墓標の基本的な言葉の意味・使い方

墓標の基本的な言葉の意味・使い方

お墓を表現する言葉は「お墓」や「墓地」が使われるのが一般的です。そのため墓標という言葉を聞くことがあっても、お墓を墓標と表現する人はほとんどいないのではないでしょうか。

確かに、墓標はお墓を指して使うことに違いありませんが、実は墓標の基本的な使い方は3つあります。お墓を建てるとき・改葬するときなどには、霊園や寺院墓地、石材業者との間でやり取りをしなければなりません。そのときに、墓標の基本的な使い方を知っておくと、誤解なく話を進められるでしょう。

今回の記事では、基本的な「墓標」という言葉の使い方と、間違って「墓標」と同じ意味だと誤解されやすい言葉を紹介します。これからお墓を建てる予定の方や、家の墓守をされている方にはとても役立つ情報のため、参考にしてみてください。

こんな人におすすめ

墓標とはなにかを知りたい方

基本的な墓標の使い方とはなにか知りたい方

墓標と同じ意味だと誤解されやすい言葉を知りたい方

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日本のお墓について

まず本題に入る前に、日本のお墓について解説します。日本人のお墓の文化は、現在から13,000年以上前の縄文時代まで遡ります。縄文時代というと、人は竪穴住居に住み、木の実や貝、魚、野生動物などを食べて生活していた原始的な時代です。このころには故人の遺体を埋葬する文化があったことが確認されています。

大昔のお墓で残っているのは、当時の天皇や権力者のものばかりです。そして、昔の庶民の場合は土葬か火葬で土中に埋葬し、現在のように遺骨や遺体の埋葬場所に墓石を置くことはなかったとされています。

庶民のお墓にも墓石を置くようになったのは江戸時代です。このころに、現代で多く使われている墓石の原形ができました。また明治時代になると、現代のように宗教に関係なく埋葬できる公共の青山墓地や天王寺墓地が作られました。それまでお墓は寺院で管理されていましたが、明治時代以降は墓地が全国に広がっていきました。

現在のお墓は、公営霊園や民間霊園、寺院墓地に設けるのが一般的です。墓石はさまざまな種類があり、次のような石塔や石板を組み合わせて作られています。

外柵 墓地の境界に設ける石
石碑 家名や個人の戒名を彫ってある石塔
灯籠 墓地の入り口の左右に設置してある石灯籠
塔婆立 塔婆を立てる付属品
五輪塔 仏教で自然界の5大要素になる「空・風・火・水・土」の意味が込められた石塔
墓誌 生前の氏名、戒名、没年月日などが彫刻された部分

その時代によってお墓の形も変遷してきました。現代は自分たちのルーツであるご先祖様をお祀りし、故人を忘れないためや、自分が存在する理由が確認できる大切な場所であり、各家のシンボルになっています。

そして、大切なお墓を表現する言葉の1つが墓標です。ここからは墓標の正しい使い方について解説します。

基本的な墓標の使い方とは

普段の生活で「墓標」という言葉を聞いたり、使ったりすることはほとんどないといってよいでしょう。では、一般的な人が墓標に持つ認識はどのようなものなのでしょうか。

一般人の墓標に対する認識

一般の人が墓標という言葉に触れる機会があるとすれば、映画やドラマで役者が話すセリフぐらいではないでしょうか。墓標についてわかりやすい説明をするなら、遺骨が埋葬された場所の印であるお墓に対して使う言葉です。

「『墓』という漢字が『標』の横に並んでいるので、何となくお墓を指す言葉かな」というのが一般的な認識でしょう。イメージするなら、いつもお墓参りで手を合わせて拝む「〇〇家之墓」や「「先祖代々之墓」と書かれた石塔や、お墓が建っている墓地などです。

ある意味その認識に間違いはありませんが、墓石業界では基本的に3つのことに対して使います。

石業界では3つのことに対して使う

一般の人が「墓標」に対するイメージは、漠然とした「お墓」かもしれませんが、墓石業界では基本的に、次の3つのことに対して使います。

①お墓の構造物
②木のお墓の木標
③故人の情報が刻まれた墓誌

この3つのうち、お墓参りで拝んでいる石塔は「①お墓の構造物」です。地域によっては樹木葬のシンボルツリーを指すこともあります。基本的な墓標の使い方をそれぞれ解説します。

墓標の正しい使い方①:お墓の構造物

墓石業界における1つ目の墓標の使い方は「お墓の構造物」に対してです。お墓には、墓石とそれが建つ墓地を「お墓」という人もいますが、墓石業界では「墓地に建っている墓石」をはじめとしたお墓の構造物に対して使います。つまり、土地に対して使う言葉ではありません。

墓標は外柵や石碑、灯籠などの石塔や石板で作られたお墓を指す言葉として使われるのが通例です。しかし、ここで注意すべきことは、墓標は複数の石塔や石板で作られた遺骨が納骨されているお墓に対して使う言葉であって、墓石自体を指す言葉とは異なるということです。専門業界では、混同を避けるために「墓標」と「墓石」の2つを区別して使います

