作成日:2019年11月15日 更新日:2019年11月15日
一周忌法要におけるお布施の相場は?法要の流れも併せて解説

この記事は小さなお葬式が書いています
一周忌法要は故人の初めての年忌法要であり、ひとつの大きな節目となる大切な法要です。施主はスムーズに進行できるように入念に準備をしておきたいところですが、一周忌法要のお布施の額に困っているという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、一周忌法要においてのお布施の相場について紹介します。加えて、一周忌法要の流れやマナーについても確認しましょう。

【もくじ】
・宗派別一周忌のお布施の相場とは?
・一周忌法要の際に用意すべきお金とは?
・お布施の適切な書き方とは?
・お布施を渡すタイミングはいつ?
・一周忌法要の流れとは?
・まとめ
宗派別一周忌のお布施の相場とは?
仏教は多数の宗派に分かれており、それぞれに異なる教義や思想があります。法要に対する考え方や相応しい振る舞いも宗派によって違ってくるので困惑もあるでしょう。では、お布施の相場額も宗派によって差異が見られるので注意が必要です。代表的な宗派の宗派別一周忌のお布施の相場と概略について見ていきましょう。
浄土真宗の場合について
浄土真宗は、鎌倉時代の初期に親鸞聖人によって開かれた大乗仏教の一派です。阿弥陀如来をご本尊とし、南無阿弥陀佛の念仏で知られています。浄土真宗は日本仏教の宗旨となっており、阿弥陀仏の本願によって成仏することという教えが特徴です。
浄土真宗のお布施の額は御経料とも呼ばれており、相場は3万円~5万円ほどとなっています。お車料は5,000円~1万円程度で、お膳料は5,000円~2万円が相場です。

浄土宗の場合について
浄土宗は法然を宗祖とする大乗仏教の宗派です。ひたすら念仏を唱える専修念仏を教えとしており、念仏に触れ続けることで雑念を捨てて精神の安定とやすらぎを追及しています。苦しい修行を否定しているのも特徴で、京都の公家を中心に広がりました。
御布施は3万円程度が一般的です。お車代は5,000円~1万円、お膳料の相場は5,000円〜1万円ほどとなっています。
曹洞宗の場合について
曹洞宗は禅宗の一派です。日本での開祖は鎌倉時代の僧侶道元で、福井県の永平寺と横浜市の総持寺が総本山となっています。禅宗は座禅を組んで修行をすることを目的としており、曹洞宗は悟りを求めずにただひたすら坐禅をする只管打坐が特徴的な教えです。
曹洞宗のお布施の相場額は3万円程度、多くとも5万円を包みます。お寺からの距離に応じてお車料5,000円~1万円ほど、お膳料は5,000円~1万円です。それぞれの相場は法要の規模によっても変わってきます。

