お経には分かっているだけでも8,400ほどの種類があります。故人が信仰していた宗教・宗派によって、葬儀のときに読まれるお経は違うのは聞いたことがある方もいるでしょう。
「南無阿弥陀仏」と唱えることで有名な浄土宗は今や日本で大規模な宗派のひとつです。浄土宗の葬儀で読まれるお経はほかの宗派と何が違うか知らない方がほとんどではないでしょうか。違いを知っておけばお経の意味や内容も理解でき、葬儀に参列する際の供養もできます。
そこでこの記事では、浄土宗の葬儀で読まれるお経について解説していきましょう。あわせて、葬儀の流れもご紹介します。
<この記事の要点>
・浄土宗のお経はお釈迦様が説いたとされる「浄土三部経」である
・阿弥陀仏経は短いお経が特徴で、極楽浄土に行くための方法が書かれているお経
・浄土宗の葬儀の流れは他の宗派と同様、通夜・告別式・出棺を行う
こんな人におすすめ
浄土宗の葬儀で読まれるお経について知りたい方
浄土宗の葬儀の流れを知りたい方
そもそもお経とは何かを知りたい方
浄土宗のお経(経典)はお釈迦様が説いたとされる「浄土三部経」です。法然上人が選んだこのお経は「阿弥陀仏教」、「観無量寿経」、「無量寿経」の3から構成されています。以下にまとめました。
「阿弥陀仏経」…短いお経が特徴です。そのため、「小経」や「小無量寿経」と呼ばれることもあります。極楽浄土がどのような場所なのか、極楽浄土に行くにはどうすればよいのかが書かれているお経です。
「観無量寿経」…釈尊時代の妃である韋提希(いだいけ)夫人が後継者争いにより人生を翻弄され、極楽浄土に行くまでの物語を記しています。
「無量寿経」 …長いお経が特徴です。そのため、「大経」と呼ばれています。阿弥陀仏の修行やその中で生まれた願いが書かれたお経です。願いが叶いどのようなご利益があったのかも記されています。
浄土宗の葬儀で読まれるお経はいくつかあります。それぞれ、どのようなときに読まれるのか知っておきましょう。また、浄土宗の葬儀に参列するにあたって読まれるお経の意味を知っておけば故人の供養にもつながります。ここからは、浄土宗の葬儀ではどのようなお経が読まれているのかを意味も含めて簡単に解説していきます。
香偈(こうげ)とは、僧侶が勤行に入る前に唱えるお経をいいます。仏教であれば、宗派に関係なく唱えられている共通のお経のひとつです。このお経を読んでから僧侶は勤行に入るのがお決まりになっています。香偈(こうげ)を唱えることで、汚れた心身を清めているのです。
また、このお経には「周囲によい香りを漂わせる香炉のように清らかでありますように。香を焚き、さまざまな仏さまの供養をします」という意味が込められています。
『往生浄土懺願儀』の一文が三宝礼(さんぼうらい)です。三宝とは仏教の中で大切な存在である、仏・法・僧を指します。この3つをたたえ、礼拝するのが三宝礼のお経の内容です。
三宝礼を僧侶が読むことで、「私は今、仏教徒のひとりとしてここにいます」と自分自身の存在をお釈迦様に対して示すことができます。三宝礼を読み、心から三宝に帰依することで自分は仏教徒であるという自覚を強めると同時に信仰心を高めることができます。
開経偈(かいきょうげ)とは、読経を行う前に唱えるお経のことです。お釈迦様や菩薩様をたたえる内容になっています。枕詞の読経バージョンと考えると分かりやすいです。決まったリズムに合わせて、16音節を暗誦します。
なかなか出会えないとされる素晴らしい仏の教えに出会えたことへの感謝の気持ちが込められているのが特徴です。出会えた仏の教えをきちんと理解し身につける旨を唱える内容になっています。このお経の作者は不詳です。
阿弥陀経は、「南無阿弥陀仏」と繰り返し唱えるのが特徴のお経です。葬儀中に10回から一定時間、参列者も一緒になって唱えます。浄土宗の経典のひとつである阿弥陀経は、教えだけがひたすら記載されている独特なスタイルのお経であるといえるでしょう。
これを唱えることで、故人が無事に極楽浄土に行くことができるように、阿弥陀如来に助けてもらえるように願っているのです。ほかにも、参列者と阿弥陀如来の結び付きを深める目的もあります。
無量寿経(むりょうじゅきょう)は、「浄土三部経」のひとつです。また、ほかの2つのお経を作った根本のお経であるとも考えられています。
主に阿弥陀如来が修行している時代から極楽浄土へ至った経緯までをあらわす内容が記されているお経です。阿弥陀如来が修行の際に考えた48個の願いを叶えることで、どのような利益を得られたのかも記載されています。数あるお経の中でも圧倒的に長いお経であるため、「大経」とも呼ばれているほどです。
普段からお経に触れる機会がほとんどない方の中には、「お経はどれも同じもの」と思っている方もいるでしょう。お経は宗教・宗派によって少しずつ違うため、まったく同じお経とくものは存在しません。8,400もの説き方があると現段階では確認されています。ここからは、そもそもお経とは何なのかについてポイントを押さえながらご紹介しましょう。
お釈迦様は、古くから弟子としてつかえていた者たちに自分の教えを「言葉」という形にして説いていました。弟子たちによってその教えがまとめられたものがお経です。もともとのお経の発祥はインドの経典であると考えられています。後に中国を通じて日本に伝わってきたものです。
