葬儀の際に贈るお花のことを「供花」といいます。多くの方が「親族一同」などと書いて飾ってある花を葬儀で見たことがあるでしょう。
今回は「供花」の種類や手配方法、贈り主の名前を記入する「札名」の書き方を紹介します。それぞれの立場に合わせた名前の書き方を解説しますので、参考にしてみてください。この記事を読めば急な不幸でもマナーを守って供花を準備できるようになるでしょう。
<この記事の要点>
・故人の安らかな旅立ちを祈り、祭壇を華やかに彩って遺族の悲しみを慰めるために贈る花
・札名の書き方には決まりがあるため、わからない場合は葬儀社へ確認する
・供花の手配は遺族や葬儀社に確認後、葬儀や通夜が始まる3時間以上前までに贈る
こんな人におすすめ
知り合いがお葬式をされる方
お葬式に供花の準備を考えている方
供花のマナーについて知りたい方
葬儀会場の祭壇の脇に飾られる「供花」には贈り主の名前が書かれた札名が添えられています。その書き方には明確なルールがあることを知らない方もいることでしょう。まずは供花と札名の役割を理解しておきましょう。
供花とは、故人の魂に対して安らかな旅立ちを祈り、残された遺族の悲しみを慰めるために贈る花のことを指します。読み方は「きょうか」か「くげ」のどちらかで、地域によって異なります。
故人と生前親しい間柄だった方や親族が贈るのが一般的です。昔はスタンドタイプで2基セットの供花が主流でしたが、最近は1基のみや、小ぶりなサイズが多い花籠(はなかご)タイプも増えています。
葬儀場を飾る供花には、それぞれ「誰が贈ったのか」が分かるように「札名」と呼ばれる木製の札を添えるのが基本です。札名は、故人の交友関係や勤め先を参列者の方に周知するという役割を担っています。
札名に書く内容は名前や肩書きなど書く内容が決まっています。役職といった立場や所属団体の名称など正確な記述が必要です。多くの方が参列する葬儀の場で、もし間違いが発覚した場合には、遺族にも大変な迷惑をかけることになります。
「花籠」とはその名の通り、籠に花が敷き詰められているフラワーアレンジメントスタイルの供花です。通常の供花はある程度決まった種類の花で飾られるのに対し、花籠は通常のアレンジメントのように、比較的自由度高く花を選んで作れます。
また、持ち運びしやすい点と狭い会場や自宅で葬儀を行う場合にも飾りやすいというメリットがあります。贈り主の名前は、基本的なルールを遵守し記載しながら、併せてメッセージプレートを添える場合もあるのが特徴です。宗教上や葬儀場の決まりなどで受け付けない場合もあるので事前に調べておきましょう。
札名の書き方には、厳格な決まりが存在します。親族の立場や会社関係者といった、それぞれの立場別に確認しましょう。贈る側も受け取る側も立場を理解したうえで、書き方を把握しておくと安心です。
故人に対し親族でまとめて贈る場合は「○○家一同」「○○家 親戚一同」「親戚一同」などと記載します。孫やきょうだい別で贈る場合は「○○家孫一同」や「孫一同」が一般的です。
まずは親族間で相談するとともに、葬儀社のスタッフにも話を聞きながら決めたほうがよいでしょう。供花の数が増えれば増えるほど華やかになりますが、場内では飾りきれないなどの問題が発生するかも知れません。誰の供花を会場外にすれば……というセンシティブな悩みにつながる恐れもあります。
一般的なのは「友人一同」と記載するパターンです。大学時代の友人だったら「○○大学 友人一同」と記載してもよいでしょう。参列者にも多くの友人に恵まれていたという背景が伝わります。
個人の名前を記載したいと考えたとき、人数によっては名前の表記がかなり小さくなるかもしれません。札名全体のバランスが悪くなり、見栄えにも関わるので、よく考えて決めましょう。
会社で贈る場合には、会社名のみの場合と会社名+代表者名の場合があります。どちらでも構いませんが、「株式会社」を表記する際には「株式会社○○」「○○株式会社」どちらかを正確に伝えないと記載ミスにつながります。
代表の肩書きに関しても同様で「代表取締役社長△△」や「代表△△」など正しい肩書きを記載しましょう。部署ごとに贈る場合は「会社名 ○○部一同」、部署全員からではない場合は「会社名 ○○部 有志一同」とすることもできます。
何名かの連名で贈ることも可能です。書き方として、地位や肩書きが高い方を右から順番に書きます。特に気にしない、全員同列ということであれば、好きな順に書いて構いません。
ちなみに連名で名前を記載する場合、2人~4人を一括りにするのが一般的です。まれに8人程度まで可能だという業者もありますが、人数が増えても札名の大きさは変わらないため、名前が小さくなってしまいます。特にこだわりがない場合はシンプルに「○○一同」、「○○有志一同」とするのもおすすめです
