高齢社会にある現代日本では、老衰死で旅立つ方も増えてきました。老衰死による旅立ちを見守るに当たり、「穏やかな最期を迎えてもらうために何かしたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、老衰死ではどのような最期を迎えるのかや、見守る側の家族が後悔しないためにできることを紹介します。老衰死の前兆や死ぬ直前の様子と合わせて、お別れの際にどのように対応すればよいか分かる内容です。
<この記事の要点>
・老衰死とは、老衰が進行して迎える死のこと
・老衰の症状には、身体機能・認知機能・内蔵機能の低下などがある
・老衰の前兆は、食事量と体重の減少、睡眠時間の増加など
こんな人におすすめ
高齢のご家族がいる方
老衰の定義について知りたい方
老衰死の前兆を知りたい方
高齢社会にある現代において、老衰死は増加傾向にある死因です。厚生労働省による統計でも、老衰死が三大死因のひとつであることも報告されました。
「老衰とは何か」「老衰死ではどのような最期を迎えるのか」といった情報とともに、近年における老衰死の割合についてご紹介します。
老衰とは、老いとともに生命維持に関わる臓器の機能が低下し、生命活動の維持が困難になることです。厚生労働省が発行する「死亡診断書(死体検案書)マニュアル」では、「高齢者で他に記載すべき死因がない、自然死のみが老衰に該当する」と定義されています。
老衰が原因となって、何らかの病気を併発して死亡した場合には、その病気が死因です。例えば、老衰から誤嚥(ごえん)性肺炎を併発して亡くなった場合には、誤嚥性肺炎が直接的な死因となり、老衰には該当しません。
何歳から老衰かは、明確に定められておらず、医師によっても見解が異なります。ただし、平均寿命を基準としていることが多く、平均寿命を超えた後に自然死した場合に、老衰とされることが一般的です。
つまり、医師の判断にもよりますが、男性であれば81歳前後、女性であれば87歳前後がひとつの目安になるでしょう。
老衰死とは、老衰が進行して迎える死です。老衰によるお別れが近づいてくると、徐々に食事量が減ったり言葉数が少なくなったりします。
次第に睡眠時間が増加し、一日中眠っている状態になるでしょう。機能が徐々に低下する臓器には、脳も含まれているからです。
老衰死を迎えようとしている本人は、各臓器の機能の低下により死ぬ直前も大きな苦痛を感じません。深い眠りについた期間の長さに関わらず、老衰死では安らかに旅立ちます。
厚生労働省が発表した「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」では、令和4年の全死亡者に占める老衰死の割合は11.4%と報告されました。
死亡者数としては、17万9,524人です。令和4年の死因順位では、第1位の悪性新生物(腫瘍)、第2位の心疾患(高血圧症を除く)に次ぐ第3位でした。
老衰死が全体に占める割合は、年々増えつつあります。平成12年まで、老衰死は下降傾向にありました。平成13年以降は老衰死が上昇傾向になり、平成30年(2018)には、脳血管疾患に代わって死因順位第3位になりました。
参考:『令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況』
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老衰は病気とは異なり、はっきりと症状が決まっているわけではありません。細胞が老化して機能が低下することによって、身体機能や認知機能が低下します。その結果が現れてくるのが老衰です。
具体的な老衰の症状は以下の通りです。
・身体機能の低下(歩きづらくなる・階段を上りにくくなる・体を起こしにくくなる・飲食物を飲み込みにくくなる)
・認知機能の低下(目が見えにくくなる・耳が聞こえづらくなる)
・内臓機能の低下(循環器や呼吸器のトラブル)
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老衰死の最期は、痛みを伴ったり苦しんだりはしません。ただし、体のさまざまな機能低下に伴う、さまざまな前兆が見られます。
老衰死の前兆を知っておけば、最期を見守るに当たって「後悔しないお別れ」につなげられるでしょう。こちらの項目では、老衰死の兆候について簡単に解説します。
最初に生じる老衰の前兆は、筋肉や臓器の萎縮です。筋肉の萎縮から筋力が低下すると、力が弱くなったり転びやすくなったりします。少しの移動でも疲れやすくなり、行動範囲も狭くなるでしょう。
臓器の萎縮によって消化器官の機能が低下するため、それまで取っていた普段の食事では、栄養を十分に吸収できません。結果、体重を維持できず急激に痩せ始めます。筋肉や臓器の萎縮による体重の減少は、見た目にも分かりやすい変化です。
筋肉や臓器の萎縮が進むと、今までと同じ量の食事を取ることが難しくなる傾向です。食事量の減少に比例して、体重もさらに減るでしょう。体重が減少すると体力も次第に低下し、食事もますます受け付けなくなっていきます。
老衰が進行すると食べ物を飲み込む力も弱まるため、飲み込みやすい食事に変更しなければなりません。食べ物を細かく刻んだりペースト状にしたりと、飲み込みやすくする工夫を加えます。場合によっては、飲み込みやすく高栄養の介護食への変更も必要です。
さらに老衰が進行すると、脳機能の低下によって意識を保つのが難しくなります。昼や夜に関係なく、眠る時間が増えるでしょう。次第に、一日中眠っている状態が続きます。眠っている状態では、口から栄養や水分を摂取できません。