お経はお釈迦様や故人に向けて読むものではありません。お経を唱えているのを聞いている方に対して読んでいるものです。
僧侶が低く大きな声でお経を唱えるのは、故人を無くした方たちの悲しみを落ち着かせるのが目的と考えられています。今まで、お経はお釈迦様や故人に向けて読んでいると思っていた方もいるでしょう。今後は自分のために読んでくれていると思って聞いてみてはいかがでしょうか。
お経は宗派によって内容が少しずつ違います。耳にする言葉は同じような言葉で区別がつかなくても、文字にすると少しずつ異なることがわかるでしょう。教えを説く人によって考え方や取り巻く環境が違うため、さまざまな宗派が現代に残っていると考えられます。
「南無」の次にどのような言葉があるのかで宗派を見分けられます。お経を見る機会があれば参考にするとよいでしょう。以下に代表的なものをまとめました。
・「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
浄土宗や浄土真宗の極楽浄土の仏の意味です。
・「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」
日蓮宗の経典である妙法連華経に帰依する意味です。
・「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
真言宗の空海を大師遍照金剛は意味します。
「お経と念仏は一緒だ」と思っている方もたくさんいるでしょう。実はお経と念仏はまったくの別ものなのです。以下にお経と念仏についてそれぞれ簡単にまとめてみました。
お経…お釈迦様が弟子に言葉にして教えた教えを弟子がまとめ上げたものです。お釈迦様に向けてではなく、お経を聞いている周囲の方に向けて唱えるものをいいます。故人を失った悲しみを癒す効果が期待できるのも特徴です。
念仏…お釈迦様に対する誓いを意味しています。祭壇に祀られている本尊をたたえるものです。
このようにお経と念仏はもつ意味がまったく違います。お経が周囲の方に向けて唱えられています。一方で、念仏はお釈迦様に念を送ります。つまり、お釈迦様に対して誓いを立てているのです。
浄土宗のおおまかなことは理解できたでしょうか。ここからは、浄土宗の葬儀の流れについて解説します。浄土宗の葬儀はほかの宗派と大きな違いはありません。しかし、一連の葬儀の流れを知っておくことで喪主になったとき、あるいは葬儀に参列するときも内容を理解できていれば不安要素を減らせます。通夜、告別式、出棺と簡単に流れを見ていきましょう。
まずは故人に対し戒名を与えることから始まります。ご遺体は北枕にして寝かせるようにしましょう。白い布をご遺体の顔に、守り刀をご遺体の胸元に置きます。通夜が行われている間は、ろうそくの火や線香の火が消えないように気を配るようにしましょう。
準備ができたら僧侶が枕経をあげます。枕経は、安心して最期迎えられるようにと本来は臨終の際に行われるものです。そのため、通夜に行わないケースもあることも知っておきましょう。
告別式では、僧侶が入場してきたら香を焚き香偈が読まれるのが始まりです。続いて、三宝礼を読み三宝に帰依してお釈迦様に存在を示します。お釈迦様が入場されたら、故人の罪を懺悔するのが決まりです。
そして、松明や線香を2本用意して下炬引導を行い、故人が無事に生まれ変われるよう祈ります。「南無阿弥陀仏」と参列者全員で10回念仏を唱え、無事に極楽浄土に行けるよう念じるのです。
次に、教義の真義の会得祈願、読経がありお焼香もこのタイミングで行います。その後、参列者全員で「念仏一会」という「南無阿弥陀仏」を唱える儀式があるので覚えておきましょう。
念仏の功徳で故人が生まれ変われることを願い、念仏がすべての方の助けになることを誓い、お釈迦様を送り出します。それが終われば、僧侶は退場し閉式となります。
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僧侶が退場したら、故人との最後の対面を遺族と親族が行う時間が設けられます。遺体の周りには、祭壇を飾っていた花を置きます。そして三途の川に似せた石で棺にくぎ打ちをし、棺の蓋を閉じます。
そして、いよいよ出棺となります。出棺時は親族や遺族の男性6人程度で棺を運ぶのが決まりです。霊柩車に乗せる際は、故人の足の方から車に乗せるようにしましょう。同行できるのは、喪主、遺族代表者、親族、友人という決まりがあります。
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浄土宗の葬儀・法要の特徴やマナー
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浄土宗はお釈迦様が説いた「浄土三部経」を経典とする宗派です。「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで死後は必ず極楽浄土に行けるという教えは、瞬く間に人々の間で広がりました。結果的に、大規模な宗派のひとつを築き上げるまでになりました。葬儀の流れはほかの宗派と大きく異なる部分が少なく、異なる宗教・宗派の参列者も負担が少ないといえます。
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