真言宗の場合について
真言宗は空海によって平安時代に開かれました。密教の立場をとっており、即身成仏によって生きながら仏さまの悟りを得ることが可能という教えが特徴です。後に多くの分派が生まれ、全体の教義は細分化が進んでいます。総本山は嵯峨天皇より賜った教王護国寺です。
お布施の相場は3万円程度です。お車料はお寺からの距離が近い場合は5,000円程度で、遠ければ1万円ほど包むこともあります。お膳料は5,000円~1万円が多いようです。
天台宗の場合について
天台宗は比叡山延暦寺を開いたことで有名な最澄が天台大師の教えを日本に広めたことから興った宗派です。天台宗は根本経典とされている妙法蓮華経を擁し、さまざまな日本仏教の宗派に影響を与えています。誰でも仏性が備わっていて一人ひとりが皆仏になれると説いており、この考えはほかの大乗仏教の宗派にも広く受け継がれました。
お布施の額は少なくとも3万円は包むのが一般的です。お車代は平均が7,000円前後で多くても1万円ほど包みます。お膳料は用意した食事の値段に合わせて5,000円~1万円程度です。
臨済宗の場合について
臨済宗は禅宗の一派です。鎌倉時代に中国に渡った僧侶栄西によって日本に伝えられ、公家や武士に広まりました。同じ禅宗である曹洞宗との違いは問答を重視している点で、師との公案問答によって悟りを得るのが基本的な教えです。身分が高い人々に人気だったため、幕府の保護を受けて規模を大きくしました。
臨済宗のお布施は一般的には最大で5万円程度となっています。お車代とお膳料はともに5,000円~1万円程度が相場です。
日蓮宗の場合について
日蓮宗は、僧侶日蓮が宗祖の鎌倉仏教の一派です。法華経が釈迦の教えを正しく伝える唯一の経典であると主張し、ほかの宗派に対して厳しい姿勢を見せた時代もありました。勢いのある読経や唱和が特徴で、日蓮宗のお寺では朝夕に太鼓を打ちながら大勢で勢いよく唱和する様子が見られます。
お布施は3万円~5万円で、お寺との付き合い方に合わせて包みます。お車代やお膳料はほかの宗派と同様に5,000円~1万円程度が相場です。
一周忌法要の際に用意すべきお金とは?
年忌法要で僧侶に贈る謝礼金はいくつか種類があります。お布施と聞くと読経のお礼という印象を抱く人は多いかもしれませんが、実際にはほかの名目にもお金を包むことがあるので確認しましょう。こちらでは一周忌法要で用意する機会が多い、お布施・お車代・お膳料について、マナーとともに紹介します。
お布施
お布施とは、一般的には僧侶に読経をあげてもらったときや戒名を授かったときにお礼の意味を込めて渡す金銭を指します。しかし、本来のお布施は僧侶に対価を払うことを意味しているのではありません。
お布施はお寺のご本尊に財産を寄与することであり、感謝の気持ちを示すものです。お布施の額はそれぞれの気持ちで決めるものなので、相場や適正金額という考え方自体がありません。いくら包むかは法要の規模や檀家とお寺との関係によって異なりますが、いくら包めばよいのか戸惑う人は相場をひとつの指針とするのがよいでしょう。
お布施の源流は仏教の修行の一環である六波羅蜜のひとつにあります。六波羅蜜は修行者が煩悩を絶つために実践する六つの徳で構成されており、その中のひとつ「布施」は見返りを求めず人に施すことです。布施は財施・法施・無畏施の3種で構成されており、その中の金銭や財産を施す財施が現代のお布施に繋がっていきました。
お車代
お車代とは交通費として包むお金です。包む金額はお寺から法要会場までの距離を目安として決めます。お寺で一周忌法要を行うのであれば不要です。また、施主が直接タクシーを手配して実費を負担する場合も、僧侶にお車代を渡す必要はありません。
用意する場合は実際にかかる交通費よりも多めに包むのが一般的です。少なくとも5,000円~が相場となっていることから交通費の建前で包む謝礼金という側面もあります。
お車代は白い封筒を用意して包むのが一般的です。表書きはそのまま「お車代」として、下段に「〇〇家」もしくは施主の名前をフルネームで記します。墨の色は薄墨ではなく通常の黒い墨を用いましょう。
お膳料
お膳料は法要の際に食事の代わりとして僧侶に贈る謝礼です。葬儀や年忌法要では食事の席を設けますが、僧侶がこの食事を辞退したときに渡します。僧侶が会食に出席した場合は不要です。
用意するときは白い封筒で包み、表書きは「お膳料」と書きます。下段には施主の姓名か家名を記入しましょう。墨は黒墨を用います。
お布施の適切な書き方とは?
お布施を用意する際の悩みどころのひとつが、表書きの書き方ではないでしょうか。施主になる機会は多くありませんので、書き方がわからない人も少なくないでしょう。こちらでは、表書きに加えて住所や金額の書き方についても紹介します。
表書きの書き方について
お布施を入れる封筒は水引がついた袋ではなく、白い封筒を用います。市販の封筒でも問題ありませんが、二重構造になっているものは避けて郵便番号を記入する枠がないものを選びましょう。地域によっては香典袋に入れるところもありますが、その場合は不祝儀袋を用います。
お布施の表書きは「御布施」や「お布施」と記入するのが一般的です。ほかにも「御礼」、「御経料」、「御回向料」と書く場合もあります。お住まいの地域によっては違う表書きを用いる場合もありますので、その場合は身近な習慣を優先しましょう。
表書きの下段には施主の名前を記入します。「〇〇家」と施主の姓のみにするか、施主のフルネームにするか、どちらを選んでも問題はありません。
表書きを書くときに使用する墨は通常の墨を用います。薄墨はお通夜や告別式の際に弔問客が持参する香典袋に使用するものと覚えておきましょう。
住所を書くかどうかについて
お布施は直接手渡すので、住所は書かなくても問題ありません。地域によっては住所を記載するところもあります。書く場合は封筒の裏側の左下に縦書きで記入しましょう。
市販されているお布施用の封筒には、住所や包んだ金額を記入する枠が用意されている物もあります。この場合は記入してもマナー違反ではありません。
金額を書くかどうかについて
封筒の表側に表書きと名前を記入している場合は、金額は記入しないのが一般的です。中袋がある封筒を使う場合は中袋に金額を記入します。
中袋に金額を書くときは、袋の表側中央に縦書きで記載します。金額を書くときは「金〇〇円」と記入しますが、金額を書くとき用いる数字は「壱」、「萬」といった大字です。市販の封筒では横書きの記入欄が用意されていることもありますが、この場合はアラビア数字で横書きしても構いません。
お布施を渡すタイミングはいつ?
お布施は僧侶が法要で読経を終えて退席するタイミングで渡します。僧侶が法要後の会食に出席する場合は会食後に渡しましょう。
お布施を渡すときは封筒のまま手渡しするのではなく切手盆やふくさの上に乗せて渡すのが作法となっています。お布施袋の文字が相手側に向くようにして盆やふくさを両手で持って渡しましょう。お車料やお膳料も用意しているのであれば、このとき一緒に渡します。
一周忌法要の流れとは?
一周忌法要は僧侶の入場で始まります。施主は僧侶を伴って仏前に移動し、始まりの挨拶をして開式です。その後僧侶による読経が始まり、参列者は順に焼香をしていきます。読経が済むと僧侶の法話で終了です。その後に墓地へ移動します。
墓地でそろってお墓参りをした後は、用意がある場合は会食会場へ移動を行います。そして、食事会を始めてひと段落着いたところを見計らって施主が閉式の挨拶をするのが一周忌法要当日の一連の流れです。
まとめ
一周忌法要は初めて行う年忌法要です。施主を務めることになったとき、はじめての場合も多いので勝手がわからない中で準備を進めていかなければならず、困惑することも多いでしょう。
しかし、前もって情報を集めて時間をかけて準備をすれば難しいことはありません。お布施の相場も渡す際のマナーも事前に確認することで対応可能な事柄です。宗派のしきたりなどを確認し、しっかりと準備を進めましょう。
一周忌法要でほかにわからないことがあれば、「小さなお葬式」にご相談ください。小さなお葬式では法要での僧侶の手配を行っており、各種サポートも承っています。法要の準備でお困りの方はぜひ小さなお葬式をご利用ください。
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