戒名は仏門に入ったことを示す名前です。仏教においては、逝去された際に菩薩寺の僧侶に依頼して戒名を授けてもらいます。戒名には難解な漢字も多く、普段の読み方とも異なっているため戸惑うことも多いでしょう。
今回は戒名を構成する4種の号を中心に、宗派による違いや戒名を授かる際の費用などについて紹介します。
<この記事の要点>
・戒名とは、仏門に正式に入ったことを意味する名前のこと
・戒名を構成する3つの号は「院号・院殿号」「道号」「位号」
・戒名にかかる費用はランクによって約20万円~100万円以上と幅がある
こんな人におすすめ
戒名とは何かを知りたい人
宗派ごとの戒名のつけ方を知りたい人
戒名料の相場を知りたい人
仏門に正式に入ったことを意味する戒名は、江戸時代ころから日本全国へ広まりました。インドで発祥した仏教は世界中に伝わるとともに、各地で独自の慣習を作り上げています。戒名もその中のひとつで、今や日本の仏教において重要なものとなりました。
戒名とはお釈迦さまの弟子となった証として授けられる名前です。出家者だけに与えられるものでしたが、「誰でも等しく極楽浄土へ行けるように」と、出家していない一般の人々にも戒名が与えられるようになりました。戒名は菩薩寺の住職に授けていただくのが通例です。
戒名には仏教の言葉と漢字が使われ、漢音と呉音が用いられるため、通常の日本語とは読み方が異なります。
戒名は「かいみょう」と読みます。居士=「こじ」、信士=「しんし・しんじ」大姉=「だいし」信女=「しんにょ」などは特に読み間違いが多いため、覚えておくとよいでしょう。
戒名は4つの号を組み合わせて成り立ちます。戒名はその人の人生に沿った漢字を授けられるため、号についての理解を深めることで、故人がどのような人だったのか分かるでしょう。
戒名の中でも最も高い位となる院号・院殿号は、高貴な身分の貴族や武士に授けられていました。現代では大臣経験者や高い功績を残した政治家、地域の功労者などに授けられます。院殿号は戒名の始まりに付けられる最高位のもののひとつです。
悟りを開いた者に与えられるものが道号です。院号・院殿号が付かなければ、こちらを戒名の最初に持ってきます。
道号は故人の性格や気質を表すとされ「海、山、光、老、翁、殿、宅」などの漢字が用いられることが多い傾向です。故人が未成年や水子であった場合、道号は与えられません。
墓石や位牌に刻む名前を総合して「戒名」と呼ぶことが一般的ですが、本来の戒名の意味は道号の次に付ける2文字のことを指します。
この2文字のうち1文字を現世の本名から取り、1文字を仏様や経典から拝借し合わせて戒名とするのが通例です。生前の職業を表す漢字や一族が代々受け継いできた漢字を用いることもあります。
位号は成人しているかどうかで授けられる号が変わります。成人している場合は性別と年齢、社会的な地位や社会への貢献度、宗教への信仰心などによって決まります。
成人:位が上の順
男性の場合:大居士、居士、信士
女性の場合:清大姉、大姉、信女
<子どもの場合>
男子~15歳まで:童子・大童子など、4歳~5歳以下:嬰児・孩児など
女子~15歳まで:童女・大童女など、4歳~5歳以下:嬰女・孩女など
水子や乳児:水子
仏教と一口にいっても、現代の日本には多くの宗派があり、それぞれの宗派によって戒名の考え方が異なります。またたとえ同じ宗派であっても、地域や寺院によって多少の違いがあることも少なくありません。こちらでは浄土系の戒名について紹介します。
浄土宗では院号・誉号・戒名・位号の順に戒名を付けます。誉号は浄土宗独自のものです。道号の上に誉号が付いたり、道号が付かなかったりという場合もあります。一番上に阿弥陀如来を表す梵字が付くこともあり、〇〇院~誉〇〇△△居士といったように戒名全体では7文字程度が一般的です。
浄土真宗は戒名という呼び方はしません。戒名に代わって「法名」を授かります。院号・釋(釈)号・法号の順で法名を授かりますが、釋(釈)号は浄土真宗独自のものです。
また極楽浄土では人はみな平等という考えがあり信士、信女、居士、大姉といった位号は付きません。
男性・女性ともに:院号・釋〇〇(2文字)
大谷派の法名は女性と男性で異なり、以下のような法名を付けます。釋というのは故人があの世でお釈迦様の弟子になったという証です。法名の付け方・考え方は寺院によって異なる場合もあるため、菩薩寺の方針に従いましょう。
