
・アクセサリー(指輪、ネックレス、ブレスレット)
・香水
・衣類
・数珠
・写真
・趣味のコレクション(書籍・食器・楽器)
・美術品、骨董
家具や家電は、そのまま引き継いで使用することも可能です。アクセサリーや衣類は、故人と同性の家族や友人、知人の間で形見分けする傾向にあります。
形見に適さない品もあるので、確認しておきましょう。
・生き物
・使用済みの部屋着や下着、靴下
・個人的な趣味のコレクション
・現金や金券(ギフトカード・旅行券)
・高価な品
・用途の分からないもの
受け取ったあとに持て余す恐れがある品や、金銭トラブルになりそうな品は、形見として不向きです。
故人と親しかった方に贈る形見ですが、贈り方によってトラブルを招いてしまうかもしれません。受け取る側に配慮し、贈ることが適しているかを検討しておく必要があります。また、贈り方の注意点についても、確認しておきましょう。
財産分与の対象になる金融資産は、形見にはできません。金融資産とは、現金や金券、株式、債権、投資信託、生命保険、小切手を含みます。
加えて、高価な品を形見分けすると、贈与税や相続税がかかる可能性があります。金銭トラブルになりそうな品物は、形見分けの対象から外しましょう。
形見分けは、きれいな状態にして贈りましょう。衣類の場合は洗濯する、もしくは、クリーニングに出してから贈るのがマナーです。書籍や骨董品なら、埃をはらっておきます。古くて使えそうにない品物は、「形見にしたい」という希望がない限りは贈りません。
故人を偲ぶ方法は、人それぞれです。形見分けするさいに、受け取りを断る方がいるかもしれません。その場合には、贈る側の意志を尊重し「そうおっしゃらずに」と、押し付けないようにしましょう。事前に受け取る側の意志を確認しておくと、トラブル防止にもなります。
反対に、希望されている形見を捨ててしまわないように、注意しなければなりません。遺品整理時は、形見になりそうな品物をリストアップしておくと安心です。
受け取ったあとにお世話を必要とする生き物は、形見として不向きでしょう。育てられる状況や環境なのかが分からないため、特別な場合を除いて贈りません。
生き物の形見分けは、終活の一環として事前に決めておくことが大切です。ペットのいる家庭は、前もって最終的な引き取り先や引継ぎ先を決めておきましょう。
複数の相続人で遺産を分ける「遺産分割」のあとに、形見分けを始めましょう。価値のある品物や高価な品物は、遺産分割しなければなりません。誤って形見に含めないように、注意する必要があります。
貴金属や骨董品という価値のありそうな品は、先に鑑定に出さなければなりません。鑑定後は、品物名と換価金額を遺産分割協議書(遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類)に記載します。
ご本人が生きている間に、愛用品を家族や友人・知人に贈ることも可能です。生前の形見分けは、希望通りにできる、直接手渡しできるというメリットがあります。
また、遺書に形見分けの意志を残しておくのもよいでしょう。誰に何を形見分けするのかが明確だと、死後のトラブル防止になります。
ただし、贈与税の対象かをチェックしておく必要があります。基本的に、年間110万円を超える財産が贈与税の対象です。
金属は加工しやすいため、指輪は溶かしてリフォームができるのが特徴です。自分の好みにデザインを変えて、身に付けられる形見になるでしょう。また、リフォームやリメイクする方法には、指輪のセミオーダーとフルオーダーがあります。費用や希望のデザインにあわせて検討しましょう。
指輪のセミオーダー | 指輪のフレームのみを変えて、元の石を活かす方法。既製品のフレームに石をはめるため、比較的低コストになりやすい。 |
指輪のフルオーダー | 指輪の金属を溶かしたり、宝石をカットしたりと、全体的に新しくする方法。アレンジの幅が広がり、こだわりの指輪に仕上げられる。 |
故人の愛用品を、すべて形見にする必要はありません。遺品のなかには、使えなくなった品物や古くなった品物もあるでしょう。
しかし、捨ててしまうのに、抵抗を感じる方がいるかもしれません。形見のお焚き上げによる供養や、専門業者に依頼する方法について解説します。
故人の愛用品は、寺院や神社でお清めの火により供養します。お焚き上げの対象は、人形やお守り、衣服、手紙、神棚、故人の写真です。ただし、燃やすことのできないガラス製品や電化製品は、お焚き上げできません。燃やすと有害物質が出る製品や危険物も避けましょう。
葬儀社や仏壇仏具店といった専門業者では、遺品整理のサービスを受けられる場合があります。葬儀や法要の相談時に、遺品整理のサービスについても確認してみるとよいでしょう。
専門業者に依頼する場合は、費用や対象物、遺品の渡し方(手渡し・郵送)、お焚き上げの日程についても把握しておくと安心です。
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遺品整理のあとに行う「形見分け」では、適した品物と適さない品物を見分ける必要があります。また、贈る際のトラブルを避けるためには、故人と贈る側の意志を尊重する、遺産分割のあとに形見分けをするといった配慮が大切です。
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亡くなった方や仏に向けて、香を焚いて拝む行為を焼香(しょうこう)といいます。ホゥ。