葬儀は宗教性が重んじられる儀式ですが、その宗教によって供物も大きく変わります。葬儀にお供物を贈るとなったとき、どのようなものを贈るとよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
仏式だけでなく、神式、キリスト式で用いられる供物、また、相場やタブーについても、いざ参列するときのために知っておきましょう。
供物や香典のマナーを知ることで、当日慌てることなく、故人を送り出すことだけを考えられます。「これは間違っていないかな」「あれは失礼じゃなかったかな」といった不安を参列する側と、主催する側の目線から考えて、ひとつずつ不安を取り除いていきましょう。
<この記事の要点>
・仏式の葬儀では果物や干菓子、缶詰、線香、ろうそく、抹香が一般的な供物
・供物を贈る際は、通夜の前日か当日の午前中に葬儀場に送る
・家族や身内の葬儀では「枕飾り」「枕飯」「枕団子」を用意する
こんな人におすすめ
葬儀に参列予定の方
葬儀に持参する「供物」について知りたい方
宗教ごとの適切な供物を知りたい方
葬儀で使われる供物は、宗教ごとに異なります。宗教によっては供物として用意すると失礼になってしまうものもあり、供物を供える際に必要なマナーなども細かく決められていることにも注意が必要です。
ここでは、宗教ごとにどのような供物を用意するのか、また、どのような作法やマナーがあるのかといったことについて詳しく解説します。失礼のないように、おさえておきましょう。
仏式では、果物や干菓子、缶詰などが供物として一般的です。また、線香やろうそく、抹香なども供物に数えられます。抹香とは焼香のときに指でつまむお香のことです。現在では「しきみ」の樹皮と葉を乾燥して、粉末にしたものが主に用いられています。基本的に故人の好きだったものを贈るとされていますが、肉や魚などは殺傷をイメージさせるのでタブーです。
供物の相場は1品5,000円~15,000円程度とされています。なお、香典を包む場合、供物は不要です。供物も香典もどちらも用意したい場合は周りの方と相談するとよいでしょう。
神式の葬儀は神社で行うわけではなく、仏式と同じく葬儀場か自宅で行われます。果物や菓子、海産物のほかに、神聖な飲み物とされるお酒も神式でよく選ばれる供物です。
線香やろうそくは、仏式のものと考えられているため、避けたほうがよいでしょう。この点が仏式との大きな違いです。
相場は仏式と大きく異なりません。何を選ぶかに気をつけ、不安であれば喪主に確認しておけば安心できるでしょう。神式の供物の見た目は仏式と大きくは異なりません。
キリスト教にはカトリックとプロテスタントがありますが、どちらの葬儀でも供物は必要ありません。供花を贈ることはできます。
仏式や神式の供花は白い菊を中心にしたものが多い傾向ですが、キリスト教式では花は白いユリやカーネーションなどが好まれます。供花のスタイルも仏式に見られるようなスタンドタイプではなく、多くの場合はもち運び可能なフラワーバスケットスタイルです。
葬儀に参列することになったら、最初に考えるのが香典でしょう。供物を用意した場合には香典は必要ないのか、迷う方も多いかもしれません。
供物を贈る場合であっても、基本的には香典は別で必要です。葬儀に参列する際は、供物と香典を両方用意して参列しましょう。
例外として、香典を辞退されているような場合には香典を用意するのは失礼にあたります。ケースバイケースで考えて、相手方にとって失礼のないように行動しましょう。
葬儀で供物を贈る際には、渡すタイミング、渡し方など、さまざまなマナーがあります。これらのマナーを押さえたうえで供物を贈るようにしなければ、遺族から失礼な対応だと思われてしまう可能性もあるでしょう。
故人への弔意をきちんと示すためにも、マナーについてはしっかりと押さえたいところです。ここでは、供物を贈る際のマナーについて、詳しく見ていきます。
供物を遺族へのことわりなしに直接祭壇に飾ることはマナー違反です。通夜の行われる前日か、当日の午前中に到着するように葬儀場に送りましょう。
供物が場所をとる場合には、事前に喪主や葬儀会社に連絡しておけば、迷惑になることもないでしょう。
また、供物を贈るのが葬儀に間に合わなかった場合には、事前に了承を得たうえで後日直接訪問して渡す方法もあります。ご遺族との都合が合わないなどの場合には、後日お悔やみの手紙を添えたうえで、供物ではなく香典を送るとよいでしょう。
