一周忌は故人の命日から1年後に営む大切な年忌法要です。家族の一周忌が近い方や親戚や友人・知人の一周忌に招待されている方の中には、当日の持ち物やマナーを知りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、一周忌に用意する持ち物や服装、マナーを紹介します。施主・遺族の場合と参列者の場合に分けて解説しますので、それぞれの立場で必要な物や気を付けたいポイントが理解できるでしょう。
<この記事の要点>
・一周忌をお寺などで行う場合、施主や遺族は位牌を必ず持参しなければならない
・参列者は香典や数珠を持参する
・一周忌の香典袋の表書きには濃い墨を使用し、通夜や葬儀と同様に新札を避けるのがマナー
こんな人におすすめ
一周忌を控えている方
一周忌の持ち物について知りたい方
一周忌に招待されている方
一周忌という言葉は耳にしたことがあっても、どのような法要なのか、具体的には知らない方もいるでしょう。中には、一周忌と一回忌の違いが分からない方もいるかもしれません。ここでは、一周忌法要の概要と当日の流れについて解説します。
一周忌とは、故人が亡くなってから1年後の祥月命日に行う法要のことです。仏教では一周忌までが故人の死を悼む「喪中」とされており、喪が明ける節目となる一周忌は特に重要な年忌法要とされています。正式には故人の祥月命日に執り行いますが、難しい場合は日程を前倒しするのが一般的です。
なお、一周忌と混同されやすい言葉として「一回忌」があります。故人が亡くなった日を一回忌と呼び、一周忌はその翌年です。全く別のものであることに注意しましょう。
一周忌法要の会場は、自宅や菩提寺、葬儀会社や霊園の法要会場、ホテルが候補です。自宅やお寺は落ち着いて供養できるのに対し、法要会場やホテルは設備が充実しているといったメリットがあります。会場を選ぶ際は、参列者の人数や会場の設備、お墓や食事会場からの距離を考慮して検討するとよいでしょう。
一周忌には誰を招待しなければならないという決まりは特になく、家族だけで営む場合や多くの親族を招く場合とさまざまです。大切な法要であるため、家族や親族以外にも、友人や知人、仕事関係の方を多数招くケースも多く見られます。
当日の流れは地域や親族によって異なりますが、大まかな進行は下記の通りです。一般の参列者を招く場合、始まりと終わりに施主の挨拶がありますが、親族のみで執り行う法要では挨拶は必要ない場合もあります。
1.僧侶入場
2.施主挨拶
3.僧侶による読経
4.焼香
5.僧侶による法話
6.墓参り(一周忌に納骨をする場合は「納骨式」)
7.施主挨拶
8.会食
納骨の時期に明確な決まりはありません。一般的には忌明けとなる四十九日の法要で納骨することが多いものの、一周忌の場合もあります。納骨するときは法要の中で30分~1時間程度の「納骨式」も行うため、事前にお寺に手配しておきましょう。
一周忌をお寺や斎場で執り行う際は、施主や遺族は必要な持ち物を忘れずに持参しなくてはなりません。ここでは、自宅以外の会場で法要をするときの施主や遺族の持ち物を紹介します。中には、事前の用意が必要なものもあるため、余裕を持って準備しましょう。
葬儀において故人をしのぶために飾られる「遺影」は仏具ではなく、特に宗教的な意味はありません。したがって、遺影は必須ではないため、必要に応じて持参するとよいでしょう。
葬儀で使用した遺影を一周忌で飾っても問題ありません。会場の大きさに合わせてサイズを変更したいときや別の写真を飾りたいときは、別途用意した写真も使用できます。
位牌は必ず持参しなければなりません。位牌とは、故人の戒名や没年月日を記した木製の札です。故人の霊を祀る位牌は供養に欠かせない大切な仏具で、通常、仏壇やお寺の位牌壇に安置されます。
なお、葬儀の際は白木の仮位牌を使用しますが、四十九日までには漆塗りの本位牌を用意するのがしきたりです。一周忌の法要では本位牌を使用します。
花やお供え物も必要です。四十九日までは白一色あるいは白を基調としてアレンジした花を供えるのが一般的ですが、一周忌では白以外の花を使用するケースが多く見られます。故人が愛した花をお供えしてもよいでしょう。
お供え物は果物やお菓子の他、お寺によっては野菜や海産物を用意することもあります。花やお供え物は参列者から贈られることもあるため、施主はそれを踏まえて準備するとよいでしょう。
お布施も持参する必要があります。一周忌であれば、納骨しない場合は3万円~5万円、納骨する場合は3万円~10万円が大まかな目安です。ただし、地域によって異なるため、周囲の方に相談するとよいでしょう。