夫婦で贈る場合、夫の名前のみを記載するのが一般的です。2人の名前を列記すると、別居や離婚をしていると捉えられることがあります。夫婦共に故人と仲が良く、頻繁にやりとりがあったとしても、夫婦は一括りと考えたほうがよいでしょう。ただし、供花の数のバランスを整える意向で、別々に用意する場合もあります。
札名は縦書きであることから、アルファベットやその他の横書きの文字は書けません。海外の方の名前を記載する場合は、カタカナ表記を必ず確認しておきましょう。中国語は日本同様、縦書きも横書きも対応しているので、そのままの名前で記載可能です。
札名への名前の表記以外にも、供花を送る上で気を付けるポイントがあります。それは宗教ごとに異なる花の種類や色のマナーです。仏式と神式に関してはほとんど変わりありませんが、キリスト教の場合は異なる点が多い傾向です。供花を贈る際は葬儀が何式で行われるか確認しておきましょう。
仏式では、スタンドタイプの供花も花籠タイプもお供え花として扱うことが可能です。花の種類は菊、カーネーション、百合、胡蝶蘭、故人の好きな花などが選ばれます。しかし、故人の好きな花がバラのようなとげがある花だった場合、殺生をイメージさせるため使用することは避けたほうが無難です。
色は白を基調にしつつ、黄色、ピンク、紫なども差し色としてよいでしょう。さらに最近では、プリザーブドフラワーの供花が人気で、手頃な価格と手入れのしやすさから取り入れている方も多いようです。
神式の供花は、仏式とさほど変わらないと考えてよいでしょう。菊、カーネーション、百合を主に使用します。ただし、胡蝶蘭を使うことはないのが神式の特徴です。色に関しては、白を基調にして淡い黄色やピンクを加えます。
ちなみに神式の葬儀では、焼香の代わりに「玉串奉奠」(たまぐしほうでん)が行なわれます。そのため以前は供花ではなく、この儀式の際に使用する榊(さかき)を会場に届けていたそうです。現在は供花を贈るスタイルに変わっています。
キリスト教は自宅に供花を贈るのが通常のため、持ち運びにも便利でコンパクトな花籠タイプを送ります。小菊やスプレー菊などの華奢で可愛らしい菊は使用されますが、仏式で使用されるような大輪の白い菊は使いません。その代わり、百合、カーネーションは多く使われています。
色は白を基本としており、造花は不可です。十字架やハートを模したアレンジメントを贈ることもありますが、名前を示すような札は基本的に刺しません。仏式と神式同様、とげのあるバラは使用しないことも特徴ですが、やはり自宅に供花を贈る点が大きな違いでしょう。
供花の贈り方のマナーを遵守しないと遺族側の迷惑になる可能性があります。葬儀は多くの場合唐突です。事前準備というものができません。そのため、遺族も大急ぎでさまざまな手続きを済ませています。その場面で贈り方を誤ってしまうと遺族側の手間が多くなり、気持ち良く受け取れません。
遺族の方々に迷惑をかけないよう、供花を贈る際に気を付けておくべきポイントを紹介します。
供花を贈る前に、遺族か葬儀業者へ連絡をしましょう。近年は小規模な葬儀でアットホームに故人を送ることもあるため、供花の受け取り自体を喪主が辞退している場合があります。
また、葬儀場によっては祭壇の規模や搬入の調整をスムーズにするため、取り仕切る葬儀社で全ての供花を用意するという場合もあります。その場合は、他社からの供花は受付を拒否されることもあるので気を付けましょう。
基本的に葬儀の案内に記載された葬儀場へ問い合わせれば、供花を贈ってもよいか教えてくれることがほとんどです。遺族に直接聞くしかない場合は、極力負担をかけないよう配慮が必要になります。
供花は、葬儀場で祭壇を飾り始める前までに届くことが重要です。目安としては、葬儀や通夜が始まる3時間以上前までにと捉えておきましょう。もし、供花の手配が間に合わないことがあれば、無理せず自宅に飾る供花として贈るなどの対応をします。
もし自宅に供花を贈る場合は、四十九日法要までに贈るようにしましょう。四十九日は遺族にとってもひとつの区切りです。その後お礼を送付する作業に入るので、それ以降贈るのは遺族の手間を増やしてしまうことになります。
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葬儀は前もって準備をすることができません。遺族も参列者も故人を失った悲しみで余裕がないこともあるでしょう。供花はそうした時に祭壇を華やかに彩り、故人の安らかな旅立ちを祈るために贈るものです。限られた時間で、落ち着いて準備ができれば、故人との最後のお別れを心穏やかに過ごすことができるでしょう。
供花の手配には札名の書き方など、葬儀社とのやりとりが重要なポイントになります。分からないことは、お気軽に「小さなお葬式」にご相談ください。小さなお葬式では、供花の手配やご相談も含め、葬儀全般に関する悩みや疑問について24時間365日対応できる専門スタッフが最大限サポートさせていただきます。
湯灌は故人の体を洗って清める儀式のことです。ホゥ。