脳機能の低下から自力で体を動かせない、口からの栄養・水分摂取ができない状態が続くと、対症療法やターミナルケア(終末期医療)を導入します。老衰の場合には有効な治療法がなく、臓器や筋肉が低下している状態では治療によるリスクなども考えられるからです。
老衰の経過は、一般的には以下の通りです。
1. 筋力が低下したり、体重が減ったりする
2. 食べ物が飲み込みにくくなる
3. ほとんどを寝て過ごすようになる
4. 口から栄養が摂取できなくなる
5. 経鼻経管栄養、胃ろう栄養、点滴などの延命治療を施す
口から栄養が摂取できなくなった後に、延命治療などを行わない場合には、1週間程度で死を迎えることもあります。
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延命治療を行わず、最期を迎える本人のQOL(クオリティオブライフ・生活の質)の向上を目的とした医療的ケアのことを、ターミナルケア(終末期医療)といいます。
老衰死を迎える場合、そばで見守る家族がターミナルケアとしてできることもさまざまです。こちらの項目では、老衰死を迎える本人のために家族ができることについてご紹介します。
眠っている間でも、手足を優しくマッサージしましょう。マッサージは心地よく感じられる他、だるさが軽減します。マッサージの方法が分からない場合には、医療従事者に相談しましょう。体に優しく触れたり、さすったりするだけでも有効です。
「何をすれば気持ちよく過ごせるのか」を考え、穏やかに過ごすための工夫を心掛けます。汗をかいていたらタオルで拭いたり、体に掛けている布団などを調節したりしましょう。
睡眠の時間が長くなっていても、聴力は最期まで残っているとされています。今までの感謝を伝えたり、楽しかった思い出などを話しかけたりしましょう。話しかけるときにも体に優しく触れたり、手を握ったりします。
周囲の声が聞こえていると考え、本人の前で不用意にネガティブな発言はしません。近くで家族の会話をする場合には、普段通りの会話やポジティブな内容を意識しましょう。最期だからこそこまめに訪問し、感謝や思い出を言葉にしてたくさん伝えます。
ほとんどの時間を寝て過ごす老衰では、本人がリラックスできる環境作りが大切です。聴覚は残っていますから、本人が安らげる音楽を流しましょう。より楽しく穏やかな時間を過ごしてもらうためには、本人が好きな音楽やお気に入りのラジオをかけるのも効果的です。
ターミナルケアに対応する施設の中には、本人の意思を尊重したケアが受けられるところもあります。好きな音楽を選んだり、趣味に合ったDVDを流したりといった支援も可能です。
食事を取れなくなっても、好きな飲み物や水などで唇を湿らせてあげることは可能です。湿らせたガーゼや綿棒で、唇を優しく湿らせましょう。
あくまでも湿らせる程度にとどめる必要がありますが、お気に入りの飲み物などを最期まで楽しませてあげられます。
飲み物以外にも、冷たいものが好まれることもあるでしょう。唇を湿らせる程度なら、本人が好きなアイスクリームやかき氷なども問題ありません。
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老衰死とは?穏やかな最期を迎えるために家族がやるべきこと
老衰死では安らかな最期を迎えるものの、最期は本人の意思を確認できなくなります。老衰死を覚悟しなければならない場合には、後悔のないよう行動しましょう。
伝えたいことを意識があるうちに伝えたり、最期の時間をゆっくりと迎える準備をしたりします。死を受け入れ、穏やかな最期を迎えてもらうために行動することも大切です。
老衰が近づいてくると次第に起きる時間が少なくなり、眠っている時間が長くなります。伝えたいことは、意識があるうちにしっかりと伝えておくことが大切です。
家族や親戚はもちろん、知人や友人で会っておきたい人がいるなら、会話ができるうちにお知らせしましょう。
いったん眠りについた場合にも、半数の人は意識が戻ることもあります。しかし、深く眠った場合には、再び意識を取り戻すのは困難です。意識があるうちになるべくこまめに訪問して感謝を伝えたり、本人が会いたい人に来てもらったりしましょう。
老衰死は、安らかに最期を迎えます。病気やけがによる死に比べると、老衰死では苦しんだり痛みを感じたりしません。老衰死は苦しみをほとんど感じない死であることを理解し、「どうすれば幸せで穏やかな最期を迎えてもらえるか」を考えて行動することも重要です。
老衰死を見守る側の家族は、お別れがつらく感じられるでしょう。死による悲しみや苦しみだけにとらわれず、穏やかな最期を迎えられる環境作りが本人のための行動のひとつです。
いざというときに慌てないよう、終活の一環として日頃から家族で延命治療や葬儀について話し合いましょう。
事前に延命治療の方向性を確認しておくと、本人の意思を尊重したターミナルケアを実施できます。延命治療や葬儀で家族がいろいろと決める際にも、家族が悩まずに済むでしょう。
延命治療や葬儀に関しては本人の意思をきちんと証明できるよう、文書などで明確に残しておくことも大切です。家族で話し合った内容は、終活ノート(エンディングノート)や遺言書などに記載しておきましょう。
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老衰には、見た目にも分かるさまざまな前兆があります。最期を見守る家族としては、不安を抱くかもしれません。老衰死は安らかな最期を迎えることを理解し、お別れに向けた準備をしておくことも大切です。
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