墓標の正しい使い方②:木のお墓の木標

2つ目の使い方は「木のお墓の木標」に対してです。木標とは、墓石が建つまで仮で設けておく木でできたお墓のことです。

あまり聞きなれない言葉なので、「木標」と聞いてもピンとこない方が多いでしょう。たまに時代劇の中で、お墓参りのシーンに登場しています。昔は故人の埋葬方法は土葬主でした。そのため、墓石ができるまで現代のように家に故人の遺体を安置しておくわけにはいきませんでした。そこで、先に土葬して埋葬した場所が分かるように木標を目印に建てていたとされています。

現在は故人の遺体を火葬することがほとんどなので、墓石が建つまでの遺骨の安置・供養は自宅でするのがほとんどです。

木標を建てておく期間は墓石を設置するまでですが、遺骨に関しての法律には、お墓に必ず納骨しなければいけないといった決まりごとはありません。しかし、民間霊園では「2年以内に建立する」という契約になっているパターンもあります。木製だと劣化も早いため、墓石を設置するならできるだけ早い方がよいでしょう。

現在の木標は、ほとんどが先の尖った高さ120cm~180cmの「角塔婆」と呼ばれるもので、表面には梵字と戒名が墨で書かれるのが通例です。この他に五輪塔の形をしたものもあります。

法律上は木標の設置義務はないので、仮のお墓として設ける必要はありません。もしも木標を建てるとしたら、10万円くらいは必要になるでしょう。また、木標を建てる場合は、事前に墓石を建立する場所を整えて、納骨室を設ける必要もあります。それも含めた費用など、細かいことは石材店などの専門業者に問い合わせることをおすすめします。

墓標の正しい使い方③:故人の情報が刻まれた墓誌

3つ目の墓標の使い方は「故人の情報が刻まれた墓誌」に対してです。墓誌は石板タイプの墓石で、お墓に埋葬されている故人の名前・戒名・没年月日などの情報が彫られています。

墓誌の役割は、お墓参りに来られた方に「どのような人が埋葬されているのか」「どのような人であったのか」などを知ってもらうことです。お墓に眠る故人を偲んでもらうための重要な役割を担っています。そのため墓誌には、遺族の故人への思いを彫ることもあります。しかし、お墓参りの対象ではないので、すべてのお墓に必ず設けられているものではありません。

墓誌にはいくつかのタイプがありますが、よく見かける墓誌は石板のものがほとんどです。中には石碑の側面や、納骨室の入り口にある拝石に彫られている場合もあります。

一般的に、墓誌は他の墓石と一緒に販売されています。墓誌だけを購入する場合の価格は、15万円くらいからが目安です。また石板とは別に、戒名を始めとする情報を掘る費用が必要になることもあります。

墓標と同じ意味だと誤解されやすい言葉

「墓」が付いているので、漢字の雰囲気から墓標と同じような意味で誤解されやすい言葉があります。ここでは、墓標に似ているけれど意味が異なる言葉を見ていきましょう。

「墓地」と「墓標」

墓地とは、お墓を建てる土地や場所を総称した言葉です。例を挙げるなら霊園や寺院墓地に対して表現します。墓標は土地ではなく「墓地に建つ墓石などの建造物」に対して使うという違いです。

「墓所」と「墓標」

墓所もお墓を建てる土地や場所に使う言葉です。霊園や墓地だと、各家のお墓に割り当てられた土地の区画が墓所になります。墓地は墓を設置するための土地全体(霊園や寺院墓地)を指しますが、墓地でも墓所と呼ぶことがあるでしょう。

一般的には墓標も墓所もお墓を示すために使われていますが、この場合も墓標は「墓地に建つ墓石などの建造物」に対して使い、墓所が「お墓を建てる土地」に対して使うという違いがあります。

「墓碑」と「墓標」

墓碑とは、いつもお墓参りで手を合わせて拝む「先祖代々之墓」「〇〇家之墓」や戒名などが書かれた墓石のことです。墓地に建てる墓誌や石灯籠など、いろいろな石塔や石板があります。そして、墓碑はその中の1つの墓石です。そのため墓標の中の1つになりますが、お墓の構造物全体を指す墓標とは異なります。

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まとめ

墓標は遺骨が埋葬された場所の印であるお墓に対して使う言葉です。多くは「お墓」と同じ意味で認識されています。しかし、墓石業界では基本的に次の3つのことに対して墓標を使用することがほとんどです。

①お墓の構造物
②木のお墓の木標
③故人の情報が刻まれた墓誌

この墓石業界の基本的な墓標の使い方を知っておけば、お墓を建てるときや改葬する際の知識として役立ちます。しかし、樹木葬のシンボルツリーを墓標と表現する場合もあるように、他にも地域によって意味の捉え方が違うことも知っておきましょう。

もしも新しくお墓の建立や改葬で移転をする予定があるなら、小さなお葬式へご相談ください。お墓に関する疑問点に対して、丁寧にアドバイスいたします。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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