お金は不祝儀袋に入れて、袱紗(ふくさ)に包んで持参します。僧侶に渡す際は切手盆(きってぼん)と呼ばれる黒塗りのお盆に乗せて渡すため、忘れず用意しましょう。
なお、僧侶に会場まで出向いていただいたときは「お車代」、法要後の会食に僧侶が参加しないときは「御膳料」を別途包む必要があります。
自宅で法要を執り行う場合、必要な仏具や備品を全て用意しなくてはなりません。仏壇をきれいに掃除する他、りんや過去帳のような仏具、ろうそく、線香、お花といった必要なものをしっかりと確認して準備しましょう。
仏具や備品の用意だけでなく、部屋や仏壇の掃除や準備と手間がかかりますが、落ち着いて故人をしのべるという自宅ならではのメリットもあります。用意について不明な点があれば、事前にお寺に相談するのがおすすめです。
参列者は香典や数珠を持参します。地域や状況によっては、花やお供え物が必要なこともあるでしょう。ここでは、参列者の持ち物を紹介します。遺族に対して失礼のないように、必要な持ち物と選び方をしっかりと確認しましょう。
参列者が用意する持ち物として、忘れてはならないもののひとつが香典です。どのくらい包むかは自分の年齢や故人との関係性によって異なります。
例えば、故人が自分の親の場合は1万円~5万円、祖父母や兄弟、配偶者の親の場合は1万円~3万円、職場の上司であれば1万円程度が大まかな目安です。ただし、地域や親族の考え方によって金額は変わります。また、会食があるときは上乗せすることが望ましいため、会食の有無は事前に確認が必要です。
一周忌の香典の表書きは「御仏前(御佛前)」あるいは「御供物料」と記載します。水引は黒白、双銀、紫銀、黄白を使用しますが、多く包むときは双銀、比較的少額であれば黒白といったマナーがあるため注意しましょう。香典を持参するための袱紗も必要です。
数珠も欠かせない持ち物です。葬儀や法要に欠かせない仏具である数珠は、全ての宗派で使用できる「略式数珠」と宗派ごとに決められた形式の「正式数珠」があり、素材や色、玉のサイズもさまざまな種類があります。
法要に持参する数珠の宗派や種類は問われないため、参列する法要の宗派と異なる宗派の数珠を使用しても問題ありません。
花やお供え物は、参列者にとって必須の持ち物ではありません。ただし、地域によっては参列者のお供え物について事前に話し合ったり参列者が持参したりすることもあるため、それぞれの慣習に合わせるとよいでしょう。
お供え物は長く残らない消耗品や日持ちのするものが好まれ、お菓子や傷みにくい果物、線香が定番です。参列者が持ち寄ったお供え物を法要後に参列者に配ることもあるため、お菓子は小分けにできるものが便利でしょう。
納骨があるときには遺骨の他に、各種書類や卒塔婆、お供え物が必要です。いずれも早くから準備しておかなければなりません。法要の当日が近づいてから慌てることがないように、必要なものと入手方法をしっかりと確認しましょう。
納骨する際には「埋葬許可証」や「墓地使用許可証」(または「受入許可証」)といった書類を用意しましょう。
埋葬許可証は、遺骨を墓に納骨するときに必要な書類です。「埋葬」という言葉は本来、土葬を意味するため、埋葬と火葬の両方に対応できる「埋火葬許可証」という名前で発行している自治体もあります。
埋葬許可証を入手するには、役所で死亡届とともに「死体火葬・埋葬許可交付申請書」を提出し、「火葬許可証(埋火葬許可証)」を受け取ることが必要です。火葬場で遺体を荼毘に付す際、この書類に「火葬済」の認印を押してもらうことで埋葬許可証の効力が生じます。
墓地や霊園に納骨する際は「墓地使用許可証」(合祀墓は「受入許可証」)も必要です。こちらは墓地や霊園の管理者に発行を依頼しましょう。
霊園に納骨するのであれば、卒塔婆も必要です。卒塔婆は故人の戒名や命日、施主名を記載した細長い板で、故人の冥福を祈る追善供養のために立てます。納骨が最初の卒塔婆供養のタイミングです。
卒塔婆の作成は菩提寺に依頼するのが望ましいでしょう。お寺以外の霊園に納骨する際は忘れずに持参し、法要が終了したらお墓の後ろに立てます。なお、宗派や地域によっては卒塔婆供養をしない場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
墓前にお供えする物も持参しましょう。お供え物として、お花やお菓子、お酒をはじめ、故人が好きだった物を用意します。線香やライターも忘れずに準備しましょう。納骨するときのお供え物に厳格なルールはありませんが、お酒が禁止の墓地もあります。
なお、新しいお墓に納骨する際は開眼法要を執り行うこともあるでしょう。開眼法要ではお花や海産物、野菜といったさまざまな物を供えるため、必要なお供え物を確認しなければなりません。