男性:(院号)・釋〇〇(2文字)
女性:(院号)・釋尼〇〇〇(3文字)
日本の仏教の8つの宗派の戒名について紹介します。ほぼ同じところもあれば全く異なる戒名もあるため、正しく理解しておくことが大切です。
また、戒名は死後に付けられるものだと思う方も多いですが、生きているうちに授けていただく生前戒名もあります。生前戒名を授かった場合は家族に報告しておきましょう。
まず天台宗においては院号、道号、戒名、位号の順に授けられます。戒名の上に梵字(ぼんじ)の「ア」(大日如来)または「キリーク」(阿弥陀如来)を刻むことが多いようです。子どもの場合は「カ」字(地蔵菩薩)を入れます。
天台宗は伝教大師、最澄によって開かれました。法華経を中心とした教養を持ち、人は誰でも仏になれる可能性があり、縁にふれて努力すれば成仏できる、という教えを説いています。
真言宗は院号、誉号、戒名、位号の順序で授けられ、こちらも梵字戒名の前に梵字を刻みます。梵字とはサンスクリット文字を表記する際に使う文字です。位牌などには真言宗の御本尊である大日如来を表す梵字「ア」を入れ、それに続いて戒名を入れます。
真言宗派弘法大師(空海)によって開かれた、仏教の中でも密教と呼ばれる宗派です。真言宗という名前の通り、仏の言葉(真の言葉)を大切にしています。
臨済宗は院号、道号、戒名、位号の順で授けられます。戒名に関しては他の宗派と大きく異なる部分はありません。栄西禅師を宗祖として座禅を最も重視し、「誰でも備えている純粋な人間性を悟ることでお釈迦様と同じように人の尊さを把握できるようになる」という教えです。
曹洞宗で授けられる戒名は、院号、道号、戒名、位号または院号を入れない道号、戒名、位号の順です。全部の漢字を合わせると6文字または9文字となります。
曹洞宗は、代々継承されてきた仏教の教えを継承して正しい暮らしを送ろうという宗派です。穏やかに日常生活を送るため、座禅を重視しています。
院号、道号、日号(法号)、位号の順で授けられます。日号の上に日蓮宗の開祖を示す「日」の文字を入れ、男性の場合は道号に「法」の文字を、女性は「妙」の文字を付けるのが通例です。
日蓮大聖人を開祖とし、人は誰でも熱心に南無妙法蓮華経を唱えれば、生きているうちに仏になれる(即身成仏)と説いています。
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実は宗派によって違う!知って得する戒名のランクに関する基本的なルール
戒名を授かる際にかかる費用は、位が高くなればなるほど高額になる傾向です。また地域差があり、宗派やお寺によっても多少の違いがあるでしょう。こちらの金額はあくまでも目安としてお考えください。
浄土真宗 | 釋(釋尼):20万円~ 院釋(院釋尼):50万円~ ※浄土真宗では、戒名ではなく法名 |
浄土宗 | 信士・信女:30万円~40万円 居士・大姉:50万円~60万円 院信士・院信女:70万円~ |
天台宗 | 信士・信女:30万円~50万円 居士・大姉:50万円~70万円 院信士・院信女:80万円~ 院居士・院大姉:100万円~ |
真言宗 | 信士・信女:30万円~50万円 居士・大姉:50万円~70万円 院信士・院信女:80万円~ 院居士・院大姉:100万円~ |
臨済宗 | 信士・信女:30万円~50万円 居士・大姉:50万円~80万円 院居士・院大姉:100万円~ |
曹洞宗 | 信士・信女:30万円~50万円 居士・大姉:50万円~70万円 院信士・院信女:100万円~ 院居士・院大姉:100万円~ |
日蓮宗 | 院信士・院信女:30万円~50万円 院居士・院大姉:100万円~ |
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戒名は仏門に入ったことを示す名前です。性別、性格や生前にどのようなこと功績を残してきたかはひとりひとり違い、授けられる戒名も変わります。
宗派や地域による違いもあり、戒名を授かる際に納める金額も異なりますから、戸惑うことも多いでしょう。戒名や法要についてなど何かお困りの際は、小さなお葬式へお問い合わせください。
戒名や法要以外にも、お亡くなり後の手続き・直近の葬儀にお悩みの方は 0120-215-618 へお電話ください。
四十九日法要は、故人が亡くなってから48日目に執り行います。ホゥ。