のし紙は、故人への敬意を表す意味を込めて品物にかけるようにしましょう。お通夜や葬儀では、基本的に黒白で印刷された結び切りののし紙をかけましょう。結び切りとは、ほどけない結び方で、結婚式やお葬式などの繰り返したくないときに使う水引です。印刷ののし紙ではなく水引でもかまいません。
のし紙は包み紙の外からかける「外のし」と、内側からかける「内のし」がありますが、どちらでも失礼にはあたりません。持参の場合は外のしが一般的です。
のし紙を直筆で書く場合には、薄墨を使いましょう。筆ペンでも薄墨のものが販売されていますので、そちらを購入すれば、墨の色に悩むこともありません。
薄墨を使うのには、「悲しみの涙で文字がにじんでしまう」という意味が込められていて、故人を亡くしたことの悲しみを込めることができます。
表書きとしては、「御供」または「御霊前」と記載し、下部には送り主の名前を書きましょう。送り主の名前を書かないと、忙しい葬儀の当日、喪主や遺族を混乱させてしまうことにもなりかねません。忘れずに記載しましょう。
供物は通夜の前日か、当日午前中に葬儀場に送ることが推奨されていますが、直前まで用意が難しい場合や、サイズが小さいもので当日持参したい場合には受付で手渡すようにしましょう。「ご霊前にお供えください」と一言添えてください。
また、供物は事前に葬儀会社と金額や品物について打ち合わせを行うことで、葬儀社で用意してくれる場合もあります。葬儀社としても柔軟に対応できる部分であることが多いため、まずは相談してみるとよいでしょう。その場合、連絡先を遺族に聞いて自分で葬儀社と連絡をとります。
家族や身内の葬儀で、自身が葬儀を開催する側になることもあるでしょう。その際に知っておきたいのが、「枕飾り」「枕飯」「枕団子」という、故人のために用意する供物です。
これらは仏式、神式、キリスト教式のいずれでも用意が必要とされています。用意は遺族が行うことも多いので、作り方を確認しておきましょう。
枕飾りは、故人が道に迷わないための道しるべとされていて、亡くなった方の遺体を棺に納めるまでの間、枕元に置く供物の一種です。
仏式では、白い布をかけた小さな机の上に、花立て、香炉、燭台の三具足を飾ります。神式では、この机に洗ったお米と塩、水に加えて、故人の好きだったものを飾ります。キリスト教式では、枕元に十字架とろうそくを飾ります。
宗教だけではなく地域によって違う場合もあるので、葬儀社のスタッフに確認するとより安心です。
枕飯とは、枕飾りの中にある食事のことで、故人がこの世で食べる最後の食事といわれています。ごはんがこんもりと高く盛られ、箸がささったものを見たことがある方も多いでしょう。これを「一膳飯」といいます。
亡くなった方がこの世に未練を残さないように、ごはんは高く盛ります。高ければ高いほどよいとされていて、箸をさすのも高く見せるためです。枕飯は、茶碗一杯の白米を炊く方法と、1合炊いて盛る方法の2種類があります。
このごはんは、自宅の仏壇に供えてあることも多く、ごはんが炊けたら一番によそうことが大切だとされています。葬儀当日は、故人のために一番に枕飯をよそってあげましょう。
枕団子は、故人が冥途へと向かう旅の途中でお腹が空いたら食べるために供えます。また、旅の途中で出会った人たちへ配って徳を積むためにもって行く、ともされています。枕団子を用意することは、故人が極楽へ向かう道への手助けになるといえるでしょう。
枕団子も枕飯と同じく、高く積むことがよいとされています。枕団子を飾る数は、地域によって違いがありますが、一般的には6個が多いようです。これは、仏教の六道を象徴したものです。ほかには、13個、49個などの地域もあります。
作り方は、まず鍋でお湯80mlを沸かし、ボウルに上新粉を入れておきます。沸かした熱湯をボウルに入れ、耳たぶ程度の硬さになるまで、木べらで混ぜあわせましょう。適度な硬さになったら6等分に丸め、お湯を沸騰させた鍋に投入して茹でます。団子が浮きあがったら、一度冷水に入れ、お皿などに移して冷ましましょう。
「この団子が食べたくて蘇ってほしい」という願いも込められているので、故人のことを想いながら用意したいものです。
供物は、基本的には、生ものや時間経過とともに腐ってしまうようなものが多くなっています。葬儀が終わった後は、参列者でわけるのが一般的です。