葬儀と同様、法事でも喪服を着るのがマナーです。しかし、喪服にはいくつかの種類があるため、立場や場面にふさわしい服装が分からない方もいるでしょう。ここでは、男性や女性、子どもについて一周忌に適した服装を紹介します。
親族として参列するのであれば、準喪服であるブラックスーツが一般的です。革靴やネクタイ、靴下は黒、シャツは白を選びます。
友人や知人は親族よりも格下の略喪服を着用するとよいでしょう。案内状に「平服」と記載されている場合、黒かダークカラーのスーツを着用します。カジュアル過ぎる服装や親族よりも格の高い服装で参列することがないように注意しましょう。
女性はブラックフォーマルを着用します。肌の露出が多いデザインは避け、スカートの丈は膝下のものを選びましょう。靴やストッキング、バッグは黒で統一します。アクセサリーは、結婚指輪や真珠のネックレス・イヤリングであれば問題ありません。化粧は派手にならない程度にするとよいでしょう。
女性の平服は黒やダークカラーのワンピースやスーツを指します。なお、パンツスーツも着用可能です。
制服があれば制服を着用します。制服がない場合、モノトーンの落ち着いた服装にしましょう。「平服」と案内状に書いてあるときは、男の子は黒やダークカラーのズボンに白いシャツ、女の子は黒やダークカラーのワンピースが適しています。
一周忌の持ち物を準備するにあたり、知っておきたい決まりやマナーがあります。特に、香典は通夜や葬儀とマナーが異なる点もあり、注意しなければなりません。お供え物の選び方や雨の日の持ち物も、多くの方が迷うところでしょう。ここでは、一周忌の持ち物で気を付けたいマナーを紹介します。
通夜や葬儀の香典は、表書きや名前を書く際に薄墨を使用します。悲しみを表現するという意味がありますが、忌明け後の法要である一周忌の香典では薄墨は使用せずに濃い墨を使用するのが特徴です。
お札の入れ方も、通夜や葬儀では悲しみを表現するためお札の肖像画が中袋の裏側を向くように入れますが、一周忌では表側を向くように入れるという違いがあります。
なお、通夜や葬儀では新札を避けるのがマナーですが、一周忌も同様にするのが無難です。あらかじめ日程が分かっている一周忌は新札でもよいという考え方もありますが、「香典では新札は避けるもの」という考えの方も少なくありません。あまりに汚れているお札もふさわしくないため、折り目のついたきれいなお札を選ぶのが望ましいでしょう。
供花は当日までにお寺に届けてもらえるように、施主が事前に葬儀社や生花店に依頼するのが基本です。参列者が供花を贈る場合、飾る場所に困らないよう前日には到着するように手配しましょう。遺族が持ち運びにくい重い鉢植えは避けます。
また、お供え物にはいくつか避けたい品物があるため注意が必要です。例えば、肉や魚といった「なまぐさもの」は、仏教のお供え物として適切ではないとされています。香りが強い食品や花も望ましくないため避けましょう。
参列者がお供え物を贈る際には、遺族に対して失礼にならず、負担に感じさせない程度の金額のものを選ぶことが大切です。お供え物は風呂敷に包んで持参し、「御仏前にお供えください」と一言添えて渡しましょう。
納骨式当日に天候が崩れることもあるでしょう。屋外で執り行うこともあるため、台風のような荒天のときは式自体が延期になることもありますが、雨が降っている程度であれば予定通り行います。
傘は黒のシンプルなものが望ましいでしょう。黒い傘を持っていない場合はダークカラーで控えめなデザインの傘や透明・白のビニール傘を使用しても問題ありません。レインコートやレインブーツも黒やダークカラーで装飾のないものを選びます。会場に到着次第、レインブーツは革靴に履き替えましょう。
また、冬の寒い日は礼拝用コートがあれば理想ですが、黒のフォーマルなコートを着用しても構いません。マフラーや手袋も黒いものを使用しましょう。いずれも毛皮を避けるのがポイントです。
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故人が亡くなってから1年後の祥月命日に営む一周忌法要には、施主・遺族、参列者ともに複数の持ち物を用意しなければなりません。
施主・遺族は遺影や位牌、花やお供え物、お布施を持参しましょう。納骨する場合、さらに書類や卒塔婆も必要です。参列者は香典や数珠を持参します。一周忌ならではのマナーや注意点もあるため、持ち物とあわせて確認することが大切です。
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