供物のうち、枕団子や枕飯は、火葬の際に棺桶に入れて一緒に火葬することが一般的です。そのほかの酒や果物、菓子などは、身内や参列者で分けてもち帰ることが一般的となっています。葬儀会場に置きっぱなしにしてしまうと葬儀社にも迷惑がかかりますので、葬儀が終わり次第、適切に分けるようにしましょう。
身内の葬儀を行うと、多くの香典や供物をいただくことでしょう。その際に必要になるのが、お礼状や香典返しです。
香典の金額や供物の知識はあっても、お返しをする側になるとわからないということも多いかもしれません。もしものときに焦らないために、基礎知識を身に着けておきましょう。お礼状や香典返しの送り方、香典返しの一般的な品物をご紹介します。
弔電をいただいた場合にはお礼状を送りますが、供物をいただいた場合には、お礼状とあわせて、お返しの品物を贈るのが一般的です。また、香典をいただいた場合にもお礼状は必要なので、故人の葬儀にかかわってくれたすべての方に、お礼状は必要と認識しておくとよいでしょう。
【例文1】
拝啓
先日はお忙しい中 葬儀にご参列いただき 立派なお供えを賜りまして誠にありがとう存じました
謹んでお受けいたし 霊前に飾らせていただきました
お陰様をもちまして 無事葬儀を終えることができました
格別なご高配につきまして 重ねて厚くお礼申し上げます
末筆ながらご健康とご多幸をお祈り申し上げます
敬具
【例文2】
拝啓
父〇〇の葬儀の折には ご多忙の中お越しいただいたうえ 立派なお供えを賜り 誠にありがとうございました
謹んで霊前に供えさせていただきました
故人もさぞかし感謝していることと思います
つきましては拝趨の上ご挨拶申し上げるのが本意ではありますが 略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます
敬具
参列者からの気持ちとして、香典のみいただく、供物のみいただく、供物を連名でいただいて香典もいただくなど、多様なケースがあります。遺族が用意する香典返しの金額は「半返し」が基本で、相手が恐縮しない1,000~3,000円程度が相場です。香典もいただいたのであれば、ほかの方とは少し違いをつけてもよいでしょう。
お返しの品を宅配などで送る場合、2、3週間後、遅くても四十九日が来る前に送ります。手渡しの場合は品物を一律にし、当日手渡しするケースがほとんどです。その場合には、供物をいただいた方に別途品物を送付してもよいでしょう。
香典返しの相場はわかったものの、実際にどのようなものを香典返しとして贈ればよいかわからないという方も多いでしょう。一般的に、香典返しには、以下のようなものが用いられることが多くなっています。
・海苔
・お菓子類
・お茶
・調味料
・石けん
どれも最終的には手元に残らない「消えもの」であることがポイントです。ただし、消えものであれば何でもよいというわけではなく、肉や魚はマナー違反となるため、避けておきましょう。
現在では、葬儀を執り行う場合、葬儀社に依頼するケースがほとんどです。不慣れな準備に追われる中でサポートがあることは、大きな安心につながります。
葬儀会社のスタッフは葬儀のプロであり、宗教のことやマナー、作法のことなどに精通しています。1人で悩まずに小さなことでも相談してみましょう。
葬儀は喪主ともなれば初めてでわからないことも多く、混乱したり、故人を失った悲しみで何も手につかなかったりということも考えられます。お困りのことがございましたら、気軽に「小さなお葬式」にご相談ください。
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供物に関しては、忙しい喪主に確認するよりも葬儀社を聞いて、そちらに確認する方が遺族に迷惑もかからず、スムーズに疑問が解決できるかもしれません。
特に初めて行く宗教・宗派の挙式であったり、特別に何か供物を贈ったりする場合には悩んでしまうことも多いでしょう。
葬儀で何よりも大切なのは故人を惜しんで悲しむことです。故人との思い出やその人を想う気持ちを大切にして葬儀に参列することが、亡くなった方もご家族も何より喜んでくれるでしょう。その上でマナー違反にならないように気をつけて、故人を送り出してあげましょう。
小さなお葬式では、供物や香典に関する悩みや疑問についてもお答えしています。悩んだときは、一度お気軽にご相談ください。
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葬儀の挨拶では、不幸を連想させてしまう忌み言葉と重ね言葉には気をつけましょう。ホゥ。